アニメの全セリフ -ガンダム、ジブリ、鬼滅の刃など-

アニメの全セリフ、名言、名セリフ、書き起こし

ルパン三世 カリオストロの城 全セリフ スタジオジブリ作品

ルパン三世 カリオストロの城 全セリフ スタジオジブリ作品

ルパン三世 カリオストロの城 全セリフ スタジオジブリ作品

 

ルパン三世 カリオストロの城 全セリフ スタジオジブリ作品

 

※セリフの羅列です。

 

(警報が鳴り響く)
アハハハハ…
ナンバー不揃いで50億はあるぞ
札ビラのシャワーだそれっ!
うわーっ熱い熱い熱いなもっとうめてちょうだいよ
ハハハハ…?
ンンッ?
どうしたんだルパン?
捨てちまおう
なにっ?
こいつぁニセモンだよよく出来てるがな
これが?まさか…
国営カジノの大金庫からかっぱらったんだぞ
ゴート札だよ
ゴート札!幻のニセ札というあれか
国営カジノにまで出回って来たとはな…
次元次の仕事は決まったぜ前祝いにパァーッとやっか!
パァーッ!
くそーっこのっ!くそくそくそっ!

 

【歌】主題歌『炎のたからもの」』
【歌】幸せを訪ねて私は行きたい
【歌】いばらの道も凍てつく夜も
【歌】二人で渡って行きたい
【歌】旅人のさむいこころを誰が抱いてあげるの
【歌】誰が夢をかなえてくれる
【歌】炎と燃えさかる私のこの愛
【歌】あなたにだけはわかって欲しい
【歌】絆で私をつつんで

 

聞かねえ名だな
カリオストロ公国たぁ
人口3,500世界で一番小さな国連加盟国だよ
それがゴート札の震源地というわけか
その筋じゃ有名な伝説さニセ札界のブラックホールってな
ブラックホール
ちょっかい出して帰って来た奴はいないとよ
ふーん怖いねえ
怖いから俺寝る
おい
ケッ!
ムフフフ
何だこのスペア丸坊主だよ
平和だねえ
うわっ!
何だ!?
乗れ!
どっちにつく?
オンナ!
だろうな
タイヤだ
よし!
わあっ
おわぁっ!
んっんんーっ!
くそっただの車じゃねえぞ!
アチッ!さて面白くなってきやがった
まくるぞ!
とったぁ!
今度のはただの弾丸じゃねえぞ

カリオストロの城

カリオストロの城

やったーい!
(ルパン警笛を鳴らす)
あらららっ!
(ルパン)気絶してるぜ
こりゃバラバラになるぞ
ハンドル頼む!
うわっ!
うわッ!
あらあららあらーっ!
ふうーっ
いやっ放して!
わっ!ダメだダメだあぶねえ!
下下!下見ろ!下を見ろってんだ下を!
そうそれでいいそのまんま
あらーっ!
イッ!
もしもし…もしっ!
ん…ううっ
もしっもしっ
ハッ
ごめんなさい
おいルパンよ
まなんつーザマだ
あ俺の花嫁は?
あーらあら…
くそーっ!
たかが娘っ子一人にあいつら一体何者だぁ?
ん?指輪じゃねえか
はてなどっかで…
ハッ!
どうしたんだ?指輪見て急に目の色変えやがって!
うわっ!
おいルパンこの古城に何かあるのか?
ウン?
指輪と同じ紋章だぜ…ルパン?
無人になってからそう古くはないな
火事か…
(老人)誰だ!(ルパン)ただの通りすがりさ
(老人)観光か?(ルパン)ああまあね
ここは確か大公殿下の館だったと思ったんだけど
今でもそうじゃ
他所者がウロチョロしてよい所じゃないんだぞ
これが大公の館だって?カラッポの廃墟じゃねえか
7年前の大火事でな
大公御夫妻がお亡くなりになって以来―
このとおり荒れ放題になってしまったんだ
妙だな大公って王様のことだろう今は王様なしってわけか?
摂政がいるからな困りはしないそうだ
早く帰れよ
ヘイヘイ
おいルパン
(時計塔の鐘の音)
大きくなりやがって…
どったの?
とぼけるんじゃないの!
一人でカッコつけて悩むんじゃねえほら言え!
ノオーッノオーッ
言えっ言うか?
言う言う言うっ!
(次元口笛を吹く)
摂政カリオストロ伯爵の城だあそこ見ろよ
(ルパン)いやもっと下だ
(ルパン)水道橋のむこう
(次元)ウン?さっきの船だ!
花嫁はあの城の中か…
あそこに水門があるんだ昔のまんまだぜ
お前あの城へもぐったことあるのか?
10年以上前の話さゴート札の謎を解こうってな
まだ駆け出しのチンピラだった
で…どうだった?
それがコテンコテンしっぽ巻いてよ逃げちゃった
フーッ
オートジャイロとは古風だな
伯爵だよ
えっ?
さあ宿でも探そうぜ
おい!?
ジョドー不始末だな
申し訳ありません御婚礼衣装の仮縫いでございましたので―
男どもが席を外した折でございました
今は北の塔か?
ハイお薬でよくお眠りになっていらっしゃいます
外国人?
ハイ二人連れの男が逃亡を手助けしたとのことでございます
見つけ出せ後始末は任せる
うん?
指輪がない…
ジョドーを呼べ!

この文字は死滅したゴート文字だ
ゴート文字!?
(ルパン)“光と影再び一つとなりて甦らん…1517年”
年号はローマ数字だ
400年前の代物か
おまちどうさま
おおっうまそう
ずいぶん熱心ね何見てるの?
いやなに古い指輪を拾ったもんでね値打ち物かなって…
まあっ!きれいねこれクラリス様の紋章よ
クラリス
ほらあの方あそこの写真
(娘)子供の頃のだけど
きのう修道院から戻られたのきっと素敵におなりだわ
修道院
あら知らないの?お客さんたちもクラリス様と伯爵様の結婚式を―
見に来たのかと思ったわ
あっそうかどおりで観光客が多いと思ったよ
でもクラリス様かわいそう伯爵ってね有名な女たらしなのよ
おやま!俺みたい今晩どおー?
キャッいやだーハハハ
やっぱり伯爵のイヌだぜ
指輪を見て目の色変えやがった
花嫁だけじゃダメか?
指輪ももらいたい
そうはいかな…い…
お前昼間の娘が大公のお姫様だって知ってたな!
あーら言わなかったっけか?
光と影再び一つとなりて甦らん…か
お宝でも甦るのかな?
アアッ!?
わあーっ団体サマのお着きだ
このヤロー!
マグナムが効かねえぞ!
こいつら暗殺のプロだよ!
急げ!
ヒェーッびっくらこいたぜ
本格的に攻めてきやがったこの事件ウラは深いぜ!
面白くなってきやがった!
いい出来ではないなこのところ質が落ちていくばかりではないか
申し訳ありませんしかし今のような大量生産を続けては…
やり直せ!納期も遅らせてはならん
誰だ?
このジョドー一生の不覚ですネズミめをとり逃がしました
ウン?ジョドーその背中の紙は何だ?
あっこ…これは!?
(ジョドー)いつの間に!
ハッルパン…
(ジョドー)ルパンの予告状です
読め
ハハイいやしかし…
かまわん
“色と欲の伯爵どの花嫁は頂きます…”
“近日参上ルパン三世
フフフ…よかったなジョドー
ハッ?
待とうではないかルパンとやらが来るのを
よお早かったな
仕事か?
五ェ門が来たぞ
こっちも来たぞ
のぞいてみなよ
ああっ
日本のパトカーだ!
銭形だよ
なにっ!?
(指揮官)総員降車!
(指揮官)整列!
これで役者が揃ったってわけだ
ハフハフハフッ…
(銭形)お食事中に失礼します!
国際警察の銭形です
ルパンの予告状が届けられたとの通報があって参りました
ああアルセーヌ・ルパンの三代目とかというコソ泥のことか
インターポールはそんなことで人の朝食をさわがすのかね
閣下!ルパンを侮ってはなりませんぞ
来ると言えば奴は必ず来ます
御婚礼まであと5日ぜひ私どもに城内を警備させて下さい
この国にも警察があってね
もっともより優雅に衛士と呼んでいるがね
お呼びですか
グスタフその日本人に協力してあげなさい下がってよし
ハイッ!
閣下今ひとつ!ルパンめが花嫁を狙う理由をお教え下さい
さあ?それを調べるのも君の仕事じゃないのかね?
失礼しました!
よろしいのですかあのような者を城内に入れましては…
かまわんインターポールにも友人は沢山いる
すぐ引き揚げることになろう
銭形ださすが昭和ひとケタ仕事熱心だこと
何だあれは?
それ以上進むな
なにっ
見ろ
死にたくなければウロチョロせんことだ
部下にもそう伝えろ
警部対人レーダーの反応もあります
いけ好かん城だ素人にしちゃ阻止装置が大げさすぎる
オンナ…?
おっと降りるなんて言うなよ
女がらみだがそれだけじゃねえんだからよ
その指輪とやらに何かあるのか?
それも娘をヒヒジジイの伯爵から取り戻せばわかるんだ
何しろなマグナムが効かねえ化け物だ
お前のヤッパとこの対戦車ライフルで…
よおルパン侵入路はめっかったか
いやすごいもんよレーザーとレーダーの巣だ
そうか戦車がいるな…
それで銭形を呼んだな
なにっ?本当かルパン!
ホワッ当たり!いいカンしてるぜ
毒をもって毒を制すか…
(ルパン)ここがカリオストロの城俺たちはここ
このローマ水道は今も生きている
侵入路はこれしかない
ローマの水道でこっちの湖から城内まで水を引いているんだ
なるほど水の中ならレーザーもないってわけか
(次元)五ェ門見張り頼むぜ
気をつけろ穴があるぞ
うわっ
第一関門か
いくぞ
ルッルパンよーっ!
ヒャーッありゃ時計の機関部だぞ
あの野郎うまくやったかな…
あの風車は何だ?
グスタフ殿の話では城内へ水を揚げているとのことです
ム…その水の出口は?
上の砲台の泉水です
つづけ!
ハッ
警部!
パリ本部より引き揚げ命令です“ただちに帰還せよ”
なにーっそんなバカな話があるか!俺が確かめる!
なんですと!ルパンの予告が…だから理由は?
えっ伯爵が?
警察官はタイコ持ちじゃありません気に入られようが気に入るまいが…
(電話切れる音)
もしもし!もしもし!
くそっ!
伯爵に話をつけてやる!
伯爵様へご案ナーイ
大至急伯爵に会いたい
聞こえんのか!通せ!
(グスタフ)やめろ
ここから先は信用ある者しか入れんのだ
なにっ!国際警察が信用できんと言うのか!
貴殿には引き揚げ命令が出ているはずだお引取り願おう
何でそれを知っているんだ?
ルパンごとき奴に東洋人の力は借りぬさっ帰れ
そうかわかったひとまず引き揚げだ
ハッ
今ここに俺が来なかった?
何だと?
バカヤローそいつがルパンだ!俺に化けてもぐり込んだんだ
でっかい図体して変装も見破れんのか!穀潰し!
くそっつづけーっ!
(ルパンの声で)ルパンを逃がすなーっ!
イヤァーッ!
待てーっ!
ルパーン!
ルパン?
やめろ!ルパンが!
警部殿を助けろ!かかれ!
うわーっ
うおーっすげえすげえ!
やめろ!あいつがルパンだ!

ルパーン!
ああっ
うわっおっ…おっ…
お…おわーっ!
何か掛かったようです
バカめ!さっさと帰ればよいものを
(召使い)衛士がいませんが
(ジョドー)グスタフ!
持ち場を離れおって何をしておる
(ジョドー)お前はここにいろ(召使い)ハッ
とっつあんすまねえ
ムフッ
愚か者めバカ騒ぎをすぐにやめろ!
わからんのか!まんまとルパンに乗せられおって
くそっ!
ああっ!
うわーっ
放せ放せ!うわーっ
ハハハハ…
ルパンめとうとう入り込んだか
面目次第もございません
警官隊へは警部は先に帰ったと伝えておけ
途中で蒸発することはよくあることだ
ハッ
(重苦しい声)動くな
こんばんは不二子ちゃん
ルパン!
仕事に熱中しているご婦人てのは美しいねえ
もうこんな所まで来ちゃったの?
一年ぶりに会ったってのにつれないんだなぁ
ずいぶん探したんだから…
ルパン探してるのは花嫁さんの居所でしょ?
あらっ知ってたの!?
教えてあげてもいいいけど私の仕事の邪魔しない?
しないしないしたこともない
どうだか…北側の塔のてっぺんよ
もっともとても入り込めないでしょうけどね
ルパン…?
くそーっひでえ所に閉じこめやがって
あらららら…
よっ…ありっ?
あらっあららららっ
ワァーッ!
ヒエッ!
どなた?
ドロボーです
ドロボーさん?
こんばんは花嫁さん
あなたはあの時の方ですね
忘れ物ですよ
まあ!このためにわざわざ?
伯爵に見つかったら殺されるというのに
なあに狙い狙われるのがドロボーの本性です
仕事が終われば帰ります
お仕事…?
私に何か差し上げられる物があればよいのですが…今は虜の身
ハッ
これを…
私の獲物は悪い魔法使いが高い塔のてっぺんにしまい込んだ宝物…
どうかこのドロボーめに盗まれてやって下さい
私を?
金庫に閉じ込められた宝石たちを救い出し―
むりやり花嫁にされようとしている女の子は緑の野に放してあげる
これみんなドロボーの仕事なんですうーん
私を自由にして下さるの?
うん
ありがとう…とてもうれしいの
でもあなたはカリオストロ家の恐ろしさをご存知ないのです
どうかこのまま帰って
あーあ何ということだ
その女の子は悪い魔法使いの力を信じるのに―
ドロボーの力を信じようとはしなかった
(ルパン)その子が信じてくれたなら―
ドロボーは空を飛ぶことだって
湖の水を飲み干すことだって出来るのに…
ウッウッ…
ウウッ
ウーッウムムム…
まあ!
今はこれが精一杯…
フフフフ…
アハハハハ
キャーッ!
ドロボーさん!
こらっご婦人はもっと丁重に扱え!
わざわざ指輪を届けてくれてありがとうルパン君
盛大なお出迎え痛み入るぜ伯爵
さっそくだが君には消えてもらおう
さあてそう簡単に消せるかな?
やめて!その人を傷つけてはいけません!
大丈夫お嬢さんドロボーの力を信じなきゃ
おじさま!
ハーイおじさんはここですよー!すーぐ戻って来るからね
さて何をして遊ぶのかな?
君を引き裂くのは簡単だが
コソ泥の血で花嫁の部屋を汚すこともあるまいと思ってね
そんなこと言っちゃって…後で後悔するぜ
へらず口はそれまでだ!
ああ…
フフフ…一人として這い出た者のない地獄へ通ずる穴だ
可愛い顔をしてもう男を引き込んだか
カリオストロの血は争えんな
フフフ…わが妻にふさわしい
人殺し!あなたは人間じゃないわ
そうとも…俺の手は血まみれだ
がお前もそうさ
わが伯爵家は代々お前たち大公家の影として―
謀略と暗殺を司り国を支えてきたのだ
放して!汚らわしい!
それを知らんとは言わさんぞ
(伯爵)お前もカリオストロの人間だ
その身体には俺と同じ古いゴートの血が流れている

クラリス400年の永き年月―
光と影に分かれていた二つのカリオストロ家が―
今一つになろうとしているんだよ
(伯爵)ごらん
わが家に伝わる金の山羊と…
君の!
銀の山羊の指輪が一つに重なる時こそ
秘められた先祖の財宝が甦るのだ
(ルパン)聞いちゃった聞いちゃった!お宝目当ての結婚式!
奴だ!?
(ルパン)ニセ札作りの伯爵の言うことやることすべて嘘!
(ルパン)女の子はとっても優しい素敵な子…
おじさま!おじさま!
(ルパン)ハーイ元気ですよ!
女の子が信じてくれたから空だって飛べるさ
ドロボーさんがきっと盗み出してあげるから
(ルパン)待ってるんだよ
ハイ!
(伯爵)くそっその指輪か!(クラリス)あっ!
よこせ!
(ルパン)やい伯爵よく聞け!
(ルパン)本物の指輪は俺が預かってるその子に指一本触れてみろ
大事な指輪はこうだ!
ニセモノだ!
ムフフフ
くそーっ
人を排泄物扱いしやがってフーンだ!
落ちたか
たぶん
調べろ
あそこは生ける者のおもむく所ではありません
放っておけば必ず死にます
指輪を奴が握っているのだ
ウッかしこまりました
待っておれお前のコソ泥をズタズタに引き裂いてやる
殺しも殺したり400年分かナンマンダブナンマンダブ…
ん?
ウン?
あっルパン!
おのれ神妙にしろ!
とっつあんよく無事だったなあ
教えろ!出口はどこだどこから入って来たんだ!
俺も落っことされたんだよ
へ?ハアー…
その様子じゃだいぶ歩き回ったようだな
うるせーっ盗人の情けは受けねえ!
まあゆっくりしようぜどうせ出口はねえんだから
ハイちょっくらご免よ
とっつあん火貸してくんない?
ルパンこの仏の大群は一体何なんだ墓場とは思えんが…
そこの壁見てみな
ウン?
ここれは…
うーんナンマンダブナンマンダブ…
ただの城じゃねえと思っていたがこれ程までにして守る秘密とは…
おいお前の狙いもそれか?
それをやってるのは不二子ちゃん
仏さまにならなきゃいいんだけどねえ
とにかくジタバタしたって始まらねえや
おやすみとっつあん…
(4時の時鐘の音)
ううーっ寒っ!
あもうこんな時間か…どうだ様子は
まだ動かぬ
待つしかねえか…
ケケケッ
そぉーれッ
ヨッ!
遅い…
ジョドー様!
おおっでかした!
うわーっ!
ソレッ!
おのれ!ルパン!
ウン?こりゃま棺桶だぞ
おおーっ!
な何だ?ここは…
1万円札ではないか!
なんとこれが全部そうか!
こりゃよく出来てるぜ!とっつあん見ろよ!
西ドイツの千マルク札!
(ルパン)ポンド!ドル!フラン!リーブル!ルピー!
ペソ!クラウン!リラ!
ウホッウォンまであるぜ!世界中あらぁな
ニニセ札作り…
ルパン!これがこの城の秘密か!
そうよ
かつて本物以上と讃えられたゴート札の心臓部がここだ
(ルパン)中世以来ヨーロッパの動乱の陰に必ずうごめいていた謎のニセ金
ブルボン王朝を破滅させナポレオンの資金源となり―
1927年には世界恐慌の引き金ともなった
歴史の裏舞台ブラックホールの主役ゴート札
その震源地を覗こうとした者は一人として帰って来なかった
噂には聞いていたがまさか独立国家が営んでいたとはな
とっつあんどうする?見ちまった以上後戻りは出来ねえぜ
わかっておる警察官の血がうずくわ
ムフフ…ここから逃げ出すまで一時休戦にすっか?
よかろうだが盗人の手助けはせんぞ
脱出した後には必ずお前を逮捕するからな
上出来だ
ほんじゃまあ握手と
フン!馴れ合いはせん
あれま
(クラリス)不二子さん!
潮時が来たのでお別れを言いに来たの
あなたは一体?
クラリス様付き召使いとして雇われた城内ただ一人の女…
でも本当はこの城の秘密を探る女スパイなの
もうちょっといるつもりだったけどルパンが来たでしょ
メチャクチャになっちゃうからもう帰るの
あの方をご存知なの?
うんざりするほどね
時には味方時には敵恋人だったこともあったかな
彼生まれつきの女たらしよ気をつけてね
捨てられたの!?
まさか…捨てたの
ハッ
落とし穴から煙が!?
火事?
(クラリス)地下からだわ
ムッ
動いた
始めやがったか!
(サイレンが鳴り響く)
大変です!火元は地下工房と思われます
何だと!?すぐ消すんだ!
ハイッ
ええいそこを閉めろお前たちも行け!
ジョドーめまさかしくじったのでは…
とっつあん早くしろそろそろお客が来るぜ!
証拠だ!証拠がいるんだ!
おおっ!
おのれルパンめ!
探せ!まだこの中にいるはずだ!
おおっ!
ひるむな!かかれ!
うおーッ!
ルパンだ!追えっ!
お前は火を消せ!
礼拝堂だ!
おじさま!
ルパン銭形まで…
オートジャイロを奪う気だわ
(伯爵)愚か者!
お叱りは後で!きゃつはクラリス様を狙っています!お早く
早くしろ!
くそーっ警視庁をなめるな!
とっつあん乗れ!
アバヨー!
とっつあんちょっと寄り道するぜ!
営利誘拐なら協力せんぞ
商売抜きだい!
こっちへ来る
防弾ガラスだわ!
ここは開かないのかまわず行って下さい
とっつあん操縦頼むわ
ななにっ!?待てルパンやったことねえんだよ
クラリス
おじさま!
お迎えに来ましたよ不二子ロープだ!
偉そうに言わないで!
不二子さん!
さっ早く!
おじさま!
さあもう大丈夫だ
とっつあんこっちこっちこっち!
そううまくいくか!このバーローッ
よーしいいぞ
あらららっ
(銃声)
ハッ
ルパン!
動くな女ネズミ!
不二子お前には後でたっぷり訊くことがある
ジョドールパンの止めを刺せ
ハッ
やめて!撃ってはだめ!
この人を殺すなら私も死にます
撃て
見上げた心がけだクラリス
指輪を取り戻してここへ来い
わが妻になればルパンの生命は助けよう
(伯爵)今二人で死ぬのもよし好きなようにしてやる

ううっ…
おじさま指輪を…
ダメだクラリスいけねえ…
襟の裏よルパンはいつもそこに隠すわ
くそーっ不二子のヤツ…
指輪ですこの方と不二子さんを助けなければ―
このまま湖に投げ捨てます
私を信じろ指にはめてこっちへ来るんだ
撃ちます
指輪が来るまで待て
ルパーン!
撃て逃がすな!
卑怯者!助けると言って…
地下工房を見た者を生かして帰すと思ったのか
ああっ…
ハハハハついにわが手に来たか
ルパン今日のは貸しにしとくわじゃあね
出番のないまま退却かよ
ワーッもうダメだ!
飛び降りろ!
またつまらぬ物を斬ってしまった…
ルパン俺が捕まえるまでくたばるなよ!
何にしても困ったもんですな陰謀ですこれは
出動命令を下さい!これほど明白な証拠があるのですぞ!
私は見たんだ最新の印刷機がズラーリとこう…
そんなことはわかっとる!
これは高度に政治的な問題なんだ
わがインターポールの権限は国際犯罪に限定されている
長官!犯罪であることは明白ですぞ!
わかっとらんな相手は国連加盟の独立国なのだ
インターポールといえども強制捜索は出来んのだよ
しかも情勢は極めて不利だ
世界中の新聞のトップを飾っているこの写真を見たかね
“自ら花嫁を守った伯爵の勇気ルパンクラリス姫誘拐に失敗”
“ルパンの共犯者銭形に変装”ともあるが?
それは正真正銘の自分です!
困るんだよ現職の警官が軽率じゃないか
真相は報告したはずですぞ!
問題はだね世論がどっちを信ずるかだ
勝ち目はあるまい
伯爵は西側の政界に友人が多いそうじゃないか
真相を暴かれると困る国も多いんじゃないのかね
そのとおり現に大量のニセドルが某国によって発注された証拠がある
このニセリーブルこそCIAの発注じゃないのかね!
やめたまえ!ここに国家間の争いを持ち込んでもらっては困るのだ
さようゴート札は各国毎に対策を考えてもらうしかありませんな
警部出動準備できました!
いつでもカリオストロ公国へ出発できます!
出動はない
ハッ?
後任が決まり次第我々はルパン担当の任を解かれることになった
全員帰国の準備をしろ
(老人)わしじゃ
食い物だ
すまねえな
どうだ具合は?
(次元)熱は下がったみてえだ
あんたの手術のおかげだよ
礼ならあの犬に言ってくれ
(老人)誰にもなつかぬ老犬があの男からは離れようとせぬ
そうでなければお前さんたちを匿ったりはしなかったろう…
よおカール
気がつきやがった
ルパン傷はどうだ?
次元五ェ門…久しぶりだな
久しぶり!?何言ってるんだよ
傷による一時的な記憶の混乱だ
カール今日はご主人様と一緒じゃないのか?
お前さんどうしてその犬の名を知ってるんじゃ
カールという名はわしの他はもうクラリス様しか知らないはずだ
クラリス
そうか…お前のご主人はクラリスってえのか
クラリス…!?
ルパン?
次元今日は何日だ!あれから何日たった!
みっ三日だ!
何だとじゃ式は明日じゃねえかこうしちゃ…!
イテテテ…
ほら無理するんじゃねえよ!傷口が開いちまうぞ!
食いもんだ!食いもん持って来い!
食い物って…おかゆか?
血が足りねえ何でもいいジャンジャン持って来い
そんなこと言ったってよ
わしが何とかしよう
バカヤローそんなに慌てて食うなよ胃が受けつけねえぞ
うるへー!12時間もありゃジェット機だって直らあな!
ほーら言わんこっちゃねえや!洗面器か?
あ?なに!ン?
食ったから寝るって…
そうでしたかクラリス様のために…
しかしルパンがこのザマじゃな
ご老体はクラリス殿と深い関わりがあるようだが
わしはお屋敷の庭師じゃった
クラリス様は草木が好きなお子でな…
大公ご夫妻が亡くなられ修道院にお入りになる時
この犬をわしに託されたのじゃ
ルパンの身体にお姫さんのにおいを嗅ぎつけたってわけか
この御仁はなぜ犬の名を知っていたのじゃろう?
さあな何しろ惚れっぽい男だからな
そんなんじゃねえ
お前起きてたのか!
もう10年以上昔だ…
俺は一人で売り出そうと躍起になっている青二才だった
(ルパン)バカやって…
いきがった挙げ句の果てに俺はゴート札に手を出した
何とか岸に這い上がったがもう身動きとれなかった
カール?どうしたのカール…
どうやら年貢の納め時が来やがった
お水…
震える手で水を飲ませてくれたその子の指にあの指輪が光っていた
恥ずかしい話さ指輪を見るまですっかり忘れちまってた
(オートバイの走り去る音)
不二子の単車だ
今日の新聞の切り抜きだ
“明朝結婚式のためバチカンから大司教が来る”とある
(電話の鳴る音)
俺は降りるぞ
不二子か!
なにっルパンが結婚式を襲う!?本当か!
ルパンが相手なら天下御免で出動できるんでしょ
そうかその手があった!
急いでるんだどいてくれ
ムダムダこの先ギッチリ詰まってるんだ
(女)7キロ先で崖崩れだってよ
他の道はないのかね?遅れてしまうぞ
はあ
(次元の声)あンれまお前さまこの大司教様でねえすか!
ああやっぱしそんだ!ひとつこの山羊っ子に祝福を下せえまし
ん…
土地の者だねカリオストロの城へ行く他の道はないかね
田舎道でいいならあっちにあるがね
助かった案内してくれないかさ乗って乗って
ハイハイ大司教様のためならばハイッ
けっぱれ!あとひと山越せば国境だ
夕方までには着かねばならんぞ!
(グスタフ)よろしいのですかテレビなどに公開して
正統なご婚儀であることを世界に示さんという殿下のお心だ
おお大司教様がお着きになった
ルパンめ来るのでしょうか
花嫁は私のカゲどもがお守りする
お前たちは門を守っておればよい
ハッ
(12時を告げる鐘の音)
光と影が一つとなる時が来た
来いクラリス
由緒ある古き血の一族―
カリオストロの正統な後継者である証しをここへ
古の慣わしに従い指輪を交わして婚姻の誓いとなす
カリオストロ公国大公息女クラリス・ド・カリオストロ
この婚姻に同意するか異議なき時は沈黙をもって答えよ

神の祝福があらんことを…
(ルパン)異議あり
(ルパン)この婚礼は欲望の汚れに満ちているぞ
オオッ
呪いじゃ
騒ぐな!ネズミめ現れおったな
地下牢の亡者を代表して参上した
花嫁を頂きたい
ああこれでは式はムリじゃ
下がっておれよい余興だ
クラリス迎えに来たよ
化け物だ!
大変なことになりました!ルパンですルパンが出ました!
放送を中止しろ!
(不二子)何すんのよ!
出動!
(ルパン)クラリスクラリス
かわいそうに薬を飲まされたね
伯爵め口をきけないようにしたな
(クラリス)キャーッ!
おじさま!
ああいけません近づいてはなりませんぞ
ハハハハ!愚かなりルパン
その者どもも片づけろ!
クラリス泣くんじゃないクラリス
今そこへ行ってあげるよ
うわっ!
(ルパン)ウハハハハ…イヒヒヒ…
(ルパン)気に入ってくれっかな伯爵このプレゼント
殿下!
お前さんの作ったニセ札だ指輪の代金に受け取っとけ
くそーっ奴を探せ!この中にいるはずだ
あっ!
へへっ確かにもらったぜ!
き貴様は!?
ルパン!
おじさま!
ウフフッ
おのれふざけたマネをしおって
妬かない妬かないロリコン伯爵火傷すっぞ!
それっ!
ルパンルパンルパーン!
エイッ皆さんお待ちどお様でした放送を再開します
今や式場は大混乱です
ムフフフではハイチャ!
死ね!
追え逃がすな!
ルパン逃げました伯爵激怒して追って行きます
あっ!警官隊の突入です!
ルパンは祭壇の下だ一点突破!かかれ!
銭形隊祭壇に向かって猛進しています
あっ衛士隊です!先頭は…
グスタフ衛士長!
後方確保!
うおーっ!この!
退くな!正義は我にあり!
実に激しい戦いです
祭壇の下に一体何があるのでしょう?
あっ階段です地下へ通ずる穴があります
あの穴にルパンがいるのでしょうか
カメラもそこへ行ってみましょう
ルパンめ!
ルパンルパン!
(インターポール幹部)あのバカ何をやっとるんだ
命令無視だ呼び戻せ
これは宇宙中継だもう遅い
おおっ何だここは?まるで造幣局ではないか!
ムッあそこにあるのは…
アリャー日本の札!これはニセ札だあ!
わざとらしくやりおって…
(不二子)大変な発見です
見てくれ世界中の国のニセ札だーっ!
ルパンを追っててとんでもない物を見つけてしまった!
どうしよう?
ひとまず城外に脱出だ頼むぜ次元五ェ門
まかしとけここで食い止めるわ
さっ
皆さんどうかお気をつけて
次元様も…
へっ…!?
(クラリス)必ず無事に戻って下さいね
ご恩は一生忘れません
さっ行かれよ
(ルパン)クラリス急げ!
ハイッ
次元様だと…
可憐だ…
ムッ…
おっぱじめようぜ!
トリャーッ!
今宵の斬鉄剣は一味違うぞ!
ルパンめまだ勝負はついてないぞ
城内はお任せ下さい
うむ
ハアハア…
傷が痛むの?
なあに軽い軽いさあこいつを越えちまおう
向かい合った二匹の山羊…
つなぎ目にゴート文字が彫ってある
(ルパン)“光と影を…”
すり減っててよく読めないな
(クラリス)光と影を結び時告ぐる…
高き山羊の陽に向かいし眼に我を納めよ
昔から私の家に伝わってる言葉ですお役に立ちますか?
立ちます立ちます謎は解けたぜ!
伯爵だ!さっこっちへ!
時計塔の機関部に潜り込むぞ!船をつけろ!
あそこだ!
ウホッ!来た来た
あっ!アチチッ
ダメだこりゃ!
レーザーを切れバカめここから出られると思うのか
怖いか?
いいえ
上等!いくぜ!
逃がすな!
あっ!
(水兵)ああーっ
見るな!
(水兵)ギャーッ!
うわーっ!
ここはダメです
お前たちは階段を使え
ハッ
よいしょっここにいな入り口を塞いでくる
気をつけて
すぐ戻るよ!
あそこだ
おおっ!
うわーっ!
(クラリス)おじさま!後ろ!
うわっ!とっとっと…
いよーっ伯爵!
ネズミめ!串刺しにしてやる!
いよいよ大詰めだな伯爵
イヤァーッ!
ウーンッデヤッ!
ウーンッ!
ああっ!
ウーンもう一丁!
うおっとっと…
やーいカリ公ここまでおいで!
あらーっ!
わっわっわっ…
ハハハハ!
おじさまー!
ヒヒヒヒ
ハッ
貴様から先に片づけてやる
クラリス逃げろ!
(ルパン)今行く!
ワハハハハ…
ハハハッ
ヒヒヒ…どこまで行くのかなクラリス
そらそらどうした
もう逃げないのかん?
カリオストロの血もこれで終わりだ!死ねクラリス
待て伯爵!取引だ
もう遅いこの女が死ぬところを見ておれ!
話を聞け!

指輪の謎を教えてやろうお宝はどうしようとお前の勝手にするがいい
(ルパン)しかしその子は諦めろ自由にしてやれ
見ろあの文字盤の山羊座
(ルパン)あれが“陽に向かいし時告ぐる山羊”だ
両の目に二つの指輪をはめる穴がある
この指輪はくれてやるしかしその子を殺せば湖に捨てて―
お前を殺す
おっとそこまでだクラリスを中へ入れな
よしわかった
ああっ!
(伯爵)ハハハハハ
ルパン!切り札は最後までとっておくものだ
来い
確かに本物だ指輪は受け取ったぞ
謎解きの代金を受け取ってくれ
エイッ!
ワアッ!
は…放せ!
クラリス
(伯爵)放せ!
ヒヒヒヒ
ウン?
オオオ…
グォォ…ッ
アアーッ!
(鐘が突然鳴り始める)
ああっ時計塔が!
ああ殿下…
何だありゃ!?
これでカリオストロも終わりだ…斬れ
無益な殺生はせぬ
お…!?
おじさま…
よお立てるか?見てみな
(ルパン)隠された財宝か
(クラリス)湖の底にローマの町が眠っていたなんて…
ローマ人がこの地を追われる時水門を築いて沈めたのを―
あんたのご先祖様が密かに受け継いだんだ
まさに人類の宝ってやつさ俺のポケットには大きすぎらぁ
インターポールが重い腰を上げたな
行ってしまうの…?
ううん怖いおじさんが一杯来たからね
私も連れてって
ドロボーはまだ出来ないけどきっと覚えます
私私…お願い!
一緒に行きたい
クラリス
バカなこと言うんじゃないよまた闇の中へ戻りたいのか?
やっとお陽さまの下に出られたんじゃないか
なっお前さんの人生はこれから始まるんだぜ
俺のようにうす汚れちゃいけないんだよ
あそうだ困ったことがあったらねいつでも言いな
おじさんは地球の裏側からだってすぐ飛んで来てやるからな
カール!
ああカール!カール!
クラリス
おじいさん
アハハハハッ
おじさま!
またなー
お姫さーん
おじさま!
クラリス達者でなサイナラー
ありがとう皆さんさようなら
サイナラーサイナラー
くそっ一足遅かったか!ルパンめまんまと盗みおって
いいえあの方は何も盗らなかったわ
私のために闘って下さったんです
いや奴はとんでもないものを盗んでいきました
あなたの心です
ハイ!
では失礼します!
ルパンを追え!地の果てまで追うんだ!


(【歌】主題歌流れ始める)


なんと気持のいい連中だろう
私ずっと昔からあの方を知っていたような気がするの
ルパン…きっときっとまた会えるわ
(次元)いい子だったなあ…
おめえ残っててもいいんだぜ
あらーっ不二子ちゃん
ルパン見て私の獲物!
あっ!ニセ札の原版じゃないのよ!
わっわっお友達になりたいわぁ!
じゃあね
あらららちょっとお待ちなさいってば
いけねまたとっつあんだぁ!
ルパン今度こそ逃がさんぞ!

 

END

 

 

ルパン三世 カリオストロの城

ルパン三世 カリオストロの城

 

猫の恩返し 全セリフ スタジオジブリ作品

猫の恩返し 全セリフ スタジオジブリ作品

猫の恩返し 全セリフ スタジオジブリ作品

 

 

猫の恩返し 全セリフ スタジオジブリ作品

 

※セリフの羅列です。

 

もしあなたが
ちょっと不思議で
困った事に出会ったら
そこを
訪ねてみるといい
そこには・・・・・
(目覚まし時計の音)
うーん…
ハッいけない!
ハル起きてる?
今起きた!
よし
おはよ
まったく
目覚ましかけるだけムダよ
行ってきます
食べないのおいしいのに
(母)うーん
おいしすぎるぅ
人でなし!
(母)行ってらっしゃい
あっ
(野球部員)エッホエッホエッホ…
あっ
しまった!
エッホエッホエッホ…
ちょっと!
うそぉー
(古文の先生)国破れて山河あり
城春にして草木深し
時に感じては花にも涙をそそぎ
別れをうらんでは鳥にも心を驚かす
吉岡
コソコソする暇あったら早く席につけ
はい
(生徒達)ハハハ
(ひろみ)あちゃー
(町田)ハハハハハ
うっ…
もう!やんなっちゃう
おかげで遅刻して
みんなの前で恥かいて
町田君にも笑われるし
(ひろみ)笑ってたねぇ
どうして?
一体何をまちがったわけ?
これは何かの前兆だね
もっと恐ろしいことが―
これから始まるんだよ
なぐさめてよ
(おばさん)あら見かけない猫
(ひろみ)そんなに町田がいいかね
だってカッコイイもん
告白は?
それが彼女いるらしいのよ
一年の子でしょ美人らしいね
知ってて言うかっ
フラれた時はなぐさめようと
思っているわけよ
アンタって女は!
でも私は柘植ちゃんの方が
カッコイイと思うのだけどな
あんたこそさっさとフラれて…
なんかくわえてたね
どろぼう?
さあ?
なにやってんのかね
オーイ!猫ぉ危ないぞー
あーあ
まいっか猫だし
なんかヤバくない?
え?
うそっなにやってんの
ちょっとハル!
(運転手)うわっ
(ブレーキの音)
やったハルすごい!
あっ!
こらーっ待てトラック!
ハァハァハァハァ…
ネコ…
大丈夫?
ハッ!
大変危ないところを
助けて頂き
まことにありがとうございました
お怪我はございませんでしたか?
え…あ…う…
失礼とは思いますが
今は急いでおりますゆえ
お礼はまたあらためて
とんでもない
あ?
ハルー!
あーあやっちゃった
猫の命には換えられないか
今の見た
え?
猫がおじぎした
ハルどっか打った?
ただいま
踏まないで!
柄が決まんなくってぇ
ごめん悪いけどごはん作ってくれる?
ねぇお母さん
んー?
猫って話せるの?
(母)さあねぇ
えっ?
昔も言ってたけど
えっ?
こんな小っちゃい頃
「私猫とお話できるのよ」って
言ってたよ
そうだっけ?
(母)忘れたの?
うーん…
ん?
どうしたの?
ミュー
そうおなかすいてるの
おさかな好き?
ミュー
そっかそっかじゃお食べ
こんなに汚れちゃって
おいしい?
ミュー
そーかそーか
もっと食べる?
ミュー
よしよし
ぜーんぶお食べ
ミュー
いいよいいよお礼なんて
ハル!
あっお母さん!
なにしてたの?
猫とお話してたのよ
それで「猫となに話したの?」って
聞いたじゃない
そしたら「世の中生きてくのは
大変だって言ってたよ!」なんて
あなたが言うもんだから
もう私おかしくって
そんな頃もあったなぁ
とにかく明日はちゃんと起きて
朝ごはん食べて行こう
(鈴の音)
(のら猫)ウミャー
ミャーニャオン
ミャー
ミャーミャーミャー…
ミャー
ウギャー
ウミャー…
ニャホンッホン
えーうん?
これこれ
ん?
ウンウン
もうちょっと近う
ご紹介いたします
こちらは我らの国を治めておられます
猫の国の王!
猫王様にございます
(猫王)照れるね
本日あなた様が―
お助けになられたお方は猫王様のご子息
ルーン様にあらせられます
あまりの事の重大さゆえ
猫王様じきじきにお礼に伺いました
はぁ
あ…うーむ
ありがとね
へへへ
わっ!
目録にございます
明日よりあなた様にたくさんの
幸福が訪れるでございましょう!
どうも
ん…
じゃね
(目覚まし時計の音)
ハークシュン!
夢オチ?
(電話の着信音)
ホントにハルじゃないの?
知らないってホントにぃ
じゃ誰よこれ
(母)ハル!
ハル早く来て!
どうなっちゃってんの!
ねこじゃらし!
あーもう私仕事のしすぎだ
今日は寝る
ニャーオ
うそっ
なんでー?
あっ
ハルーこれこれ問題のスティック
おはよごめん先行くね
ニャアニャアニャアミャア
なにやってんの?
マタタビでも―
持ってるんでしょうか
マタタビ?なんで?
さあ
コラ吉岡!猫連れて来ちゃイカン!
(ハル)かってについて来るんですーっ
ハァハァ一体なんなのよ
ん?
ヒィッ!
ヒィィィィ!
フニャー!フニャー!
イヤっイヤっ!
夢じゃなかったんだ
やっぱりあの猫達の仕業なんだ
猫なんて助けなければよかったってこと?
ん?
あれ?んー
ハル
うあ!なっなに?
マタタビの臭いとれた?
うん大丈夫みたい
猫も追っかけて来ないし
よかったじゃん
うん
頼みがあるんだけど
今日の掃除当番代わってくれない?
柘植ちゃんが試合なの
すぐ見に行かないと間に合わないのよ
お願い!
ああうんいいよ
掃除当番ね
ありがとうハル!
柘植ちゃんファイト!
オシッ!
やったぁ柘植ちゃんカッコイイ!
ハッ!
うわっ
(町田)段差気をつけて
(少女)うんありがとう
痛いなぁもうっ
あっ
しまったぁ
派手にやっちゃったなぁもーっ
あいけない
ハァー…
私一体なにやってんだろ
いたいたハル様ぁハル様ぁ
ん?
んー?
エヘヘヘ
あーっ
あん?
あんた達ねぇ
朝からいろいろ
ハイ喜んで頂けて
ないわよっ!
にゃ?にゃぜにございます!
我が国あげての一大プロジェクト!
最大級のお礼の気持ちでございますぞ!
そんなこと言ったって
私はネズミ食べないし
ねこじゃらしもマタタビ
ありがたくないのよ
あささ…さようでございましたかぁ
これはとんだご無礼を
いやしかし誤算だにゃあ
猫王様になんと報告してよいやら
あゴメン気を悪くした?
言い過ぎたよごめんねっ
実は私もここんとこ
いろいろあったもんだからさ
は?いろいろと申しますと?
いろいろと言ったら
そりゃもういろいろよ
なるほどそうですか
ハル様のようなきれいな女性にも
悩みがおありなんですねぇ
えー?
またっべつにいいよ
いいえ!よくありません!
こうなったら私どもも意地です!
ぜひともハル様に
ご満足頂かなくては
まだなにかあるの?
はい
ぜひとも私どもの住む
猫の国へおいで下さいませ!
猫の国?
いい所ですよ
自然が豊かで
食べ物もおいしゅうございます
ハル様のことは国をあげて
歓迎いたしますですよ
へぇー
さらに!さらに!
猫王が申されますには
昨日お助けになられた
ご子息ルーン様のお后に
ハル様をお迎えしたいとの
ことでございましたにゃー
はあー?
うそうそ!
うまいこと言ってそんなことあるわけ
だって王子様猫じゃない!
何をおっしゃいますやら
猫とは申せルーン王子
カッコイイじゃないスかー!
えっ
カッコイイ?
うんうん
ふーんそっかぁ
猫の国もいいかもね
おぉ!
日がな一日ゴロゴロしてるんでしょう?
それはもう!
天国かもね
おいしいものいっぱい食べてお昼寝して
イヤなことはみーんな忘れてさ
でも猫のお嫁さんはオーバーよ
たとえ王子様でもそれは
あれ?
それでは今夜お迎えにあがります
なにそれどういうこと?
ちょっと待って!
きゃあ
イッターイ
あれ?ちょっと待ってよ
だからぁえっとそのぉつまり…
どうしよう!
あの猫達ならきっとやるわ
私猫の国に連れていかれちゃう
猫のお嫁さんにされちゃう
【歌】たーかーさーごーやー
(太鼓の音)
やだやだやだっ絶対やだぁーっ
(謎の声)ハルちゃん
ハルちゃん
誰?
ハルちゃん猫の事務所よ
猫の事務所を探して
違う!
誰!誰なの?
猫の事務所?
きっと助けてくれるわ
十字街で白い大きな猫が
場所を教えてくれるから
白い大きな猫?
ハルちゃん十字街へ行って
猫の事務所を探して
猫の事務所なんて聞いたことないけど
白い大きな猫と言ってもなぁ?
でもキレイな声だったから
白いキレイな猫だったりして
あーでも疲れた
ひ・と・や・す・みと
わわわわっ
なに?なんなの!
なにこのブタ猫!
なんでこんなとこにいるの?
あっ
白い大きな猫
まさかっ!
キミ猫の事務所を知らない?
助けて欲しいんだけど
人違い…
じゃなかった猫違いね
座っちゃってごめんなさい
ついて来な
やっぱり!
ちょっと待って!
えっ?
あっ…
ねぇちょっと
道を歩いてよ
意地悪だな
ブタって言ったから?
わっ
ふうっ
ハッ
はぁー…
あれ?
不思議な所
猫の事務所は?
聞いてる?
私困ってるの
猫の国へ連れていかれそうなのよ
あっ
まさかここ?
おいバロン出番だぜ
もったいつけてないで出てきてやんな
ようこそ!猫の事務所へ
ハァー…
カッコイイ
ここはキミ達が住む所とは
少しだけ違った場所
心を持ったもの達の世界
人が持つ想いや願いを
こめて作られたものには
いつしか心が宿る
私や彼のようにね
すごい!
彼はトト心を持ったガーゴイル
珍しいな男爵お客さんかい?
まあねかわいいお客さんだろ?
男爵?
フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵
私を作った人がそう名づけてくれた
だからバロンね
話は聞かせてもらったよ
猫の国の連中に―
つきまとわれているんだね
あっはいそうなんです
車にひかれそうになった猫を助けたら
恩返しに招待すると言われて
恩返し?
まったく
人のいいお嬢さんだぜ!
そんな連中ほっときゃいいものをよ
(トト)あいかわらず口が悪いな
おまえには猫を助けた―
この子の優しさが分からないのか?
でもそのおかげで
困っているのだろう?
おせっかい焼くからだ
この子とはどこで会ったのだ?
十字街さ
ここのことは最初から知っていたぜ
フム…
声が聞こえたんです
誰だか分からなかったけど
(バロン)声?
(ムタ)誰だか分かんない声を信じたのか?
人のいいにもほどがイテッ
なにしやがる!
そのへらず口だまらせてやろう!
よけいなことを
ちょっと私のために乱暴はっ…
(ムタ)イテテテ…
キミはたしか
えあっハル…ハルです
そうかハルどうぞ中へ
(バロン)彼らは気にしないでいい
(ムタ)この靴ずみヤロー
靴ずみで結構!カラスは黒いんだ
おじゃましまーす
ん?
うわぁステキな所
さあ入ってそのへんにかけて
はい
紅茶にはレモン?ミルク?
ミルクで
へえー
この趣味好きだなぁ
どーぞ
どうも
カワイイ
私のスペシャブレンド
そのつど味が変わるので
保証はできないがね
おいしい!
これホントにおいしい
キミはついてる
そんな青くさいものよく飲むぜ
猫舌のおまえさんには向くまい
おまえこそ鳥目だろう
ムタ
前にキミから猫の国の話を
聞いたと思ったが
ありゃあまやかしだ
自分の時間を―
生きられないヤツの行く所さ
(バロン)自分の時間?
猫王様の家来が
私を王子様のお嫁さんにしたいって
なっちまえばいいじゃないか
そんなもん!
そんなっ
結構楽しいかもよ
身も蓋もない
なんだって経験だろ
なるほど
実は私も―
猫の国へは一度行ってみたかった
いい機会かもしれん
さすが男爵オレは遠慮するがな
おまえも行くんだよ
あそこはどうも苦手なんだ
この子も一緒に連れて行くのか
それは賢明じゃない
かといって一人で残すわけにも
よせよせ
小娘のおもりはもっと苦手だぜ
(バロン)忙しいのか?
(ムタ)ヒマだけどよ
あの私帰ります
んー?
えっ
皆さんに迷惑かけてバカみたい
もともと私のおせっかいが悪いのだし
自分でなんとかしないと
そうか
力になれなくてすまない
クーッ
あーあ分かったよ
ん?
留守番するだけだぜ
偉いぞムタ!
よし決まりだ
ハルこっちへ戻りなさい
でも…
ムタはいろいろ言うが
内心まんざらでもないタイプなんだ
(ムタ)フン!
ふーん
そっか
ホントはいい人なんだ
(バロン)そういうことだ
どーとでも言いやがれ
お世話になります
ブタさん
あっ
ブッブー?
(ムタ)ワザとまちがえただろっ
(ハル)ごめんなさい
ワザとじゃありません!
この子なかなかやるじゃないか
やっぱり断る!
そうだたしか戸棚の中に
おいしいシフォンケーキがあった筈だが
どこだそりゃ
右側の上
早く言えよ
切り分けて景気づけに―
パーティーといこう
よし私は秘蔵の桑の実をとって来よう
よく分かんないけど
おもしろくなりそう
私も何か手伝います
フム…
手伝いもいいがハル
キミがどうすればしっかりと
自分の時間を生きられるか考えよう
それさえできれば―
何も恐れることはないのだからね
うん
バロン手ぇかせ
クリームのせるからよ
本格的だな
(ムタ)当然だろ
何かステキなものが見つかるかも
(ドアをノックする音)
ハイッ?
トトさんかな?
ハル様お迎えにあがりましたにゃー
ヒッ出たっ
やだなに?
ん?
ああああーっ
マズいな
あっあっ…
面倒みるって言ったのにぃー
バロン!猫どもが集団で押しよせて…
ありゃ?
ホントに鳥目だなっ!
あとを追う!
あっ!
イタタタ…
ハル様捜しましたぞ!
帰る
にゃあ?
きゃあ!
危ないですにゃ
降ろして!帰して!
今すぐ戻るの!
ハハーンいわゆる一つの
マリッジブルーですにゃ
ちっがーう!
面倒なことになっちまったぜ
ぎゃっ
イテェー
(ムタ)おいこらイテェだろ放せ
ムタさんそれにバロン!
コライテー!
放せと言っている
(バロン)トト今だ!
放すなよぉー
なんでよけるのよっ
そんなムチャにゃ
おにょれーっ
うにゃ!
やった!
重量オーバーですにゃー
トト!
分かってる!
ああっ!
どこ走ってるのー!
おっと!
やられた
上昇だ
分かった
どうする?
風だあの光を追え!
分かった!
あいたたた…
腰打ったぁ
なんでかなぁもう
ここどこよぉ
あれ?ムタさん大きくなった?
おまえが小さくなったんだよ
ふーん
どうして?
とうとう来ちまったからさ
ここが猫の国?
ここだな
ミャー
ミャーオ
ミャー
ミャーミャーン
すごいホントに猫が住んでる
そりゃ猫の国だもんな
おいおい
はーっこういうの久しぶり
なぁ出口探してとっとと帰ろうぜ
もうちょっと
おまえなぁー
だって気持ちいいんだもん
(ユキ)ダメ!早く帰って
えっ
早くここから逃げて下さい
へーきれいな猫
やっぱり猫の国は違うなあ
のんきなこと言わないで
ハルちゃんはここにいてはいけないのよ
どうして私の名前知ってるの?
ハル様ぁ
ん?
あまたあの猫
いやいや見つかってよかった
ハァハァ…
こちらに入る時
落としてしまったようで
ご家来様の―
重量オーバーのせいですにゃー
家来だとぉ
違うのムタさんよ
そうですかさあさ
歓迎の準備が整っておりますゆえ
どうぞブタ様も
ブブー?
でも私…
猫王様もお城でお待ちですよ
お城?
お城はほらあれ
あああれか
そうそう
うーん
おいまさか行く気じゃ
あいさつぐらいして帰らないと
王様には失礼かも
おまえいいかげんにしとけ
ささ
あっちょっと待った
あの子も一緒じゃダメ?
そのほうは
はい給仕のユキと申します
なるほど城に仕えておる者か
ハル様
この者にはあとで会えますにゃ
そうじゃあとでね
おっおっおーい
ハルちゃん…
なにあれ?気持ちわるっ
うーん来た来た
ワシのかわいい娘が
(ナトリ)ん?
よーし直接見てくるにゃー!
フムどこかで見たよーな
猫王様にお会いになる前に
お召し替えを
(ハル)着替えるの?
殿方はあちらに
なんでオレだけ
エッチ
エッチってなんだ?
あちらに甘い物など―
用意しておりますにゃ
そうか
ふーん
なんかきれいかも…
ホントにもうお似合いです
ルーン王子は
全メス猫の憧れの的
きっとお幸せにして
もらえますにゃあ
そお?
あっ違う違う
そのことなんだけど
(猫王)いやはや美しい
まさにルーンの后にふさわしいにゃあ
フンッ
ん?
アグアグッ…
ムシャムシャ…
ナトルあの者は?
ご家来のブタ様とか
ブタ?
聞かない名だな
恐るるに足らず
ムッ
私悪いんですけど
結婚の話はちょっと
あれ
オーケーしてくれたんじゃなかったの?
そのように聞いておりましたが
(ハル)王子様はどこ?
地方で経済連の会食に
うーん
(ハル)とにかく―
まだよく知りもしない相手だし
王子様は猫でしょう?
私猫にはなれないし
(猫王)んー?
ふふん
そのことならご心配なく
もうなってるにゃ
へ?
んー
えっ
(女官)ささささ…
はぁーすごい本物だ
猫ぉーっ?
ムタさーん!
キャー!
どうしたのぉ?
マタタビゼリーを浴びるほど食べたい
と申されてこのようなありさまに
まさかこんな死に方しなくても
えーんバカバカムタさんのバカ
あの祝宴のご準備が
イヤよ!はなれたくない
(ナトル)ではごいっしょに
あれがハル様?
んーお見事な耳!
ふくよかな肉球
(シェフ)ネズミはお嫌いと
伺いましたので
とれとれピチピチのお魚ですにゃ
ハル殿退屈そうだにゃ
はっ
おいにゃにかやらんかね
では例のやつを
(軽快な音楽)
ニャーッ!
ニャオ
ニャニャニャ
ニャオ
ニャイーッ
ほぉー
ムフフフフ
ヒックヒック…
もっとおもしろいの!
はっ
(ドラムロール)
アチョーッ!
イニャーン
ウッ
あら
ンーウン
エホンエホン
ニッ
シッ
はっ
アァー
つぎ!
(軽快な音楽)
フックックッ
にゃーはっはっはっ
にゃーはっはっはっ
あん?
ウァー
もっとマシなのはいにゃーのかっ
(猫王)ん?
私がハル様を―
喜ばせてごらんにいれます
フーム
どうされます?
まっいいんじゃにゃい
ん?
お嬢さんわたくしと一曲
私ダンスなんて踊れにゃいって
あっもう猫語になってるし
うん?
おまかせを
(アコーディオンの音)
(ワルツのメロディ)
なかなかいい感じですにゃ
ふん
(ハルの心の声)なんだろこれ
こんな気分はじめて
このまま猫になってもいいかも
(ヒゲが伸びる音)
キャッ
ダメだハル自分を見失うんじゃない
えっ?
キミはキミの時間を生きるんだ
うーっ
前にもそう言っただろ
あなたは…
その音楽やめーい!
コソコソと怪しいヤツ
貴様一体何者じゃ!
これは名のり遅れて失礼した
決して怪しい者では
ハァー…
私はフンベルト・フォン・ジッキンゲ
ハルを迎えに来た!
バロン!
こんなのって!
ありですかにゃ
あるわけないにゃ
ひっとらえぃ!
ニャー
ニャー
フニャ
(器の割れる音)
んー
もう食えん
キャーおばけー
やった!ムタさん生きてた
やべ
待てぇこの狼藉者!
早く!陛下を安全な所へ!
(猫王)逃がすにゃよー
危ないですよはーい
貴族の方はこっちからどうぞ
こっちですはいー
キャッ
(猫兵)にゃー
どけぇ
ムタさんすごい
オレは関係ねぇぞ
こっちです
あなたさっきの!
バロンさん
助けに来てくれると思ってました
なぜ私のことを?
猫の事務所のことは聞いてましたから
さっきはごめんなさい
あなたの言うことを聞いていれば
こんなことには
大丈夫夜明けまでにこの国を出れば
またもとに戻れるから
ホント?
外へ通じる抜け穴です
(バロン)これは便利だ
でもムタさんは?
フム…
彼は大丈夫だハル急げ
うん
ウアーッ
城のウラだな
あの塔の先が外へ通じています
(ハル)うわったっかーい
(ユキ)ふもとの廃墟を抜けて
登って行くしかないのですが
(バロン)なんとかなるだろう
よかった
バロンさんハルちゃんをよろしく
あっ待って
行っちゃった
まだお礼も言ってないのに
ハルこれはあくまで推理だが
キミを私の事務所に導いたのは
あの子じゃないのか
(謎の声)ハルちゃん猫の事務所よ
そうだあのキレイな声まちがいない
でもどうして
(物がとびちる音)
ニャー
おまえのせいで
オレはとんでもない目に
とにかく今は急ごう
うん
オレの話聞けよ
うふ入ったかにゃ
ハイ入ったようです
よーし
我が国が誇る迷路の堀です
高見の見物だにゃ
フム厄介だな
(ハル)でもまだ昼だし
(ムタ)ここはいつでも昼なんだぜ
えっ?
そうなの?
多分今ごろ外は夜中だろう
そんなっ急がなきゃ!
あっあっえっとえーっと…
どっちに行く?
(ナトル)迷ってますにゃ
そう簡単に進めるものか
ねぇ陛下
フフフフフ
余裕だにゃ
(ナトリ)兵の配備は?
(ナトル)あそこに
(猫兵達)ホッホッホッ…
こっちへ行こう
一つ一つ調べて行くしかない
絶えず塔を見るんだ
方角を見失わないですむ
そっか
ムタさんずるい
正直に迷ってやるこたないぜ
(猫兵B)いたぞ!
ゲッ
なんでこうなるんだ!
ムタが囮になってるうちに急ごう
うん
囮じゃねぇぞぉー
ニャッ
おっあーっ
キャッ
下がれハル!
うにゃー!
ニャーッ!
ニャー!
あいニャッ!
ドワッ!
強い!
曲がっちゃった?
いやそろそろ買い換えたかったんだが
(ハル)物持ちがいいんだ
(ナトル)ナイスショット!
(カーン)
あっ当たっちゃった
にゃに?
猫王様あんまりです
んーないしょないしょ
ナイショはいいんですがナトリ様
ん?
(ナトル)なんかバラバラですよ
(ナトリ)みんな迷ってるにゃー
(猫王)ハルちゃんは?
(ナトリ)あっあんな所に!
(ムタ)よっ!
(ハル)おかえり
(バロン)そっちは?
(ムタ)行き止まりだ
フム…
クックックッ
細工は流々だにゃ
ん?
また行き止まりか
難しくなってきたな
んーとんーと…
おかしい!さっきここに壁なかった
そんなわけないだろう
ホントよさっきここ通ったもん
壁に足でもはえてるってのか!
これは壁じゃないぞ
ハリボテだ
(猫壁)ニャハー
ニャン…ニャー…ニャ?
ほらぁ
でかしたぞハル
こうなるかふつう?
ありゃーっ
あ・れ・ほ・ど
一列に並ぶにゃと言ったのに!
(猫王)逃げられるぞ!
(ナトリ)あっ猫王様お待ちを
ハァハァハァ…
(ハル)先行ってすぐ追いつくから
キャッ
キザなことを…
いいよバロン
まかせろ!
(ヒゲが伸びる音)
ん?
(ナトリ)猫王様危険ですおやめ下さい
そうはいくか!
こんなこともあろうかと
塔に兵を隠してますよー
(猫王)おおお!
いいではにゃあか
フフッいいぞいいぞ
ウニャーァ!
おっ!
塔の建て付けがいまいち
ダメではにゃあかっ
こうなったら最後の手段っ!
まさかいけませんあれだけは!
あれをやればさすがに
好感度が下がりますぞぉ
スイッチ!
ありません!そんなものここには
はいコードレス
ヌーッフッハッハッ…
やったー広いとこに出たよ
(バロン)もう一息だ
(ナトリ)あわわわ…
今にゃっ
(爆発音)
キャッ!
なに?
つかまれ!
うわぁーっ
にゃーっはっはっはっ
(ナトル)スペクタクルですにゃー
行こう!
(ナトリ)あわわ
(ハル)あーあ低くなっちゃったね
しばらく様子見だな
やむをえん
(猫王)フハハニャッハハハ
早よ来い!早よ来い!
ニャハハッハッハ
(猫王)ジッキンゲン君
また会えてうれしいにゃ
ハルちゃーん
すぐお城に連れて帰るから
待っててにゃー
猫も悪くないぜ
ネズミ好きにならなきゃダメ?
まだ諦めるのは早いらしいぞ
これは一体なんというありさまだ!
父上ー!
ルーンもう帰ってきたんにゃ?
皇太子殿下なるぞ直れぇ!
王子様?
ユキちゃんの知らせを聞いて
急いで帰ってみれば
これは一体なんのさわぎですか!
ハルちゃん
あっ
(ハル)また会えた
よかった間にあって
いやだからちょっとしたお礼をにゃ
おまえだってハルちゃんみたいな子が
お嫁さんに来てくれたら
うれしいかにゃーって
そんな気遣いは無用です
僕はこのユキちゃんと結婚します
へ?
うっそー
急な話らしいな
やるじゃないか王子様
ユキちゃんこれを
キミの故郷で探してきたんだ
まさか懐かしい!
それ昔私が好きだったクッキー
そうよ
みなしごだった私にハルちゃんが
食べさせてくれたお魚のクッキー
そっかあなたあの時の子猫
あんまりキレイになってたから
気がつかなかったぁ
ユキちゃん
これから始まる僕らの暮らしの記念に
このクッキーを受け取ってくれるね
って言うことはー
二人は結婚するってこと?
んー
すごいすごいユキちゃんおめでとう
ありがとうハルちゃん!
私ハルちゃんに会ってなかったら
おなかをすかせて―
倒れていたかもしれないし
僕も危ないところを助けて頂きました
まさかあなたがいつも―
話に聞いていたハルさんだったとは
あなたは僕ら二人の恩人です
どんなお礼をすればよいでしょう?
お礼なんていらない!
だって私もうれしいんだもん
やっぱり猫を助けてよかったのよ!
(猫王)おっおっおっうぉーん…
なんとまあ感動的
そうか
おまえには決まった人がおったんか
しょうがないにゃうんうんうん
問題はハルちゃん
さぞかし寂しかろうなぁ
(ハル)べつに
いにゃいにゃ…倅がダメならば
ワシの妃にならんかにゃ
クッキーでも魚でも
なんでも好きな物を
食べさせてあげるにゃ
どう?
それより私をもとの姿に戻して
それはお答え次第
ムッ!
かってなことばっかり言ってぇ
私がアンタの妃になんか
なるわけないでしょ
この変態ネコォー!
ねねどうして?
ガッハッハッ…
こいつはケッサクだなあ
当然よ!
オレはハッキリした女が好きなんだ
おまえのために一肌脱ごうじゃねぇか
このルナルド・ムーン様がな!
ルナルド?
ルナルド・ムーン?
あのルナルド・ムーンか?
思い出したぁ
にゃに?
お忘れですか猫王様
この国の歴史最大にして
最悪のあの事件!
どこからかフラリとやってきて
湖の魚をすべて食い尽くし
逃げたという
伝説の大犯罪者ルナルド・ムーン!
(猫兵)恐しい
なんてヤツだ
おまえそんなことやってたのか
くだらない
へへっ
今度は城ごと飲み込んでやるぜ!
うわわ
早く陛下を安全な所へ!
うぬぅ…くーっ
やだにゃー!
ハルさんを守れ!
(隊長)ハッ
全隊前へ!
おにょれー
猫王様っ
父のことは僕にまかせて
皆さんは早く逃げて下さい
しかし塔が落ちてしまった
大丈夫!まだ道は通じています
不思議
マズい夜明けだ
オレにまかせろ!
え?なに?まさか!
ウガァー
投げないでー
おっ?
よし!
ハル走れ!すぐ行く!
お元気でー!
うん
(ハルの心の声)ありがとうユキちゃん
私まちがってなんかいなかった
猫を助けたことも
迷って苦しんだことも
みんな大切な自分の時間だったんだ
うがぁー
うわー
先に行け!
すまん
父上は?
あそこに
父上危険です降りて下さい
なんてムチャなことを
わたくしが連れ戻します
はあはあはあ…
うぬーっよっとぉ
神妙に勝負だにゃ!
望むところ!
男爵
ハルを頼む
よし
はあはあはあ…
にゃおーっ
(ピシッ)
おーっ!
ううーん
あっあっああー
勝負あったな猫王
くやじーっ
(猫王)おせっかい焼きの猫人形の噂は
聞いていたが
これほどの腕とはにゃ
聞けばどこぞの裏通りに
立っているだけの暮らしとか
(猫王)この国に来て―
ワシの仲間ににゃっていれば
よかったものを
はっ!
あいにく不自由な暮らしも
気に入ってるのさ
(ハル)キャー
ここどこぉー?
何をした!
にゃははは…
何もしないにゃ
塔がこれだけ崩れれば
出口がどこへ移動しても
不思議はないにゃ
失礼する!
ニャーハッハッハッ…
(ナトル)ハル様ぁ
うかつだったか
でも見てハルちゃんがもとの姿に
あっあっ…
落ちるっ
落ちるっ落ちる
もうダメェー
ハルー!
んー
ムタさん重いって言わないで
でも…次こうなる前に…
ダイエットしとけぇ
きゃー!
うぬー
苦しぃー
ハルー!
キャッ
絶対死んじゃうー!
まだ死んでない!目をあけてみろ!
バロン?
胸をはって下を見るんだ!
胸なんてないのにぃー
オレを信じろー!
ハッ?
私達まだ生きてる?
(バロン)ああ!
(ムタ)多分な!
ひょっとして私達?
カッコイイかもー!
はっ
(ムタ)なんだなんだ
(ハル)わっわっ
すごい数
(バロン)助かったぞ
よぉムタ!
どうだい?鳥に助けられる気分は
トトさん!
なんだ靴ずみヤローか
(バロン)助かったよトト!
街の上に仲間を集めておいて
正解だった
上を歩いて痛くないかな?
(トト)ハルは軽いから平気さ
そぉ?
(ムタ)そんなハズは
(バロン)見ろハル!
(ハル)学校だぁ!
帰れた私帰れたんだ!
みんなありがとう
(ナトル)やったやったぁ
わぁーっハル様ーっ
よかった
元気でねハルちゃん
猫王様
ナトリ
ワシャもう引退だにゃ…
ではわたくしもごいっしょに
トトさんありがとう
あーもうまだドキドキしてる
無理もない
でもちょっと楽しかったけど
調子いいぜ
さてとハルは学校もあることだし
早く帰って少し休んだ方がいいだろう
そうだな
もしかしてお別れ?
もうひと仕事だな
バロン私あなたのことが
好きになっちゃったかも
ハルのその素直なところが
私も好きだよ
もしハルが―
本当に私達を必要としたなら
きっとまた
猫の事務所の扉は開くだろう
その時まで
しばしの別れ!
あっ
さよなら
ありがとー!
バローントトさーん!
ムタさんもねー!
(ムタ)“も”ってなんだ
“も”ってーっ!
フッ
(目覚まし時計の音)
うーん
あ起きなきゃ
うわっ
おはよ
どうしたのこんな早く
今日日曜だよ
ひろみと映画
混むから早めに行くの
ふーん
よし!
タマゴとサラダ作っといたね
えっ?
私もうすんだから
ポットに紅茶も入ってるよ
はぁ
あっそれね
へっ?
ハルちゃんのスペシャブレンド
そのつどビミョーに変わるから
味の保証はできないけどね
フフッ
あっそう
あらいい香り
ハル!情報よ
しかもたしかなスジ!
大ゲサだなぁ
別れたんだって町田のヤツ
えっ?
ふーんそうなんだ
あれなにその反応
なにが?
もっとほかに言うことないの?
べつに
もういいのよ
主題歌『「風になる』
ハルなんかあった?
なんにも
うそ!
ホントだってば
それよりひろみは?
なに?
柘植君とはどうなの?
えっいやべつになんにも


【歌】忘れないですぐそばに
【歌】僕がいるいつの日も
【歌】星空を眺めている
【歌】一人きりの夜明けも
【歌】たった一つの心
【歌】悲しみに暮れないで
【歌】君のためいきなんて
【歌】春風に変えてやる
【歌】陽の当たる坂道を
【歌】自転車で駆けのぼる
【歌】君と失くした想い出
【歌】乗せて行くよ
【歌】ララララ口ずさむ
【歌】くちびるを染めて行く
【歌】君と見つけたしあわせ
【歌】花のように
【歌】忘れていた窓開けて
【歌】走り出せ恋のうた
【歌】青空に託している
【歌】手をかざしてもう一度
【歌】忘れないよすぐそばに
【歌】君がいるいつの日も
【歌】星空に輝いてる
【歌】涙揺れる明日も
【歌】たった一つの言葉
【歌】この胸に抱きしめて
【歌】君のため僕は今
【歌】春風に吹かれてる
【歌】陽の当たる坂道を
【歌】自転車で駆けのぼる
【歌】君と誓った約束
【歌】乗せて行くよ
【歌】ララララ口ずさむ
【歌】くちびるを染めて行く
【歌】君と出会えたしあわせ
【歌】祈るように
【歌】陽の当たる坂道を
【歌】自転車で駆けのぼる
【歌】君と誓った約束
【歌】乗せて行くよ
【歌】ララララ口ずさむ
【歌】くちびるを染めて行く
【歌】君と出会えたしあわせ
【歌】祈るように
【歌】君と出会えたしあわせ
【歌】祈るように

 

END

 

猫の恩返し

猫の恩返し

 

平成狸合戦ぽんぽこ 全セリフ スタジオジブリ作品

平成狸合戦ぽんぽこ 全セリフ スタジオジブリ作品

平成狸合戦ぽんぽこ 全セリフ スタジオジブリ作品

 

平成狸合戦ぽんぽこ 全セリフ スタジオジブリ作品

 

※セリフの羅列です。

 

【歌】たーぬきさんたーぬきさん
【歌】あそぼじゃないか
【歌】いまごはんのまっさいちゅう
【歌】おかずはなあに?
【歌】うーめぼしこうこ
【歌】ひときれちょうだい
【歌】あらあんたちょっとガッつきね


(小鳥のさえずり声)
(雌狸)私たちはもともと
人家の近くに住んでました
人間の食べ物を
失敬するんじゃないんですよ
田んぼや畑があると
カエルやバッタとか
ネズミやモグラがとれるし
柿や桑の実もひろえて
ただの山の中より
ずっとエサが豊富なものですから
それが去年の春―
突然空き家になったんです
誰も越してくる気配がないので
私たちはねぐらをここに移しました
そんなわけでこの1年
本当にすてきな暮らしができたんです
一戸建て庭つきの家に住むなんて
夢のようでした
ところが…
(雄狸)俺たちは縄張りがどうのなんて
固いことは普通言わないんだが
今度だけは違った
どこのエサ場へ行っても
やたらほかの連中とぶつかる
小競り合いや―
ねぐらの乗っ取り合いが起きる
あげくの果ては…
「ぽんぽこ31年秋」
「鈴ヶ森に接する鷹ヶ森の―」
「新たな伐採地において」
多摩丘陵のタヌキたち」
「最後の合戦が行われた」
エ…エエーイ!
イヤー!
トリャッ!
クワーッ!
赤軍の総大将」
「鷹ヶ森の猛者権太」
「青軍の総大将」
「鈴ヶ森の長老青左衛門」
「なお―」
「あまり知られていない事実であるが」
「人間の見ていない所ではタヌキたちは」
「全てこのように直立2本足歩行の姿で」
「行動しているのである」
タァーッ!
トリャーッ!
タァーッ!
ウワーッ!
「合戦は激しく壮烈をきわめたが」
「長くは続かなかった」
【歌】フレーフレー鷹ヶ森
【歌】フレーフレー鈴ヶ森
【歌】赤勝て青勝てどっちも負けろ
【歌】負けたタヌキをブッ殺せ
【歌】鷹ヶ森が今日消えた
【歌】鈴ヶ森は明日消える
【歌】タヌキはダブつき居場所がない
【歌】ダブつきタヌキはどこへ行く
【歌】どこへも行けないオダブツだ
【歌】赤勝て青勝てどっちも負けろ
【歌】負けたタヌキをブッ殺せ
【歌】みんなの為だブッ殺せ
【歌】死なばもろともナンマイダ
【歌】タヌキを減らせれんげきょう
【歌】残ったタヌキは身を慎んで
【歌】子供増やすなナンマイダ
【歌】子供増やせば元のもくあみ
【歌】森がないんだれんげきょう
「火の玉のおろく婆にうながされ」
「タヌキたちは下界を見下ろして」
「唖然とした」
「見事に山が消え失せ」
「削られて土肌むきだしの平らな丘が」
「眼の前に寒々と広がっていた」
これは狂気の沙汰じゃ!
ケンカなんかやっておる場合じゃないぞ!

「高度成長経済に突入した」
「東京の周辺部では」
「旺盛な住宅需要により農地や山林の」
「無秩序な開発が進んでいた」
「このような虫食い状の乱開発に変わり」
「居住環境のよい宅地や―」
「住宅を大量に供給する為に」
「昭和42年来東京都は―」
多摩ニュータウン計画を推進」
「総面積約3000ヘクタール」
「居住予定人口30数万人」
「山林の木々を切り払い」
「山を削り起伏をならし」
「田畑を埋め」
「昔からの家屋敷をつぶし」
多摩丘陵の山容を完全に変貌させて」
「巨大な造成地を造りだし」
「その上に緑とゆとりの―」
「一大ベッドタウンを建設するという」
「古今未曾有の大開発事業である」
(雄狸)人間てのはすごいですね
それまでは私たちと同じ動物の
一種かと思っていたんですが
今度のことで
どうやら神や仏以上の
力を持ってるらしいってことが
よく分かりました
「この緊急事態に―」
多摩丘陵全域のタヌキたちは」
「それぞれ一族を引き連れ」
「深夜ひそかに奥山の荒れ寺」
「菩提餅山万福寺に集合」
「議長にはこの万福寺に巣くう―」
「105才の古ダヌキ鶴亀和尚が」
「満場一致で推薦された」
えーというわけでじゃ
これからは
オラたち本来の夜行性にこだわらず
昼間でも臨機応変
行動せねばならんのじゃが…
「集会は混乱のうちにも」
「開発阻止の大方針を決めたのち…」
おーっ!
全員賛成と認めますじゃ!
「危険を考え直ちに解散」
「今後の具体策は族長会議に一任された」
「族長会議はまず」
「すたれていた化け学の復興と」
「人間研究に5ヵ年計画で」
「取り組むことを決議したのち」
「先進地四国と佐渡から」
「有名な変化ダヌキを化け学指南として」
「招聘することを決定」
「使者の選出に入ったが」
「長距離の危険な旅に志願者はなく」
「全員タヌキ寝入りを決め込んだ」
まあ若手ダヌキの成長を待つしかないか
異議なし!
「なお議事進行にあたり」
「議長団の用意した」
マクドナルドのハンバーガーが」
「きわめて有効に働き」
「無事族長会議は終了した」
よおーっ!
(ポンッ!)
「基本課題のひとつ」
「人間研究を実り豊かなものとし」
「時々刻々の情報をキャッチする為に」
「幹部は万福寺本堂に」
「テレビを設置することにした」
おー
(TV)こんばんは
こんばんは
「しかし―」
「テレビの設置は思わぬ波紋を拡げた」
(天ぷらの揚がる音)
「本部づめ以外のタヌキが」
「用もないのに昼間から」
「多数万福寺に―」
「入りびたりとなってしまったのである」
(おろく)「化ける」とは―
精神集中の極点で
体の全細胞全組織を
一瞬のうちに組み換える
自然界最高の驚異なのじゃ
程度の低いものは「擬態」とよばれ
カメレオンなんぞにもできるが
「化け学」はオラたち以外では
キツネと一部のネコしか身につけておらん
ん?
こりゃ権太!
お前がそんな格好になっちまうのも
すでに知らず知らずのうちに
化け学の初歩を
身につけておるからなのじゃ
努力してコツさえのみ込めば
変化は誰にでもできる!
…はずじゃが
ではまずオラが実演してみせる
葉っぱ頭にのせないんですか?
それは初心者のやることじゃ!
タァーッ!
久しぶりじゃ

【歌】はーないーちもんめ!
「火の玉のおろく婆を先生に」
「化け学の復興は順調に進んでいた」
「各部族から集められた若者たちは」
「向学心に燃え―」
「めきめきと腕を上げた」
正吉お見事!
いやあ
トリャーッ!
シュワッチ!
ギャハー
それぇ
シュワッチ!
(正吉)子供の頃からぼくは
人間のやることに興味があったんです
掟ではあまり近づいては
いけないことになっていたんですが
死んだ親父はそれを
むしろけしかけていたような気がします
しっかりした人間観察こそが
化け学の基礎ですから
きっと将来の役に立つと
思っていたんでしょうね
エエーイ!
プハハァーッ!
ハアーッムム…
タァーッ!
おーっ!
「もちろん優秀な生徒ばかりとは」
「言えなかった」
「いやまったくダメな若者も」
「かなりいたのである」
(和尚)おっ!ふぅーっ…
ああーっ…
「化け学の根本は―」
「心・技・体の激しい鍛錬であり」
「キツネならばともかく」
「生来のんき者のタヌキたちに」
「おちこぼれが出るのもまた」
「当然であった」
こりゃーっ!
うおーっ…うわわっ
ぽん吉!
【歌】羅漢さんが揃たらまわそじゃないか
【歌】よいやさのよいやさ…
(正吉)あの頃ぼくは化け学に夢中で
幼なじみのぽん吉がごく普通に
タヌキらしく暮らしたがっていたなんて
思いもよりませんでした
(和尚)暮れ方峠にかかると
向こうの山から月が出たが
峠の一本杉の下枝が
月をさえぎっている
これはおかしい
「ハテナ?あんな所に枝はなかったが」
…とつぶやいたとたん
枝が引っ込んで反対側から出た
ハハーンと気付いた人間は
「いや違った枝は両方にあった」
と言ったら
もう片っ方にも枝が出て
とたんにドスンと落ちてきた
とこうじゃ
何が落ちてきたか分かるかな
タヌキ!
そうじゃ
ではなぜ落ちた権太
ドジな野郎だ
絶対落ちないぞ俺は
よかろうその意気じゃ
佐助このタヌキはなぜ落ちたのかな?
枝に化けて両手を離したからです
よろしい
この話の教訓は何かな?正吉
人間が言うことを素直に聞きすぎるな
と言うことだと思います
そうじゃ
オラたちタヌキはヒトがいい
調子に乗るサービスしすぎる
これが失敗の元じゃ
分かったかな
はい鶴亀和尚
例えばオラが
【歌】たーぬきさんたーぬきさん
【歌】あそぼじゃないかと
【歌】いまじゅぎょうのまっさいちゅう
ほれ諸君はもう乗っとる
これが怖いんじゃ
「タヌキたちが人間研究と化け学復興に」
「懸命の努力を続けている間に」
「冬が去り梅がほころび」
恋の季節がやって来た」
「だが多くのタヌキは」
「おろく婆の忠告を守り」
「欲しがりません勝つまではの精神で」
「身を慎み」
「新たな子供をもうけようとは」
「しなかった」
「とくに雌ダヌキたちは」
「みずからの母性本能を抑制し」
「志操堅固」
「雄ダヌキたちのやみくもな求愛を」
「しりぞけたのである」
うわぁ
「一方その間にも」
「大開発事業は着々と進行し」
「森は伐られ土は削られ」
「造成地は増え続けた」
「タヌキたちは怒りと悲しみを込めて」
「それらを「ノッペラ丘」と呼んだ」

【歌】郵便屋さん落とし物
「この年子育てから解放された―」
「雌ダヌキたちのなかには」
「雄同様化け学を習う者も現れた」
「雄が若い女性や子供に化けた場合」
「声や仕草に難点があったが」
「雌の参加によって問題は解決した」
ハッ!
「もちろんなかには男性に化けたがる」
「雌ダヌキもいた」
男性諸君だけ
ちょいと残ってくれんかの
「ある日雄ダヌキを対象に」
「鶴亀和尚の特別講義が行われた」
いま諸君の座っとる
緋毛氈は何を隠そう…
愚僧のナニじゃ
キンタマじゃ
ちょうど八畳ある
それが証拠に喝!
おお…おわーっ
「いよいよ化け学総仕上げの」
「街頭実習が始まった」
「これには自動車の教習同様―」
「すでに変化の術を身に付けた者が」
「必ず付き添い」
「不慮の事故や正体露見を」
「未然に防ぐ措置が取られた」
あ…
おーい!
(クラクションの音)
おお…
はあーっ
へへへ…
「変化術のうちとくに」
「「人間化け」に要するエネルギーは」
「想像を絶するものがある」
「この独特の「タヌキくま」は」
「体力の消耗によって疲労素が」
「眼のまわりにたまった結果である」
「例えベテランの変化ダヌキであっても」
「懐に忍ばせた精力剤を」
「すばやく服用して」
「体力の回復をはからぬかぎり」
「たちまちシッポを出したり」
「このように元のタヌキに」
「戻ってしまうのである」
「なお最近では―」
「精力剤として即効性の高い」
「市販のドリンク剤が活用され始めた」
「街頭実習の卒業テストの課題は」
「各自独力で最低1000円を」
「平和的に稼いで来る」
「というものであった」
助けてくれ
「なかには数匹で1人の男を」
「演じる者もいれば」
「托鉢の坊さんに化けて駅頭に立ったり」
「スナックで働きドリンク代の方が」
「高くついてしまった雌ダヌキや」
「ひろった1個のパチンコ玉で」
「当てたタヌキもいた」
「ある横着者はお賽銭を」
「ちゃっかり失敬したが」
「小銭ばかりで足りず」
「木の葉を化かしたお札は」
「たちまちおろく婆に見破られた」
現代化け学で木の葉のお札は
ご法度と教えたはずじゃ!
「本部で化け学修行に励んでいた権太は」
「突然の知らせを受け―」
「鷹ヶ森へ急ぎ戻って驚いた」
「自分の生まれ育った鷹ヶ森が」
「すでに半分以上」
「ノッペラ丘と化していたのである」
「権太は怒り狂った」
「直ちに本部へ取って返し」
「強引に鶴亀和尚に族長会議を招集させ」
「人間撃退作戦の発動を提案した」

俺は絶対反対だ
なぜだ
時期尚早
5ヵ年計画のまだ1年目だぞ
俺たちは卒業試験に合格した
もうかなりのことが可能だ
どうかな火の玉の
この連中にやらせて大丈夫かの
確かに一通りのことは
できるはずじゃが
じゃが?
経験が足りん
失敗して正体露見する危険はあろう
権太に聞きたい
お前は自分の森が―
こんな目にあって腹立ちまぎれに
この作戦を提案しているのだとみたが
どうじゃな?
誓って左様な考えではござらぬ
それがしは多摩のタヌキ全体の
幸せの為に
何が全体の幸せだ
忘れるな
もともと権太は鈴ヶ森を乗っ取ろうとした
張本人だぞ
うるせえ!
とにかくみんなが反対しても
鷹ヶ森の俺たちはやる!
どうしても権太さんがやるのなら
ぼくもやります!
正吉お前もか
ありがとう!
諸君!
もはや止めても
ムダでござるわ!
あいや待たれい!
止めてくれるなお婆ちゃん
今回に限り
オラがお前たちに秘術を授けようぞ
コーン!
もし失敗しても
これで5日間はタヌキには見えぬ
ヘェ?
じゃあ何に?
キツネの死体じゃ
「ぽんぽこ32年夏」
「鷹ヶ森の権太を首領とする」
「若手有志約10名は」
「身に付けたばかりの変化術を応用し」
「人間に対する決死の」
「奇襲作戦を開始した」
「ついに反撃の火蓋が切られたのである」
(雷の音)
へへ…
おっ来た
来たぞぉ!
うーん…うーん
オーライオーライ…
それっ
やったーやったー
うわっ!
やったーい!
(クラクションの音)
むーん…
とおーっ
うわぁ!
わっわぁーっ
うーん…ハッ!
今日午後2時半ごろ
多摩市のニュータウン開発現場で
土砂崩れや崖下への転落などによって
運転手3人が死亡
2人が重軽傷を負い
新築中の住宅1棟が全壊するという
大惨事が起こりました
折からの集中豪雨で視界が悪く
造成地の地盤はゆるんでいたとみられ
また事故が1ヵ所ではなく
同時多発的である点から見ても
開発工事の進め方に
何らかの問題が
あったのではないかとみられ
地元の住民の間では
早くもニュータウン開発のあり方に
疑問を投げかける声も
出始めています
わーい!
待たっしゃい皆の衆!
作戦の犠牲となった
気の毒な人間たちに
まずは惜しみない
哀悼の意を表すべきではあるまいかの
和尚の言うとおりだ
さあみんなこの誠に尊い犠牲に対し
1分間の黙祷を捧げようではないか
賛成!
黙祷だ黙祷だ!
黙祷!
ナムアミダブナムアミダブ…
クックックッ…
ウッウッ…
ダッハハハ…
わーい!勝った勝った!
大成功だーい!
うん?
おお権太君
英雄たちの凱旋だ
すげえことやったな正吉
(青左衛門)君たちのおかげで
希望が胸に
ふつふつと沸いてきたぞ
今日はほんの小手調べにすぎん
諸君闘いはこれからだ!
俺たちは1人でも多くの人間を
殺し叩きのめしひねりつぶし
この土地から―
追い出してしまわなければならない
何か言えよ正吉も
それから木を植えようよ
ぼくたちの大好きな
柿の木なんかをいっぱい
【歌】はやく芽を出せ柿のタネ
【歌】出さぬとハサミでちょん切るぞ!
人間を追い出せ!
人間をぶっ殺せ!
まあまあまあまあ
まずはとにかくこのめでたい日を
共に祝おうじゃないか
ねえちょっと心配があるんだけど
何だ
人間はみんな殺すか―
追い出しちゃうのかい?
当たり前だ
少しは残しておいてもらえねえかな
昔みたいに
ダメだ!
人間は俺たちの天敵だ
害獣だ
人間は永久追放だ!
ダメかな…
いやね俺だって人間はキライだよ
なかにはいいヤツもいるが
いや本当にキライだよ
だけど…
だけど?
うん…だけど
あいつらみんな追い出しちまったら
もう食えないよ天ぷら
さんまの干物
トウモロコシ
ハンバーグ!ドーナツ!フライドチキン!
ポテトチップス!にわとり!
俺も食いてえ!
うむでは人間も少しは―
残してやることにしたらどうかね
えーい仕方がない
ハハハ…
権太君を讃え胴上げだ!
【歌】まんまん万福寺
【歌】万福寺の庭は
【歌】つんつん月夜だ
【歌】みんな出て来い来い来い
【歌】おいらの友だちゃ…
【歌】お婆小便しりゃタヌキが覗く
【歌】覗くはずだよ古穴だ
【歌】覗くはずだよ古穴だ
【歌】ヨイコノサンサ…
しかし当局者は
基本的に住宅供給は
1千万都民にとって
緊急かつ絶対不可欠であり
このような事故があったからといって
ニュータウン開発を再検討することは
あり得ないと言明しています
えっ!
何だって?
「不慮の事故だった」
「気の毒にも本作戦の功労者」
「鷹ヶ森の権太は」
「複雑骨折と内臓破裂により」
「全治1ヵ年の大ケガを負ったのである」
「タヌキたちは次々と流される報道に」
「一喜一憂した」
「しかしタヌキたちを」
「決定的に勇気づけたのは」
「タタリを恐れる」
「地元の人たちの声だった」
あれがマズかったんじゃないかな
諏訪神社を取り払ったのが
と言いますと?
やっぱりタタリがね
神さまのバチが当たったんじゃないかと
確かお地蔵さんや道祖神なんかも
ずいぶん片づけたとか…
そりゃあ私らも気にしてお祓いや
御供養をちゃんとしてから
お移り願ったんだが…
そのへんどうですか水木先生
こういう神さんや仏さんはね
だいたいその土地の神さんなんだよ
訳も分からんうちに他所へ移されて
お忍びでちょっと戻ってみりゃ
何もなし
これじゃ怒らん方がおかしかろう
タタリやバチはまーだまだ
出るんじゃないかな?
ウッハハハッ
日影山は伐られないで
済むかもしれないぞ
「正吉たちは直ちに作戦を開始した」
「伐採の為仲介業者とともに」
「久しぶりに日影山を訪れた不在地主は」
「うちの山に」
「こんなにお地蔵さんがあったかな?」
「と首をかしげつつも」
「しばらく様子を見るべ」
「そう言って契約を延期した」
「馬の背山の稲荷神社を」
「塒としてきた熊太郎は」
「移転のお祓いの儀式のただ中」
「このあたりの昔話で活躍する」
正一位のお使いキツネに化けて」
「社の屋根に出現した」
おおーっ
「悲鳴にも似たシロキツネの声は」
「雇われ神主の祝詞を圧倒し」
「儀式は中止され」
「移転の一時見合せと」
「道路計画の変更を当局に要望する」
「氏子集会に切り替えられたのである」

「タヌキたちは一気に燃え上がった」
「各グループは競い合って」
「習ったばかりの化け学を駆使し」
「様々なゲリラ戦を展開し始めた」
寄ってけえー
放っとけえー
持ってけえー
食べ残しやゴミは
ちゃんと持って帰ろうね
あっ中身は…
置いてけえー
え?
どうかしましたかお嬢さん
ねえどうしたんです?
ウハハハッ
ノッペラボウ!
ギャーッ!
お化けぇ!
ガァーッ!
(銃声)
ああのそそこで今…
コロシか?
いいやち…違う
なんだ殺しじゃないのか
ででで出たんだ女が!
口裂け女か?
違う違うなんつうかそその…
もしひょっとして
こんなのではございませんでしたか
ギャーッ!
でで出たー!
あわあわわ…
わわわ…
あ…あ…
それは…
こんなんだったかえー
ギャーッ!
「覚えたての術に人間たちが」
「他愛もなく引っかかるのが」
「面白くてたまらず」
「タヌキたちはそのたびに」
「盛大に祝杯をあげた」
「だが第1次作戦の立て役者」
「鷹ヶ森の権太は胴上げの時の」
「大ケガの回復がおもわしくなく」
「愛妻お玉の看病を受けながら」
「闘いに参加できないことを」
「歯ぎしりして悔しがった」
「権太は仲間たちの」
「なまぬるいやり方が気に入らなかった」
昨日のニューストレイン面白かったぜ
「お化けの出る街ニュータウン」ってやつ
俺たちが化かしてやったお巡りが
出てやんの
他のゲストがみんな
ゲラゲラ笑うもんだから
まっ赤になって怒っちゃって
もうおかしくて…
バカ野郎!
それがなんだ!
それで開発がストップするのか!
俺がやったみたいにやれ!
事故を起こさせて人間どもを
ぶっ殺すんだ!
(骨が折れる音)
あ痛っうーん…
あれ権さん!
「確かに権太の言うとおり」
「開発は止まらなかった」
「それどころか」
「川はコンクリートで固められ」
「ノッペラ丘には道路が走り」
「大量の資材が運び込まれ」
「ついに住宅の建設が始まった」
「しかしニュータウンの開発現場や」
多摩丘陵の怪奇現象は」
「テレビや週刊誌に格好の話題を提供し」
「全国的に有名になり」
「タヌキたちの意気はますます」
「上がる一方だった」

ジャーンケーンポーン!
イエーイ
「ぽんぽこ32年秋」
「懸案の化け学指南招聘の使者が」
「白熱的なジャンケンによって選ばれた」
「四国方面へは―」
「鬼ヶ森の玉三郎
佐渡へは―」
「水呑み沢の文太」
「そして次の満月の晩」
「2人の若者は仲間たちと」
「水さかずきを交わしたのち」
「勇躍故郷をあとにして」
「任地に赴いた」
うん?どうした
うわあなんだあ?
「2人の仲間を送り出してからも」
「若手のタヌキたちは新たな―」
「「ニュータウンの怪」に取り組んだ」
ギャーッ!
「開発阻止に効果的であるか否かに」
「かかわりなく」
「変化はすっかりタヌキたちの」
「楽しみとなってしまったのである」
(子供の声)
ん?
ハッ?
鬼は外!
へえ…!
(笑い声)
こんなことをしていて
人間を追い出せるんだろうか
ヘマをやって
正体を見破られるんじゃないのか
もし権太さんの言うように
激しく闘えばどうか?
いや1人や2人人間を殺せても
それは同じことだ
このままでいいのかいけないのか
それが問題だ
ん?
おキヨさん…
何してるのそんな所で
首おかしいの?
ポーズしてたのよ
きれいだって言ってくれるか
と思って…
あごめん
あーあ本当に首が痛くなっちゃったわ
きれいだった
もう遅いわ
本当だよ
いいのあたしの練習不足
フフフ…
(宴会の歌声)
みんな好きねえ…
あたしもあの歌キライじゃないけど
「あんたがたどこさ」って知ってる?
うん…でもみんな歌わない
あの歌ね…
【歌】せんば山にはタヌキがおってさ
【歌】それを猟師が…
あたしのじっちゃん
鉄砲で撃たれて死んだの
ごめん知らなかった
ううんでもね
じっちゃんは煮て焼いて
食われたんじゃない
立派な毛皮になって高く売れたんだって
君の毛並みもステキだもの
あらうれしい
正吉さんにそう言ってもらえて
いやあへへ…
で何なの?あの歌
うん…
オヤジがさよく歌ってたんだ
毬つきもうまかったけど
変わってたのねお父さん
うんそれで
歌い終わるとね
必ず説教するんだ
なんて?
お前たちよく覚えておきなさい
無邪気なような手毬歌にさえ
俺たちタヌキを鉄砲で撃って
煮て焼いて食う
残酷な人間の本性が―
歌い込まれていることをな
アッハハハ…
ね毬つきやろうか
おキヨさん上手なの?
うん自信あるよ
よーし俺だって
フウーン…
パッ

【歌】あんたがたどこさひごさ
【歌】ひごどこさくまもとさ
【歌】くまもとどこさせんばさ
【歌】せんば山にはタヌキがおってさ
【歌】それを…
正吉さんの言ってた
「双子の星」作戦っていつやるの
あんまりやりたくないんだもう
あらステキな思いつきだったのに
うん…
今夜やってみないあたしと
おキヨさんと?
うんあたしとペアじゃ不安?
そんなことじゃないんだ
ただ…
じゃやらせて
きっとうまくいくわよ
よしやろう
おキヨさんとなら
成功するような気がしてきた
うれしい!
(ノックの音)
ヨイショ
おやぁこらめんこいわらし子だなあ
あたいたち星めぐりから帰ってきたら
おうちがないの
星めぐり?
赤い目玉のサソリから
広げたワシの翼を渡り
光のヘビのとぐろを巻いて
コグマのひたいの真上まで
お空の星をめぐりながら
露と霜とを落とします
おめえたちいってえ…
うわぁ
おうちがなくてあたいたち寒い
おじさんあたいたちのおうち知らない?
え?お…おうち?
おうちって言われても…
し…知らねえ知らねえ
帰んな帰んなこら!
それより警察だ
警察に知らせるべ
うえーん…
えーんえーん
あっ…あっ…
だめだもう…
うわーんうわーん
あーんあーん…
こらざしきわらしに違いね
ざしきわらし
許してくんろ
許してくんろざしきわらし
どわあ
うわあ
(子供の笑い声)
待ってくれ
悪いようにはせん賃金も上げる
な頼むから
もう我慢ならね
田舎さ帰るっす
こったら気味悪い所にはハア
いられねべっす
そんなこと言わんで
なな鈴木さん
東京は怖い所だと聞いではいたが
いぐらなんでもこれはあんまりだ
もう開発はやめた方がいいと思いますよ
タタリかモノノケか知らんが
よっぽどこの工事は恨まれてるんだよ
わーい!
「タヌキたちは思わず」
「勝どきの声を上げた」
「その夜の祝賀会は」
「ひときわ盛大に盛り上がった」
「英雄はもちろん耳切り山のおキヨと」
「影森の正吉だった」
「一方人のいなくなった飯場は」
「火の消えたようにシーンと」
「静まりかえっていた」
「しかし次の朝…」
「代わりの人間はいくらでも」
「いるらしかった」
「せっかく化かして追い払っても」
「必ず次の日には新顔が現れるのだった」
地元ではキツネかタヌキの―
仕業ではないかという噂も
出てるようですが
ハハハ…
それならば楽なもんですな
原因になっているキツネやタヌキさえ
退治してしまえば済むんだから
「本部のテレビモニター係は緊張した」
しかしああいう化かし方は
昔話に出てくるものに
そっくりですからねえ
そういう噂が立つのももっともだと
それこそ誰かが悪質な噂を流してる
証拠ではないんですか
悪質な噂とはなんだ
俺は実際にこの眼で
あー分かりました
ではそういう悪さをする動物は
害獣駆除の対象にいたしますから
正体を見破り次第
どんどんご報告願いたいものですな
ま証拠があればの話ですがね
ハッハッハッハ
「人間たちをただ化かすことに」
「懐疑的なのは」
「正吉だけではなかった」
(おろく)知ってのとおり―
江戸時代はタヌキの全盛時代じゃった
変化はきわめて盛んに行われ
絵描きや文筆家はこぞって
オラたちの「化け学」を題材にした
しかしタヌキは目立ちすぎた
人間の反感をかった
文明開化以来―
人間たちはタヌキを大量に捕獲し
毛皮や筆や歯ブラシなどにして
彼らの復讐心を満足させたのじゃ
皆の衆
オラたちがこの手痛い経験を活かし
変化を慎んできたこの数10年
タヌキにとって
もっとも平和な時代が続いたことを
忘れてはなりませんぞ
化け学は両刃のヤイバじゃ
軽々しく変化術を扱って
人間の復讐心を煽るようなことは
厳に慎んでもらいたい

「意気に燃えていた」
「若手の変化ダヌキたちは」
「目標を失ったかにみえた」
「しかし時は天高く」
「タヌキ肥える実りの秋」
「タヌキは来るべき冬に備え」
「もりもり食べて皮下脂肪を蓄え」
「フサフサとした」
「冬毛を生やさなければならない」
「若者たちはたちまち目標を切り替え」
「化け学まで応用して」
「食料確保に精を出したのだった」
「そんなある日のこと」
「疲れはてた1匹のタヌキが」
「造成現場にたどり着いた」
大丈夫俺たちもタヌキなんだ
は?
いただきます
随分お疲れのようじゃが
どっから来なさったのかの
藤野の山からです
それは四国ですか佐渡ですか
いやこの奥の―
神奈川県の藤野町
え神奈川県?
なんだ四国からじゃないんですか
すみません何か―
ご期待を裏切ったようですね
いえね
ちょっと待ち人があったもんだから
いやそれはともかく
いったい何のご用事で?
やっと突き止めたんです
私たちの山をメチャメチャにしている土が
どこから運ばれてくるのか
「林と名乗るこのタヌキによれば」
藤野町の山や谷には最近―」
「大量の開発残土が」
「不法に投棄されるようになり」
「川の水は汚れ土砂崩れが頻発し」
「山林がつぶれて」
「タヌキやほかの動物たちが」
「大変な目にあっているという」
「残土がどこから運ばれてくるのかを」
「突き止める為に林さんは人間に化け」
「不法投棄した空ダンプの」
「荷台に潜入した」
「しかし」
「林さんは変化術が得意とは言えず」
「ダンプに揺られ」
「心労が重なり昏睡しているうちに」
「元のタヌキに戻ってしまったのだった」
藤野町だけじゃないんです
隣町もそうです
それにゴミ処理場やゴルフ場も
あちこちに…
ニュータウンの山が削られて
オラたちが迷惑
その土が山や谷に捨てられて
藤野町が迷惑
どこまで業が深いんじゃろう
うんうん…
それがダンプでここに着いてみて
驚きました
残土はてっきり大都会のド真ん中から
運ばれてくるのだと思っていたのに
ここは山じゃないですか
山を削って別の山にそれを捨てる
いったい何の為か
私にはさっぱり分かりません
じゃあもしぼくたちが
開発を止めることができれば
林さんたち藤野町のタヌキの為にも
なるってわけですね
何という力強いお言葉でしょう
皆さんの素晴らしい化け学の力で
多摩丘陵だけでなく
藤野の山もぜひ救って頂きたい
いやまぁそれがね
なかなかそうはその…
長老をお迎えにいった
玉三郎と文太はいったい今頃
どこをほっつき歩いてんのかの
「ついに四国からも佐渡からも」
「期待の長老たちの訪れはないまま」
多摩丘陵に冬がやって来た」
「タヌキたちがしばらく休んでいる間に」
「「ニュータウンの怪」は」
「たちまち忘れ去られ」
「マスコミを賑わすこともなくなった」
「マスコミは―」
「アイドル歌手のスキャンダルや」
「政財界の汚職事件を追うのに」
「忙しかった」
【歌】まんまんまんぷくじ万福寺の庭に
【歌】降れ降れわたアメ
【歌】アイスクリームミゾレ
【歌】おいらの友だちゃぽんぽこぽんの
【歌】ぽんぽん
「ぽんぽこ33年正月」
「珍しく多摩丘陵はすがすがしい」
「銀世界で元旦を迎えた」
「その頃出稼ぎに来ていた人々は」
「おみやげをどっさり抱えて」
「それぞれの故郷へ戻り」
「久しぶりの家族団欒を楽しんでいた」
ヨイショヨイショ…
ああ!
おおーっ
【歌】たんたんタヌキのきんどけい
【歌】かーぜもないのにブーラブラ
【歌】そーれを見ていた子ダヌキも
【歌】一緒にマネしてブーラブラ
見たんやほんまにわしら
タヌキがぎょうさん
たかって押しよったんや
嘘やないで
3人は正月中も作業員宿舎に居残っており
夏以来のいわゆる
ニュータウンの怪」さわぎに便乗した
いたずらではないかと見て
取り調べを行う模様ですが
ご覧のとおりすでに積雪も消え
何ということをしてくれたんだ正吉
ぼくは心配ないと思いますが
くだらんやることが
いや正吉はまだ変化できない連中を
励まそうとしてやったことじゃ
どうだろうか和尚
うむ大丈夫とは思うがの

「そのとおり大丈夫だった」
「作業員3人は証拠不十分で釈放され」
「むろんタヌキにもお咎めなし」
「事件は迷宮入りとなったのである」
「そして春がやって来た」
「ふたたびめぐって来た恋の季節
「1年以上身を慎んできた」
「タヌキたちにとって」
「もはや我慢の限界だった」
「そこでもかしこでも」
「恋のさや当てと恋の囁きが満ち満ちて」
「空までがバラ色に輝いた」
待てよ花子ぉ
花子ぉ
【歌】あんよは上手…
花子ちょっと待ってくれよ
花子ぉ
ここまでおいでぇ
つらいよぉ花子ぉ
みんなああして浮かれているけれど
ぼくらもやっぱり草や木と同じなんだね
春が来てお日様に照らされれば
芽を出さずにはいられない
そしてやがて花を咲かせ実を結ぶんだ
でもぼくたちは
おろく婆さんの忠告をちゃんと守って
この闘いに勝つまでは
清らかなままでいようね
正吉さんあなたって…
あなたって本当にえらいわ
私…うれしい!
ぼくたちの愛は永遠のものだ!
正吉さん!
「これがいけなかった」
「2人の愛は燃え上がり」
「結局他のタヌキたち同様」
「この春正吉とキヨの間には」
「4匹のかわいい子ダヌキが」
「生まれたのだった」
「昨年の秋の暮れ」
「苦労の末阿波にたどり着いた玉三郎は」
「ここ小松島市金長大明神の主」
「六代目金長に事の次第を話し」
「助力を願うとそのまま」
「どっと病の床に伏したが」
「六代目の愛娘小春の」
「献身的な看護によって」
「奇跡的に回復し」
「この春2人はわりない仲となり」
「3人の子供までもうけたのであった」
「奥殿では―」
「四国を代表する長老タヌキたちの」
「深刻な会議が続いていた」
「東京の開発に歯止めをかけることは」
「開発阻止という全国的な重要課題を」
「大きく前進させるに違いない」
「との認識では出席者全員が」
「完全に一致した」
「しかし誰を送るべきか」
「あとの四国の治めはどうするのか」
「もしもの時の跡目相続は」
「ケンカ出入りもなく」
「円滑に行えるのかについては」
「議論百出」
「意見は容易にまとまらなかった」
父様たちは今日も会議
こんなにステキなお日和なのに
正月からだから
もうかれこれ半年か
いったい何時になれば
結論が出るのだろう
ああいつまでも
会議が終わらないでほしい!
玉さまあたし
玉さまが遠い遠い多摩とやらに
いつかはお帰りになってしまうのだと
思うだけで
胸が張り裂けそうになります
小春さん…
私だってこの幸せが永久に続くことを
つい夢見てしまうのです
それがなぜいけないことなの?
ねっねぇ玉さま
あたし父様にお願いします
玉さまにはここに残って
金長の跡目を継いで頂くようにって
玉三郎が多感な青春の悩みに」
「ふけっている頃」
佐渡へと旅立った水呑み沢の文太は」
「母を尋ねた厨子王丸さながら」
「二つ岩団三郎を探して」
佐渡の山野をさまよっていた」
「だがなぜか高名並ぶ者のない」
「団三郎狸の消息は」
「ヨウとして知れなかったのである」
「この夏から秋にかけて」
「タヌキたちは深刻な事態に直面した」
「開発の進展による」
「森の減少はもちろんのこと」
「春の結婚ベビーブームは」
「一挙にタヌキの人口を倍増させ」
「それに夏の天候不順による」
「極端な食料不足が重なった」
「予想どおり―」
「栗や柿など秋の実りは少なく」
「変化ダヌキたちによって」
「人間用食料の調達が」
「活発におこなわれたが」
「食べ盛りの子供たちを」
「養うにはとても足りなかった」
「こうして変化しないタヌキたちも」
「やむにやまれず人家のまわりに出没し」
「エサになるものなら何でも」
「手に入れようとした」
「そしてその結果―」
「不器用な並のタヌキたちのなかには」
「道で車に轢かれたりワナにかかって」
「命を落とす者が続出し始めた」
(悲しげな鳴き声)
俺はもう我慢できん!
いまこそ一人一殺の構えで
人間に立ち向かう時だ
そうだろう正吉
体はもういいのかの権太
当たりきよ!
ほれこのとおり!
ホッホリャテヤーッ
ホホーイ
こりゃめでたい
全快祝いはいつじゃな
そんな所じゃないでしょ
ぼくも全面対決の時期は
招聘した長老の到着を待って
決めるべきだと思います
お前もか正吉
若いくせにあきれた臆病者だ
人間をあなどることはできませんよ
このまま突っ込めば
必ずぼくらの負けです
もう待ちすぎたんだよ俺たちは!
まあ待て
正吉の意見を聞こう
長老の到着まで3つのことを提案します
ひとつ
変化ダヌキによる調達食料の公平な分配
つまり配給制度です
ふたつ
交通安全訓練の実施
みっつ
ワナにかかった仲間を助ける
救出隊の結成
以上です
正吉
お前まるで人間みたいなヤツだな
いいえぼくは根っからのタヌキです
では具体案はあとにまわすとして
とりあえず賛成を確認したい
手をあげろ!
賛成!
なんのマネじゃ権太
マネじゃねえクーデターだ
これからは俺に反対するヤツは
この親衛隊が容赦なく殺す
いいな
おーっ!
ぶっそうなことは言いっこなしだぜ権太
権太様と言え権太様と
諸君確かに人間は手ごわい
しかし捨て身でかかれば必ず勝てる
殺せる
諸君は知ってるはずだ
「窮鼠猫を噛む」という諺を
キューソ?なんだそりゃあ
舌を噛みそうね
キューソとは
追いつめられたネズミのことです
そうだ
ネズミでも追いつめられれば
猫を噛むことがあるという意味だ
オラたちはネズミじゃないぞ
猫を噛んでも仕方がないと
ネズミかそう言やぁこんところ
ネズミ食ってねえな
ネズミなら天ぷらが1番だ
いや唐揚げが最高
俺はコロモが付いている方が
うまいと思うがな
あのカリカリッとした唐揚げのシッポ
はあ…
何をやっとるんじゃ貴様らーっ!
俺はネズミの
天ぷら大好物ホホイホイホーイ
ほれ権太オラたちの水準はこの程度
まあ四国の長老を待つのが
無難というものじゃろう
面目ない
子供増やすな身を慎んで…
もともと無理だったな
オラの忠告もタヌキには
いや違う!
タヌキを減らすことより
人間を減らすことを
考えるべきじゃないのか
いまウジャウジャ住んでやがる所は
みんな昔俺たちが住んでいた所だ
のさばってきたのはヤツらだ
ヤツらを追い出せ!
ヤツらを殺せ!
ヤツらを追い出せ!
ヤツらを殺せ!
「ちょうどその頃…」

(軽快な音楽)
ヘイテャクシー!
みんなに知らせてきます
玉三郎
四国の長老方をお連れしたぞ
おお!
よくやったな玉三郎
おおっ
おーっ!
諸君
我らは道中つぶさに
山の変貌を目にしてきた
同情に耐えん
直ちに召集をかけて
今夜大集会を開いて頂きたい
「ぽんぽこ33年秋」
「四国3長老を迎えて」
「決起集会が開かれた」
今宵はよい月が出ておるのう
皆の衆
わしゃ屋島の禿じゃ
今年で999歳になる
諸君
なんで本州にくらべて
四国の開発が進んでへんのか
それは
我々タヌキがお山を
しっかりと守っているからである
四国ではタヌキを怒らしたら
どんな災難がふりかかるかを
人間たちはよおわきまえている
それが証拠に
かく申す私をはじめ
ここに居並ぶ3人は
すべて神社仏閣に祀られ
人間に崇められているのじゃ
申し遅れたが私は
かの八百八狸を統率する
松山の隠神刑部である
私はかの金長大明神の末裔
六代目金長である
我らは東京の人間を圧倒し去る為に
秘術「妖怪大作戦」を
発動する覚悟を決めた
この「妖怪大作戦」を指揮するには
恐るべき精神集中力を要する為
我ら3人はいずれも術に殉じて
命を落とすやもしれぬ
しかし諸君諸君がもしこの作戦を
あやまりなく完遂するならば
人間どもは必ずや我々タヌキに対する
尊敬と畏怖の念を
その心に取り戻すに違いないのじゃ
そうなれば
あとは驚き恐れるその心を翻弄し
開発を中止させるところまで
一気に追い込むことができる
打つ手はなんぼでもある
我らはけっして
カチカチ山の泥の舟ではなく
大舟を諸君に用意してきたつもりだ
諸君やすんじて
我らの船に乗ってもらいたい
オーレーオーレー
きれいな月じゃのう
わしらは月夜が好きじゃ
この月にわしらの企ての成功を
祈ろうではないか
のお皆の衆

「「妖怪大作戦」に向けて」
「タヌキたちは直ちに特訓を開始した」
わあっ
うーん…
やあーっ
999歳のお誕生日
おめでとうございまーす
ありがとう諸君
ありがとう
先生若き日にご覧になった
那須の与一を願います!
おうとも!
うわっ
時至れり
おおっ
コケコーロー
ウォー!
「ぽんぽこ33年暮れ」
「ついに「妖怪大作戦」発動の日が」
「やって来た」
「うす曇り微風気温13度」
「湿度65パーセント」
「絶好の妖怪日和であった」
やあ!
(龍の鳴き声)
「古来化け物や妖怪のたぐいは」
「タヌキのもっとも―
「得意とするところであるとはいえ」
「タヌキひとりひとりに潜在する」
「「気」のエネルギーはもちろんのこと」
「自然界に充満する火力電力浮力」
「飛行力などもろもろのエネルギーを」
「いかに引き出し増幅するか」
「そしてそれを作戦遂行の為に」
「いかにして蓄積し発動するか」
「四国3長老の指導のもと」
「この日に向けて行われた」
「特訓の激しさは」
「とても筆舌の及ぶところではなかった」
「雄雌や変化できるできないの区別なく」
「全てのタヌキが参加し」
「力を出し合ったのである」
「この夕べ」
「一致団結したタヌキたちの闘志は」
「まさに燃え上がり舞い飛ぶ炎となって」
「まだ人々の見ぬ出陣にさえ」
「全力投球してしまわずには」
「いられないのだった」
ああれ!
ああ?

なんだろう…
わーっ
枯れ木に花を咲かせましょう
枯れ木に花を咲かせましょう
(おごそかな鈴の音)
ああっ
(阿波踊りの音楽)
(雷様の太鼓の音)
わあーっ
すげえ…お化けの大行列だ
昔はよくああいう事を言ったもんだねえ
キツネの提灯行列だとか
実際見えるからね
見えるんだよ提灯がさあ
すうーっとこう点いて
すうーっと歩くんだよな提灯がさあ
ハハハ…ヘヘッ…
あん時はもうどうなってんのかなあ
キツネにできるのかなあ
えーっ?どうだか
見えるもんねえ
やっぱり人間の神経でねえのかなあ
キツネの嫁取りだキツネの提灯だって
頭にあっからそれがずうっとこう…
神経がそう見えるんだねえ
ずっと歩いてるように…
ありゃ神経のせいだよ
ハハハ…
そりゃそうだ
火が歩くように見えるわけはねえ
人間の神経てえもんは恐ろしいもんだ
思えば事実そう見えるんだから
事実ありゃあしねえんだけど
本当にお化けだ…
はあー
神経がそう見えるんだねえ
わはは…
お帰りなさい
アーッ!
さち子!
ギャーッ!
キャッ
キャーッ
わあーっ
ぎゃー
キャー
うん?
アビラウンケンソワカ
色即是空
カーッ
来た!
うっくっ…うーん
ん?
ああ?
刑部様
刑部様…
(狸たちの泣き声)

怖かったね
あーあもうおしまいなの
すっごく面白かったね
そうね
さあ早くお家に入って寝なさい
はーい
あ歯みがき忘れないでね
なんだか夢を見てたような気がするわ
本当いったい何だったんでしょうね
私UFOも信じたくなっちゃった
不思議なことってあるのね
刑部はかつて―
松山藩のお家騒動にまきこまれ
悪玉に味方して一族の没落を招いたことを
深く悔やまれた末
生涯の終わりを
ただ正義の為にのみ捧げたいと
固く心に誓っておられた
我らは刑部の
壮烈な死をムダにすることなく
その高邁な志を受け継いで
勝利の日まで闘い抜くことを
ここに誓うものである
ギャーテーギャーテー
ハーラーギャーテー
【歌】ぼーたーもーちーやーまーのー
【歌】タヌキさん
【歌】大酒のんで変化して
【歌】ヨーカイ大作戦はだいせいこー
「タヌキたちはすでに大勝利を確信し」
「モニター係以外―」
「テレビを見る者はなかった」
警察やテレビ局では
今夜の不思議なパレードを
映像で記録した人を探していますが
今のところ1人も名乗り出る人がなく
それがますます真相究明を
困難にしています
ずっとこのビデオで撮ってたんだけど
なんにも写ってなかったんです
どう考えても変ですよ
この隙間からヌーッと入ってきたのよ
お化けが
ほーんとに怖かったわ
あんなこと人間にできるわけないわよ
やっぱり何かありますね
このニュータウン
できれば越したいですけれど
そうもいかないし
なおこの不思議な事件に関しては
深夜0時20分から特別番組を組んで
お送りする予定です
真相究明が進めば進むほど
人々が目にし体験したものは
決して神経のせいなどではなく
紛れもない現実であったと
認めざるを得んようになる
そしていかなる高等科学も合理的解釈も
この謎を解くことはでけんと悟った時
突然人間たちは森羅万象の
神秘に驚き
いかに人間が卑小な存在であるかを
思い知るのじゃ
諸君果報は寝て待て
寝るのは惜しい
寝るより祝え
さあ盛大に飲めや歌えや
踊らにゃ損損!
【歌】アエーラヤッチャエーラヤッチャ
【歌】ヨイヨイヨイヨイ!
「しかしその翌日」
「事態はまったく予想外の方向へと」
「急転回した」
昨夜多摩ニュータウンとその周辺に
無許可で繰り広げられた大パレードは
ニュータウン内に
現在建設中のテーマパーク
「ワンダーランド」の
宣伝隊であったとみられ
警察では関係者を呼んで
事情聴取をおこなっています
まさかぁ
しかし団地の入居者や地元住民は
とてもそんな宣伝には見えなかったと
口を揃えて語っています
当たり前だ!
妖怪パレードが
「ワンダーランド」の宣伝隊だったことを
同社の社長が認めた模様です
何だって?
えー
このたび世間をお騒がせしましたことを
心からお詫び申し上げます
何だこいつ
当社が総力を結集して
建設中の「ワンダーランド」
エーこの
「ワンダーランド」の素晴らしさを
知って頂く為には
街頭に出てエー
無料奉仕で皆さんに
楽しんで頂くしかない
こう考えた末
社長の私の独断で
無届けの大パレードを
決行した次第でございます
さいわい―
ご覧になられた圧倒的多数の方々に
エー絶大なる御好評御支持を頂き
ただ今も感激に
うち震えているようなわけでございまして
これでお縄を頂戴するならば本望
とかように
覚悟いたしておる次第でございます
…いったいこれは
どういう…
何かの間違いじゃないのか!
本望とかように覚悟いたしておる
この野郎!
こらくそっ
とりゃ
「このニュースはタヌキたちを」
「パニックに陥れた」

「一方「ワンダーランド」の事務所では」
「必死になって」
「パレードの実行者を探していた」
(社長)もうあとには引けないぞ!
草の根を分けてでも
やった連中を捜し出せ!
そして全員雇え!
札束で頬っつらを引っぱたくんだ!
金はいくらでも出す!
タヌキがやったんですあれは
なに?タヌキ?
ダヌキでもタヌキ親父でも何でもいい
プロモーターごとこっちに取り込むんだ!
タ…タヌキ?
タヌキというと?
いやただの冗談
いったい貴様こんな所で…
どどっから入った?
ちゃんと秘書のお嬢さんに
私が先程お電話した
竜太郎です
この件は込み入っていますから
プロモーターのタヌキ親父と
話がつけられるのは
まず私しかいないでしょうな
分かったあんたに1億出そう
「この得体の知れない人物が」
「策動を続けているうちに」
「タヌキたちは功を横取りした」
「社長に激怒した」
「事態の理不尽さに悲憤慷慨し」
「くやし涙に暮れたあと頭を抱え」
「すっかり無力感に陥ってしまった」
「しかもテレビでは」
「映像が残らなかったせいもあって」
「報道は尻すぼみとなり」
「妖怪パレード騒ぎはたちまち―」
「沈静化してしまったのである」
そなたはキツネじゃな
見あらわしお見事
左様私は多摩堀之内の変化ギツネ
竜太郎です
かねて噂に名高い
阿波の金長大明神さんにお目にかかれて
まことに光栄
いやわしはただの六代目にすぎん
それはともかく何用で来られた
あなた方の素晴らしいパレードに感激して
分かってくれたんかそなたは!
もちろんですとも
皆さんの失望落胆
心からお察し申し上げます
ハアそうか…
やっぱりキツネのそなたには
通じたんじゃな
パレードのあとに起こったことも
すべて予測しておりました
なんじゃて?
「竜太郎キツネは言葉巧みに」
「六代目金長を誘い出し」
「銀座へ直行すると」
「とある有名クラブの特別室へと」
「招待した」
さどうぞ
え…
ハハハ…ご心配なく
この子らも変化ギツネですから
ハアー…!
この子らはこのままがいいですか
キツネになりますか
あーそれとも
タヌキに化けさせましょうか
単刀直入に申しましょう
多摩のタヌキに未来はありません
多摩のキツネが滅びたようにです
やっぱり滅びたんかキツネは
ええ残念ながら
そして少数の変化ギツネだけが
こうして人間に
身をやつして暮らしているんです
人間に?
この大東京では
それしか生きる道はない
私が金長さんをここへお招きしたのも
それをタヌキの皆さんに
お勧めする為です
ちょちょっと待ってくれ
面食らわれるのももっともですが
とりあえず結論を急ぎます
ただ人間として暮らすだけではない
毒食らわば皿まで
こうなった以上私は皆さんが集団で
「ワンダーランド」に就職するのが
最良の解決策だと思います
なんじゃと?
わしらをコケにした
あの「ワンダーランド」にやて?
冷静に考えてみましょう
もはやタヌキは人間として暮らすしかない
これが前提です
【歌】人間暮らしにゃお金がかかる
【歌】かかるお金はどうして稼ぐ
【歌】特技を活かせばわけはない
皆さんをもっとも高給で
雇ってくれる所はどこか
残念ながら皆さんの敵
「ワンダーランド」です
多額の支度金も出すと言っています
これが月給
これが1人頭の支度金
むろん皆さんがタヌキであることは
わたし以外誰も気付いていません
うーん…
ささどうぞ
まゆっくり食べながら考えましょうや
金長大明神さんは
御供物の御馳走に慣れてらっしゃるから
多摩での残飯あさりは
なかなかシンドかったでしょう
そんなことはどうでもええ
1つ質問があるんじゃが
変化できる者は人間として暮らすとして
残された並のタヌキはどうなる?
そこまでは面倒見きれませんな
だいいち種を保存するなら
できるだけ優秀な遺伝子を残すべきです
キツネの場合も涙をのんで
変化できない連中を見捨てました
そして…
滅んだ
そうです
やむをえない選択です
悲劇じゃ
気休めかもしれませんが
タヌキの皆さんは私たちキツネと違って
雑食性ですから
何とかやっていけるんじゃないですか
「その頃多摩のタヌキたちは」
「六代目金長不在のまま」
「この深刻な事態の」
「善後策を協議していた」
「常連以外は集まらなかった」
手はいくらでもあるなんて
大ボラ吹きやがって
あんな老いぼれどもに従ったのが
そもそもの間違いだったんだ
うーん
「捕らぬタヌキの皮算用」なんて
言葉を思い出しちまうなあ
いいやまさかこうなるとは
お釈迦様でも読めはすまい
長老方を責めてはならんぞ
あの社長みたいなのを
なぜかタヌキ親父と呼ぶんですよね
人間は…
変ですねえ
よくも他人事のようなことが言えるな正吉
いやぼくは人間の研究が
まだまだ足りないことを…
黙れ!
もはや人間には実力で
決戦を挑むしかないんだ!
はやるまいぞ権太
この上は「妖怪大作戦」を実行したのが
オラたちタヌキであることを
人間たちの前に明らかにするしかないと
オラは思うがの
血迷うたか和尚
それだけは決して
やってはならない掟ではないか
そうとも
もしタヌキがやったと分かったら
人間どもが俺たちを放っておくはずがない
しかしオラはくやしいじゃ
あれほどの芸術を横取りされて
黙っている?
いやいやオラにはできん
オラは言いたい叫びたい
あれはオラたちがやったんじゃと
鶴亀和尚…
どうすればタヌキたちがやったと
人間が信じるでしょうか
世に犯行宣言というものがあるじゃ
テレビ局に電話をかけ
手紙を送ればよい
たぶんいたずら電話やニセ手紙としか
みないでしょうね
ではテレビに出て
変化を実演しようじゃないか
バカバカしい
トリックと疑われて
くやしい思いをするのが落ちじゃ
見ろ議論なんかムダなんだ!
「確かに名案が出るはずもなく」
「堂々めぐりを繰り返すうちに」
「夜が明けてしまった」
見ろ議論なんかムダなんだ!
しかしもしテロに走って
人間を挑発すれば
こちらが皆殺しの目にあう
だから正体を明かさぬように
やるってんだろう!
ならば大したことはやれない
ぼくはやっぱり
いま焦ってバラバラに何かするより
もう一度力を結集して
さらに強烈な妖怪大作戦を
やるしかないと思います
それでまた同じ結果にならないという
保証もない
だからあらためて計画を練り上げ
態勢を建て直し
貴様は結局―
何もやりたかねえんだ!
まったく女の腐ったような野郎だぜ
言葉を慎め権太
女は腐らぬ
だからもし腐ったら
こいつみたいになるんだ
ぼくはとにかく妖怪大作戦第2弾を
準備し始めるつもりです
誰が貴様なんかについていくか!
権太さんにはみんなついて来るんですか
なんだと!
こらてめえこら
やめろ!
ん?
みんな聞いてくれ!
団結を保ったまま「妖怪大作戦」に見せた
我々の能力を
まるごと活かして暮らしていける方法が
1つだけある
我々の大作戦は人間どもを
感嘆させ圧倒した
じゃが理不尽にも
「それは人間離れした人間」の仕業と
されてしもうた
ならば我々はどうすればよいのか
これをどうやって垂直に立てる?
知ってのとおりコロンブスはこうやった
ホーお見事
そんな素晴らしい名案があるんですか?
我々は以後
「人間離れした人間」
として生きればよいのじゃ
ジョーダンじゃねえぜ
いやいやこれは
シャレや冗談ではないんやぞ
でも―
変化できない者はどうするんですか?
議長!…ああれ?
「鶴亀和尚の抜けがけをきっかけに」
「六代目の提案について」
論議をつくさぬまま」
「会議は散会となり」
「タヌキたちの結束は乱れ始めた」
「大作戦でおろそかになっていた」
「食料集めや家事に精を出す一方」
「強硬派の権太は山をめぐり歩いて」
「公然と同志を募り」
「モウロクしたかにみえた禿ダヌキは」
「変化できないタヌキたちを集めて」
「いつの間にか踊り念仏の」
「教祖におさまっていた」
【歌】この世は闇じゃドロ舟じゃ
【歌】念仏唱えてただ踊れ
【歌】ナムアミダブツオダブツじゃ
あの矍鑠たる禿ダヌキさんが
ああなるとはな
やっぱり東京は恐ろしい所じゃ
四国ならあれだけやったら
我々タヌキの仕業ということは
もうピンと感じてうちの大明神でも
日々の御供物や賽銭が倍増
いや10倍は増えたじゃろうに
六代目様
もはやこの上は
1日も早くお供をして小松島へ帰り
修行に励みとうございます
…そうか
玉三郎
はい
わしの跡目を継ぐ決心をしてくれたか
はい六代目様
それを聞いて安心した
じゃがな
まさかそなた
小春恋しさに目がくらみ
仲間を捨てて行くほど自分勝手な男では
なかろうな
もちろんでございます
しかし…
しかしなんじゃ?
六代目様までが御支持を失われた今
今さら何ができるのでございましょう
あるんじゃ
できることが

ほう
こりゃなかなか…
シャレたレストランだな
社長に喜んで頂こうと
趣向を凝らしてお迎えしたい
と申しておりましたが
テヒャヒャヒャヒャ
こりゃよくできておるわい
キャー!ディズニーランドに
勝てそう!
キエーッ
ギャーッ
あわわ…
「六代目金長はこうして」
「にっくき社長への復讐がてら」
「多摩ダヌキの闘争資金にと」
「多額の支度金を奪い取ったのだった」
「なお「ワンダーランド」の社長は」
「警察に駆け込み」
「タヌキに1億円騙し取られた」
「と訴えたが相手にされなかった」
ほりゃー
とりゃ
とおっ
「一方この日―」
「強硬派の権太たちはすでに」
「裏成り山伐採阻止の」
「実力行動を開始していた」
(電動ノコギリの音)
ギャーッ!
うわぁ
うわーっ
ギャーッ!
大丈夫か!
イターッ
自然保護団体の皆さん
ヘビ退治の邪魔はやめて
直ちにこの山から立ち退いて下さい
皆さんの行動は―
強盗罪凶器準備集合罪
および不法占拠に当たります
この勧告により立ち退かぬ場合は
法に基づき皆さんを
強制排除しなければなりません
(電動ノコギリの音)
ううっ
「権太たちは警官や猟師」
「作業員を林道に釘付けし」
「退去勧告に応ずることなく」
「一歩も裏成り山に踏み込ませなかった」
「そして両者は対峙したまま夜を迎えた」
(パトカーのサイレン)
なんだって?
止められなかったんなら権太さんたちを
助けに行くしかないでしょう!
(装甲車の音)
聞こえるだろう機動隊が出動した
もはや手遅れじゃ
様子だけでも見てきます
よせ!お前も捕まるぞ!
(佐助・玉三郎)俺たちも行く
覚悟はいいか
おう!
我ら特攻精神により
よし壮烈なる玉砕を遂ぐるとも
軟弱なる我らが同胞を奮起させ
勝利の日まで闘い抜く決意を
惹起すること必定なり
あとに続くを信ずる
【歌】たんたんタヌキのキンタマ
【歌】かーぜにゆられてブーラブラ
【歌】アーメーン
特別任務!
御免
待ってくれ権太さん!
早まるな!
出動!
おおーっ!
ああっ
権太さん…
おおっ
(銃声)
「これぞまさに玉と砕ける」
「文字通りの「玉砕」であった」

タヌキさんタヌキさん…
「ちょうどその頃多摩丘陵の別の林では」
「テレビ局が中継車を繰り出していた」
タヌキさんどうか姿を現して下さい
タヌキのままでも
化けて出て頂いても結構です
私たち「世間まる見えテレポーター」は
皆さんの味方でーす
なかなか出て来てくれませんねえ…
【歌】たーぬきさんたーぬきさん
【歌】話し合おうじゃなーいか
【歌】いーまごーはんがたーべられない
応えてくれました
やっぱり本当だったんです!あのアピール
ぜひその辺の事情をお聞きしたいんですが
姿を見せてくれませんか
おっ
いたいたいた
タヌキだタヌキだタヌキだ!
本当に皆さんが―
あのお化け大会をやったんですか?
そうだよー
ねえ化けて見せて下さいよ
そうじゃないと視聴者の皆さんに
信じてもらえないですよ
タヌキには化けられないのもいるんだよ
だから山がなくなると
暮らしていけないんだよ
ねえタヌキさーん…
これじゃまるで下手な
ヤラセ番組みたいになってしまいますよ
タヌキさんの方からあったお話でしょ
少しは誠意を見せて下さいよ
和尚!
お願いします
人間たちに思いのタケをぶつけて下さい
うわっ出ました出ました
信楽焼のタヌキが歩いてきます!
…うっ
タヌキさんど…どうぞひと言
オラたちは…
オラたちは…
ハイッ
さどうぞ
おろく婆さん!
イヤッキエーッ
うわー
あれはオラたちがやったんじゃ!
山はオラたちの棲処
勝手に無くさんでもらいたい!
これは生き物すべての願いじゃ
…は…は…
ウオーッ!
ああーっ
(動物たちの鳴き声)
【歌】昨日見し人今日はなし
【歌】今日見る人も明日はあらじ
【歌】明日とも知らぬ我なれど
【歌】今日は人こそ哀しけれ
「源平屋島の合戦を」
「この眼でしかと見たという」
「推定年齢999歳の―」
「ほまれも高き禿ダヌキ」
「世の行く末をはかなんで」
「もはやこれまでおさらばと」
「八畳敷きの大キンタマを」
「エイヤエイヤの掛け声かけて」
「のばしにのばし作り上げたは宝船」
「七珍満宝山と積み」
「朱塗りの欄干金の擬宝珠」
欣求浄土厭離穢土」
「声も高らに身もほがら」
「並のタヌキの一団は」
「極楽浄土をまぶたに描き」
「遠足気分でいそいそと」
「乗り込む姿ぞ哀れなる」
「月影さやかに宝船」
「どんぶらこっこと多摩川の」
「流れに浮かびゆらり揺れ」
「波のまにまに漂いて」
「ピンと立てたるシッポさながら」
「得手に帆を揚げ順風満帆」
「熱田津に船乗りせんと月待てば」
「潮もかなひぬエンヤドットと」
「いまは漕ぎだす宝船」
「月夜に浮かれて腹つづみ」
「打つやうつつの夢の夜を」
「鉦に三味線笛太鼓」
ダヌキ囃子も賑やかに」
「並のタヌキを満載し」
「金銀珊瑚に埋もれて」
「遠ざかりゆく宝船」
「よも泥舟ではあるまいに」
「見送るタヌキの眼に涙」
「朧に霞む薄原」
「ただ春の夜の夢のごと」
「月のうさぎを仰ぎつつ」
阿弥陀の招く極楽の」
補陀落目指し賑わしく」
「宝の船は死出の旅」
「ソレドンジャンドンジャン死出の旅」
「並のタヌキは死出の旅」
「行きて帰らぬ死出の旅」
「ソレドンジャンドンジャン死出の旅」
「哀れタヌキは死出の旅」
「ドンジャンドンジャン死出の旅」
トホホ…
人間にはかなわないよ…

(玉三郎)文太!文太じゃないか!
文太!文太!
玉三郎
文太さん!
おーい
文太さん…
よく帰ったなぁ…
佐助正吉…
団三郎先生は?
かの名高い佐渡
団三郎先生はどうなされた?
それが…45年も前
戦後の食料難の折
猟師に撃たれてあえなく落命されたことが
やっと分かったんです
そうか…
ひと目お会いしたかったが
ご苦労じゃったな
文太…
それよりこれはどういうことなんだ
たった3年で俺は浦島太郎だぞ
ぼくたちも色々やったんだ…
しかしこの変わりようは激しすぎる
化かされているのはこっちじゃないのか
そう思うのも無理はないが…
本当に人間の仕業なのか
そうよこれが人間の仕業なのよ
いや違う
こんなことができるのはタヌキしかいない
ほかにいるもんか!
人間どもはタヌキだったんだ
ヤツらタヌキの風上にも置けない―
クサイクサイ古タヌキなんだ!
山を返せ
里を返せ
野を返せえ!
ううっ…
やってみましょうか
最後の力を出し合って
この風景を元に戻してみませんか
なるほど…
人間と幻術を競ってみるか
うーん面白そうじゃ
オラは昔の姿を
ありありと思い出せるぞ
よーし最後のひと勝負じゃ
しかし…何の意味があるんだ
今さらそんなことをして
気晴らしじゃ気晴らしじゃ
ふーむ遊び心をなくせば
タヌキももはやタヌキではないか
じゃあ金長さんも手伝って下さいますか
もちろんじゃ
阿波徳島風になるかも知れんがの
ぽん吉!
おっと合点!
残ったみんなを集めるんだろ
またエネルギーを貸してくれるかい?
任しとけって!
ウォー
ヤァー
(タヌキたちの叫び声)
待ってよお兄ちゃん
あらあれお母さんみたい…
よっちゃん?よっちゃんよ!
よっちゃーん!
(トンビの鳴き声)
ああっ
あれ俺たちだ!子供の頃の俺たちだ!
あタヌキだ!
わーっかっわいいー
タヌキだよね
まだいたんだねえ
タヌキがこんな所にも
あー待ってよタヌキさーん!
あーあ行っちゃった
なんかエサあげたかったのに
本当に化けるのかなタヌキって

(正吉)こうしてぼくたちは闘いに破れ
ニュータウンの開発はなんの障害もなく
「いまも続けられています」
「月日が経つうちに次第に街も落ち着き」
「人間にとってはなかなか」
「住みよい所になったようです」
「本部にしていた万福寺の山も」
「いまではトレンディーな」
「住宅地に変わりました」
「また今回のことで」
「ぼくたちが人前に姿をさらしたことは」
「結果的に大変いい効果を生みました」
「「タヌキと共生できる暮らし」」
「などどいう美辞麗句で」
「新聞に取り上げられ」
「以後開発にあたり地形を活かし」
「元の山林を残すかたちで」
「公園が作られるようになったのです」
「でもぼくたちにとっては」
「もう手遅れでしたし」
「生きていくには狭すぎます」
「ぼくたちの一部は山越えをして」
「まだ山林や畑の多い」
「町田という地域に移り住んだのですが」
「そこにももちろんタヌキがいて」
「開発で追いつめられた上」
「交通事故で命を奪われる」
「苦しい日々を送っていました」
「そしてとうとうぼくたちは」
「あの決断をしてしまったのです」
(電車の発車チャイム)
「そうなのです」
「ぼくたち変化できる連中は」
「結局キツネ同様」
「いまでは人間になって」
「暮らしているんです」
「ぼくはサラリーマン」
「妻のキヨはスナックで働いています」
「不動産業で成功して」
「平然と森林開発をしている」
「ひどいタヌキもいますが」
「多くは激しいストレスに耐えられず」
「体を壊して山へ帰りたがっています」
「まったくこんな暮らしに」
「よく人間は我慢できるなと」
「感心してしまいます」
「結局ドロップアウトして」
「新宿の花園神社の境内をねぐらに」
「歓楽街の残飯を漁って」
「暮らしている仲間もいます」
「ぽん吉たち並のタヌキは」
「どうしてるかって?」
「「どっこい生きている」って言葉」
「タヌキの為に―」
「あるんじゃないでしょうか」
「開発にも交通事故にもめげず」
「のんびりと明るくほがらかに」
「どっこい生きて子供も作り」
「そしてあっけなく」
「死んだりしてるんです」
(タヌキたちの騒ぎ声)
ほらほら…
ほらぁー

(エンド曲が流れる)
ぽん吉ーっ!
ぽん吉ーっ!
正吉ーっ!
アハハハ…
よく来たなぁ
久しぶりだね
あの…テレビや何かで言うでしょう
「開発が進んで―」
「キツネやタヌキが姿を消した」って
あれやめてもらえません?
そりゃ確かにキツネやタヌキは
化けて姿を消せるのもいるけど…
でもウサギやイタチはどうなんですか?
自分で姿を消せます?


(【歌】いつでも誰かが)
【歌】いつでもおまえが
【歌】きっとそばにいる
【歌】思い出しておくれ
【歌】すてきなその名を
【歌】争いに傷ついて
【歌】光が見えないなら
【歌】耳をすましてくれ
【歌】歌が聞こえるよ
【歌】涙も痛みも
【歌】いつか消えてゆく
【歌】そうさきっとおまえの
【歌】微笑みがほしい
【歌】風の吹く夜
【歌】誰かに会いたい
【歌】夢に見たのさ
【歌】おまえに会いたい
【歌】いつでもおまえが
【歌】きっとそばにいる
【歌】思い出しておくれ
【歌】すてきなその名を
【歌】いつでもおまえが
【歌】きっとそばにいる
【歌】思い出しておくれ
【歌】すてきなその名を
【歌】いつでもおまえが
【歌】きっとそばにいる
【歌】思い出しておくれ
【歌】すてきなその名を
【歌】いつでもおまえが
【歌】きっとそばにいる
【歌】思い出しておくれ
【歌】すてきなその名を
【歌】いつでもおまえが
【歌】きっとそばにいる
【歌】思い出しておくれ
【歌】すてきなその名を

 

END

 

 

魔女の宅急便 全セリフ スタジオジブリ作品

魔女の宅急便 全セリフ スタジオジブリ作品

魔女の宅急便 全セリフ スタジオジブリ作品

 

魔女の宅急便 全セリフ スタジオジブリ作品

 

※セリフの羅列です。

 

(ラジオ)天気予報をお送りします
天気は全体に回復に向かっています
今夕は西北西の風風力は3
すばらしい満月の夜になるでしょう
明日は晴れでしょう
次は生鮮食品市況をお送りします
カリキア中央市場調べ…
(ラジオを消す音)
(キキ)今夜に決めたわ出発よ!
お母さーん!あっ…
いらっしゃい
お母さん天気予報聞いた?
今夜晴れるって!満月だって!
(コキリ)またラジオ持ち出したの?
ねえいいでしょう?
ドーラさんこんにちは!
私決めたの今夜にするわね
だってゆうべはひと月のばすって
次の満月が晴れるか分からないもの
私晴れの日に出発したいの
あ…待ちなさいキキ!
(ドーラ)魔女の修行のこと?
ええ古いしきたりなんです
魔女の子は13才で家を出るって…
早いねえもうそんなになるんだねえ
でもあの年で独り立ちなんて…
あなたがこの町に来た日のこと
よーく覚えてますよ
13才の小さな女の子が―
ホーキに乗って空から降りて来たわ
目をキラキラさせて…
ちょっと生意気そうで
(コキリ)でもあの子ったら―
空飛ぶことしか覚えなくて…
この薬も私の代でおしまいですわ
(ドーラ)時代のせいですよ
でも私にはあなたの薬が一番きくわ
フフフ…
急かしたくせにグズつくのね
(ジジ)旅立ちは慎重に行うべきだよ
そしてひと月のばして―
ステキなボーイフレンドが現れたら?
それこそ出発できやしないわ
どうなることやら心配だね
あらそう
私はワクワクしてるわ
(車の音)
アッ!
お父さーん!
私今夜発つことにしたの
(オキノ)なんだって!?
さっき決めたの
キャンプ道具を借りて来たのに…
ごめんなさーい
こりゃ…イカン!
ああっ!
ありがとうじゃお待ちしてます
(ダイヤルを回す音)
今夜キキが発つことになりまして…
よさそうね
せめてコスモス色ならいいのにね…
昔から魔女の服はこう決まってるのよ
黒猫に黒服でまっ黒クロだわ
キキそんなに形にこだわらないの
大切なのは心よ
分かってるわ心の方は任せといて
お見せできなくて残念だわ
そしていつも笑顔を忘れずにね
ハーイ
落ち着く先が決まったら手紙書くのよ
お父さん!あのラジオちょうだい
ねラジオはいいんでしょう?
ヤッタァ
とうとう取られたなあ…
私の小さな魔女を見せておくれ
フフフ…
母さんの若いころによく似てる…
おとーさん
ねえ高い高いして
よーし
…ンッ
ハハハ…
いつの間にこんなに大きくなって…
帰って来てもいいんだよ
そんな事になりませんよーだ
ハハハ…
いい町が見つかるといいね
ウン

(男)自分で住む町を見つけるなんて
(女)大丈夫よキキちゃんなら
(少女)どんな町にするの?
(少女)大きな町?
うん海の見えるとこ探すつもり
(少女達)うらやましいなあ
私修行に行くのよ
よその町で一年がんばらないと
魔女になれないんだから
でもディスコあるでしょ?
ハハハ…
キキ時間よ
ハーイ
あなたそのホーキで行くの?
うんかわいいでしょう
ダメよ!そんな小さなホーキじゃ
お母さんのを持って行きなさい
ヤダーそんな古いの
だからいいのよ
嵐にも驚かずに飛ぶわ
ねそうしなさい
せっかく作ったのにねえジジ
僕もお母さんのホーキがいい
うらぎりもの!
町に慣れたら自分のを作れば?
…うん
気をつけて
しっかりね
行ってきまーす
がんばってー
ゴーゴー!キーキ…
(ホーキをたたく音)
(鈴の音)
(遠くなる鈴の音)
相変わらずヘタねえ
大丈夫だ無事に行ったようだよ
(男)あの鈴の音も当分聞けないなあ
どっちへ行くの?
南よ海の見える方!

ジジラジオつけて
今手がふさがってるの早く!
(ラジオから曲が流れる)
(主題歌「ルージュの伝言」)
【歌】あのひとのママに会うために
【歌】今ひとり列車に乗ったの
【歌】たそがれせまる街並や車の流れ
【歌】横目で追い越して
【歌】あのひとはもう気づくころよ
【歌】バスルームにルージュの伝言
【歌】浮気な恋をはやくあきらめないかぎり
【歌】家には帰らない
【歌】不安な気持を残したまま
【歌】街はDing-Dong遠ざかってゆくわ
【歌】明日の朝ママから電話で
【歌】しかってもらうわMyDaring!
こんばんは!
(先輩魔女)あら…あなた新人?
ハイ今夜出発したばかりです
その音楽とめてくださらない?
静かに飛ぶのが好きなの
あ…(ラジオを消す音)
知らない町に住むって大変ですか?
そりゃねいろいろあったわ
でも私占いができるから
うらない…
近ごろは恋占いもやるのよ
わぁ…
あなた何か特技あって?
いろいろ考えてはいるんですけど…
私はもうじき修行があけるの
胸をはって帰れるのでうれしいわ
(先輩魔女)あの町が私の町なの
大きくはないけどまあまあね
あなたもがんばってね
ハイ!
じゃあねー
ヤな感じあの猫見た?
ベー
特技か…

(カミナリの音)
ワァッ
何よあの天気予報は!
ダメだよ貨物列車だもん!
雨がやむまでひと休みしよう
しかられないかな?
見つかればね
わぁびしょぬれ
ここ揺れない?
ああいい匂い
(列車の警笛)
(警笛)
ワァッ!
ワッワッ
ヤハハハ…
ゴメン知らなかったの
わぁ…
ジジ海よ海!
スゴーイ初めて
ただの水タマリじゃないか
わぁ見て見て!
大きな町!魔女いるかしら?
さーあねぇ
(警笛)
行くよ
ジジくっついてる?
アァ…
見て!
海に浮かぶ町よ
(カモメの鳴き声)
(鐘の音)
時計塔よこんな町に住みたかったの
もう他の魔女がいるかもしれないよ
いないかもしれないわ
(町の騒音)
スゴイねえ
(ジジ)大きすぎるよこの町
(時計番)魔女とは珍しいな
(キキ)この町に魔女はいますか?
いやあ近ごろはとんと見かけんな…
聞いた?私この町にする
おじいさんありがとう
(時計番)いや…

(ジジ)本当に降りる気?
もちろんよ
(人々のざわめき)
みんな見てるよ
笑顔よ!第一印象を大事にしなきゃ
(急ブレーキの音)
(人々の騒ぎ声)
あの私魔女のキキです
こっちは黒猫のジジ
おジャマさせていただきます
この町に住まわせて頂きたいんです
きれいだし時計塔もステキだし
(おばさん)そう…良かったわ
(警官)飛び出しちゃダメじゃないか
あやうく大事故になるところだ
飛び回るなんて非常識きわまりない
私は魔女です魔女は飛ぶものです
魔女でも交通規則は守らねばいかん
住所と名前は?
家に連絡するの?
君は未成年者だろうそうする事もある
(トンボの声)ドロボードロボー
ドロボー!
君はここにいたまえ
キキ…
(自転車のクラクション)
(トンボ)うまくいっただろう?
ドロボーって言ったの僕なんだぜ
君魔女だろう?飛んでるとこ見たよ
ホントにホーキで飛ぶんだね
そのホーキ見せてくれない?
(少年)トンボー!
朝っぱらからナンパかよー
(トンボ)バカァ
おっと!
頼むよねっいいだろう?
助けてくれてありがとう
でも助けてって言った覚えはないわ
それに紹介もされていないのに
女性に声をかけるなんて失礼よ
ヘッ…
さすが魔女僕の婆ちゃんみたいだ
ついてこないで!
おおっ
ああっ
カッコイイー
(フロント)お泊まり?
どなたか保護者の方は?
私は魔女です
魔女は13才で独り立ちするんです
では身分証明書など…
結構です
食べないの?
欲しければジジにあげる
もう夕方になっちゃうね…
(パトカーのサイレン)
行きましょ
(6時の鐘の音)
(ジジ)別な町を探そうよ
もっといい町があるよきっと…
(オソノ)奥さーん忘れ物!
奥さーん!
ああ困ったねえ
これがないとあの子―
大泣きするんだよ
お客さんちょっと待ってて
これ届けてくるから
あの…私でよければ届けましょうか?
え…!?でも…
あそこを曲がった乳母車の人でしょう?
じゃ頼むわ
悪いね
いいえ
ジジ行くよ
ああっ
へぇ…ワァーオ
パン屋さんに頼まれました
(赤ん坊の泣き声)
アハハハ…
ありがとう
お待ちどうさまいつものね
あっご苦労さん待ってて
ありがとう
お待ちどうさま
ハイどうも
気をつけてね
驚いちゃった空飛べるんだね
この手紙を預かってきました
あの人のサインじゃない…
“おしゃぶり受け取りました”
じゃ私これで
あっ待って
寄ってかない?お礼もしたいしさ
(亭主)オ…オイ
こっちよ
座って…コーヒーがいい?
ハイ…
ありがとう
キミはこれ
フーン自分の町を見つけるってわけか
ここの方は魔女が好きじゃないみたい
大きな町だからいろんな人がいるさ
でも私はあんたが気に入ったよ
ヒッ…!
で泊まる所は決まったの?
なんだそうなら早く言えばいいのに
家に空き部屋があるから使っていいよ
ホントですか?奥さん!
ハハハ…奥さんじゃないよ
ここらじゃパン屋のオソノで通ってる
私キキですこっちは黒猫のジジ
ちょっと汚いけど好きにしていいから
ハイ
水とトイレは下よ
何かあったら遠慮なく言いなさい
ありがとう
(ジジ)粉だらけだね
うん
僕明日には白猫になってると思うよ
ジジ海が見えるよ
明日他の町を探す?
アッ!
チェッチェッ気取ってやんの!
(パトカーのサイレン)
(ラジオ放送が流れる)
私もうちょっとこの町にいるわ
オソノさんのように私のこと―
気に入ってくれる人がいるかも…
(ラジオを消す音)

…ウーン
ハッ!
(スズメの鳴き声)
(水を流す音)
(近づく足音)
(口笛を吹く亭主)
(ため息)
(ラジオ放送が流れる)
電話を引くのっていくらすると思う?
でんわ?
そうお店開くの
おはようございます
おはようよく寝むれた?
ええいい匂いね手伝っていい?
うん
ハァー
宅急便ねぇ…
私飛ぶしか能がないでしょ
お届け屋さんはどうかなって…
“空飛ぶ宅急便”ってわけね
あの部屋使っていいからね
ホント!?
うれしい
電話を引こうと思ってるの
お金がかかるんじゃない?
少しなら持ってきたわ
もったいないよ
ねぇこの店の電話を使いなよ
お客がつくまでが大変なんだからさ
私こんなお腹だから―
あんたが店番やってくれれば
部屋代と電話代ナシってのでどう?
ついでに朝ごはんもつける!
ワァーッありがとう
私うんと働くね!
キャッ!
オソノさんっていい人ね!
ワハハハ…
ウッ…!
ジジ終わったよ
お買い物に行こう
(車のクラクション)
飛び出しちゃダメだよ
分かってるわよ!ついよつい…
(少女達の笑い声)
もっとステキな服ならよかった

暮らすって物入りねぇ…
キキ見て!見て!
お金足りる?
しばらくはホットケーキね
ステキね…
(少年達の笑い声)
(トンボ)おおっと…
止めて止めて!
マジョ子さーん!
今日は飛ばないのぉ?
なぁ本当に黒い服着てるだろ?
アッ!待ってマジョ子さーん
(少年達)ワッハハハ…
(オソノ)キキお客さんよ
お届け物を頼みたいって人がいるの
ホント!すぐ行きます!
アッ…
地図!
お店のお得意さんなのよ
あんたの話がでたらちょうどいいって
(マキ)かわいい魔女さんね
キキといいます
夕方までに間に合うかしら?
ハイ
甥の誕生日のプレゼントなんだけど
急に仕事が入って…
どちらへお届けしましょう?
僕がいる…
ちょっと遠くないかしら?
まっすぐ飛べますから
お礼はいかほど?
あの…まだ決めてないんです
これでどうかしら?
こんなに?ありがとうございます!
アッ…
わあっ
それっ
すごいなあ
私も飛べたらねぇ…
おばさんあの子知ってるの?
キキどこまでのぼるつもり?
お巡りさんにジャマされたくないの
天使にお届け物をするのかと思ったよ
あの岬の向こうだわ
行くわよ
ジジ私この町気に入ったわ
(ジジ)安心するのはご用心
これでお母さんに手紙を書けるもの
(雁の鳴き声)
雁の群れよステキ
私達と同じ方向に行くんだわ
アハハハ…
(雁さかんに鳴く)
どうしたのかしら?
“風が来る”って
エッ!?
“高く高くのぼろう”って
(突風の音)
キャッ!
(キキ)大変!

(カラスの騒ぎ声)
あ…
ああっ
いけない!ゴメンゴメン
あなたの卵を狙ったんじゃないのよ
(カラス鳴き続ける)
はぁ…怖かった
キキがいけないんだよ
雁が風だって教えてくれたのに
ほんとね
あの風を使ってあんなにのぼってる
キキーッ!
いなくなっちゃってる
ホント大変!
落ちた時かな?
ウン!
(騒ぎ出すカラス達)
ハッ!
“卵ドロボーがまた来た”って
そんなぁ…どうしよう
キャッ!
ワァーッ
やめて…やめなさい!
コラーッやめてーっ
困ったなぁまだ騒いでるわ
あーあ魔女も落ちぶれたものだよ
カラスは魔女の召し使いだったのにさ
それは大昔のことでしょ
陽が沈んでから探すしかないね
約束の時間に遅れちゃうわ
ジジこうなったら最後の手段よ
見つかっちゃうよ!
お願いすぐ助けに行くから
あの家?
うん動いちゃダメよ
息は?
できるだけしないで
(呼び鈴を鳴らす音)
(ケット)おばちゃんのプレゼントだ
ヘンなの!
アハハハ…
(母親)遅かったわね待ってたのよ
すみません
サインをお願いします
(ケット)カナリア移してもいい?
逃がさないように気をつけてね
ウン
ありがとうございました
(口笛をふく)
(ケット)おとなしくしなピッチィ
コラッダメだよ逃げちゃ
キキ早くぅ
この辺のはずなんだけど…
ハッ!
あった!
ごめんくださーい!
どなたかいらっしゃいませんか?
ごめんくださーい
(ウルスラの声)ハーイ
今手が離せないの
上がって来てくれる?
ハッ!
なぁに?
窓のとこにあるヌイグルミの黒猫
私が落とした物なんです
いい子ねぇ動かないでね
さっき森で拾ったのよ
あの…返してくださいますか?
ちょっと待って今いいとこなの
ステキよー
あんた美人だねぇ

なんだ早く言えばいいのに
ちょっと気に入ってたんだ
すみません
アッ!
やぶけちゃってる
カラス達の仕業ね
どうしようお客様の物なのに…
ねぇ交換条件ってのどう?
13才で独り立ちねぇ
いいね私そういうの好きよ
あの…直ります?
任せとけって
(母親)ケットちゃん
早くおフロに入りなさい
ケット!
ウッ…
ヒッ!
できた!
ありがとう
さあジジ君を助けに行きな
でもまだ片づけが…
もう充分だよさあ行った!
ありがとう
(ケット)ジェフって変わってるよ
(母親)猫のヌイグルミを離さないの
(父親)子犬と思ってるんじゃないか
(祖母)マキが聞いたら怒るわね
(ケット)ジェフにあげるんだよ
(母親)おばちゃんに手紙書いたら?
(祖母)ジェフも年を取ったからね
(祖母)優しくしてあげるのよ
(ケット)でも寝てばかりいるよ
(笑い声)
(母親)開けてあげて
(ケット)ハーイ
すんだら自分で閉めるんだよ
ジジ!
遅いよぉー
ゴメンね
あのヒトが助けてくれたんだよ
ヌイグルミを届けてくれるって…
お願いできますか?
まだ体おかしい?
お腹へった…
ほんとね…私もクタクタ
でもステキな一日だったわ
ヌイグルミを見つけてくれた人がね
私をモデルに絵を描きたいって
ヌード?
バカ

ヒマねぇ…
アッ!
ダメだよ店番中なのに
だってお客さん来ないんだもの
もうすぐ混む時間になるよ
違うのお届け物のお客さん…
このままずーとお客さんが来なくて
お婆さんになるまで毎日まーいにち
ホットケーキが続いたらどうしよう?
僕ホットケーキ好きだよ
猫って気楽ね
ホットケーキみたいに―
まん丸くなっても知らないから
ステキね…
ファッションデザイナーなんだって
あそこんちの猫キライだよ
(電話の音)
ハイグーチョキパン店です
エッ…ハイやってます
ジジお客よお客!
4時半にお宅へ伺うんですね
ご住所をうけたまわります
ハイ…青い屋根のお宅ですね
必ずお伺いします!
やあ!
ください
これっ
ありがとうございます
頼むから怒らないで聞いてよ
今日パーティーがあるんだ
ぜひ君に来てほしいんだよ
これ招待状
まじめな集まりなんだよ
みんな君の話を聞きたがってる
あっいらっしゃい
(男)配達をやってるって…
あっ…ハイお届け物ですか?
大急ぎで運んでくれないかね
お預かりします
大丈夫かい!?
手伝おうか?
いい…
ウ…ン
6時に迎えに来るから決めといてね
じゃあ!
いくらだね?
市内ですか?市外でしょうか?
箱に書いといたんだが
エッ!?あっすみません
オソノさーん!
パーティーの招待状もらっちゃった
ステキじゃない行って来なさいよ
でも私この服しか持ってないもん
あらそんなこと気にしてるの?
それとってもいいよ
黒は女を美しく見せるんだから
ホント?
仕事は?
あっ2つも入ってるんだ
もう4時だわ大変!
すみません店番お願いします
ジージー
フフフ…
あんなにあの子のこと怒ってたのに
声をかけないで!重いんだから!
ありがとうございました
急がなくっちゃ
次は4時半って約束なのよ
青い屋根よ!
(ノッカーをたたく音)
ご依頼をお受けしたキキと申します
(バーサ)まあ!どうぞ
時間どおーりでしたねぇ
ハイ
奥さまみえましたよ
(婦人)あらあら大変
困ったわねもう約束の時間?
どうぞ
ハイ
それ預かりましょう
黒猫にホーキ…
ひい婆ちゃんの言ったとおりだわ
魔女のキキと申します
かわいい魔女さんだこと…
それがねお料理がまだ焼けてないのよ
オーブンの温度が上がらないの
おかしいわねぇ
ダメね機械も人も年を取ると
孫に温かいお料理をと思ったのよ
私の自慢の料理―
“ニシンとカボチャの包み焼き”
あきらめましょう
孫には電話で謝っとくわ
ムダ足をさせてしまったわね
バーサバーサ!
魔女さんにお礼をお渡しして
…はい
いいのよお渡しして
奥さま!
そうさせてちょうだい
あなたのせいではないんだから
私まだ時間があるんです
そのオーブンは使えないのですか?
えっ…?ああこれね
昔はよくこれで焼いたけど…
薪のオーブンならお手伝いできます
田舎で母に仕込まれました
そうはいっても大仕事よ
名案ですよ私は電気はキライだけど
薪なら暖炉用のが…
やりましょう奥さま
そうねぇ
じゃあお願いしようかしら
パーティーに遅れても知らないよ
だってお金だけもらえないよ
急がなくちゃ
ほらまだ使えますよ
お母さまのお仕込みがいいのね
段取りがいいわ
なんかワクワクするわねぇ
私は電気はキライです
ちょうどころあいね
そのくらいでいいわ
あとは待つだけね
40分くらいでしょうか…
ええそうねひと休みしましょう
他に何かありませんか?
(婦人)じゃあお願いしようかしら?
悪いわねぇ
いいえ
もう間に合わないと思うよ
心配屋!
フルスピードならギリギリセーフよ
お茶が入りましたよ
6時からパーティー?間に合うの!?
大丈夫です15分あれば足りますから
大変!あの時計10分遅れてるのよ
ええっ!ど…どうしよう
早くカマドへ
ハ…ハイ
バーサバーサ
どうでしょう?
よく焼けてるわさっ早く
ハイッ
急いで
ハイ
忘れ物よ
いけませんこんなに!
受け取ってちょうだい
早く早く
ステキなパーティーを!
(バーサ)そこから出て!

あんなにいいお天気だったのに
ヒゲがピリピリする
雨やどりしよう!
ダメよ間に合わなくなっちゃう
お料理も冷めちゃうわ!
(6時の鐘の音)
(チャイムの音)
(少女)何かご用?
お届け物です
まあずぶぬれじゃない
でもお料理は大丈夫です
だからいらないって言ったのよ
(母親)なあに?
お婆ちゃんからまたパイが届いたの
受け取りにサインをお願いします
私このパイキライなのよね
今の本当にあの人の孫?
ベッ!
ベッ!
パーティーもう間に合わない?
キキあの男の子だよ!
今ならまだ間に合うよ!
(オソノ)大変だったわねぇ
あの男の子ずいぶん待ってたのよ
いいんですこんななりじゃ…
どうしたのキキ頭でも痛いの?
何か食べようお腹へっちゃった

(スズメの鳴き声)
キキー!
(ジジ)ニャーッ
(ノックの音)
ニャーッ
具合が悪いの?
ひどい熱ね
頭がガンガンするの
昨日体をふかなかったでしょう?
…私このまま死ぬのかしら
ん!?ハハハ…
ただのカゼよ薬を持って来てあげる
それに何か食べなきゃダメね
欲しくない
つらくてもちょっと食べた方がいいの
ミルクがゆを作って来てあげるわ
ジジにもね
ニャー
カゼの時はこれが一番
はいジジ
熱いから気をつけな
アチッ!
さあ冷めないうちに食べな
どうしても食べなきゃダメ?
治りたかったらね
さっきあの男の子がお店へ来たよ
病気だって言ったら
“魔女も病気になるんですか?”だって
フフフ…
お見舞いに来たいって!どうする?
ダメーッ!
フフフ…たぶんそう言うと思って
丁重にお断りしといたわ
よく休みなさい疲れが出たのよ
窓を開けとくね
オソノさん
ン?
ううんなんでもない
アッ!
ジー
ジー
なあ…
に…!?
ウッ!
ジーごはんよー
(オソノ)キキ!
今朝はどう?
もうすっかりいいみたい
ごめんなさい朝寝坊しちゃった
後でちょっと頼みたいことがあるの
ハイ
コポリさんていうの?
そうお礼はこれでいい?
いらないわ歩いていけるし
ダメよ仕事は仕事
必ず本人に渡してね
ジー
しごと?
お友達?何ていう名前?
リリーっていうの今行く
いいよリリーさんよろしくね
ニャーッ
アッ!
わぁ…
ステキ…
ねえマジョ子さーん!
あ…!
散歩?
コポリという人を探してるの
それ僕のことだよ
エエッ!?
そっちへ回ってすぐ行くから
ハッ!オソノさんだ!
ありがとう
この前ゴメンね待たせちゃって
君こそ雨の中大変だったね
ねぇ見せたい物があるんだ
ね!早く

こいつの完成パーティーだったんだよ
人力飛行機の機関部なんだ
ほら!
翼と胴体は別の所で組み立て中なんだ
この夏休み中に飛ばすんだぜ
僕がパイロットで
ブーン
フフフ…
ねえ海岸に行かない
不時着した飛行船を見に行こうよ
飛行船?
あれ?テレビ見なかった?
寝てたから…
じゃなおさらだ行こう!
これで行くの?
そうさ訓練訓練
足をきたえなくちゃ
さあ乗って
エ…ええ
私自転車初めてなの
ホント?そりゃいいや
足で支えてて勢いがつくまで
行くよ
蹴ってー!
降りる?
NO!
(男の人)ハハハ…
(車のクラクション)
(子供)ハハハ…がんばれー
急カーブにかかったら体を倒して!
エ…!?
体を傾けないと曲がれないんだ
それっ!
いいぞその調子!
スゴイ最高!
ハッ!
飛行船てあれ?
ああ
(車のクラクション)
ワァーッ
飛んだーっ
(トラックのクラクション)
アーッ
アッ!
ウーン…
トンボ大丈夫?
キキは?
平気…
…フフフ
アハハハ…
アハハハ…
そんなに僕の顔ヘン?
違うのとても怖かったの
フフフ…
ハハハ…僕も怖かったよ
ねっさっき魔法を使ったの?
分かんない夢中だったから
あーあ自転車めちゃくちゃ
あっ
イケね仲間に怒られる
キキ自転車を頼む
どうしたの!?
自転車こぎすぎたんだ
待てーっ

いいなあ
あんなので世界一周できたらなあ
初めて空飛んだ時どんなだった?
覚えてないのとても小さかったから
でも怖がらなかったって母さんが…
僕も魔女の家に生まれればよかった
キキなんかホーキでツィーだけどさ
僕なんかコレだもんな
フフフ…
仕事だもん楽しいばかりじゃないわ
才能をいかした仕事だろステキだよ
私ちょっと自信をなくしてたの
でも今日ここへ来てよかった
海を見てると元気になれそう
いつでも連れて来てやるよ
訓練をかねてね
トンボっていい人ね
あれ?今ごろ気がついた?
だって初め不良みたいだった
オフクロがさよく言うんだ
“この不良息子!”
“空ばかり見てないで勉強しろ!”って
ハハハ…
(少女)トンボー
ん?
スッゴイニュースよぉ
なあに?
いいこと早く!
ちょっと待っててね
飛行船の中見せてくれるって!
ワァすごい行く行く!
ねぇあの子だあれ?
魔女のキキって言うんだ
キキー!一緒に行かない?
飛行船の中見せてくれるって
私いい
ねぇ行こうよ
あの子宅急便やってる子よ
へぇもう働いてるの
たっくましい
行こうみんなに紹介するから
行かないさよなら
なんだよ!?
ねえ
なに怒ってんの?
怒ってなんかいないわ
私は仕事があるのついて来ないで
トンボ行くよ
(クラクションを鳴らす音)
(ラジオをつけまた消す音)
ニャー
ニャー
ジジ私ってどうかしてる
せっかく友達ができたのに…
素直で明るいキキはどうしたのかしら?
つめたいの…

ジジいくらいい人ができたからって
食事の時間は守ってほしいわ
ちっとも片づきゃしない
ニャー
何よ猫みたいな声出して
ニャー
ジジ?
あなた言葉どうしたの?
キキって言ってごらんジジ
ジジ!
ジジの言葉が分からなくなっちゃった
大変!
ハッ!
魔法が弱くなってる…
ハアハア…
アーッ!
ウ…ン
アアッ!
あ…
飛べない!?
魔法が消えちゃったわけ?
とても弱くなっちゃったの
お届け物の仕事も休まないと…
お店の手伝いきちんとやります
どうかあの部屋にいさせてください
かまわないけど…
魔法の力って戻るんでしょう?
分からないのホーキは作れるけど…
オイ!
キキ?僕トンボ
飛行船から手をふったの見えた?
テスト飛行に乗せてくれたんだ
もう最高だったよ
もしもし聞いてるキキ?
もう電話しないで…
エッ!?聞こえないよ
船長が君に会いたいって…
もしもし!もしもし!
どうしたのキキ顔が真っ青よ
私修行中の身なんです
魔法がなくなったら―
何の取り柄もなくなっちゃう
キキ!
ハアーイ
ああ!
ちっとも来てくれないんだから
自分から来ちゃったよ
ごめんなさい
というのはウソ
買い出しに来たついで
寄ってって!ひと区切りしたとこなの
もちろんそのつもり
案外いい部屋ね
食べて…今お茶入れてくる
お茶はいいミルクあったらくれる?
ウン
本当だねあのヌイグルミそっくりだ
君ジジっていうんだろう?
商売はどう軌道にのった?
うまくないの?
今お休み中なの
どうりで落ち込んでると思ったよ
魔法にもそんなことがあるんだね
ね私の小屋に泊まりにおいでよ
え?
店の人に断ってさいいじゃない
ジジあんたも来るかい?
ハハハ…
彼女の方がいいか
ね決めようすぐ出発!
ニャー
来てるよ!
ハハハ…
(ウルスラ)ヒャー疲れたぁ…
ステキ…
この美人が目に入らないのかしら?
エエッ!?私を男だと思ったの?
(男)そんななりしとるもんな
この脚線美が分からないとはね
カラス!?
すっかり友達になっちゃったんだ
へぇ…
ヤッホーただいま
こんにちはこの前はゴメンね
先に入ってて水くんで来るから

どう?
ステキ…
キキに会ってね
この絵描こうって決めたの
でもこの子が決まらないのよね
キキが来るのずっと待ってたんだよ
これ私?
まあね
座ってモデルになってくれる?
でも私こんなに美人じゃない
アッハハハ…
あんたの顔いいよ
この前よりずっといい顔してる
さ座ってそのイスがいい
ちょっと顔あげて遠くを見るように
そうそうしてて
魔法も絵も似てるんだね
私もよく描けなくなるよ
ほんと!?そういう時どうするの
ダメだよこっち見ちゃ
私前は何も考えなくても飛べたの
でも今は分からなくなっちゃった
そういう時はジタバタするしかないよ
描いて描いて描きまくる
でもやっぱり飛べなかったら?
(ウルスラ)描くのをやめる
散歩したり景色を見たり…
昼寝したり何もしない
そのうちに急に描きたくなるんだよ
なるかしら…
なるさ
さあホラ横むいて!
私キキくらいの時に―
絵描きになろうって決めたの
絵描くの楽しくてさ
寝るのが惜しいくらいだったんだよ
それがね全然描けなくなっちゃった
描いても気に入らないの
それまでがマネだって分かった
どこかで見たことがあるって
自分の絵を描かなきゃって…
苦しかった?
それは今も同じ…
でも絵を描くってこと分かったみたい
魔法って呪文を唱えるんじゃないんだ
うん血で飛ぶんだって
魔女の血か…そういうの好きよ
魔女の血絵描きの血パン職人の血
神さまか誰かがくれた力なんだよね
おかげで苦労もするけどさ…
魔法って何か考えたこともなかった
修行なんて古くさいしきたりだって
今日あなたが来てくれてうれしかった
私一人じゃジタバタしてただけだわ
この絵本当は消しちゃおうかって…
こんなにステキなのに!?
今日悩んでるキキの顔見たらさ
“これだ!”って
描けそうな気がしてきたの
いじわる
ハハハ…
だからあいこ
フフフ…
さっ消すよ
うん
ベッド取っちゃって悪いね
いいよ
時どきここに来ていい?
うん夏中はいる気だから
私も時どき会いに行くよ
ウン

(TV)飛行船“自由の冒険号”は
本日南極探険への旅を再開します
(隣室で電話の音)
(オソノ)はいグーチョキパン店です
ああキキ
もっとゆっくりしていてもいいのに
あそれからね
この前のお婆さんがまた来てくれって
どうする?断ろうか
当分お休みって言ったんだけど…
そうじゃ帰りに寄ってね
はい
(路面電車のベルの音)
こんにちは
まあまあさっお待ちかねですよ
参りました奥さま
今日はこのままで勘弁してね
お天気がいいのに足が痛むの
バーサあれを
ハイハイ奥さま飛びましたか?
まだよこの人飛行船に夢中なの
冒険が好きなんですよ
ちょっと音小さくしてね
キキこの箱をちょっと開けて
ハイ
奥さまこれ…
それをキキという人に届けてほしいの
この前とってもお世話になったから
そのお礼なのよ
その子のお誕生日を聞いてくれる?
またケーキを焼けるでしょう
キキ…
きっとその子も―
おばさまの誕生日を知りたがるわ
プレゼントを考える楽しみができるから
ほんとね
フフフ…
(テレビの音をあげる)
(ノイズの音)
どうしたの?
何か事件が起きたようですよ
(TV)飛行船が流されています
ああ肝心な時に
夏に時たまこういう風がふくの
(打ちつける風の音)
大丈夫通り過ぎるだけよ
奥さま!うつりましたよ
逆さまになってる
こうなるとただの風船ね
(TV)最後のロープを固定します
飛行船をつなぎ止められるでしょうか?
すさまじいヘリウムガスの力です
トンボ!あの子私の友達なの!
エッ!?
少年が一人パトカーと一緒に…
トンボ!
あなたのお友達ですって?
私行きます!
気をつけてね
大変!
(船長)がんばれ手を離すな
しっぽのヘリウムを抜け急げ
ク…ク…
ワァッ
ウオッ
ハアハア…
トンボ!
男の子は無事ですか?
さぁ?パトカーは落ちたって…
(サイレンの音)

(老人)大丈夫かね?
そのブラシを貸してください
へっ?
お願い必ずお返しします
そりゃまあ…
すみません!
ああ…
バリバリバリ…
飛べ!
(人々のざわめき)
飛んだー!
あっ!
ワアッ
(人々のざわめき)
まっすぐ飛びなさい!
(TVアナ)飛行船“自由の冒険号”は
シティタワーに近づいて行きます
このままでは衝突は避けられません
ぶつかるぞー高度をあげろーっ
ガスが足りない!塔に飛び移れ!
やってみます
(時計番)ここへ来いよー!
おじさん逃げてー!
つかまれぇ
ハッ!もっと早く!
コラーッ
(警官)アアッ?
すごいガスもれの音です
少年がどうなったのか見えません
あっ!しっぽが!
ガスが抜けて飛行船が倒れます!
引っかかった!止まりました
あーっ!あそこを見ろーっ
いた!少年がいました!
奇跡です少年はぶら下がっています
だがどうやって助ければ良いのか
このままあの勇敢な少年を見捨て…
な…なんだあれは!?
鳥…違います少女だ!
少女が空を飛んで行きます!
デッキブラシに乗った魔女です!
キキよ
それっ!
あの子飛んだわ!
がんばれ
トンボ!
キキ!
コラッ!言うことを聞いて
(船長)ガンバレもうちょっとだ!
トンボ!
キキ
(声援が響く)
ガンバレ!もうちょっとだ
ガンバレガンバレ
ガンバレー
ワーッ!
空中で受け止めましたぁ
(大歓声)
(TVアナ)今地上に降り立ちました
飛行船の乗員も無事のようです
あのデッキブラシわしが貸したんだ
キャッ…やめてよバーサ
偉いよキキ、よくやったねぇ
ハッ!あんた!
先生を呼んで、産まれそうよ!
オイ…
ジジ!
ニャー

 

やさしさに包まれたなら
【歌】小さい頃は神さまがいて
【歌】不思議に夢をかなえてくれた
【歌】やさしい気持で目覚めた朝は
【歌】おとなになっても奇蹟はおこるよ
【歌】カーテンを開いて静かな木漏れ陽の
【歌】やさしさに包まれたならきっと
【歌】目にうつる全てのことはメッセージ
【歌】小さい頃は神さまがいて
【歌】毎日愛を届けてくれた
【歌】心の奥にしまい忘れた
【歌】大切な箱ひらくときは今
【歌】雨上がりの庭でくちなしの香りの
【歌】やさしさに包まれたならきっと
【歌】目にうつる全てのことはメッセージ

 

END

 

魔女の宅急便

魔女の宅急便

 

火垂るの墓 全セリフ スタジオジブリ作品

火垂るの墓 全セリフ スタジオジブリ作品

火垂るの墓 全セリフ スタジオジブリ作品

 

火垂るの墓 全セリフ スタジオジブリ作品

 

※セリフの羅列です。

 

昭和20年9月21日夜ぼくは死んだ
おっとときたないヤツっちゃなぁ
オイ!気ぃつけんかい
きたないなぁ
死んどんのやろか
アメリカ軍がもうすぐ来るいうのに―
恥やでぇ駅にこんなんおったら
お母ちゃーん!
今何日なんやろう?
節子
またか
うん?
あぁ
なんやこれ?
ほっとけほっとけ捨てといたらええのや
うん?
こっちのヤツももうじきいてまいよるで
目ぇポカッと開けてるようなったらあかんわ

1945年6月5日神戸
退避!退避!退避してください
坂巻さんごくろうさんです
敵さん大編隊らしいでんな
こないだみたいな爆撃やったら消防裏の壕が一番安全やろ
二回もやられとるんやから今度はどっか他所のところとちゃうの
暑いわあ
ええ子やろしんぼうするんよ
アアーン
ほな一足先に壕にいかしてもらうからね
あんたらも気ぃつけて早おいでよ
節ちゃんお兄ちゃんの言うことようきくんよ
お母ちゃんそんなことええからはよ出な!
ハイハイ
あっお母ちゃん薬もった?
ハイハイもちました
防空壕いややなぁ
そないなこというとって爆弾でぶっとばされてもしらんで
早うおぶさり
あーお人形
えっ?
退避!
兄ちゃん
あっ
伏せんとぅ
アーッ
あっ
いやっ
あぁ
うわぁ
あぁ兄ちゃん兄ちゃん兄ちゃん
あぁ兄ちゃん
押さんといてつぶれてしまうがな!
キャー
あっ早う急がんかい!
アーッ!
早うしいいい加減みんなもう行きはりますさかい
お父さんアレも忘れンと早う!
天皇陛下バンザーイ
心配あれへんここやったら大丈夫や
お母ちゃんどこいった?
防空壕にいてるよ
消防裏の壕250キロの直撃かて大丈夫いうとったもん心配ないわ
お母ちゃんきっと二本松駅に来てるわ
二本松で落合うはずやから
もうちょっと休んでから行こ
体なんともないか節子
下駄ひとつあらんようになった
エッ兄ちゃん買うたるよもっとええのん
うちもお金もってるねん
これあけて
節子は金持ちやなあ
ウフッ
あー?
これが空襲の後で降るいうヤツか
ああ…!
キャ
えらいきれいサッパリしてしもたなあ?
見てみあれ公会堂や
兄ちゃんと雑炊食べにいったやろ
おうち焼けてしもたん?
そうらしいわ
どないすんの?
お父ちゃん敵とってくれるて
お母ちゃんお母ちゃん!
うちだけが焼けなんだらそりゃもう肩身が狭いやろうなあ
ハハハハ焼けてサッパリしたわ
まあ無事で何よりやったなあ
直撃2発おちよってん
ムシロかぶせてほったろか思てもな油脂こぼれるやろ
どないもこないもならへんわ
違うわおばちゃんやないわぁ
兄ちゃんオシッコ
よっしゃ
上中上西一里塚の皆さーん!
国民学校へ集合して下さーい救護所がありまーす
どないした?
目ぇ痛いねん
こすったらあかん
学校いったら洗うてくれるよ
お母ちゃんどないしたん?
学校におるわ
ガッコウ?
―そや早いこ―うん
泣いたらいかんよおりこうさんやからね
清太さん!
清太さんお母さんに会いはった?
けがしはったのよはよ行ったげな
うち見てたげる
怖かったねえ節ちゃん泣かんかった?
うん
お兄ちゃんご用があるからちょっと待っとろね
ウアーッ
ああ清太くん探してたんや元気やった?
お母ちゃんは?
こっちや
これお母さんのや
エーッ!
こっちこっち
今ようやく寝はったんや
どっか病院あったら入れた方がええねんけどな
きいてもろてるねん
西宮の回生病院は焼けんかったらしいけどな
あの…
お母ちゃん心臓わるいんですけどその薬もらえませんか
ああ聞いてみような
ほなまた来るから
お母ちゃん
わかった?
はあ…
お気の毒やねぇ
のどかわいた
何かできることあったらいうてちょうだい
そや乾パンもうもうろた?
ほな取ってきてあげるわ
この指輪財布へなおしとき
なくしたらあかんで
お母ちゃんちょっとキイキ悪いねん
じきようなるよってな
どこにおるのん?
病院や西宮のな
そやから今日は学校へ兄ちゃんと泊まって
明日西宮のおばちゃん知ってるやろ
池のそばの
あすこへ行こ
なっ?
うちら2階の教室やねんみんな居てるから来えへん?
すみませんぼくら後でいきますさかい
ほなあとでな節ちゃん
食べるか?
お母ちゃんとこいきたい
明日ならなもう遅いやろ
見てみ兄ちゃんうまいで!
包帯はとれないな見ない方がいいよ遺体は
なんせこの陽気ではなあ?
今日からでもトラックで運ばな
妹さんどないしたんや?
西宮の遠い親せきに今朝あずけてきました
焼けだされたら置いてもらうことになっとったから
そうかそらよかった
ほな私は任務があるさかいこれで…元気でな
お母ちゃん!
お母ちゃんは?
お母ちゃんまだキイキ痛いのん?
うん空襲でけがしはってん
おかえり
お母さんどないやった?回生病院?
はあ…
海軍さんはええわ疎開荷物かてトラック使うて運ぶんやから
あと蚊帳と布団は三畳に出してあるさかいな
すみません
お母ちゃんもう指輪せえへんのかな
節子にくれはったんやろか
それ大事なんやからしもうとき
お母ちゃんなあ…
お母ちゃんもうちょっとようなったら一緒に見舞いにいこうな
うん
もう遅いからお休み
うん…

あぁニシンにカツオ節干し芋に卵
それに梅干
いやーこれバターやないの
非常時いうてもあるとこにはあるもんや
軍人さんばっかりぜいたくして
それで清太さん病院よって来はった?
先のことも相談せんならんし節ちゃん連れて―
いっぺんお見舞いに行ってこんならん思とるんやけど
あかんかったんか?
お母ちゃん学校で死んだんですおとつい
なんやて死にはった?
そんならそうと何ですぐにいうてくれはらへんかったん
水くさい子やなあ
節子に知られとうなかったんです
死にはったんか…
えらいこっちゃ
すぐお父さんに手紙書いて知らせんと
アハハハ
あっ兄ちゃん!
お姉ちゃんに下駄買うてもろた
よかったな節子
おかえりなさい
よーし
アーッ
ハハハハ
大変やねえあんたらも
ありがとうございました
なんなんあの音
あー食用蛙や怖いことあれへん
あっホタル!
アーッ
ほらつかまえてみ
うわぁ
えっ?あー!
あーあつぶれてしもた
なんやへんなにおい
ギュッと握るからや
あっ?
うわあ
ぎょうさんおるなあホタルが
そや節子眼つむってアーンしてみ
なんでや
なんでもええからアーン
アーン
ロオップ!うーん
ロオップロオップロオップ
ロオップロオップ
もうちょっとでのみこんでしまうとこやった
ハ…ハハハハ
ただいま
遅かったやないの
おばさんにちゃんとお礼いうたやろな
はい
うまそうやなぁ
清太さんあんた学校どないなっとるの?
いかんでええの?
はあ動員行っとった神戸製鋼は爆撃でメチャメチャやし―
学校も焼けてしもて…行ってもしょうがないんです
へえ
お父さんには手紙書いてくれたんやろな
出しました呉鎮守府気付で
いつ?
ここへ来てすぐですからもう10日以上も前です
おかしいなあ
こっちへもまだ返事がこんのや
ハサミ使うたら返しとかなあかんよ節ちゃん!
戦局はどないですの?
ますますあかんらしいですわ
空襲で焼けてしもた分だけ他の工場にシワヨセが来ますやろ
本土決戦に備えて増産に励めの一点張りですわ
そうやろなあ食料の配給かて悪うなるばっかりやし
戦地の兵隊さんだけやのうてみんな大変ですなあ
こいさんもお国のための勤労動員やもん
ようけ食べて力つけてもらわんと
またや
あんたとこも二人も焼きだされて大変やなあ
そやけどまだ小さいのにかわいそうになあ
どないしたあせもかゆいんか?
あつい!防空壕いやや
我慢せなあかん兄ちゃんおるからこわないやろ
海行ってみよか?
うんいこいこ海!
わあみんな畑になってしもうとるわ
うわーあ
ヨッ
何しとるん?
潮水くんどるんや
塩もショウ油も配給だけやと足りんのやて
ふーん
節子はよ裸になりっ
ウウーン
ちょっと冷たいかもしれんな
キャー冷たい
気持ええやろアセモのとこ
うん
大きなおふろや
コラーッ
ウォーッ
まてー
ウォーッまてー
熊やどー食うてまうぞーウォー
キャー
あっ!
チョッキンチョッキンチョッキンナ
チョッキンチョッキンチョッキン…?
どないしたん?ねてはるわ
そんなん見んでもええよ
もうちょっと暑なったら泳げるわ教えたる
泳いだらおなかへるやんフフフッ

泳いだらおなかへるやん
清太さーん
節ちゃーんおいでぇ
おなかすいたやろカルピスも冷えてるよー
あっ!
いやお母ちゃん待ちはった?
いやほんまよう来てくれはったわ
それでおまえ元気やったんか
へぇうちは元気や
みんなようしてくれはるし心配あらへん
おなかすいたわ
さあ立ちはよ帰らんと空襲くるで
つかれたわ兄ちゃんおんぶ
待避!
お母さんの着物なあいうては悪いがもう用もないんやし―
お米に換えたらどう?
おばさんも前から少しずつ物々交換して足し前してたんよ
これで一斗にはなる思うよ
一斗!
清太さんも栄養つけな
体丈夫にして兵隊さん行くねんやろ
一斗になるんですか?
このまま置いとくよりその方がきっとお母さんも喜びはるわ
ほなちょっと行ってくるさかい
あかん!
なんや節ちゃん起きてたんかいな
お母ちゃんのオベベあかん!
あかんあかん!お母ちゃんのや
節子はなしや
いややいややいやや!
節子?
いややいややいやや!エエーンッ
いややいやや!
うわぁ
ええお米やろ
晩はこの白い御飯炊くさかいな節ちゃん
はいこれはあんたら持っててや
白いゴハンやで節子
おいっ
ハイ
こいさんも兄さんも残業やさかい
せっかくの温い御飯が食べられんで気の毒やわ
おいしいなあやっぱり白いゴハン
おかわり
ハイハイ
節ちゃん白い御飯やとよう食べるなあ
うん好きやもん
どないした
雑炊いやや
ぼくのもって来た梅干もうないんですか?
そんなもんとうにのうなったやないの
ハイお弁当
ほなもろてきます
ごくろうさん
―ほな行ってくるわ―気つけてな
見てみ昼はオムスビやから雑炊がまんして食べ
ええ加減にしとき!うちにおるもんは昼かて雑炊や
お国のために働いてる人らの弁当と一日中ブラブラしとるあんたらと
なんでおんなじや思うの
清太さんな
あんたもう大きいねんから助け合いいうこと考えてくれな
あんたらはお米ちっとも出さんと
それで御飯食べたいいうてもそらいけませんよ
通りません
ちょっとつづけてご飯食べさせたったら
まあ口が肥えてしまいよってからに!
そやかてあれうちのお米やのに
なんやそんならおばさんがズルイことしてるいうの
えらいこというねえ
みなしご二人あずかったってそういわれたら世話ないわ
よろし
うちとあんたらと御飯別々にしましょ
それやったら文句ないでしょ
それでな清太さんあんたとこ東京にも親せきいてるんでしょ
お母さんの実家でなんやらいう人おってやないの?
手紙出したらどう?
この西宮かていつ空襲されるかわからんよ
そやかて住所わからへん
早うおうちかえろ
そやねお父ちゃん待っとるもんね
カエルがなーくかーらかーえろフフフッ
かんにんかんにん順番えらい待たされてしもた

どないしたん?
おなかへったノドかわいた
よっしゃ
ほらドロップなめ
お母ちゃん銀行に七千円も貯金しとったんや
七千円やであんだけあったらなんとでもやってけるわ
もう心配あらへん
お父ちゃんになあ
“はよ返事ください節子が待ってます”いうて書いてるんや
あんたらは運がええ
今どきこないな七輪なんぼ金出したかて手に入らへんで
きょうびは売ろうにも品物がのうて商売あがったりや
特に金物はあかんどっこにもないわ
あの黄楊のクシとそれから…
番傘ないですか?
傘はないなあ
あっそや
雨雨ふれふれ兄ちゃんが
じゃのめでおむかえうれしいな
ピゥチピゥチチャゥプチャゥプランランラン
―うまいやろ兄ちゃん―うん
火の始末だけは気ぃつけてや
ハーイ
どないしたんですあのふたり
今日から自分らで自炊するんやて
ほおーそりゃまたけなげなこってすな
おかわり
お母ちゃんまたキツイこというたんちゃうの?
そやけどごめんなさいのひとことものうて
七輪から何から買うて来てからにまるでアテツケや
ゴッツォーさん
フッあー
牛になるよ兄ちゃん
ええよそんなにきちんと座らんでも
はい二人分な
これだけ?
ああ次の配給は7月に入ってからになるやろ
ウェーンエンエン
ウェーンエン
うちがやるぅ
あまいか?
ハァー
味がいっぱいする
ブドウイチゴメロンハッカぜんぶ入ってるもんな
節子みんな飲んでええわ
ハァー飲んでしもうた
あれあれ片付けもせんで寝てしもて
勝手なことばっかりして
ほんまにあの子らにはカワイゲいうもんがないんやから
ウェーンエンエン
またや
お母ちゃん…
清太さんこいさんも兄さんもお国のために働いてるんでっさかい
せめてあんた泣かせんようにしたらどないやの!
毎晩毎晩警報でええかげんみんな寝不足になっとるいうのに
うるそうて寝られへん
カーラースーなぜ鳴くの
カラスは山にー
アアーッ
中部軍勧告情報!
敵数目標は現在旧水道を北上しつつあり
清太さんまた横穴いくんか
あんたの年やったら隣組の防火活動するんが当たり前やないの
警報解除!
おうちかえりたいわあ
おばさんとこもういやや
おうち焼けてしもたもんあれへん
ホニハーニーホーイートー
ホホホーニハニーはい
屋根よーり高いコイのぼり
大きなマゴイはお父さん
よしなさい!
この戦時中になんですか怒られるのはおばさんさんですよ
非常識な
ほんまにえらい疫病神がまいこんで来たもんや
空襲いうたって何の役にもたたんし
そんな命おしいのやったら横穴に住んどったらええのに
あんなぁ
ここおうちにしようか?
ここやったらだれもけえへんし―
柱も太いし節子と二人だけで好きにできるよ
うちらのおうちにしてええのん?
うん
あっ!
えらい長いことお邪魔しましたぼくらよそへ移ります
よそて…どこ行くの?
まだはっきりしてませんけど
はあ…?
ほなまあ気ぃつけてな
節ちゃんさいなら
アハハハここが台所
こっちが玄関
ハバカリはどこにするのん?
ええやんかどこでもお兄ちゃんついてったるさかい
ありがとうございました
そこらへんに置いといてや
あのワラもう少しと…
何かオカズになるようなもん売ってくれませんか?
ああええよあるもんしかないけどな
うん?
あっ
そら!
ワーッ
わあツバが出るう
腹へったあ
とれたらあれも食えるはずなんやけどな
カエル?
うまいんやて
フーン
節子あとはええから蚊帳に入っとり
どないした?
歯ブラシ忘れて来た
ええやんか一日ぐらいせんでも
こらっ蚊にくわれるやないか蚊帳に入っとらなあかん
まっくらやしこわい
兄ちゃんションベン行くけど節子もするか
うん
あれ特攻やで
ふーんホタルみたいやね
そうやなあ
そやホタルつかまえよか?

ほら入って
ウフフフフ
あー兄ちゃんの顔みえた
節子の顔もや
あっ
あっ!かんざし
ワアーッ
よーしホタルの光窓の雪や
うわぁ
兄ちゃんな節子の生まれる前観艦式みたことあったんや
カンカンシキ?
そやお父ちゃん巡洋艦摩耶に乗ってな
連合艦隊勢ぞろいやで
守るも攻むるもくろがねの浮かべる城ぞたのみなる
敵機来襲!ババババババババ
お父ちゃんどこで戦争しはんのやろな
ううーん苦しいやん兄ちゃん
―なにしとんねん?―お墓つくってんねん
お母ちゃんもお墓にはいってねんやろ
うちおばちゃんに聞いてん
お母ちゃんもう死にはってお墓の中にいてるねんて
いつかお墓いこな
節子覚えてへんか布引の近くの墓地いったことあるやろ
あすこに居てはるわお母ちゃん
大きな樟の木の下の…
何でホタルすぐ死んでしまうん?
ハハハハハハハハ
なんやこんなとこだれか住んどるで
焼けだされかいな
シーッこわいおっさん出てくるんちゃうか
あぁいっちょまえにこれブランコやで
子供がおるんや
なんやあ?
ナンマイダナンマイダ
これが本物やったらなあ
あー“セツコ”セツコやて
みてみーこれカエルの干物や
えらいもん食うとるなあ
疎開いっとるタッちゃんやケン坊もこんなもんばっかり食うとるんやろか
オエッひきわり大豆ばっかうちの雑炊よりあかんわ
ウワーオバケが出たあウワーハハハハ
あっ待てー
それにお母さんの着物もみんな米とかえてしもて―
もうあらへんのです
おじさんとこなら前にお金でいろいろ…
着物とかお金とかそんなこというとるんやない
うちは農家やいうてもそうそう人に分けられるほどは作っとらんのや
それよりあんたらほかに身よりは?
それが連絡つかへんのです
それやったらやっぱりあの家へおかしてもろた方がええ
だいいち今は何でもかんでも配給やし
隣組に入っとらんと暮してはいけん
なっようあやまってあすこへ置いてもらい
すんませんでしたよそをあたってみますよってに
あんたも海軍さんの息子やろしっかりせなあかんで
オーイ!
ええのん?
うんうん…
うわっ
あっ!
あかん!
大豆でもコーリャンでも好き嫌いいうたらあかん
ようけ食べな大きゅうなれへんで
兄ちゃん
うん?
うち…うちなおなかおかしいねん
冷えたんか
もうずっとビチビチやねん
コノヤロー!
堪忍してください!
すんません堪忍してくださいウッ
妹病気やからサトウ汁飲ましてやりとうて
なにぬかす!戦時下の野荒しは重罪やねんど
このガキャー
コラッ待たんかい!
こらなんや!こないなちっこい芋まで掘りくさって
この辺の畑荒しとったんはお前やな
兄ちゃん!
すんません堪忍してくださいもうしませんよってに
すんませんで済むのやったら警察はいらんわい
サッサと歩かんかいブタ箱入りじゃ
―兄ちゃん兄ちゃん!―妹ほんまに病気なんです
僕おらなーどうにもなりません
兄ちゃん兄ちゃん!
兄ちゃーん!
兄ちゃん兄ちゃん…
事情はようわかったこの件は犯人説諭および調書作成の上―
善処するよってにひきとってよろしい
そっそやけど
こんだけ殴りゃ気が済んだやろう
未成年に対する暴行!
傷害!
ほっほなよろしゅう頼まっさ
今夜の空襲福井やったらしいなあ
まあ奥で水でも一杯飲んだらどうや
節子…
兄ちゃん!
兄ちゃん
どこ痛いのん?いかんねえお医者さんよんで注射してもらわな
節子!
兄ちゃんハバカリ行きたい
そこまで我慢できるか?
うん
おぶさり
オニイサンはヤマへシバカリにオバアサンは…
早うー早う

節子飯にしよっ
今日のカボチャうまいで
見てみほんまのヨーカンみたいやろ
うちヨーカンきらいや
何いうてんねん
節子食べんかったら兄ちゃんお父ちゃんに怒られるやんか
さっ兄ちゃん食わしたるさかい元気だして食べ
ようけ食べて早うようなってまた一緒に海行こ
やれやれワーイ
パーン!
ハハハハハハハハ
こんどこそうまいもん食わしたるで節子
兄ちゃん?
兄ちゃん?
お母ちゃんの形見やてこれが?
アホこんな安もんのペラペラがなんで形見やねん
ええ加減にしとき!
あっ…
節子…
節子!
節子!
兄ちゃんお水…
うん
息吸って
吐いて
それから…もう何日も下痢がとまらないんです
湿しんもアセモやないみたいやし
潮水で洗うとしみて痛がるだけなんです
栄養失調からくる衰弱ですな
下痢もそのせいだ
ハイ次の人
何か薬とか注射とか?
注射いやや
とにかく何か手当てしてくださいお願いします
薬もなんも
まっ滋養をつけることですなそれしかない
滋養いうても…
どうしました?
滋養なんかどこにあるんですか!
腹へったなあ
なに食べたい?
天プラになおつくりになところ天
もうないか?
アイスクリーム
それから…
またドロップなめたい
ドロップかあ
よっしゃ
貯金ぜんぶおろしてくるわ何かええもん買うてきたる
うちなんもいらんおうちにおって兄ちゃん
行かんといて行かんといて
行かんといて
心配せんでもええよ節子
今度貯金おろしてお米や滋養のあるもん買うたら
もうどこへも行かへん
ずっとずっと兄ちゃん節子のそばにおる
約束や
はい三千円
台風近づいとるんやて?
アメリカに降参してしもてから
なんぼ神風が吹いたかてあとの祭りやがなアホらしい
降参て?戦争に負けたんですか?
なんも知らんのかあんた
負けたって本当ですか日本が?大日本帝国が?
ああ無条件降伏やがな
連合艦隊どないしたんや!
あかんあかん
そなんもんとうの昔に沈んでしもて一隻も残っとらんわい
なんやて!
そんならお父ちゃんの巡洋艦も沈んでしもたんか?
それで返事も来なんだか!
そんなことわしが知るかい!
けったいな子やなぁ
お父ちゃんのアホ!
腹へったー
お父ちゃん
お父ちゃんも死んだ
お父ちゃんも死んだ
お父ちゃんもアーッ
節子遅うなってゴメンいま白いおかゆさん炊いたるさかいな
上いったぁ
下いったぁ
あっとまった
うまいことかしわも卵も買えたんやで
それからな…うん?
節子何なめとるんや
これオハジキやろドロップちゃうやんか
今日は兄ちゃんもっとええもんもろて来たんや
節子の大好きなもんやで
兄ちゃんどうぞ
なんや…節子?
ゴハン
おから炊いたんもあげましょうね
どうぞおあがり
食べへんの?
節子!
ほらっスイカやすごいやろ盗んだんやないで
ほらっスイカ
おいしい
待っててやすぐ卵入りのおかゆさんつくるさかい
イカここへ置いとくさかいな
なっ
兄ちゃんおおきに
節子はそのまま眼をさまさなかった
ハイ特配の炭一俵な
子供さんやったらお寺の隅など借りて焼かせてもらい
裸にしてな大豆の殻で火つけるとうまいこと燃えるわ
そやけどええ天気やなあ
いやーちょっとも変わっとらんわ
やっぱり我が家はええなぁ
久しぶりやわ蓄音機!
懐かしい景色やわあ

Mid Pleasure sand palaces
though we may roam,
Be it ever sohumble
Tere’snoplacelikehome!
Acharmfromtheskies
早うお帰り
seemstohallowusthere
Which seek through the world
isne’ermetwithelsewhere
Home!
Home,
sweet,
sweethome!
There’snoplacelikehome!
There’snoplacelikehome.
翌朝ぼくは―
ローセキのかけらのような節子の骨をドロップの缶におさめて山を降り―
そのまま壕へは戻らなかった
兄ちゃーん
もう遅いからおやすみ
うん

 

END

 

火垂るの墓 都市伝説

火垂るの墓 都市伝説

 

おもひでぽろぽろ 全セリフ スタジオジブリ作品

おもひでぽろぽろ 全セリフ スタジオジブリ作品

おもひでぽろぽろ 全セリフ スタジオジブリ作品

 

おもひでぽろぽろ 全セリフ スタジオジブリ作品

 

※セリフの羅列です。

 

(課長)10日も休暇取るっていうから
てっきり海外旅行だと
思っていたんだがね
山形の田舎へ行くんだって?岡島君
(タエ子)はい
失恋でもしたの?
田舎にあこがれてるんです
またな
じゃあな
(ツネ子)ねえ成績あがった?
(アイコ)ううん
でもいいの
(トコ)どうして?
おうち帰ったらすぐ
田舎のおばあちゃんの家に
行っちゃうんだもん
だから叱られるのはずーっと先
(タエ子)わあいいなあ
トコちゃんも田舎行くの?
うん長野タエ子ちゃんは?
わかんない
(ツネ子)あたしねー
パパが別荘買ったの
(3人)わーっすごい!
(母)やっぱり算数ダメだったのね
うんでも理科は4になったよ
ねえねえ夏休みどっか行くの?
別に
ねえねえどっか連れてって
映画に連れてってあげるわよ
「つるのおんがえし」やってるんでしょ?
そうじゃなくてどっか田舎
田舎?
そう田舎のおばあちゃんの家とか
おばあちゃんうちにいるじゃない
おじいちゃん!
(母)…は死んじゃったでしょ
うちは田舎がないの
ないものねだりしないでちょうだい
私は親の代から東京生まれの東京育ち
田舎を持ってる友だちが
うらやましかった
(ナナ子)今からじゃどこもいっぱいで
旅行なんてムリよ
でもどっか行きたい
(祖母)大野屋は?
え?
大野屋ならよく行くからひと部屋ぐらい
あけてくれるんじゃないかい
それどこどこ?
そうよ大野屋がいいわ
タエ子行ったことないし
そうねえ…
ねっねっそれ山?海?
(ヤエ子)熱海よ
え…あたみ?
そうよ新幹線乗れるわよ
そうそうあそこならいいわ
あたみ…
(ナナ子)おもしろいわよ
いろんなお風呂があって
そう
おっきいローマ風呂っていうのがあるのよ
そうよ
小さいお風呂もたくさんあるのよ
スワン風呂とか三色スミレ風呂とか
そう!三色スミレ風呂!
三色スミレ風呂…
そうよ
すごくステキなお風呂なんだから
タエ子お風呂大好きじゃない
(母)お父さんはお仕事だから
あなたたち4人で行ってらっしゃい
(2人)えっ
私たちも…
行くぅ?
(ラジオ体操の音楽)
(6年生)タエ子ちゃん
毎朝ちゃんとラジオ体操来てエライわね
みんなは田舎へ行っちゃってるのよ
タエ子ちゃんはどこか行かないの?
行く!
どこ?
あたみ!
あたみ?あたみに何しに行くの?
お風呂入りに行くの!
ふうん…
でもちょうどよかったあたしもね
来週の月曜から親せきのうちに行くの
からしばらくは
だれも来ないかもしれないわ
(コール音)
(ガチャッ)
もしもし岡島ですが
あナナ子姉さん私タエ子
今日出発するけどミツオ義兄さんから
本家に言伝てないかと思って
うーん特にないみたい…
あっそうだナオ子ちゃんに
クッキーでも買ってってくれない
ミツオおじちゃんと私からって
あとで返すから
いいわよよろしく言っといたげる
お母さんは?
今日はお出かけ
でもおこってたわよ
あなたお見合い断ったでしょ
27歳にもなってあんないいお話
もうないわよって
お母さんたらそればっか
でも考えた方がいいわよ
あなたももう若くないんだから
そうかしら
そうよ
いつまでも“ルンルン気分”じゃダメよ
それにあなたも物好きねえ
去年は野良仕事まで手伝ったんだって?
そうよ稲刈り!
今年はね紅花摘むの
ベニバナ?
そう!
せっかくナナ子姉さんのおかげで
田舎が持てたんだもの
しっかり田舎の気分ば
味わってくるっす!フフフ
フフフよしなさいよ
たまの休みなんだから
あんな古い家にとまったりしないで
オシャレなペンションなんかで
おいしい生活”すればいいのに
ステキな彼氏にめぐりあえるかもよ
ダメダメそれじゃあ
大野屋の三色スミレ風呂になっちゃう
大野屋?
あーあーあー!この前聞いたあれね
ハハハハハ
あなたまだあんなことにこだわってるの
あなたって大変な過去を
背負って生きてんのねえハハハハ…
あの時むろん姉さんたちは
熱海になんか行かなかった
ねえおばあちゃん
ん…
まだあ?
ん…
ねえお風呂行こうよ
さっき入ったじゃないか
でもスワン風呂だけだよ
わあ
すっかり退屈してしまった私は
グリム風呂を手はじめに
人魚風呂
レモン風呂
三色スミレ風呂と
お風呂のはしごをしたあげく
大きい
ローマ風呂にたどりついた時には
すっかりノボセていて
ハアハアスゴイなあハア…
(ラジオ体操の音楽)
あえなく卒倒…
期待の一泊旅行はあっけなく終わり
あとには長い長い
夏休みが待っていたのだった
(ラジオ体操の音楽続く)
この間姉妹で集まった時
姉さんたちについこの話をしてしまった
そうそうそんなことがあったっけと
大笑いになり
あの頃の思い出話に花が咲いた

(3人)わあーっ
(ヤエ子)食べたことある?
(ナナ子)ない初めて
あたしがおねだりしたんだからね
わかってるわよ
どこで買ったのお父さん
(父)銀座の千疋屋
(母)高かったでしょう?
これどうやって食べるのかな
輪っかに切るのよ
どうやって?
知らない
お父さんお店の人に
聞いてこなかったんですか
うむ…
今度の日曜日に食べましょ
えーっ今日食べないのーっ
だって食べ方わからないでしょ
んーっ
バナナ食べよっと
あっあたしも
あったかい国には
めずらしい果物があるんだねえ
(戸が開く音)
ただいまーっ!
パイナップルの食べ方わかったわよ
(2人)えーっほんと!
これちょうだい
気をつけて切れよ
出刃包丁の方がいいんじゃない
わあーっ
いいにおいいいにおい
わあっいい香りいい香り
なるほど
わあーっ
ホラお皿お皿
えっあっそ…そうね
(父)いただきます
(5人)いただきまーす
カプッ
固い!
たいしたもんじゃないな
あんまり甘くないのね
缶詰とぜんぜん味がちがうよ
長生きするといろんな経験するよ
タエ子にあげる
あたしも
ハアおいしい…
ムリして食べることないわよタエ子
腹こわすぞ
なーんだつまんないの
バナナの方がずっとおいしいわね
ほんとほんと
やっぱり果物の王様はバナナかしらね
バナナ食べよっと
(テレビのスイッチ)
【歌】どうせ私をだますなら
【歌】死ぬまでだまして
【歌】ほしかった
【歌】赤いルビーの…
(タエ子)やっぱり果物の王様は…
果物の王様は…
バナナだった!
ローマ風呂で卒倒し
初めてパイナップルを食べたあの年
ビートルズの来日をきっかけに
グループサウンズが流行しはじめ
あっという間にエレキブームが到来した
美大の一年生だったナナ子姉さんは
いつも流行の最先端
そう「ミッシェル」でしょ
ビートルズは歌詞がいいのよね
ミニスカートも真っ先にはいて
みんなとおんなじように階段は
紙袋でおシリをかくしてのぼった
高二の秀才だったヤエ子姉さんは
それでも宝塚のなんとかさんに
すっかりお熱
ヤエ子姉ちゃん
ドア…ノックしてって
いつも言ってるでしょ!
姉さんたちの思い出話は
自分のアイドルや
ファッションのことが中心だった
昭和41年ごろ
姉さんたちにはなつかしい青春の日々
でも私は当時小学校5年生
ファンになったジュリーのタイガースも
まだデビュー前で
学校と家を往復するだけの生活に
たいした思い出があるはずもなかった
…ずーっとはり出してあったの
そうよかったわね
でね東京都のね
読書感想文のコンクールにね
出すかもしれないから
大事にとっときなさいって
そうなったらうれしいなあ
(母)また給食残して来た
え?
どうしてパンにはさんでくるの?
だっておなますキライなんだもん
こんなことしたら
もう食べられないでしょもったいない
好き嫌いばっかりして
作文がちょっとぐらい上手な子より
好き嫌いしないで
なんでも食べる子の方が
ずっとえらいのよ
ゴクッゴクッ…
フウッハア
(スー)すっげえよく飲めんなあ
こんなマズイもん
ミルクはだいじょうぶなんだ
ダイコンとタマネギはだめだけど
オレ今日はニンジン残すから
ミルクは飲まなきゃ
一種類だけしか
残しちゃいけないなんて
だれが決めたのかなあ
飲んであげようか
ほっほんと!?
そのかわり
こんどダイコンかタマネギ
食べてくれる?
うんうんうんうん
(スー)サンキュッ!
あっニンジン!
一個は残してもいいんだよーだ
ふーっゲプッ
やっぱ二杯目はきつい…
週番に“やりなおし”を言われても
そのまま
走っていってしまう人がいますが
あれは絶対にいけないと思います
“やりなおし”なんて
やってらんねえよなあ
(リエ)廊下は走っちゃいけないのよ
(2人)そうよそうよ
危ないでしょぶつかったりして
まさかトコなんかにぶち当たったら
こっちがはねとんじゃうよ
もう
ドテ
走っちゃったもんはもう仕方ないだろう
そうだそうだ
“やりなおし”なんて廃止しちゃえば?
ダメよきまりなんだから
意見のある人は手をあげて下さい!
ハイ!
谷さん
週番は
廊下を走った人を走っていってつかまえ
“やりなおし”をさせたらいいと
私は思います
ハイハイハイハイ!
鈴木くん
そしたら走った週番も
“やりなおし”を
しなきゃいけないと思いまーす
そうだそうだ
“いいじゃな~イ”
そうだよ
ハイッ
谷ツネ子さん
週番は“やりなおし”をしなくても
よいと思いますなぜなら
週番はスピード違反の自動車を
つかまえるパトカーと
同じ役目だからです
(全員)ホーッ!
反対意見はありますか
パトカーだってさ
走っちゃだめよ
では週番は走っていって
“やりなおし”をさせても
よいことに決めます
ほかに議題はありますか
ハイッ
谷さん
またあいつ
でしゃばり
おしゃべりやめなさいよ
最近給食を残す人がいます
私はこの間
雑誌でベトナム戦争の記事を読みました
外国にはかわいそうな人が
たくさんいるのです私たちは幸せです
“しあわせだなあ”
オホン
食べ物は
大切にしなくてはいけないと思います
今は給食のおかずを
一種類なら残しても良い
ということになっていますけど
あまいと思います!
なんでえツネ子いいカッコして
べーっ
ひとつぐらい残したって
いいじゃんかよ
そしたらみんなミルク残すよ
かわりに食べてもらうのもいけないの?
あたりまえでしょ
パンにはさんで残す人もいるんだぞ
えーっずるーい
給食きらーい
意見の…
(2人)意見のある人は
手をあげて下さい!
“びっくりしたなあもう”
あの晩姉さんたちと別れて
ベッドに入ってからだった
5年生の時の
こんな思い出ともつかぬものが
突然私の胸に
次々とよみがえって来たのは
飼っていたゴンという犬のこと
運動会のこと
楳図かずおのマンガにおびえたこと
電気エンピツ削りにあこがれたこと
こうしたほんの些細なことまでが
ありありと思い出され
それはまるで
映画のように私の頭を占領し
現実の私を圧倒してしまった

岡島さんって人いますか?
あっあの人よ
広田くんが5組の岡島さんのこと
好きなんですって
ウフフフ…アハハハ…
行こっ
ヒロに伝えてあげたよって言おーっと!
急いで早く!
ホラね
ふーん…
ねっどこどこどこ?
あそこよ
あっほんとだ
わあ
ねっ
広田くんてどんな人?
知らない
私も
タエ子ちゃん本当に知らないの?
しし…知らないぜーんぜん
(チャイム)
広田くんってどの人ですか?
あっ5組の子だ
ヒロ呼んでるわよ
ハーイぼくです
す…すけべ横町に
変なこと書かないで下さい
えっ
岡島さんがそう言ってました
オ…オレ何も書いてない…
あらヒロ5組の岡島って子が
好きだって言ってたじゃない
そうだよそうだ
だから書いてあげたのに
えーっ
【歌】好きなんだけどチャチャチャ
【歌】はなれてるのさチャチャチャ
【歌】遠くで星を
さよなら
【歌】みるように…
アハハハ…
タエ子ちゃーん
今広田くんに会って来たわよーっ
えーっ
ちゃんと言って来てあげたからねっ
変なこと書かないでってフフフッ
あっ
ツネ子ちゃん!
あっいけない
よかったねタエ子ちゃん
う…うん
こっちこっち
ホラホラあれよ広田くんって
(スー)えーっ4組の広田が
岡島のこと好きなの?
広田ってすごいんだぜ
エースなんだ
えーっ野球の?
あいつの球打てるの殿村ぐらいだよ
へえそうなの…
(スー)今度のクラス対抗
オレたちと当たっちゃうんだ
(応援団)ガンバレガンバレ広田!
(先生)プレイボール
(スー)殿村打てよ!
かっとばせ!
ヒロがんばって
岡島さんが見てるわよ
殿村くーんがんばれ
ストライーク!
いいぞヒロ
三振三振
タエ子ちゃん
4組応援したら承知しないからね
し…しないよそんなこと
かっせーかっせー殿村!
かっせーかっせー殿村!
わーっ行けーっ!
アウト!
キャーッ!
いいぞいいぞ広田!
いいぞいいぞ広田!
打てよスー!
“一本足!”
ストライーク!
ストライーク!
ストライクバッターアウト!
すごい…
いいぞいいぞ広田!
いいぞいいぞ広田!
野球を知らなかった私にも
広田くんがスゴイってことだけは
わかって
ワーッ!
ホームランホームラン…!
いいぞいいぞ広田!
どうしたのタエ子ちゃん
寒さと緊張のあまり
私は5回も
お手洗いに行ってしまったのだった
おーいこっちだこっちだ
セーフ!
(トイレの水を流す音)
ゲームセット!
5対34組の勝ち
ありがとうございました!
キャーッ!
ステキヒロ!
ごくろうさん!
ヒロすごかったなあ
スーがいけないのよスーが
なんでだよ
よくわかんないくせに
殿村にも打てねえタマが
なんでオレらに打てるんだよ
そうだよ
(ツネ子)せっかく殿村くんがとったのに
スーがエラーしたからでしょ
3点とられたのは
ふう
おい先生が全員に
アイスクリームおごってくれるってよ!
ほんとか
すげえ
ねえねえヒロ
岡島さんとこ行って来なさいよ
そうよそうよ
あっあたし…かっかっ帰る…
ホラホラ早くホラもう
どうしたのタエ子ちゃん
ホラ帰っちゃった
ハアハアハア…
あっあの!
すけ!すっすけべ…
すすすけべよこよこよこ…
あ…雨の日と
え?
くもりの日と晴れと
どれが一番好き?
く…
くもり
(ドスッ)
あっおんなじだ
へへっ
雨の日とくもりの日と晴れと
どれが一番好き?
あっおんなじだ
キャーッ!アハハハ…
私は今度の旅行に小学校5年生の私を
連れてくるつもりはなかった
(子供の笑い声)
でも一度よみがえった10歳の私は
そう簡単に離れていっては
くれないのだった
(電車の音)
(子供の笑い声)
でもどうして小学校5年生なんだろう
(先生)4時間目の体育は
男子だけ野球をやる
女子は体育館に集合しなさい
(生徒)なんでー!?
わーい野球!
“いいじゃな~イ”
(ハイヒールの足音)
(保健の先生)今日はみなさんに
大切なお話をします
えーみなさんは
これから小学校を卒業して
中学高校へと進み大きくなって
赤ちゃんを産むんですけれども
女の人の体は赤ちゃんを産むために
準備をするんです
知ってた?
うん
ほんとに?
4年生の時に
お母さんから教えてもらった
私は発育がいいからって
ハツイク?
そうよ身長が高い子や太った子は
早く生理になるんですってだからほら
榎本さんとかオノブとか
リエちゃんなんか
もう生理あるんじゃない
へえ…
ねえねえねえ…
アレ買う?
私は買う
やっぱり
タエ子ちゃんも買うでしょ
う…うん
買った方がいいと思うな
ホラ保健の先生も言ってたじゃない
いずれ必要だって
そうよね!
おい女子が保健室に
パンツ買いに行ってんの知ってるか?
えーっ!?
スーお前知ってた?
いいや
ねえどうして?
どうしてパンツ買いに行くの?
そっそれはさ…
そのう…
なんで学校でパンツ売るんだ?
水泳パンツか?
えーっ!
中山君に話しちゃったの!
どうして言っちゃったのよ
男子には話しちゃいけないのよ
そうよ女子だけのヒミツじゃないの
ハアッ
リエちゃん中山君のこと好きだからねえ
教えてって言われたんでしょう
う…うん
(ドアの開く音)
どうしたの?
リエちゃんたら生理のお話
中山君に言っちゃったんだよ
やだあ
中山君みんなにしゃべるわよ
内緒よって言った
そんなのあてになるもんですか
(2人)ねーっ
(3人)ねーっ
やだなあ
男の子ってエッチなんだもん
スカートめくりどころじゃないわよ
おらっ
セーフ!
エッチ!
このスカートめくり全盛時代に
案の定
生理ははやってしまったのだった
セーフ!あっ生理だ
キャッ!
もう!
待てこの!
せ・い・りせ・い・と・ん
バカ!
痛いなあ
お前生理だろ
ちがうわよ
リエちゃんのせいよね
ごめんね
何が
中山君にしゃべっちゃったこと
べーつに
でも大切なことだって
保健の先生も言ってたでしょ
そりゃそうだけど
私…4年生の時なったの
え…ほんと?
だから体育ときどき休んでるでしょ
生理の時って体育休むの?
そうよお母さんが休みなさいって
中山君女の子って大変なんだなあって
言ってたのに
体育休むことも言ったの!?
うん
ほかの男子には内緒よって
約束したのになあ
そんなこと言ったら
体育休む子は
みんな生理だって思われちゃうじゃない!
えっそう?
そうよ!

コホンコホン
体育休まないからね
だめよ
夏カゼはこじらせると大変なんだから
なら学校休む
熱はないんだから行きなさい
なら体育もやる
勝手にしなさい
カゼがぶりかえしたって知らないから
コホンコホン行って来まーす
いつからあんなに
体育好きになったのかしら…
(チャイム)
タエ子ちゃん顔がまっか
あっほんとだ
どうしたの?
カゼなの
熱があるんじゃない?
体育見学しなよ
そうしなよ
私言ってきてあげる!
いいよ!
だって…
連絡帳書いて来たの
なあんだじゃいいじゃないさ
ねえ
どけどけどけ!
わあイテッ!
あたしも今日見学なの一緒だね
(リエ)いいなあ…
ドッジボールやりたいなあ…
リエちゃんあの…
その…生理なの?
うん
あたしはちがうのよカゼなのよ
知ってるよタエ子ちゃんは病気だもん
そう病気なのよ私は
生理は病気じゃないのにね
ハァ
あたしドッジボールやれるのになあ
あっ
(男子)あっ生理がうつる!
(リエ)えっ
さわるなさわるなっ!
あぶなかったあ
もう少しでうつされるとこだった
おーいこっちこっち
生理がうつるだって…
フフフ…バッカみたい
アハハハ…
お…おかしくないじゃない!
タエ子ちゃん?
あっ生理のふたり組!
ちがうわよっ!
エッチねフフフ…
リエちゃんよく平気ねえ
だって悪いことじゃないって
うちのママ言ってたけどなあ
そりゃそうだけど…
青虫はサナギにならなければ
蝶々にはなれない…
サナギになんか
ちっともなりたいと思ってないのに…
あの頃をしきりに思い出すのは
私にサナギの季節が
再びめぐって来たからなのだろうか…
たしかに就職したての数年前とは
何かがちがっている
仕事でも遊びでも
私たちは男の子たちより明るく
元気がよかった
私たちは飛び立ったつもりになっていた
しかし今思えば
あれはただ無我夢中で羽を
動かしていただけだったのかもしれない
5年生の私がつきまとうのは
“自分をふりかえって”
“もう一度はばたきなおしてごらん”
そう私に教えるためなのだろうか…
ともかく私は残り少なくなった―
山形までの時間を眠ることにした
(トシオ)あっぶねえやあ
ああーっ!
ああっ
ああ…
すみません!
あけぼの3号行っちゃいましたか?
乗りおくれたのがあんた?
いや…
ああ…
あっ!
岡島タエ子さん…ですね
あっあ…そうですが…
あーえがった
車こっちです
あ…でもすみませんがどなたですか
あっ覚えでませんか
覚えでるわげないですよね
オレトシオです
あのカズオさんのマダイドゴ
あっ!
あっそうだったんですか
アハハハ…いやだ…
あ…なんかおかしいですか
いえごめんなさい
私またヒッタクリかと思っちゃって
えっ
いやそれはヒドイなあ
ちゃんと名前確認したでしょう?
そうなのだからあたしフフッ
そそっかしくて
わざわざすみませんでした
いや
カズオ義兄さんは?
ああそれがきのう急に電話があって
お前むがえに行ってこいって
雨だったんですか
うんだけど今日は晴れますよ
オヤジの車
借りて来ればえがったんだけど…
オレこの車気に入ってるんです
ちょっとせまいけどどうぞ
(音楽が流れる)
あっ
つけでおいでいいですか
あっはい
(音楽が続く)
めずらしい音楽ですね
ハンガリー
ムジカーシュっていう5人組
えっハンガリー
うん
くわしいんですか
ちょっとね百姓の音楽
好きなんですオレ百姓だから
わあカッコイイ
へへへでしょう!へへ…
去年稲刈りのあど
本家で酒盛りやったでしょう
あんどき…
あっああ
うんあんどき若い連中が
ドヤドヤって顔出したでしょう
覚えてないがな
じづは若い娘が
東京から来たっていうがら
のぞぎに行ったんですよ
オレそのながの一人
へへ…
あっあっあ…
バァガこのぉ!

紅花摘みに来たって…
染色でもやってるんですか
いいえただの物好き
ほら紅花ってめずらしいでしょ
あ…こっちの人には
めずらしくないでしょうけど
いやあ名前ばっかり有名でね
とうの昔にすたれた特産品ですから
オレんどごも作ってねえし…
でも江戸時代はスゴかったんでしょう?
そう紅花大尽とかね
もうげた人にはスゴかったんでしょうが
百姓にはただの作物ですからね
えーと…
行く末は誰が肌ふれん紅の花
って知ってますか
ええ…芭蕉の句でしょ
来る前に調べたから
あっそうですか
へへいやじづはオレも一夜漬けで
まあフフフフ…
あああのね
その本に書いてあったんですけどね
花摘みをする女だぢは
一生にいっぺんだって
紅なんかつけられながったって
ここで芋煮会なんかやるんでしょう
そう河原が人で
いっぱいになるんですよ
農業は今も大変なんでしょう
減反とか自由化とか
ああもう大変大変
こんなごどしでだら日本の農業は
滅びてしまうんじゃないがな
ある日突然バッタリとねフフ
でもね大変大変っていうけど
一生懸命やってる仕事なら
大変でない仕事なんてないでしょう?
都会の仕事だって
それは同じじゃないですか?
ええ…
でも仕事が生き甲斐っていう人は
だんだん減ってるみたい
タエ子さんはどうなんですか
えっ私?
うん
私もちがうと思う…
仕事イヤじゃないですけどね
オレはね
一生懸命やれそうなんです農業
面白いですよ
生ぎものを育てるっていうのは
畜産の方を?
あ?ハハッ
そうじゃないです
牛もニワトリも飼ってるけど
畜産じゃなくてホライネだって
リンゴだってサクランボだって
生ぎものでしょ
ああ
うん
こっちが好ぎで一生懸命面倒みでやるど
向こうだってその気になって
がんばってくれるような気がするんです
ちょっとカッコよすぎたかな
いやそんなことない…
わかるような気がするわ
じづはオレ
ついこの前まで会社に勤めでいて
百姓としてはまだカケダシなんです
両親元気だから
ああ…そうだったんですか
うんんだから威勢のいいごどが
言えるのかもしれないけど
必要なんですよね勢いが
有機農業の先輩にひっぱられて
会社やめでバガだって言われたけど
今んどごろ後悔してませんよ
有機農業って?
ゴホン!
勇気の出る農業勇気の要る農業
っていうのは冗談でうん有機物の有機
あの堆肥なんか使って
農薬や化学肥料は
できるだけ使わない農業のことなんです
あっ聞いたことあるあの…
無農薬とか低農薬とか
ああそういう消極的な言い方じゃなくて
生きもの自体が持っている
生命力をひきだして
人間はそれを手助けするだけっていう
カッコイイ農業のことなんです
はあ…
まっでもこの手助けっていうのが
えらぐ大変なんだ
(トシオ)直接畑に連れで来てくれって
頼まれたんだけど…
(タエ子)ええすぐ手伝うの
(トシオ)あ…寝ないんですか
(タエ子)あらだって紅花は
朝露でトゲのやわらかいうちに
摘むんでしょう?
(トシオ)ああそりゃまそうだけど
(タエ子)私ヨイッパリだから
一気に朝型の生活にかえるには
夜行で来るのが一番だって考えたの
(トシオ)へえがんばるんですね
あれね!
おはようございまーす!
(キヨ子)タエ子さんよぐ来たごと
またお世話になります
おばあちゃんお元気でなにより!
(ばんちゃ)よぐ来たよぐ来たなあ
(カズオ)疲れでないかあ
いいえちっとも!
一応おふとんは
敷いでおいだんだげっとよー
だいじょうぶホラ元気いっぱい!
あれえモンペなんかはいで
張り切ってるでねえの
フフフッでも用意したのはこれだけ
いやあ今どぎここらの若妻でも
メッタくてはがね
タエ子さんの方がよっぽど本格的だあ
んだんだ
フフフフッ
タエ子さん!
コラ!
わあっうわあ…
アハハハ…
こうして私の二度目の
田舎生活が始まった
この黄色い花から
どうしてあんなに鮮やかな
紅色が生まれるのだろう
キヨ子義姉さんが
悲しい言い伝えを教えてくれた
昔はゴム手袋のようなものはない
娘たちは素手で花を摘み
トゲに指さされて血を流す
その血がくれないの色を
いっそう深くしたというのだ
一生唇に
紅をさすことのなかった娘たちの
華やかな京女に対するうらみの声が
聞こえて来るような気がした
ひと握りの紅をとるには
この花びら60貫が必要で
玉虫色に輝く純粋の紅は
当時でさえ金と同じ値段だったという
フウッ
わあっ
水洗いした花を踏んだりもんだりして
水と空気に充分ふれさせると
黄色い花びらは酸化して
しだいしだいに赤味を増す
さらに2~3日ねかせれば
花は発酵してすっかり赤くなり
粘り気を帯びてくる
これを臼でついてしぼったあと
ダンゴに丸めて押しつぶし
天日で乾燥させれば
やっと紅の原料となる花餅ができあがる
しぼりだした廃液も
昔はムダにしなかった
黄色い廃液の中にふくまれる紅の色素を
そのまま布にしみこませるのが
紅花染めで
(2人)染まれー染まれっ!
紅花染めなら色よく染まれ
色がよければ気がいさむ
紅白粉や派手な着物に
縁のなかった村の女たちは
この紅花染めをして
つつましい暮らしに彩りをそえたという
黄色い色素は水に溶け去り
木綿や麻は美しい薄紅色に染まる
わあきれい!
今では機械を入れたり
いくぶん手間を省いてはいるけれども
こうした作業のすべてを
毎日花摘みをしながらくり返す
花餅はカビやすく
花は摘みどきがあって待ってはくれない
やっと摘み終えてふりかえってみると
いつの間にかまた新しい花が咲いている
フウッ
梅雨の雨は容赦なく降り注ぎ
時には仕事が深夜に及ぶこともある
あっという間に一日一日がたち
私は快く疲れ
遠い昔の花摘み乙女の身の上を思った
もし子供の時
こんな手伝いをやる機会があったら
読書感想文なんかじゃなくて
もっと生き生きした作文が書けたのに…

(ナオ子)ねえ母ちゃん五千円
五千円?ほだな大金ねえよ
あだらしい運動靴
買ってくれるってゆったべ
運動靴がほだいするのが
うん
まさが
プーマのだもの!
プーマ?
うんプーマ
プーマだがなんだが知しゃねげんと
もっと安いのあんべが
今はいでるのとおんなじのは?
あだなダサイのもうだれもはいでねえ
みんなプーマのスポーツシューズ
買ってもらってるんだから
(キヨ子)みんなってだれ?
(ナオ子)カコちゃんだべ
メグちゃんだべ
それがらヤッちゃんにノンちゃん
(キヨ子)ホレたった4人でねえが
(ナオ子)ほがにもいるよ
みんなはいでるんだから
(キヨ子)ダメダメほだな
手伝いもロクにすねえで
(ヤエ子)あんたまた
バービーさんのドレス
買ってもらったんだって
誕生日でもないのに
クリスマスとか
誕生日だけにするっていう
約束じゃなかったの?
ほんっとにお父さん
タエ子に甘いんだから!
そうだったのかター坊
思いがけず
また5年生の私が姿をあらわした
だってぇ…
ヤエ子姉ちゃん
振袖買ってもらったんでしょ
成人式でもないのに…
お茶会で着るのよ
あたしたちはねあんたみたいに
こまごましたモノ買ってもらわないで
たまにドーンと買ってもらうのよ
ねっ
そっ!
いいかげんにしなさいよ
好き嫌いばっかりして
お父さんタマネギ好きだもんね
ああ
振袖のことだけどどうせのちのち
あんたの所へいくんだもの
いいでしょ
お古ばーっか
あらお古だって
着られない子もいるのよ
そうよそうよ
そんなら早くちょうだいよ
あのエナメルのバッグ
あらまだあげてなかったの
あんな子供っぽいの
早くタエ子にあげちゃえばいいのに
いらない
ハンドバッグいらない…
あっそならいいわよあげない
新しいのは買ってあげませんよ
いいもん!
あーよかった
私アレ気に入ってたのよね
ぜんぜん嫌いだもん
おいメシ
これなんとかしろ
ほらね結局捨てちゃうのよ
もったいないわね
捨てちゃダメ
ねえお母さん
あんたがよけたんでしょ
そんなこと言うなら
今度からちゃんと食べなさい
(祖母)うちの子はみんなわがままだよ
ねえお父さん
エナメルのバッグ買って
ヤエ子姉ちゃんがくれないんだもん
お前がいらないって言ったんじゃないか
だってえ
いらないって言ったんだから
がまんしなさい
早く支度しなさいよ
うーん…
やっぱりこっちの靴にしよっと
ねえどうして
ヤエ子姉ちゃんも行くの?
お父さんとお母さんと
私の3人で行くって言ったじゃない
(フスマの開く音)
予習が終わったから行くの!
私が行っちゃいけないって言うの?
中華料理ですもの
みんなで行った方が楽しいじゃない
だっておばあちゃんは
行かないって言ってたよ
おばあちゃんは
脂っこいものは嫌いでしょ
行きたくないなら
あんたも待ってれば
(のどじまんの鐘の音)
(テレビの音)
ほら行くわよタエ子
うーん…
早くしなさいよグズ
ハンドバッグがないんだもん
ヤエちゃん
あのエナメルのバッグ貸してあげなさい
【歌】その小さな目つぶらな瞳
【歌】はじめまして私がママよ
ほら
いたあ…
さっ行くわよ
あたし行かない
あっそお母さん行きましょ
じゃおばあちゃんと待ってなさい
なんだター坊は行かないのか
行かない!
(父)じゃ行こう
(戸を閉める音)
あたしも行くぅ!
はだしで!
お父さん!
お父さんやめて下さい
わーん
わーんわーん
(ヤエ子)ボタンがとれた…
わーん…
お出かけはもちろん中止
ほっぺたがはれて
タオルで冷やしたんだけど
いつまでもジンジン痛むの
どうしてあたしだけが
こんな目に遭うんだろう
あたしはもらいっ子なんだ
きっとそうだわなんて
その晩なかなか寝つかれないの
フトンの中でシクシク泣いちゃった
お父さんに叩かれたのそれがはじめて?
うん初めてで終わり一回だけ
ふーん…
あたしなんかとぎどき
でもないけど何回かあるよ
時々なら時々の方がいいのかもよ
一度だけだとじゃあどうして
あの時って考えちゃうのよね
でもタエ子姉ちゃんが子供の頃
ワガママだったなんて信じられない
わがままでね
好き嫌いもタマネギだけじゃなかったし
ああなんだかあたし安心しちゃった
わっ困る困る
こんな話して安心されたんじゃあ
お母さんに申しわけが立だねっ!
フフフッ
あたしプーマの靴あきらめる
えらい!
じゃあ…
おこづかい奮発しちゃおうかな
ヤッタネ
フフフッ

フフフフフフ…
ブアーッウン?
(ナオ子)こらーっ
オウッ
一本百円!
ハハハハハハ
タエ子さん明日
蔵王へドライヴに行きませんか
息ぬきに
蔵王
うん
山寺は去年行ったって聞いだから
あっ先に本家のOK取って来た
まあ…
(クラクション)
蔵王の眺めは素晴らしかった
でも蔵王蔵王
すっかりリゾート地帯になっていた
タエ子さんなして結婚しないんですか
えっあ…結婚しないとおかしい?
あいやあそんなこどないけど…
今は仕事をする女性が増えてるでしょ
私の友だちでも
結婚してない人の方が多いくらいよ
ああそっか
うんそうよ
んだべな
うんそうよ
そうか
そうよそれがあたりまえ
ふーん…
ねえトシオさん
ん?
小学校の時
分数の割り算すぐ出来た?
は?
分子と分母ひっくりかえして掛けるって
教わった通りにすんなり出来た?
うーん覚えでねえなあ…
までも算数
そんなに苦手でもなかったけど
あそう
うん
いいわねえ
覚えてないのは
すんなり出来たからよきっと
いやでもなして急にそんなこと…
分数の割り算がすんなり出来た人は
その後の人生も
すんなりいくらしいのよ
は?
リエちゃんていうね
おっとりした子がいたの
算数ぜんぜん得意じゃなかったけど
素直に分子と分母ひっくりかえして
百点!
その子はずーっと素直にすくすく育って
今はもうお母さん
2人の子持ちよ
ふーん
私はダメだったのよねえ…
アタマ悪いくせにこだわるタチなのよね
あの…あのね…
こ…のテストの前…ね
図工だったのでもって…ね
吹き絵をやったの
吹き絵?
そう
画用紙に絵の具をたらしてね
ふーって吹いて模様つくっていくの
それで?
ふーって吹くでしょふーって
だから?
あたま…痛くなっちゃったのよね
ふーってたくさん吹いたから
それでこのお点なの?
そ…そうなの
そう…
フゥッ
まちがったところの
正しいお答え分かってるの?
え?
正しいお答えよ
う…うん…
ヤエ子姉ちゃんに
教えてもらっときなさいよ
ヤエ子姉ちゃんに?
そうよナナ子お姉ちゃんでもいいから
うーんナナ子姉ちゃんにする!
(ドアの閉まる音)
ナナ子姉ちゃんまだ帰ってないから
夕ごはんのあとでやっていい?
(母答えてくれない)
ヤエ子姉ちゃんに教えてもらう…
お母さん!
お母さんお母さん!
なっなによこれ
どっどうしてなの!
教えてやってちょうだい
全然わかってないらしいの
だだだ…だってだって
いっくらなんだってどうしてなの!
だから教えてやってよ
タエ子
頭どうかしちゃったんじゃないの!
教えてやってって言ってるでしょ
だって普通にやってれば
こんな点とるわけないわよ!
だから普通じゃないのタエ子は!
(母)タエ子
ヤエちゃんに教えてもらいなさいね
吹き絵で頭が痛かったのよね
ねっタエ子
すわんな
九九をはじめから言ってみなさい
九九なんて言えるわよ
もう5年生だよ
九九が出来るなら
どうしてまちがったのよっ
だって分数の割り算だよ
ハアッ
分母と分子をひっくりかえして
掛けりゃいいだけじゃないの
学校でそう教わったでしょ
うん…
じゃどうしてまちがったの?
ヤエちゃんひとつずつ教えてやって
ハア
分数を分数で割るってどういうこと?
え?
3分の2個のリンゴを
4分の1で割るっていうのは
3分の2個のリンゴを
4人で分けると
ひとり何個かってことでしょ
ん?うん…
だから123456で
ひとり6分の1個
ちがうちがうちがう…
それは掛け算!
えーどうして?
掛けるのに数が減るの!?
3分の2個のリンゴを
4分の1で割るっていうのは…
とにかく!
リンゴにこだわるからわかんないのよ
掛け算はそのまま
割り算はひっくり返すって
覚えればいいの!
(テレビの音)
【歌】なにも言わないでちょうだい
この人の妹宝塚?
SKD
タエ子算数2なのよ
えーっ2!?
そうよついに2になったのよ
フウッ
50点とか60点とかっていうんなら
叱りようもあるけど…
そうよね
タエ子IQ調べてもらった方が
いいんじゃない?
入学の時には
普通だって言われたんだけど…
バカになったのかもよ
タエ子赤ん坊の時
2階から落っこったでしょ
そうそう歩行器に乗ったまんま
あの時は死んじゃったかと思った
タンコブ作っただけでしょう
あれが今ごろになって
そうよきっとあれよ
(母)まさか…
算数がとびぬけて出来ないだけだもの
(ナナ子)授業中おしゃべりばかり
してんのよ
(ヤエ子)ちゃんと聞いていれば
分数の割り算なんて簡単だもの
バカだって出来るわよ
(ナナ子)あれじゃ先が思いやられるわ
来年もう6年生でしょ
だって…
3分の2個のリンゴを
4分の1で割るなんて
どういうことか
ぜーんぜん想像できないんだもの
だってそうでしょ
3分の2個のリンゴを
4分の1で割るっていうのは…
今考えてみても
やっぱり難しいのよね
分数の割り算
うーん…
そうですよ
オレら百姓ももっと
こだわらなきゃいけなかったんですよ
長いものにまかれっぱなしで
都会のあどばっかり追っかけて
自分を失ってしまったんだ
んだから本当の豊かさっていうのは
何かって考えて
昔からの農業にもういっぺん
こだわってみる必要があるんですよ!
びっくりした
それで有機農業っていうわけ?
うん
エヘヘヘ
これあの先輩の受げ売りへへへ
いやでもねオレもそう思うんだ
タエ子さんが分数の割り算に
こだわったこと大事にしてるの
えらいって思いますよ
いやそんなつもりで
話したんじゃないのに
それより私なんか
いいところにお勤めですね
なんて言われるんだけど
べつにのめりこめるような
仕事じゃないし
トシオさんが自分の仕事っていうか
農業のことに夢中になってるの
とっても感心しちゃう
アハハ
それ皮肉ですか
えっまさか
いやあんまりいないのよね
そういう人
あっフフッ
今農業が完全に斜陽でしょう
何も考えねえで
仕事って割り切れるような状態だったら
いいんですけどね
そうじゃないから
いろいろ考えちゃうんですよね
仲間と勉強したり
それによって自分を励ましたり
支えたりしなきゃ
とってもやっていけないんで
ないかなあ…

タエ子さんスキーやるんでしょ
会社の人に連れられて2~3回
じゃあ今度冬に来ませんか
オレ教えますよ
スキー得意なの?トシオさん
いやあ大したことないけど
冬はここで指導員のバイトやってるから
えっ指導員じゃあ上手なんだあ
いっぱいいますよ仲間に指導員なんて
(セミの鳴き声)
あーっやっぱりこれが田舎なのね
本物の田舎蔵王はちがう
(トシオ)うーん
田舎かあ…
あっごめんなさい田舎田舎って
いやそれって大事なことなんですよ
え?
ウン
都会の人は森や林や水の流れなんか見で
すぐ自然だ自然だって
ありがたがるでしょう
でもま山奥はともかぐ
田舎の景色ってやつは
みんな人間がつくったもんなんですよ
人間が?
そう百姓が
あの森も?
そう
あの林も?
そう
この小川も?
そう
(トシオ)田んぼや畑だけじゃないんです
みんなちゃーんと歴史があってね
どこそこのヒイじいさんが植えたとか
ひらいたとか
大昔からタキギや落葉や
キノコをとっていたとか
(タエ子)ああそっか
(トシオ)人間が自然と闘ったり
自然からいろんなものをもらったりして
暮らしているうぢに
うまいこと出来上がってきた
景色なんですよこれは
(タエ子)じゃ人間がいなかったら
こんな景色にならなかった?
(トシオ)うん百姓は
たえず自然からもらい続けなきゃ
生きていかれないでしょう?
うんだから自然にもね
ずーっと生きててもらえるように
百姓の方もいろいろやって来たんです
まあ自然と人間の
共同作業っていうかな
そんなのが多分田舎なんですよ
そっか…それでなつかしいんだ
生まれて育ったわけでもないのに
どうしてここが
ふるさとって気がするのか
ずーっと考えてたの
ああ…そうだったんだ
ああ腰が痛くなっちゃった
有機農業―
ちっともカッコよくないじゃない!
ハハハカッコイイのは理念の話
前にゆったでしょう
生ぎものの手助けっていうのは
えらぐ大変だって
でもこれじゃあ
百年前と変わらないじゃない
んだから有機米っていっても
一回だけは除草剤使って
こういう大昔と同じ草取りは
しないのが多いんです
とっても人手が足りないがら
うーん…
精が出るごとなあタエ子さん
お茶にすねえが
ああ助かった
ひと休みしたいと思ってたとこ
トシオさんは私に少しずつ
いろんなことを経験させてくれた
私はすっかり
田舎を知ったつもりになって得意だった
いいなあ…
(カラスの鳴き声)
あっカラスがおうちへ帰っていくわ
一羽
あーっ
やっと本物の村でこれが言えたわ
フフッ
これ5年生の時の学芸会のセリフ
私「こぶとりじいさん」の
村の子1だったの
ハハなーんだハハッ
いやそういえばオレも
その他大勢しかやったごどないなあ
ナオ子ちゃんは?
うーんけっこう大役ばっかり
だって人数が少ないんだもん
んだべなこれだぢの生まれた頃は
もう出稼ぎが多くなってたし
ホラいわゆる村の過疎化がすすんで
わげえもんも
子供も減っちゃったんですよ
ああなるほどねえ…
じゃあいろいろ面白かったんじゃない?
ううん運動会の方が好ぎ
私意外と走るの速いんだ
いいわねえ私なんかいつもまん中へん
学芸会も村の子1だし…
でもね
さっきのは
一生忘れられないセリフなの
だってあのセリフのおかげで
スターになれるはずだったんだもん
スター?
そう
スターって?
村の子1で?
そう
おじいさんでもオニでもなくて?
そうウフ
私すごく張り切ってたから
よっぽどかわいがっだのがな?
そうじゃなくて!
うちの鏡の前で猛練習したのよ
でもなあ村の子1だら…
そうなの
セリフがあんまり短かすぎて
何度やっても物足りないの
あっカラスがおうちへ帰っていくわ
一羽…だけですもんね
わがったセリフ増やしたんだ!
当たり!
あっみてごらん
カラスがおうちに帰っていくわ
一羽
二羽
三羽
四羽
さようならカラスさん
気をつけてねーっ
(4人)わーっ
(トシオ)それで先生にほめられだ
(タエ子)その反対
はいとてもよくできました
けれど…
台本に書いてあるセリフだけを
言いましょうね
とれれれとれれ
とひゃららとひゃら
すとすとすととん
すっとんとん
(ナオ子)せっかぐ工夫したのに…
(タエ子)たしかに
あんまり良くなかったから
すぐあきらめがついたけど
でもそれで意欲を
失ったわけじゃなかったの
セリフにないところは
動作で表現すればいいんだってことに
気がついたのよね
(4人)わーっ
あっ
あっカラスがおうちに帰っていくわ
(カラスの鳴き声)
一羽
二羽
三羽
四羽
フゥッ
(4人)わーっ
(鐘の音)
たったこれだけフフッ
でも努力の甲斐があって
村の子1の演技は
評判になっちゃったの
信じられないでしょうけどね
児童劇団に入ってるのかって
お母さんが聞かれたり
よそのクラスの先生が
ほめて下さったりね
ところがもっとすごいことが起きたの

ごめん下さい
(母)はーい
なにしろ私の目の前で
いきなりダイナマイトが数十個
ドカンチョとバクハツしたのですぞ
したのですぞ
(母)え?タエ子を?
まあでも…
(学生)文化祭でやる芝居に
子役が必要なもので
その…
学生と市民の連帯のためにその…
ぜひ岡島タエ子ちゃんに
出演してほしいと思いまして
子役!
(学生)そういう状況の中で
稽古は土曜日の昼間とか
時間もおそくない時にやりますので
(母)はあでも…
あの…
帰りはきちんとお送りしますから
大人の芝居に出るの?
あんなへたっぴいなみんなとじゃなく
大人と一緒に出られる!
スターだわ!
【歌】あうあうあうあ
【歌】さわやかな私の一日
【歌】コケコケコケコケコケコッコー
【歌】コケコケコケコケコケケッコー
【歌】コケコケコケコケコケケッコー
【歌】コケコケコケコケコケケッコー!
お…
お母さーん!
ねえねえ
日大のお兄さんが
タエ子にお芝居に出てほしいんだって
タエ子学芸会で光ってたものねえ
で?で?
お母さん
よろしくお願いしますって
頭さげられちゃったわ
へえすごいじゃない
ひとつぐらいとりえはあるもんね
あらタエ子は作文だってうまいのよ
タエ子は算数よかそっちの方に
才能があるのかもしれないね
そうなのそうなの
あたしなんか
舌切りスズメのおじいさん役やったけど
お誘いなんか来なかったもんねえ
でしょでしょ
で出るの?
これがキッカケで
本職の子役になったりして
わあ
宝塚入りなさいよ
そうよ今からでも練習すれば
入れるかもよ
ハハハハハハ
演劇なんてダメだ!
芸能界なんてダメだ
そんなあ芸能界なんてオーバーよ
そうよそんな…ねえ
ダメだ
メシ!
はい
お父さんってかたいのよね
ねえねえどうして
本職の子役なんて言ったのよ
お風呂先入っていい?
いいわよ
宝塚とかさあ
芸能界とか言うからさあ
ねえねえ
なんであんなこと言ったのよ
ナナ子姉ちゃんたらあ
しつこいわね
【歌】プアボーイプアボーイ
【歌】かわいそうなトラヒゲ…
(学生)そんなにお時間とらせませんから
(母)ええでも…
(学生)ぜひお願いします
(母)本人が…恥ずかしがって…
はあ…
内気なもので…
何度も足を運んで下さったのに
本当にどうもすみません
【歌】…プアボーイプアボーイ
【歌】うちから遠くはなれて
【歌】プアボーイ
(タエ子)でさあ私のかわりに
1組の青木さんが出ることになったのよ
(母)そう…
青木さんみんなにふれまわってるんだよ
そう
今日なんかお母さんが学校に
むかえに来てさ
青木さんお洋服よそゆきのと
着がえて日大に行ったんだよ
こーんなヒラヒラしてるやつでさ
タエ子
え?
日大のお兄さんが
最初にタエ子のところに来たってこと
学校で言っちゃダメよ
え?
そんなことわかったら
青木さんいやな気持ちになるでしょう
わかった?
わかったの?
うん…
フウッ
(テレビの音)
子供ニュースでした
【歌】波をチャプチャプチャプチャプ
【歌】かきわけて
【歌】チャプチャプチャプ
【歌】雲をスイスイスイスイ追い抜いて
【歌】スイスイスイ
【歌】ひょうたん島はどこへゆく
【歌】ぼくらをのせてどこへゆく
【歌】まるい地球の水平線に
【歌】なにかがきっと待っている
【歌】苦しいこともあるだろさ
【歌】悲しいこともあるだろさ
【歌】だけどぼくらはくじけない
【歌】泣くのはいやだ笑っちゃお
【歌】すすめーひょっこりひょうたんじーま
【歌】ひょっこりひょうたんじーま
【歌】ひょっこりひょうたんじーま
かわいそうタエ子ちゃん
私高校に上がったら
すぐ演劇部に入ったの
あの時のこと
忘れられなかったのよねやっぱり
それで?
楽しかったわよ役者もやってみたの
でも向いてなかった
だからスターになりそこねた
っていうのは残念ながら冗談ウフフッ
でも…
オヤジっていうのは東京も田舎も
おんなじようなもんだったんだなあ…
オレ高校の頃
どうしても東京さ出だくってね
ああっ
ミツオさんに進学のごどで
相談の手紙書いたごどもあったんですよ
そうだったんですか…
あぎらめてからも
オレより出来の悪かったやつ
帰省してきて東京風吹かしたりされるど
やっぱりくやしくてね
あっ今ちがいますよ
今オレオヤジのごど
少しは尊敬してるんです
百姓の先輩どして
でもわがるなあタエ子ちゃんの気持ぢ
いやだから私のはただの冗談
いやあ同じですよわがりますよ
だけどぼくらはくじけない
泣ぐのはいやだ笑っちゃおか…
エヘオレも見てたんですよ
ひょっこりひょうたん島
えっホント!?
うんマシンガン・ダンディ
かっこえがったもんなあ…
私の憧れの人!
ハハハわがるわがるあっ
そういえばあの頃のうだって
励ましのうだ多かったと思いませんか
あー「ひょうたん島」にも
まだあったなあ…あの…
ホラ今日がダメなら明日があるさ
明日がダメならあさってがあるさ
(2人)あさってがダメなら
しあさってがあるさ
どこまでいっても明日がある
ドンドンガバチョドンガバチョ
ハハハハ…
ハハハ変なうだ!
トシオさんは
今日がダメなら明日にしましょ
という一日のばしの歌を
明日があるさ
と前向きにして覚えていた
そんなトシオさんの生き方が
ステキに思えた
(ばんちゃ)帰ってしまうのが明日
はい
長い間ほんとにお世話になりました
おばあちゃんもお達者にね
ありがとうさま
タエ子さんあんたこごが好ぎか?
ええとっても
もうすっかり自分のふるさとみたい
んだかそりゃうれしいなあ
オレは生まれでこのかだ
こごしか知しゃねぐて
東京さ行ったのも
ミツオとあんたの姉さんの
結婚式のとぎだけだげんと
ほんとうに東京よりこごがいいのかあ
ええそりゃあもう…
東京はゴミゴミしてて
ビルと車だらけで
もう人の住むところじゃないみたい
そんな東京から来たら
もうここは別世界です
んだが…
ほだい気に入ってくれだのがこごが
ええ自然がいっぱいで
みんな親切で
タエ子さんあんた来てくれねえべが
トシオのとごさ
え?
ミツオが東京の人になってしまったがら
こごが気に入っているあんたが
かわりにトシオの嫁に
来てくれるっていうのはどうだべ
ばんちゃん…!
母ちゃんヤブから棒にほだな…
タエ子さんがびっくりしてるでねえがや
考えでおいでけろなタエ子さん
ハハハハ気にしないで下さい
冗談ですよ
な冗談だべばんちゃん
いいやオレはマジメだ
お前だぢだって
そうなってもらいだいんだべ
ほだな…
もらいだいどが
もらいだくないどがっていう
そりゃそうなってもらいだいよ
んでもよタエ子さんは東京の人だって
アダマから決めてだっけからよぉ…
んだよ
んでもよ
タエ子さんここば気に入ってるんだし
野良仕事もがんばるし
見ででとっても気持ぢいいもんなあ
そりゃあ
トシオさんどごさ来てくれだら
こだないいごどないけんど
(カズオ)何ゆうんだお前まで
タエ子さんに失礼でねえがや
タエ子さんは東京に
れっきとした勤め口があるんだし
トシオは年下でねえが
あら
勤め口なら山形にもあるでねえの
タエ子さんおごらないで聞いで
今の農家の若い嫁さん
みんな勤めに出でんのんだから
何で急にこだな話はじめるんだ
タエ子さんは休暇を
楽しみに来てるんでねえが
それもたったの二回だぞ
こだな話急にされでも
困るだけだべだよ
んだらあんたは反対?
ほだなことゆってるんでねえって
現実的に考えろってゆってるんだ
だいいぢ
トシオの気持ぢば聞いでもみねうぢに
ばんちゃんは
ほだなごど
トシオばひと目みればわがる
んだよ
あんたみだいにさぎまわりして
ダメだってゆってねえで
タエ子さんの気持ぢば聞いでみ…
タエ子さん!
そっとしでおげ
ほれみろものにはな
順序ってものがあるんだ
オレは悪かったど思っでねえよ
農家の嫁になる
思ってもみないことだった
そういう生き方が
私にもありうるのだというだけで
不思議な感動があった
“あたしでよかったら…”
いつか見た映画のように
素直にそう言えたらどんなにいいだろう
でも言えなかった
自分の浮ついた田舎好きや
真似事の農作業が
いっぺんに後ろめたいものになった
厳しい冬も農業の現実も知らずに
“いいところですね”を連発した
自分が恥ずかしかった
私には何の覚悟もできていない
それをみんなにみすかされていた
いたたまれなかった

(アベ君)お前とは握手してやんねえよ
ハッ
(女の子)ねえねえ
今日アベ君が着てたシャツ
なあになあに
4年の時田中君が着てたやつよ
えーっ
内緒よ
アベ君てねアヒル当番の時
エサのパンおうちへ持って帰るのよ
ええーっ
アベ君の手のひら見た?すごいわよ
よかった隣の席じゃなくて
タエ子ちゃんかわいそう
先生に言って
席替えしてもらいなさいよ
そうよそうよ
男同士で並べばいいのよ
ねっタエ子ちゃん
私…私は平気よ
そんなこと言うのアベ君に悪いわよ
平気なの?
なによいい子ぶってさ
さっきの話ぜったい内緒だからね
ハアッハアッ
ぶっとばされんなよ!
アベ君!
どうしたんですかこんなとこで
なんでもないのちょっと歩きたくて
ぬれちゃってるじゃないですか
とにかく早く乗って
おみやげをねちょっと…
おふくろの漬け物…
あの本家には行かないで
え?どうして?
お願いどこでもいいから走って
どうかしたんすか
私の友だちに
アベ君ていう男の子がいたの
転校してきたの
私の隣の席になったの
アベ君が言ったの
「お前とは握手してやんねえよ」って
アベ君はね
家が貧乏らしくて
体育着も持ってなかった
アカじみてて
ソデでズズッて鼻こすりあげたり
鼻くそグリンて指でほじくるの
それでちょっとイヤな顔するとすぐ
「なんだよ!ぶっとばされんなよ」って
すごむの
私イヤでたまらなくて
早く夏休みが来ないかなって思ってた
それまで席替えないんだもん
オクラホマミキサー踊る時
手つなぐのもイヤだったし
宿題やってこないで
人のノートすぐ貸せっていうのも
イヤだった
女の子はみんな
ひそひそアベ君のウワサをするの
エンガチョって
だけど
私その仲間にだけは入らなかった
こそこそ陰口言いあって嫌うのは
いちばん悪いことだって気がしてたから
ところがね
夏休みが来ないうちに
アベ君また転校することになって
みんなとひとりずつ握手して
お別れしようって先生が決めたの
みんないやがってる空気が
サーッと伝わって来たわ
アベ君の手のひらには
アカのような筋があったの
アベ君は
みんなの席をまわって
握手して歩くんだけど
コチコチに緊張してた
最後に自分の席戻って
私と握手して終わるはずだった
私が手さしだすと
アベ君が言ったの
「お前とは握手してやんねえよ」って
「お前とは握手してやんねえよ」って
アベ君のこと
いっとう汚いって思ってたのは
あたしだったのよ
アベ君はねそのこと知ってたの
だから握手してくれなかったんだわ
フウーッゴホン
本家でなんかあったんですか
私子供の頃からそんなだったの
ただいい子ぶってただけ
今もそう
うーん
今日は変ですね
タエ子さんらしくないなあ
本家で何言われたのか知らねえけど
あのちがうの
本家には何の関係もないの
ごめんなさい
急に小学校の頃のこと思い出して
自分が情けなくなったの
だったらバカですよそのアベ君は
じづはタエ子さんが好ぎで
別れだくなかっだから
握手しなかったのかも
しれないじゃないですか
まさか
アベ君が好きだったのは
学級委員の小林さんよ
あたしには強がってばっかり
ズボンのポケットに手を突っこんで
「大人ってのはなあ葉っぱむしったり」
「ツバはいたりしながら歩くんだぞ」
「ケッ!」って
ヨタッて歩いてみせるのよ
ほらやっぱり
アベ君の気持ぢわかりますよ
オレだってちっちゃいどぎ
好ぎな女の子にワザといじわるして
泣かしたことあったもの
そんなんじゃないの
だってほかのみんなとは
一人残らず握手したのよ
しなかったのは私だけよ
これだから困るなあ女の子は
男の子の気持ぢ
全然わがらないんだから
なによ知ったかぶりして
じゃあ当てましょうか
アベ君は
そんなに強くながったでしょう
男の子にはすごんだり出来なかった
転校生だから友だぢもいない
タエ子さんは隣の席だったし
強がりを言ったりしやすかったんですよ
いじめるごどで
タエ子さんに甘えでいたんですよ
だいいぢみんなと握手なんか
したいはずないですよ
タエ子さんには本音が出せたんですよ
「お前どは握手してやんねえよー」って
ペッ!
汚ねえことすんな
ペッ!
ペッペッ
ペッ
私…
アベ君に悪くて後ろめたくて
必死にアベ君の真似をしたの
でも手おくれよねそんなことしたって
アベ君をイヤがって苦しめたことは
取り返しがつかないもの
あーっ雨やみましたよ
あっほんと
月出てる
スーッフウーッ
この辺夜走ってるど
タヌキやテンによく出くわすんですよ
へえ

そろそろ帰りましょうか
あーっいけない
きっと本家で心配してるわ
いやあ
これはすーんごいウワサになっちゃうな
ごめんなさい
すっかりトシオさんに甘えちゃって
いったい本家で何があったんだろなあ
ねえお願いそれだけは
本家でも聞かないでちょうだい
田舎の音楽かけますか
(音楽が流れる)
私は自分がトシオさんを
どう思っているのか
トシオさんは私のことを
どう思っているのか
初めて考えようとしていた
偶然とはいえ私のひねくれた心を
当のトシオさんに
解きほぐしてもらうなんて
どうしてこれほどトシオさんに
甘えることができたのか不思議だった
トシオさんが
私より年上に思えた
私が今握手してもらいたいのは
トシオさんだった
握手だけ?
この気持ちはなんなんだろう…
トシオさんをそばに感じながら
私は一心に考え続けた
忘れものはないかい
はいだいじょうぶです
じゃ冬に来るのを待ってますからね
ええそれまでに
少し勉強しとくわ農業
あれスキーじゃないんですか
まあもっとも実践あるのみですけどね
スキーは
あのごど考えでてけろな
タエ子さん
え?なに?ばっちゃん
なあに?
いやあ
オレとタエ子さんのヒミツ
うーん
きのうは何か変だったもんなあ
ごめんなさい今度はだいじょうぶ
もう5年生の私なんか
連れてこないから
待ってけろーっ
元気でねナオ子ちゃん
ハアッ
さよなら!
(ラジオの音)
【歌】さようならさようなら
【歌】好きになった人
(拍手の音)
【歌】愛は花、君はその種子
【歌】やさしさを押し流す
【歌】愛それは川
【歌】魂を切り裂く
【歌】愛それはナイフ
【歌】とめどない渇きが
【歌】愛だというけれど
【歌】愛は花生命の花
【歌】きみはその種子
(子供たちの笑い声)
【歌】挫けるのを恐れて
【歌】躍らないきみのこころ
【歌】醒めるのを恐れて
【歌】チャンス逃すきみの夢
【歌】奪われるのが嫌さに
【歌】与えないこころ
【歌】死ぬのを恐れて
【歌】生きることが出来ない
【歌】長い夜ただひとり
【歌】遠い道ただひとり
【歌】愛なんて来やしない
【歌】そうおもうときには
【歌】思いだしてごらん冬
【歌】雪に埋もれていても
【歌】種子は春おひさまの
【歌】愛で花ひらく

END

 

 

もののけ姫 全セリフ スタジオジブリ作

 

もののけ姫

 

もののけ姫 全セリフ スタジオジブリ作品

 


ナレーション「むかしこの国は深い森におおわれそこには太古からのかみがみがすんでいた」

 

アシタカ「ヤックル」

アシタカ「ちょうど良かった。ヒイさまがみな村へもどれと。じいじもそう言うの」

女の子A「山がおかしいって。鳥たちがいないの」

女の子B「ケモノたちも」

アシタカ「そうかじいじの所へ行ってみよう。みんなは早くもどりなさい」

女の子たち「ハイッ」

アシタカ「なにか来る。じいじなんだろう」

じいじ「わからぬ。人ではない」

アシタカ「みなを呼びもどしている。村のほうはヒイさまが」

じいじ「来おった。タタリ神だ!」

アシタカ「タタリ神?!」

タタリ神「ぐぇぇぇぇぇl!」

アシタカ「ヤックル!逃げろ!」

じいじ「うわっ!」

アシタカ「くっ」

アシタカ「おそう気だ!」

じいじ「アシタカ!タタリ神に手をだずな!呪いをもらうぞ!」

アシタカ「しずまりたまえ!」

タタリ神「さぞかし名のある山の主と見うけたがなぜ。そのようにあらぶるのか?」

女の子たち「おばけ。村へ!」

タタリ神「止まれェ!なぜわが村をおそう」

アシタカ「やめろ!しずまれ」

女の子A「アッ!」

女の子B「しっかり!」

アシタカ「早く!」

タタリ神「ぎぇぇぇぇぇ」

アシタカ「くっ!」

町の人たち「たおした!火をたやすな。ヒイさまを早く」

アシタカ「くっ!」

女の子「兄さま!兄さま」

アシタカ「カヤふれるな。ただ傷のではない」

町の人A「アシタカが手傷をおった!」

町の人B「ヒイさまは?」

ヒイさま「みな!それ以上近づいてはならめぞ!」

町の人C「ヒイさま!」

ヒイさま「この水をゆっくりかけでおやり」

ヒイさま「いずこよりいましあらぶる神とは存ぜぬもかしこみかしこみ申す。この地に塚を築きあなたのみたまをお祭りします。うらみを忘れしずまりたまえ」

タタリ神「けがらわしい人間どもよ。わが苦しみと憎しみをるがいい...」

ヒイさま「さて困ったことになった。かのシシははるか西の土地からやって来た。深傷の毒に気ふれ身体はくさり走り来る内に呪いを集めタタリ神になってしまったのだ。アシタカヒコやみなに右腕を見せなさい」

アシタカ「はい」

町の人たち「おお-」

ヒイさま「アシタカヒコやそなたには自分の運命を見すえる覚悟があるかい」

アシタカ「タタリ神に矢を射るとき心を決めました」

ヒイさま「そのアザはやがて骨までとどいてそなたを殺すだろう」

町の人1「なんとかなりませぬかヒイさま」

町の人2「アシタカは村を守り!」

ほかの町の人「乙女らを守ったのですぞ。ただ死を待つしかないというのは...」

ヒイさま「誰にも運命はかえられないだが、ただ待つかみずからおもむくかは決められる。見なさい。あのシシの身体にくいこんでいたものだよ。骨をくだきはらわたをひきさきむごい苦しみをあたえたのだ。さもなくばシシがタタリ神どになろうか...西の土地でなにか不吉なことがおこっているのだよ。その地におもむきくもりない眼で物事を見定めるならあるいはその呪いを断つ道が見つかるかもしれぬ。大和との戦さにやぶれこの地にひそんでから五百ゆう余年いまや大和の王の力はなく、将軍どもの牙も折れたときく。だが我が一族の血もまたおとろえたこのときに一族の長となるべき若者が西へ旅立つのは定めかもしれぬ」

アシタカ「...」

ヒイさま「掟に従い見送らぬ健やかにあれ」

女の子「兄さま!」

アシタカ「カヤ!」

アシタカ「見送りはじられているのに」

女の子「おしおきはうけます。どうかこれを。私のかわりにお伴させてください」

アシタカ「これは?大切な玉の小刀じゃないか」

女の子「お守りするよう息を吹きこめました。いつもいつもカヤは兄さまを思っています」

アシタカ「わたしもだ。いつもカヤを思おう」

アシタカ「戦さ?!」

侍1「回り込め!」

アシタカ「カブトクビだ!」

アシタカ「ハッ!もどれ-っしょうぶしょうぶ!」

アシタカ「やめろ-っ!なにっ?!」

侍2「うわっ!」

アシタカ「なんだこの腕は?!」

侍たち「逃がさぬぞ!見参!」

アシタカ「押しとおる!邪魔するな!」

侍3「鬼だ...」

アシタカ「アザが濃くなっている...」

ジコ坊の友人「なんとも白湯みたいなめしだな」

ジコ坊「おっ!」

ある町の人「いた!いた!」

ジコ坊の友人「へへっ」

エボシ「なんだいこりゃ?おアシじゃないじゃないか」

ジコ坊「まてまて拙僧がみてやろう。これは砂金の大粒だぞ!」

エボシ「ゼニがいいなら代金はワシが払おう。そのかわりこれをゆずってくれ!」

ジコ坊「みなの衆!この近くに両替屋はおらんかの?」

ジコ坊「お~い!そういそがれるな。いや礼などと申す気はない。礼を言いたいのは拙僧のほうでな。田舎侍の小ぜりあいにまきこまれた折をそなたのおかげで助かったのだ。鬼神のごときとは正にあれだな」

ある町の人たち「ホッホッ。気づいたか?人前で砂金など見せるとなァ。まことに人の心のすさむこと麻のごとしだ」

ジコ坊「寝こみをおそわれてもつまらぬ。走るか!?」

ある町の人たち「チッ!くそっ」



ジコ坊「イノシシがタタリ神になったか...」

アシタカ「足跡をたどって来たのですが里におりたとたんわからなくなりました」

ジコ坊「そりゃそうだろう。そこらを見なさい。この前来たときはここにもそれなりの村があった」

のだが洪水か地すべりか...さぞたくさん死んだろうに戦さ、行きだおれ病に、飢え。人界はうらみ」

をのんで死んだ亡者でひしめいとる。タタリというならこの世はタタリそのもの」

アシタカ「里へおりたのはまちがいでした人をふたりもあやめてしまった」

ジコ坊「人はいずれ死ぬ。おそいか早いかだけだ。おかげで拙僧は助かった。椀をだしなさい」

ホウ、みやびな椀だな。そなたを見ていると古い書に伝わる、いにしえの民を思いだす。東の果てに」

アカシシにまたがり石のヤジリを使う勇壮なるエミシの一族なりとな...かんじんなこと」

は死にくわれぬことだ!」

アシタカ「このようなものを見たことはありませんか」

ジコ坊「これは?」

アシタカ「イノシシの身体からでてきました。巨大なイノシシにひん死の傷をあたえたものです」

ジコ坊「これよりさらに西へ西へと進むと山の奥のまた山奥に人をよせつけぬ深い森がある。シシ神の森だ。そこではケモノはみな大きく太古のままに生きているときいた」

アシタカ「...」」

ジコ坊「やはり行くか...」

エボシ「みなあとわずかだ。油断す。ましぞ!」

町の人1「でたぞ!犬神だ!」

町の人2「あせらずに陳をくめ!」

町の人3「せいて火薬をめらすな!」

町の人2「モロ!来い!」

モロ「ググッ」

町の人3「やりました!」

エボシ「きやつは不死身だ。このくらいでは死なん!」

町の人3「すぐ出発しよう。隊列をくみなおせ」

甲六「ううっ...」

アシタカ「!」

アシタカ「しっかりしろ!」

アシタカ「!」

アシタカ「わが名はアシタカ。東の果てよりこの地へ来た。そなたたちはシシ神の森にすむときく古い神か?!」

サン「去れ!」

アシタカ「!」

甲六「あわわわわ...」

アシタカ「コダマ?!ここにもコダマがいるのか」

アシタカ「しずかに!動くと傷にさわるぞ。すきにさせておけば悪さはしない。森が豊かなしるしだ!」

アシタカ「こいつらはシシ神を呼ぶんだ。大きな山犬か?」

甲六「ちがう!もっとおっかねぇ化物の親玉だ。危険なものは近くにいない」

アシタカ「すまぬがそなたたちの森をとおらせてもらうぞ」

甲六「おねげぇです。もどりましょうよ。むこう岸なら道がありやす」

アシタカ「この森をぬけるなんてムチャだ。流れが強すぎて渡れない。それにこのケガ人は早くしないと手おくれになるぞ。道案内をしてくれてるのか。迷いこませる気なのか」

甲六「ダンナ~こいつらワシらを帰さねぇ気なんですよ」

アシタカ「どんどんふえてやすぜ。これがおまえたちの母親か。リッパな樹だ」

病者「ふふっ」

アシタカ「あの少女と山犬の足跡だ!ここは彼らのナウバリか...」

甲六「ダンナ...こんどこそヤバイですよ。ここはあの世の入り口だ!」

アシタカ「そうだな。ちょっと休もう」

アシタカ「足跡...?!ひずめが三つ...まだ新しい」

アシタカ「うっ!」

甲六「だ、ダンナ!どうしたんで」

アシタカ「くっ!ハァハァ」

甲六「ダンナ、すげえタタラについた!まるで城だな。エボシさまの大タタラでさ。砂鉄を沸かして鉄をつくってるんです。

町の人「森から人が来る」

町の人「もののけか?」

甲六「おれだ~牛飼いの甲六だ~」

町の人「なにィ甲六ガ...」

町の人「カカァにしらせろ」

町の人「うそじゃねぇ!いま舟でこっちに来る」

ゴンザ「何事か!?おれが字を書いてるときはしずかにしろ!」

町の人「死んだはずの甲六がむこう岸にでたんでさぁ」

町の人「幽霊じゃねぇな」

町の人「他のヤツはどうした」

町の人「おいっ」

町の人「助けられたのはおれたちだけだ」

甲六「石火矢の衆よ。このダンナがずっとおぶってくださったんだ。礼を言っとけ」

町の人「さま、あの頭巾の者は何者でしょう?見なれぬ姿だな」

ゴンザ「そこの者、まて!ケガ人をとどけてくれたことまず礼を言う。だが得心がいかぬ。われらがここへついて半刻もせぬうちにおまえは来た。しかも谷底から大の大人をかつぎシシ神の森をぬけてだと...」

トキ「甲六~生きとったんか~。牛飼いが足をくじいてどうやっておマンマくってくんだよ」

甲六「んなこと言ったってよ」

ゴンザ「心配ばかりかけやがって」

トキ「いっそ山犬にくわれちまえばよかったんだ。そうすりゃあたしはもっといい男を見つけてやる」

甲六「おトキ~カソニソしてくれよ~」

ゴンザ「トキーーーー夫婦喧嘩はよそでやらんかい」

トキ「なにさ。えらそうに。なんのための護衛なのさ。ふだんタタラのひとつもふまないんだ」

ゴンザ「いざというときは生命をはりやがれ」

トキ「しかたがなかろう...。ありがとあんな亭主でも助けてくれてうれしいよ」

アシタカ「よかった。つれて来てはいけなかったのかと心配してしまった」

エボシ「ゴンザッ!あとで礼を言いたい。客人を案内しなさい」

町の人たち「エボシさま」

エボシ「甲六、よく帰って来てくれた。すまなかったな。トキも堪忍しておくれ。わたしがついていたのにザマァなかった」

トキ「いいえ。男たちだけだったら今頃みんな仲良く山犬の腹の中ですよ」

エボシ「旅のおかたゆるりと休まれよ」

アシタカ「す...」

トキ「あらっ、いい男じゃない!」



町の人たち「そ-れ」

町の人「モロをやっつけて運んだ米だ!ありがたくうえよ!」

町の女「どこどこ?」

町の女「え?あの人?」

町の女「ほんとトキの言ったとおりじゃん」

町の女「いい男ね~」

町の女「ちょっと若すぎない?」

町の人「しずかにしねぇか。通夜をやってるんだぞ」

町の女「ネィ、旅のおかたあたいたちの所へきな」

町の女「こんなクサイ小屋はやめてさ」

町の人「てやんでェ。おれたちが生命がけで運んだをくらってよ」

町の女「その米を買う鉄はだれがつくってるのさ。あたいたちは夜っぴいてタタラをふんでるんだ」

アシタカ「よかったらあなたたちのはたらく所を見せてください」

町の女「おしろいぬってタタラを」

町の女「紅もさす?」

町の女「きっとだよ-」

町の女「まってるからね~」

甲六「ダンナ気をわるくしねぇでください」

町の人「エボシさまが甘やかしすぎるんで」

アシタカ「いい村は女が元気だと聞いています」

町の人「でもなぁタタラ場に女がいるなんてなぁ。ふつうは鉄を汚すってそりゃ~~いやがるもんだ」

甲六「おっ!はじめやがった。エボシさまときたら売られた娘を見るとみんなひきとっちまうんだ。そのくせ掟もタタリもヘッチャラなコワイ人だよ」

町の人「そうそう。ナゴの守をやったときなんか見せたかったぜ」

アシタカ「ナゴの守?!」

町の人「すげえでかいイノシシでよ。このあたりのヌシだったのよ。でよ、だれも山に近よれねぇ。お宝の山を見ながら人間様(さま)はをくわえてたのよ」

町の人たち「ハハハ!」

町の人「この下じゃ砂鉄(さてつ)をとりつくしちまったからな」

アシタカ「何人ものタタラ師がここをねらってよ。みんなやられちまったんだ。おれたちの稼業は山をけずるし木を切るからな。山の主が怒ったてな。そこへエボシさまが石火矢衆(いしびやしゅう)をつれてあらわれたってわけだ」

町の人「ダンナ、どうしたんで?」

アシタカ「そのイノシシのことを考えていた。いずくで果てたかさぞ。うらみは深かろう」

エボシ「アシタカとやらまたしてすまぬな。あすのおくりのしたくに手間どってね。いい鋼(はがね)だ」

エボシ「ちょっと休もう。そなたを侍どもか、もののけの手先とうたがう者(もの)がいるのだ。このタタラ場を狙う者がたくさんいてね。旅のわけを聞かせてけれぬか」

アシタカ「このつぶてにおぼえがあるはず。巨大なイノシシ神の骨をくだき肉を腐らせタタリ神にしたつぶてです。このアザはそのイノシシにとどめをさしたときにうけたもの死にいたる呪いです」

エボシ「そなたの国は?見なれぬシシに乗(の)っていたな」

アシタカ「東と北のあいだより...それ以上は言えない」

ゴンザ「正直にこたえぬとたたっきるぞ!」

エボシ「そのつぶての秘密を調べてなんとする」

アシタカ「くもりなきまなこでものごとを見定(みさだ)め、決める」

エボシ「フフア-ッハハハハハハハわかった。わたしの秘密を見せよう。来なさい。ゴンザ!あとをたのむよ」

エボシ「ここはみなおそれて近よらぬ。わたしの庭だ。秘密をしりたければ来なさい」

働いてる人「ちょうどくみあがったところですよ」

エボシ「まだちょっとおもいな」

働く人「あまりけずると銅金がはじけます」

エボシ「わたしだけが使うのではない。ここの女たちにもたせるのだ。ホホホさぞ見ものでしょうね。この者たちが考案した新しい石火矢(いしびや) だ。明国(みんこく)のものはおもくて使いにくい。この石火矢なら化物(ばけもの)も侍(さむらい)のヨロイもうちくだけよう」

働く人たち「コワヤコワヤエボシさまは国くずしをなさる気だ」

エボシ「いそがせてすまぬな。あとで酒などとどけよう」

アシタカ「あなたは山の犬の森をうばいタタリ神にしてもあきたらずその石火矢でさらに新(あら)たなうらみと呪いを生みだそうというのか?!

エボシ「そなたには気の毒だった。あのつぶて、たしかにわたしのはなったものおろかなイノシシめ。呪うならわたしを呪えばいいものを」

エボシ「その右腕はわたしを殺そうとしているのか」

アシタカ「呪いが消えるものならわたしもそうしよう。だがこの右腕はそれだけではとまらぬ。ここの者すべてを殺すまでしずまらぬか」

働く人「エボシさまその若者の力あなどってはなりません」

働く人「長(おさ)!お若いかた、わたしも呪われた身ゆえ。あなたの怒りや悲しみはよくわかる。わかるが、どうかその人を殺さないでおくれ。その人はわしらを人としてあつかってくださったたったひとりの人だ。わしらの病(やまい)をおそれずわしのくさった肉を洗い布(ぬの)をまいてくれた。生きることはまことに苦しくつらい...世(よ)を呪い人を呪いそれでも生きたい...どうかおろかなわしにめんじて...」

エボシ「また来ていたか。夜になるとああしてもどってくるのだ。山をとりもどそうと木を植(う)えにくる。アシタカ、ここにとどまり力をつくさぬか」

アシタカ「あなたはシシ神の森までうばうつもりか?!」

エボシ「森に光が入り山犬どもがしずまればここは豊かな国になる。古い神がいなくなればもののけたちもただのケモノになろう。さすればもののけ姫も人間にもどろう」

アシタカ「もののけ姫...」

エボシ「山犬に心をうばわれたあわれな娘だ。わたしを殺そうとねらいつづけている。シシ神の血はあらゆる病をいやすと聞く。そなたのアザを消す力もあるかもしれぬぞ!」

働く人たち「エボシさま、首尾(しょび)はいかがでしょうや?」

エボシ「上出来(じょうでき)だ。正(まさ)に国くずしにふさわしいが...やはりちょっとおもいな」

町の女「あらっ?!あんた」

アシタカ「おトキさん、わたしもふませてくれ。かわってくれないか。せっかくだからかわってもらいな」

町の女たち「すごい力!」

トキ「ねっイイ男だろう。そんなにリキむとつづかないよ。旅人(たびびと)さん」

アシタカ「きびしい仕事だな」

町の女「そりゃそうさ」

トキ「四日五晩(よっかいつばん)ふみめくんだ」

アシタカ「ここのくらしはつらいか?」

トキ「そりゃあさ...でも下界(げかい)にくらべりゃずっといいよ」

町の女たち「お腹いっぱい食べられるし。男がいばらないしさ」

山犬「ウ~~ッグルルル」

町の女たち「あした行っちゃうの?もっといればいいのに」

アシタカ「ありがとう、でもどうしても会(あ)わなければならない者がいるんです」

町の女「ここではたらきなよ」



アシタカ「ハッ」

アシタカ「来る!」

ある町の人「もののけ姫だ!」

ある町の人「うわっ!くっ。うわっ~」

アシタカ「!」

町の人たち「姫だ~!」

アシタカ「やめろ!」

アシタカ「くっ!」

アシタカ「そなたと戦(たたか)いたくない!」

町の人「入ったのは姫ひとりだ」

町の人「御殿のほうへ行くぞ!」

ゴンザ「かがり火をふやせ。石火矢衆は柵(さく)をかためろ」

町の人「もち場(ば)をはなれるな」

町の女「この屋根(やね)のにいるらしいよ」

トキ「さわぐんじゃない。休まずふみな!火をおとすととりかえしがつかないよ」

エボシ「ひとりか?」

ゴンザ「はっ、よほど追いつめられたと見えます。エボシさまをねらってのことでしょう」

エボシ「しかたがない。来なさい」

エボシ「もののけ姫!きこえるか。わたしはここにいるぞ。おまえが一族の仇をうとうというならこちらにも山犬にくい殺された夫(おっと)の無念をはらそうと心に決めた者たちがいる。でておいて。今夜こそケリをつけてやる」

町の人たち「出た~いたぞ~!」

アシタカ「(バカな...?!)」

町の人たち「前をあけろ!流れ弾にあたるぞ!」

アシタカ「罠(わな)だ!(...)やめろ-!」

アシタカ「山犬の姫、森へ帰れ!みすみす死ぬなしりぞくも勇気だ!」

ゴンザ「やはりあいつ!」

エボシ「すきなようにさせておけ」

アシタカ「くっ!

ゴンザ「やった~!おちるぞ!」

町の女「動かない」

町の人「首だけになってもくらいつくのが山犬だ!」

エボシ「おちた所をねらいな!」

サン「ううっ...」

エボシ「はなて!」

ゴンザ「やった-」

アシタカ「うごくなー」

ゴンザ「あちち」

アシタカ「しっかりしろ!」

サン「ううっ」

アシタカ「やめろ~!」

ゴンザ「なにっ!?」

サン「うおー」

サン「ぐああっ~」

エボシ「袋(ふくろ)のネズミだ!逃がしちゃだめだよ」

町の人「ゴンザさまお気をたしかにっ」

ゴンザ「おれにかまうな!行け!」

ゴンザ「ウッ」

アシタカ「うめは...やはり...」

ゴンザ「もののけのたぐいかっ?!とまれぇっ!」

アシタカ「どいてくれ」

町の人「イテテてめぇなにするんでィ」

エボシ「なんのまねだアシタカ。この娘の生命わたしがもらう。その山犬を嫁(よめ)にでもする気か?!」

アシタカ「そなたの中には夜叉がいる」

エボシ「この娘の中にもだ」

エボシ「みんな見ろ。これが身の内に巣(す)くう憎(にく)しみと恨みの姿だ...肉をくさらせ死を呼びよせる呪いだ!これ以上憎しみに身をゆだねるな!」

エボシ「さかしらにわずかな不運を見せびらかすな」

サン「アアッうわっ」

エボシ「その右腕切りおとしてやろう!」

町の女「エボシさま!」

アシタカ「だれか手をかしてくれ。心配するな気がつく。この娘、わたしがもらいうける」

町の女「おまちっ!逃がしはしないよ!よくもエボシさまを...動くんじゃない!」

町の女「キヨ!やめな!」

町の女「あたったのに歩いとる...」

ゴンザ「おれの石火矢をもってこい!」

ある町の女「おトキ!早く!」

トキ「あんた?!」

門番1「だんな、ここは通れねぇ。ゆるしがなければ門はあけられねぇんだ。あなたは仲間を助けてくださった」

門番2「敵にしとうありませんどうかおもどりを」

アシタカ「わたしは自分でここへ来た。自分の足でここをでて行く」

町の人「だんな、いけねェ!死んじまう!」

町の人たち「動いた!すげぇー」

門番1「アア~」

ゴンザ「どけ~!山犬だー!」

アシタカ「やめろ!そなたたちの姫は無事だ!いまそっちへ行く!行こう、ヤックル。世話になった」

町の人「行ってしまわれた」

サン「おまち!わたしのエモノだよ。おまえ射たれたのか。死ぬのか。死の前に答えろ!なぜわたしの邪魔をした?」

アシタカ「そなたを死なせたくなかった」

サン「死などこわいもんか!人間を追い払(はら)うためなら生命などいらぬ!」

アシタカ「わかっている...最初に会ったときから」

サン「そのノド切りさいて。二度とムダ口がたたけぬようにしてやる!」

アシタカ「生きろ...」

サン「まだ言うか!人間の指図(さしず)はうけぬ!」

アシタカ「そなたは美しい...」

サン「!」

山犬「どうしたサン!オレがかみくだいてやろうか?」

サン「はっ。猩(しょう)猩たち...」

山犬「われらがモロの一族としっての無礼か?!」

猩たち「ここはわれらの森。その人間よこせ。人間よこしてさっさと行け」

山犬「うせろ!わが牙がとどかぬうちに!」

猩たち「オレたち人間くう。その人間くうその人間くわせろ」

サン「森の賢者とたたえられるあなたたちがなぜ人間などくおうというのか?」

猩たち「人間やっつける力ほしい、だからくう」

サン「人間を食べても人間の力は手に入らない。あなたたちの血がけがれるだけだ」

猩たち「木...うえた木...うえみんな人間め、森もどらない。人間殺したい」

サン「わたしたちにはシシ神さまがついてる。あきらめないで木をうえて...モロの一族はさいごまで戦う」

猩たち「シシ神さま戦わない。わしら死ぬ。山犬の姫、平気...人間だから...」

サン「!」

山犬「無礼なサルめっ!そのクビかみくだいてやる!」

サン「おやめっ!平気...気にしない...おまえたち先に帰りな。この人間のしまつはわたしがする」

山犬「あいつは?食べていい?」

サン「食べちゃダメ!」

サン「さあ、行きな!」

サン「おいで!仲なおりしよう!おまえの主人をはこぶから...力をかしておくれ」

サン「おいで...」

サン「おまえはかしこいね。この島にはのぼらないほうがいい...人間くさい。すきな所へ行き。すきに生きな」

ジコ坊「おお~でたぁ。ディダラボッチだ!ついに見つけた。なにをしとる早く見んか!なんのためにこんなクサイ毛皮をかぶってたえてきたんじゃ」

狩人1「シシ神さまを見ると目がつぶれるワイ」

ジコ坊「それでもヌシは西国一の狩人か?この天朝(てんちょう)さまの書きつけをなんとこころえる。天朝さまがシシ神退治をみとめとるんだぞ!」

ジコ坊「ディダラボッチはシシ神の夜の姿だ。いまに夜から昼(ひる)の姿にかわるそこがシシ神のすみかだ。おおっ、消えるぞ。あそこだ!」



シシ神「...」

狩人1「ジコ坊さま」

ジコ坊「判っとる」

狩人1「あそこを」

ジコ坊「おお、これは?なんともおびただしい数(かず)だな。ありゃあこの森のもんじゃねぇ。それぞれいずくかの山の名のある主だ。むっ。あれは?鎮西(ちんぜい)の乙事主(おっことぬし)だっ!」

狩人1「鎮西?!海を渡って来たと言うのか?」

ジコ坊「まちがいねぇ。あの四本牙!一族をひきいて来やがったんだ!」

狩人1「ばれたっ!」

ジコ坊「ひきあげだ!いそげ!」

乙事主「ぶぎゃー」

イノシシたち「ピ-ギャ-ブヒ-ピギャー」

ジコ坊「早くしろ!」

アシタカ「うっう...ん、はっ!傷がない!

ヤックル「(スッ)」

アシタカ「ヤックル」

サン「目がさめてたらヤックルに礼を言いな。ずっとおまえを守っていたんだ」

アシタカ「どうしてヤックルの名を...」

サン「自分からいろいろ話してくれた。おまえのことも古里(ふるさと)の森のことも。シシ神さまがおまえを生かした。だから助ける」

アシタカ「ふしぎな夢を見た。金色の鹿だった...」

サン「食べろ」

サン「かめ!」

アシタカ「おまえ...」

イノシシ「われらは人間を殺し森を守るために来た...なぜここに人間がいる?!」

モロ「わたしの娘だ。人間などどこにでもいる。自分の山にもどりそこで殺せばいい」

イノシシ「シシ神の森を守るために殺すのだ!なぜ人間がここにいる...」

サン「この人間の傷をシシ神さまがいやした。だから殺さずにかえす」

イノシシたち「シシ神が人間を助けいやしただと!なぜナゴの守を助けなかったのだ!シシ神は森の守り神ではないのか?!」

モロ「シシ神は生命をあたえもしうばいもする。そんなことも忘れてしまったのか、猪ども

イノシシたち「ちがう。山犬がシシ神をひとりじめしてるからだ。ナゴを助けず裏切ったからだ!」

モロ「きやつは死をおそれたのだ。今のわたしのように。わたしの身体にも人間の毒つぶてが入っている。ナゴは逃げわたしは逃げずに自分の死を見つ

めている」

サン「モロだからシシ神さまに...」

モロ「サン!わたしはすでにじゅうぶんに生きた。シシ神は傷をなおさず生命をすいとるだろう」

サン「そんなはずはない!母さんはシシ神さまを守ってきた」

イノシシたち「だまされぬぞ!ナゴは美しく強い兄弟だ!山犬どもが食(く)っちまったんだ!」

サン「母さんをバカにするとゆるさんぞ」

アシタカ「あらぶる山のかみがみよ、きいてくれ!」

アシタカ「ナゴの守にとどめをさしたのはわたしだ。村をおそったタタリ神をわたしはやむなく殺した。大きな猪神だった。これがあかしだ!あるいはこの呪いをシシ神がといてくれぬかとこの地へ来た。だが...シシ神は傷はいやしてもアザは消してくれなかった。呪いがわが身をくいつくすまで苦しみ生きろと...」

イノシシたち「乙事主だ...」

モロ「少しは話のわかるヤツが来た」

サン「待って、乙事主さま!」

乙事主「モロの娘だね。うわさはきいていたよ」

サン「あなた目が...」

アシタカ「山犬の姫かまわない。ナゴの守のさいごを伝えたいから」

乙事主「ありがとうよ、お若いの...悲しいことだが一族からタタリ神がでてしまった...」

アシタカ「乙事主どのこのタタリを消す術はないのだろうか...」

乙事主「お若いの森を去れ次に会うときは殺さねばならぬ」

モロ「乙事主よ、数だけでは人間の石火矢には勝てぬぞ!」

乙事主「モロ、わしの一族を見ろ!みんな小さくバカになりつつある。このままではわしらはただの肉として人間に狩られるようになるだろう...」

モロ「気に入らぬ一度にケリをつけようなどと人間どもの思うつほだ!」

乙事主「山犬の力をかりよいとは思わぬ。たとえ...わが一族ことごとくほろぶとも人間に思いしらせてやる!」

サン「...シシ神さま...」

町の人「ドウドウ。牛をちらすな!」

侍たち「うわーッ」

エボシ「まだ撃つな。ひきよせろ!」

侍たち「うわー」

エボシ「はなてぇ!」

侍「ひいい...」

エボシ「弾込めいそげェ!」

ジコ坊「やれやれ。エボシのやつ相手がちがうだろうに。おまえたちさきに行きひそんでおれ」

町の女「みえた!帰って来たよー」

ジコ坊「おかしら。苦労をかけるな」

ジコ坊「そろそろ動く。みなにもそう伝えよ」

町の人「はっ」

ジコ坊「師匠連から矢の催促だ田舎侍とあそんどるときではないぞ」

エボシ「アサノ公方が地侍どもをそそのかしてるのだ」

ジコ坊「アサノか...大侍だな」

エボシ「鉄を半分よこせと言ってきた」

ジコ坊「そりゃあごうつくだ」

エボシ「だがいまは人間とやりあうヒマはない」

ジコ坊「森に猪神があつまっておる...じきに来るぞ!この際、鉄など全部くれてやれ。師匠連への約束をはたしてから戦さでもなんでもやればよかろう」

町の女「エボシさまーお早くー侍が来ます。早くー」

ジコ坊「うわさをすれば...あれはアサノの使者だな」

エボシ「使者だ。丁重にもてなしなさい!」

町の女たち「ハーイ!」

ジコ坊「おい、会わんのか!?」

使者「タタラバ、エボシとやら、さきほどの地侍あいての戦さみごとなり!われらは公方さまの使者としてまいった。かいこまって門をひらけい!」

町の女たち「フン。用があるならそこで言いな!この山はエボシさまがもののけから切りとったんだ。金になるとわかって手のばしやがって!とっとと帰れ!」

使者「女ども使者への無礼ゆるさんぞ!」

町の女たち「無礼だってさ。こっちは生まれたときからズーッと無礼だい」

ある町の女「鉄がほしけりゃくれてやるよ!」

使者「!」

町の女たち「アハハハハハッ」

ジコ坊「いやぁまいった。まいった。大侍ももののけも眼中になしか。エボシタタラの女たちのいさましいことよ」

エボシ「こんな紙きれが役に立つのか?」

ジコ坊「まぁ色んな輩をあつめるにはききめがある!」

エボシ「けものとはいえなにしろ。神を殺すのだ」

エボシ「そなたたち、この書きつけがわかるか?」

町の女「はい、エボシさま」

エボシ「天朝さまのだ」

町の女「天朝さまって?」

エボシ「みかどだ」

町の女「みかど...」

ジコ坊「いやぁまいった。まいった」

エボシ「いいよ...」

町の女「はい」

エボシ「わたしたちがここで鉄をつくりつづければ森の力は弱まる。それからのほうが犠牲もすくなくすむが...」

ジコ坊「金も時間もじゅうぶんにつぎこんだ石火矢衆四十名をかしあたえたのは鉄をつくるためではないぞ...とまあ師匠連は言うだろうなあ」

エボシ「まさかそなたまでシシ神の生首に不死不老の力があると思ってはいまいな」

ジコ坊「やんごとなき方々の考えはワシにはわからん」

エボシ「約束は守る。モロ一族のかわりに猪の群れが森にひしめくならかえってやりやすかろう。崖の裏にひそんでいるあやしげな手下どもをよびよせるがいい」

ジコ坊「いやぁハハハ...ばれてたか。あっ、そうだ!もうひとつ」

ジコ坊「少年がひとりたずねて来なかったか?アカシシに乗ったふしぎな少年だが...」

エボシ「去った...」

町の女「なんか気味が悪いよ」

甲六「ありゃあただの狩人じゃねぇジバシリダだ」

町の人「ジバシリ...?」

町の女「わたしたちもおともさせてください!」

町の女「あんな連中を信用しちゃダメです!」

町の女「エボシさまになんかあったらとりかえしがつかないもの」

町の女「せっかく石火矢をおぼえたんだから...」

エボシ「だからこそみんなにここを守ってもらいたいのさ。こわいのはもののけより人間のほうだからね。シシ神殺しがすんだらいろいろわかるだろうよ。唐傘連の師匠たちがシシ神の首だけでここから手をひくもんかね...侍だけじゃないよ。石火矢衆が敵となるかもしれないんだ。男はたよりにできない。しっかりやりな、みんな」

ゴンザ「エボシさまのことは案ずるな!このゴンザ、かならずお守りする」

トキ「それがホントならねぇ...」

ゴンザ「なにい!」

トキ「あんたも女だったらよかったのさ。んべ~~ッ」

ゴンザ「う...」

エボシ「ハハハハハハハ...」

トキ「くくっ」

アシタカ「くっ...」

サン「...」

アシタカ「!」

アシタカ「ぐっ」

アシタカ「...」

モロ「つらいか...そこからとびおりればかんたんにけりがつうぞ。体力がもどればアザもあばれだす」

アシタカ「わたしは何日もねむっていたようだな。夢うつつにあの子に世話になったのをおぼえている」

モロ「おまえがひと声でもうめき声をあげればかみ殺してやったものを...惜しいことをした」

アシタカ「美しい森だ。乙事主はまだ動いていないのか...」

モロ「穴にもどれ小僧!おまえには聞こえまい。猪どもに喰い荒される森の悲鳴が...わたしはここでくちていく身体と森の悲鳴に耳をかたむけながらあの女を待っている。...あいつの頭をかみくだく瞬間を夢見ながら...」

アシタカ「モロ...森と人間が争わずにすむ道はないのか?ほんとにもうとめられないのか?」

モロ「人間どもがあつまっている、きゃつらの火がじきにここにとどくだろう」

アシタカ「サンをどうする気だ。あの子も道づれにするつもりか!?」

モロ「いかにも人間らしい手前勝手な考えだな。サンはわが一族の娘だ。森と生き森が死ぬときはともにほろびる」

アシタカ「あの子を解きはなて!あの子は人間だぞ!」

モロ「だまれ、小僧!おまえにあの娘の不幸がいやせるのか。森をおかした人間がわが牙をのがれるためになげてよこした赤子がサンだ...!人間にもなれず山犬にもなりきれぬ哀れで醜い可愛い我が娘だ!おまえにサンをすくえるか!?」

アシタカ「わからぬ...だが共に生きることはできる!」

モロ「ファッファッどうやって生きるのだ。サンと共に人間と戦うというのか」

アシタカ「ちがう!それでは憎しみをふやすだけだ」

モロ「小僧...もうおまえにできることはなにもない。おまえはじきにアザに喰い殺される身だ。夜明けとともにここを立ち去れ!」

サン「...歩けたか?」

アシタカ「ありがとう。サンとシシ神さまのおかげだ」

サン「...」



アシタカ「ヤックル!心配かけたな。

アシタカ「う...!?痛...足がすっかりなまってしまった」

アシタカ「しずかすぎる。コダマたちもいない...」

アシタカ「タタラ場のにおいがかすかに風にまじっている。案内ごくろう!ひとつたのみがある...サンにこれをわたしてくれ!いこう...」

サン「ひどいにおい...鼻がもげそう」

モロ「ただの煙じゃない。わたしたちの鼻をきかなくしようとしているのさ」

サン「...あの女がいる!こっちに気づいている...」

モロ「みえすいた罠をはったものだ」

サン「わな...?」

モロ「猪どもをいきりたたせて森からおびきだそうとしているのだよ。よほどのしかけがあるのだろう」

サン「おしえなきゃ!猪たちは動きはじめてる。みんなやられてしまう」

モロ「乙事主とてばかではない...すべてわかっていても猪たちは正面から攻撃したいのさ...最後の一頭になっても突進してふみ破る!」

サン「木をきりはじめた...」

モロ「あれもさそいだ」

サン「かあさん、ここでお別れです。わたし乙事主さまの目になりにいきます。あの煙にこまっているはずだから。

モロ「それでいいよ...おまえにはあの若者と生きる道もあるのだが...」

サン「人間はきらい!」

サン「アシタカがわたしに...綺麗」

モロ「おまえたちはサンとおいき!わたしはシシ神のそばにいよう」

サン「いこう!」

サン「モロ一族もともにたたかう!乙事主さまはどこか!?ありがとう!」

アシタカ「タタラ場からだ!」

アシタカ「いこう!」

侍「何者かぁ!?」

アシタカ「侍だ!」

侍「とまれェ!」

アシタカ「おしとおる!」

侍「こいやァ!」

侍「!」

侍たち「こりゃあたまげた!」

侍たち「とめたぞ!やるのォ!矢のむだだ!やめとけ!」

町の女「早く早く!」

トキ「ほんとだ。あの人だよ」

町の女「幽霊じゃないよね?」

トキ「アシタカさまーっ!」

アシタカ「おトキさんかー!みんな無事かー!?」

トキ「見てのとおりさ男たちの留守をねらって侍どもがおしよせてきやがった!」

町の女「下はやられちまった」

トキ「女ばかりとあまく見やがって...エボシ殿は?」

トキ「動ける男はみんなつれてシシ神退治にいっちまってる。こうかこまれては知らせようがなくてさ」

アシタカ「シシ神退治...やはりさっきの音は...」

甲六「ダンナーあずかってましたぜーっ!」

トキ「なんで鞍とミノも持ってこなかったのさ!」

甲六「だって...」

トキ「この役立たず!」

アシタカ「甲六、ありがとう!エボシ殿をよびにいく!それまでもつか...!?」

トキ「いざとなったらとけた鉄をぶっかけてやるさ!」

町の女「アシタカさま、おねがいします!エボシさまにはやく!」

町の男「はずしたか...」

町の男「船が来ますぞ、おはやく!エボシさまおたのみます!わたしらもたたかいますゆえ!」

アシタカ「かならずもどる!」

トキ「たのむよーっ!」

町の女「お気をつけて...」

甲六「!」

ある侍「でたぞーッいっきーー」

アシタカ「追手がかかった!たのむぞ、ヤックル!」

アシタカ「ああ...」

アシタカ「生きものの焼けるにおいだ...」

アシタカ「ヤックル!」

侍たち「こいやぁー」

アシタカ「アシタカがヤックルの身で矢を抜いてる」

侍たち「うおおおおおおお!」

アシタカ「!」

ある侍「おらららららー」

ある侍「!」

アシタカ「来るな!」

アシタカ「ヤックル、傷を見せろ!」すまないここでまっててくれ!かならずもどる。

アシタカ「だめだ、まってろ!

アシタカ「がんばれもうすこしだ」

兵士「何者か!?」

兵士「ここは修羅の庭。よそ者はすぐ立ち去れい!」

アシタカ「この死者たちの世話になった者だ。いそぎ伝えたいことがある。エボシ殿に会いたい」

兵士「エボシはここにはいない。伝えよう、用むきを話せ!」

アシタカ「本人に話す。エボシ殿はどこか!?」

町の男「だんなー!生きとったんですか!むごいことになったな。まだ何人もうまってるんでさ」

町の男「ひでえなんてもんじゃねぇ」

アシタカ「タタラ場が侍におそわれた」

町の男「ええっ!?」

アシタカ「女たちが上の曲輪にたてこもってがんはっている。いまならまだまにあう」

町の男「えれぇことになった...」

町の男「アサノのやつらだ...留守をねらいやがった」

アシタカ「エボシ殿はここにはいないのか!?」

町の男「へぇ...シシ神殺しに森へ...」

アシタカ「すぐびもどせ!まにあわなくなるぞ」

兵士「用むきがすんだら即刻たち去れ」

兵士「みな仕事にもどれ!」

町の男「おい、ほっとく気かよ!」

町の男「ちょっと待ってくだせえ」

町の男「あいつらタタラ場を見殺しにする気だぞ」

町の男「帰りを待ってたりしちゃ手おくれになっちまう」

町の男「すぐ使いをだせ!」

兵士「森はひろくて深い。使いのだしようがないのだ」

町の男「ウンをつくなよ!」

兵士「のろしでもなんでもあんたちの得意だろうが!」

町の男「エボシさまはやつらにおどらされてるんだ」

アシタカ「攻めよせた猪の中に山犬はいなかったか?」

町の男「えっ?」

アシタカ「サン...いやもののけ姫は?」

町の男「さぁわからねぇ...まっくろになっておしよせてきたから...」

アシタカ「...」

町の男「いました...お...おれたちがいちばん前にいたから...」

アシタカ「それで...」

町の男「わからねぇ!とつぜんなんにもわからなくなっちまって...唐傘のやつら、おれたちをエサに猪をおびきよせ...地面ごとふっとばしやがったんでさ。上からも地雷火をなげやがった...」

アシタカ「...」

アシタカ「はっ」

山犬「ガウヴウ~ッ」

アシタカ「...!」

町の男「んん...?」

アシタカ「サンはどうした!?くっ...」

山犬「グルルル...」

アシタカ「おちつけ!おまえを助けたい」

町の男「山犬だ!山犬が生きてるぞーっ!だ...だんななにを...」

アシタカ「ウウーッ」

町の男「だんな!」

兵士「どけい!小僧...なにをしている!?」

アシタカ「この者に案内をたのむのだ。わたしがエボシを呼びにいく!」

兵士「さては魔性のたぐいか!どけッ!」

アシタカ「シシ神の首とタタラ場とどちらがたいせつなのだ!?」

町の男「毒針だ!」

アシタカ「あっ!」

町の男「や...やめろ!」

兵士「!」

町の男「みんな力をだせ!テコをつかえ!」

町の男たち「でたぞーっ!」

アシタカ「へい!みんなは沢をくだって湖の近くにかくれていてくれ!」

町の男「お気をつけて...石火矢衆もやつらの仲間です」

アシタカ「あずかってくれ!最後の矢が折れてしまった」

アシタカ「おまえはみんなといきな。ヤックルをたのむ!

アシタカ「サンのところへ!そこにエボシもいる」

ジコ坊「ジバシリどもにおくれるな。今日こそけりをつけるのだ」

狩人「ジコ坊さま」

ジコ坊「オッ。様子はどうだった?」

狩人「深手をおった乙事主はもののけ姫とさらに森の奥へ向かっております」

ジコ坊「やはりシシ神に助けをもとめる気だ。ぴったりはりつけよ!人と見やぶられてはシシ神はでてこめぞ」

狩人「言われるまでもねぇ...」

エボシ「やつの顔にぬったのは猪の血か?」

ジコ坊「へへ...ジバシリのわざだ。おぞましいものよ」

サン「がんばって!もうじきシシ神さまのお池だから」

サン「ああっ!」

サン「なにかくる!乙事主さまようすがおかしいの...」

乙事主「...」

サン「もうちょっとだからがんばって!」

山犬「とてもいやなものがくる」

サン「なんだろう?血のにおいで鼻がきかない」

サン「猩猩たち...」

猩たち「おまえたちのせいだ。おまえたちのせいでこの森おわりだ」

サン「なにをいう!森のために戦った者へのこれが猩猩の礼義か!」

猩たち「おまえたち破滅つれてきた!生きものでも人間でもない者つれてきた!」

サン「生きものでも人間でもないもの...?」

猩たち「きたーっ!森のおわりだ!」

サン「!」

山犬「ヴヴ~ッ」

サン「戦士たちが...」

乙事主「もどってきた!」

サン「ハッ」

乙事主「もどってきた!黄泉の国から戦士たちが帰ってきた」

サン「おまえは母さんにこのことを知らせて!人間の狙いはシシ神さまだ。母さんが生きていれば知恵をかしてくれる」

サン「おいき!山犬の血をとだえさせてはだめ!いい子...」

サン「最初の者を殺す!森じゅうにおまえたちの正体を知らせてやる!」

山犬「オオオオオーン」

サン「...アシタカが...」

乙事主「ブギイイ!」

サン「おのれ!」

乙事主「あついぞ!からだが火のようだ...」

サン「あっ!ダメーッ!乙事主さまタタリ神なんかにならないで!乙事主さま...!アッ!」

アシタカ「こたえた!わかるか?」

山犬「サンがあぶない!」

アシタカ「いこう!」

サン「ウ...!...!あつい...」

サン「アァッ!いやだ...」

サン「タタリ神になんかなりたくない!乙事主さま!」

山犬「おい!のれっ!」

アシタカ「あっ!」

石火矢衆たち「山犬だーッ!」

石火矢衆「ワァッ!」

石火矢衆「!」

アシタカ「エボシ!」

ジコ坊「おおッ」

アシタカ「くそっ!先にいけ!」

アシタカ「エボし、話を聞けーッ!」

エボシ「アシタカかァーっ!?」

アシタカ「タタラ場が侍におそわれている。シシ神殺しをやめてすぐもどれ!女たちが戦っている。男たちも山をくだった。みなそなたの帰りを待っている」

エボシ「その話信ずる証拠は?」

アシタカ「ない!できるならタタラ場にとどまり戦いたかった」

エボシ「シシ神殺しをやめて侍殺しをやれと言うのか」

アシタカ「ちがう!森とタタラ場双方生きる道はないのか!?」

石火矢衆「エボシさま、もどりましょう」

ジコ坊「あいつ...どっちの味方なのだ?」

エボシ「女たちにはできるだけの備えをさせてある。自分の身は自分で守れと...池だ!シシ神は近いぞ」

ジコ坊「いよいよ正念場だ。油断するな。

ジバシリ「あの女いなくとも...」

ジコ坊「神殺しはこわいぞ。あいつにやってもらわにゃ...」

アシタカ「...」

アシタカ「モロっ死んだのか...サン、どこだー!サーン!」

サン「アシタカ!」

アシタカ「...!」

アシタカ「乙事主...」

イノシシたち「去れ、ハッ!」

アシタカ「ここで争うとシシ神はでてこぬぞ。乙事主よ、しずまりたまえ!乙事主、山犬の姫をかえしてくれ。サンはどこだ。サン!きこえるか。わたしだ!アシタカだ!」

アシタカ「サン!くっ!」

狩人1「ワァッ」

狩人2「あいつをしずめろ!」

狩人たち「殺せ!やつを射殺せ!」

山犬たち「ガウウガウガウ」

狩人たち「うわっ~」

アシタカ「サン!」

サン「アシタカ!」

モロ「やれやれ、あの女のためにのこしておいたさいごの力なのに」

狩人たち「結界をはれ!」

山犬「おまえたち手出しをするんじゃないよ。タタリなんぞもらうもんじゃない」

タタリ神になった乙事主「ぐぇー!」

山犬「もう言葉までなくしたか...」

ジコ坊「よくやった。もういいぞ。けが人の手当をしてやれ。いやいやおそろしいながめよ。でた...」

モロ「わたしの娘をかえせ!

モロ「アシタカ!おまえにサンが救えるか!?

アシタカ「ハッ。シシ神...」

アシタカ「ああ!」

アシタカ「エボシ!うつな!」

エボシ「首をとばさねばだめか...」

ジコ坊「石火矢がきかぬ」

アシタカ「そなたの敵はほかにいるはずだ!」

アシタカ「サン!死ぬなァ!」

ジコ坊「なんとシシ神は生命を吸いとるのか。...むっ!?いかんディダラボッチになるぞ!」

エボシ「みなよく見とどけよ!神殺しがいかなるものなのか。シシ神は死をもつかさどる神だ!おびえておくれをとるな」

アシタカ「...!?やめろお!」

アシタカ「エボシ!」

エボシ「クソッ、化け物め!」

アシタカ「くっ!」

石火矢衆「やったぁ」

サン「ぐっ」

ジコ坊「首おけをいそげ!」

アシタカとサン「...」

ジコ坊「わぁ!」

石火矢衆「ぐわ~」

兵士「うっ」

エボシ「ジコ坊、首おけをもってこい!かつぎ手がやられた!」

ジコ坊「はやくはやく」

エボシ「シシ神の体にふれるな!生命を吸いとられるぞ!受けとれ!約束の首だ!」

モロ「ばくっ!」

石火矢衆「エボシさま!

エボシ「モロめ!首だけで動きよった...」

ジコ坊「やばいぞ、いそげー」

兵士「ジコ坊さま!」

ジコ坊「逃げろ!」

アシタカ「島へ逃げろ!」

石火矢衆「わしはおよげんのだ!」

アシタカ「水の底を歩ける」

サン「そいつをよこせ!やつ裂きにしてやる」

アシタカ「モロが仇をうった。もう罰はうけている。手をかせ」

ゴンザ「エボシさま」

エボシ「よけいな情けは...」

アシタカ「おトキさんたちにつれて帰ると約束した」

アシタカ「首をさがしている...ここもあぶない、サン。力をかしてくれ」

サン「いやだ!おまえも人間の味方だ!その女をつれてさっさといっちまえ!」

サン「くるな!人間なんか大キライだ!」

アシタカ「わたしは人間だ。そなたも...人間だ」

サン「だまれェ!わたしは山犬だ!」

アシタカ「サン」

サン「よるな!」

アシタカ「すまない。なんとかとめようとしたんだが...」

サン「もう終わりだ。なにもかも。森は死んだ...」

アシタカ「まだ終わらない。わたしたちが生きているのだから。力をかしておくれ」

兵士「まて~手伝え!」

ジコ坊「どいつもこいつもまったく...いかんいかん!...!首が動いとる...」

ジコ坊「こいつが呼んどるんだ!」

町の人「ありがとう。とれたよ、トキ」

トキ「やけに静かだね。夜明けをまつつもりだ」

町の人「あの若者はエボシさまに知らせてくれただろうか?」

トキ「アシタカさまはきっとやってくれるよ。もうそのへんに来てるかもしれないよ。あーあ、だらしない顔しちまって」

町の人「いまのうちさ寝かしといてやりなよ」

町の女「なんだろう気味が悪いね」

侍たち「ひけェ、馬をひけぇ。こらー乱(みだ)れるな」

町の女「持ち場をはなれるんじゃないよ」

町の女「どうしよう。こっちへ来るよ」

町の人「だめだ。逃げよう」

トキ「タタラ場を守るんだ。エボシさまと約束したんだから...」

町の人たち「あの人だ!」

町の人「アシタカさまだ!」

町の人たち「みんな逃げろー」

アシタカ「シシ神が首をとりもどそうと追ってきたんだ。あのドロドロにさわると死ぬぞ!水の中へいけ。ドロドロがおそくなる。男たちとエボシは対岸をこっちへ向かっている。わたしたちは首をとりもどしてシシ神にかえす」

サン「アシタカ!」

アシタカ「いそげ!」

トキ「さわぐんじゃない!」

町の人「トキ、逃げよう」

町の女「はい!」

町の女「みんなを湖へ!」

町の女「落ちついてケガ人や病人に手をかすんだよ」

町の女「そっちへいっちゃだめだよ」

甲六「ああ...大屋根が...」

甲六「もうだめだ!タタラ場が燃えちまったらなにもかもおしまいだ」

トキ「生きてりゃなんとかなる!もっと深い所へ」

ジコ坊「いた、あそこ!」

サン「おいき!」

アシタカ「その首、まてェ!」

ジコ坊「おぬしも生きとったかよかった」

アシタカ「首をシシ神にかえします。置いてはやく逃げなさい」

ジコ坊「いまさらとりかえしはつかん。陽が出ればすべて終わる」

ジコ坊「見ろ...生命を吸ってふくらみすぎたのろまな死神だ。陽にあたればやつは消えちまう」

兵士「ジコ坊さま、追いつかれます、早く...」

ジコ坊「天地の間にあるすべてのものを欲するは人の業というものだ...」

アシタカ「あなたを殺したくはない!」

ジコ坊「いやぁ、まいったなァ。そうこわい顔を...するな!」

兵士「くっ」

ジコ坊「走れ!」

ジコ坊「おうっ」

ジコ坊「囲まれたぁ~ああ~いかん」

ジコ坊「朝陽よ、いでよぉ」

ある兵士「わけを開けろ」

ジコ坊「わからんやつだな、もう手をくれた」

サン「アシタカ、人間に話したってむだだ!」

アシタカ「人の手でかえしたい」

ジコ坊「ええい!どうなっても知らんぞ」

ジコ坊「わっ!」

サン「...」

アシタカ「シシ神よ」

町の女たち「動かなくなったぞ...」

町の女たち「男たちだ!」

町の女たち「エボシさまー」

町の人「ええい、さわぐな傷にさわる!」

町の人たち「ああー...たおれる、たおれる」

町の人たち「つかまれ!はなすな」

甲六「すげぇ...シシ神は花さかじじいだったんだぁ...」

アシタカ「サン...サン。見てごらん」

サン「よみがえってもここはもうシシ神の森じゃない! シシ神さまは死んでしまった」

アシタカ「シシ神さまは死にはないよ。生命そのものだから...生と死とふたつとも持っているもの...わたしに生きろといってくれた」

サン「アシタカは好きだ。でも人間をゆるすことはできない」

アシタカ「それでもいい。サンは森でわたしはタタラ場でくらそう。共に生きよう。会いにくいよ。ヤックルに乗って」

エボシ「ざまぁない。わたしが山犬の背で運ばれ生きのこってしまった。礼を言おう、誰かアシタカを迎えに行っておくれ。みんなはじめからやり直しだ。ここをいい村にしよう」

ジコ坊「いやぁーまいった、まいった。バカには勝てん」

 

END

 

 

もののけ姫

もののけ姫

もののけ姫

もののけ姫

もののけ姫

もののけ姫

もののけ姫

 

それは自然の驚異か、それとも人為的な策略の末路か。
美しいだけではない神々と人のたわむれ。
生を謳歌する人と隣り合わせにある死。
その関わりの矛盾による物語に、人は魅せられる。
勧善懲悪ではない、深く深く心に刻まれる物語。

 

誰が正しいわけでもなく、誰が間違っているわけでもない。

生きる、その言葉のみが真実。

かつて、ナウシカの漫画にも出ていた言葉がある。

「いのちは闇の中のまたたく光」

人の命はたくさんの闇(死や汚濁)に支えられている。

ゆえに勧善懲悪ではなく、生きようとすることには理知的な面からの負の要素も多分にある。たくさんの死や汚濁の上に、今の世界や人の命が支えられている。

だから、生きられる限りは生きなければいけないし、どんな相手でも生かさなければいけない。辛くても苦しくても、それが闇の中にまたたく命という光である限りは。

まあ、単純に言うと、お人よしなバカということですね。やんごとなき人々に目的を与えられ、それを使命として生きるジコ坊には、勝てない相手ですよね。