アニメの全セリフ -ガンダム、ジブリ、鬼滅の刃など-

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平成狸合戦ぽんぽこ 全セリフ スタジオジブリ作品

平成狸合戦ぽんぽこ 全セリフ スタジオジブリ作品

平成狸合戦ぽんぽこ 全セリフ スタジオジブリ作品

 

平成狸合戦ぽんぽこ 全セリフ スタジオジブリ作品

 

※セリフの羅列です。

 

【歌】たーぬきさんたーぬきさん
【歌】あそぼじゃないか
【歌】いまごはんのまっさいちゅう
【歌】おかずはなあに?
【歌】うーめぼしこうこ
【歌】ひときれちょうだい
【歌】あらあんたちょっとガッつきね


(小鳥のさえずり声)
(雌狸)私たちはもともと
人家の近くに住んでました
人間の食べ物を
失敬するんじゃないんですよ
田んぼや畑があると
カエルやバッタとか
ネズミやモグラがとれるし
柿や桑の実もひろえて
ただの山の中より
ずっとエサが豊富なものですから
それが去年の春―
突然空き家になったんです
誰も越してくる気配がないので
私たちはねぐらをここに移しました
そんなわけでこの1年
本当にすてきな暮らしができたんです
一戸建て庭つきの家に住むなんて
夢のようでした
ところが…
(雄狸)俺たちは縄張りがどうのなんて
固いことは普通言わないんだが
今度だけは違った
どこのエサ場へ行っても
やたらほかの連中とぶつかる
小競り合いや―
ねぐらの乗っ取り合いが起きる
あげくの果ては…
「ぽんぽこ31年秋」
「鈴ヶ森に接する鷹ヶ森の―」
「新たな伐採地において」
多摩丘陵のタヌキたち」
「最後の合戦が行われた」
エ…エエーイ!
イヤー!
トリャッ!
クワーッ!
赤軍の総大将」
「鷹ヶ森の猛者権太」
「青軍の総大将」
「鈴ヶ森の長老青左衛門」
「なお―」
「あまり知られていない事実であるが」
「人間の見ていない所ではタヌキたちは」
「全てこのように直立2本足歩行の姿で」
「行動しているのである」
タァーッ!
トリャーッ!
タァーッ!
ウワーッ!
「合戦は激しく壮烈をきわめたが」
「長くは続かなかった」
【歌】フレーフレー鷹ヶ森
【歌】フレーフレー鈴ヶ森
【歌】赤勝て青勝てどっちも負けろ
【歌】負けたタヌキをブッ殺せ
【歌】鷹ヶ森が今日消えた
【歌】鈴ヶ森は明日消える
【歌】タヌキはダブつき居場所がない
【歌】ダブつきタヌキはどこへ行く
【歌】どこへも行けないオダブツだ
【歌】赤勝て青勝てどっちも負けろ
【歌】負けたタヌキをブッ殺せ
【歌】みんなの為だブッ殺せ
【歌】死なばもろともナンマイダ
【歌】タヌキを減らせれんげきょう
【歌】残ったタヌキは身を慎んで
【歌】子供増やすなナンマイダ
【歌】子供増やせば元のもくあみ
【歌】森がないんだれんげきょう
「火の玉のおろく婆にうながされ」
「タヌキたちは下界を見下ろして」
「唖然とした」
「見事に山が消え失せ」
「削られて土肌むきだしの平らな丘が」
「眼の前に寒々と広がっていた」
これは狂気の沙汰じゃ!
ケンカなんかやっておる場合じゃないぞ!

「高度成長経済に突入した」
「東京の周辺部では」
「旺盛な住宅需要により農地や山林の」
「無秩序な開発が進んでいた」
「このような虫食い状の乱開発に変わり」
「居住環境のよい宅地や―」
「住宅を大量に供給する為に」
「昭和42年来東京都は―」
多摩ニュータウン計画を推進」
「総面積約3000ヘクタール」
「居住予定人口30数万人」
「山林の木々を切り払い」
「山を削り起伏をならし」
「田畑を埋め」
「昔からの家屋敷をつぶし」
多摩丘陵の山容を完全に変貌させて」
「巨大な造成地を造りだし」
「その上に緑とゆとりの―」
「一大ベッドタウンを建設するという」
「古今未曾有の大開発事業である」
(雄狸)人間てのはすごいですね
それまでは私たちと同じ動物の
一種かと思っていたんですが
今度のことで
どうやら神や仏以上の
力を持ってるらしいってことが
よく分かりました
「この緊急事態に―」
多摩丘陵全域のタヌキたちは」
「それぞれ一族を引き連れ」
「深夜ひそかに奥山の荒れ寺」
「菩提餅山万福寺に集合」
「議長にはこの万福寺に巣くう―」
「105才の古ダヌキ鶴亀和尚が」
「満場一致で推薦された」
えーというわけでじゃ
これからは
オラたち本来の夜行性にこだわらず
昼間でも臨機応変
行動せねばならんのじゃが…
「集会は混乱のうちにも」
「開発阻止の大方針を決めたのち…」
おーっ!
全員賛成と認めますじゃ!
「危険を考え直ちに解散」
「今後の具体策は族長会議に一任された」
「族長会議はまず」
「すたれていた化け学の復興と」
「人間研究に5ヵ年計画で」
「取り組むことを決議したのち」
「先進地四国と佐渡から」
「有名な変化ダヌキを化け学指南として」
「招聘することを決定」
「使者の選出に入ったが」
「長距離の危険な旅に志願者はなく」
「全員タヌキ寝入りを決め込んだ」
まあ若手ダヌキの成長を待つしかないか
異議なし!
「なお議事進行にあたり」
「議長団の用意した」
マクドナルドのハンバーガーが」
「きわめて有効に働き」
「無事族長会議は終了した」
よおーっ!
(ポンッ!)
「基本課題のひとつ」
「人間研究を実り豊かなものとし」
「時々刻々の情報をキャッチする為に」
「幹部は万福寺本堂に」
「テレビを設置することにした」
おー
(TV)こんばんは
こんばんは
「しかし―」
「テレビの設置は思わぬ波紋を拡げた」
(天ぷらの揚がる音)
「本部づめ以外のタヌキが」
「用もないのに昼間から」
「多数万福寺に―」
「入りびたりとなってしまったのである」
(おろく)「化ける」とは―
精神集中の極点で
体の全細胞全組織を
一瞬のうちに組み換える
自然界最高の驚異なのじゃ
程度の低いものは「擬態」とよばれ
カメレオンなんぞにもできるが
「化け学」はオラたち以外では
キツネと一部のネコしか身につけておらん
ん?
こりゃ権太!
お前がそんな格好になっちまうのも
すでに知らず知らずのうちに
化け学の初歩を
身につけておるからなのじゃ
努力してコツさえのみ込めば
変化は誰にでもできる!
…はずじゃが
ではまずオラが実演してみせる
葉っぱ頭にのせないんですか?
それは初心者のやることじゃ!
タァーッ!
久しぶりじゃ

【歌】はーないーちもんめ!
「火の玉のおろく婆を先生に」
「化け学の復興は順調に進んでいた」
「各部族から集められた若者たちは」
「向学心に燃え―」
「めきめきと腕を上げた」
正吉お見事!
いやあ
トリャーッ!
シュワッチ!
ギャハー
それぇ
シュワッチ!
(正吉)子供の頃からぼくは
人間のやることに興味があったんです
掟ではあまり近づいては
いけないことになっていたんですが
死んだ親父はそれを
むしろけしかけていたような気がします
しっかりした人間観察こそが
化け学の基礎ですから
きっと将来の役に立つと
思っていたんでしょうね
エエーイ!
プハハァーッ!
ハアーッムム…
タァーッ!
おーっ!
「もちろん優秀な生徒ばかりとは」
「言えなかった」
「いやまったくダメな若者も」
「かなりいたのである」
(和尚)おっ!ふぅーっ…
ああーっ…
「化け学の根本は―」
「心・技・体の激しい鍛錬であり」
「キツネならばともかく」
「生来のんき者のタヌキたちに」
「おちこぼれが出るのもまた」
「当然であった」
こりゃーっ!
うおーっ…うわわっ
ぽん吉!
【歌】羅漢さんが揃たらまわそじゃないか
【歌】よいやさのよいやさ…
(正吉)あの頃ぼくは化け学に夢中で
幼なじみのぽん吉がごく普通に
タヌキらしく暮らしたがっていたなんて
思いもよりませんでした
(和尚)暮れ方峠にかかると
向こうの山から月が出たが
峠の一本杉の下枝が
月をさえぎっている
これはおかしい
「ハテナ?あんな所に枝はなかったが」
…とつぶやいたとたん
枝が引っ込んで反対側から出た
ハハーンと気付いた人間は
「いや違った枝は両方にあった」
と言ったら
もう片っ方にも枝が出て
とたんにドスンと落ちてきた
とこうじゃ
何が落ちてきたか分かるかな
タヌキ!
そうじゃ
ではなぜ落ちた権太
ドジな野郎だ
絶対落ちないぞ俺は
よかろうその意気じゃ
佐助このタヌキはなぜ落ちたのかな?
枝に化けて両手を離したからです
よろしい
この話の教訓は何かな?正吉
人間が言うことを素直に聞きすぎるな
と言うことだと思います
そうじゃ
オラたちタヌキはヒトがいい
調子に乗るサービスしすぎる
これが失敗の元じゃ
分かったかな
はい鶴亀和尚
例えばオラが
【歌】たーぬきさんたーぬきさん
【歌】あそぼじゃないかと
【歌】いまじゅぎょうのまっさいちゅう
ほれ諸君はもう乗っとる
これが怖いんじゃ
「タヌキたちが人間研究と化け学復興に」
「懸命の努力を続けている間に」
「冬が去り梅がほころび」
恋の季節がやって来た」
「だが多くのタヌキは」
「おろく婆の忠告を守り」
「欲しがりません勝つまではの精神で」
「身を慎み」
「新たな子供をもうけようとは」
「しなかった」
「とくに雌ダヌキたちは」
「みずからの母性本能を抑制し」
「志操堅固」
「雄ダヌキたちのやみくもな求愛を」
「しりぞけたのである」
うわぁ
「一方その間にも」
「大開発事業は着々と進行し」
「森は伐られ土は削られ」
「造成地は増え続けた」
「タヌキたちは怒りと悲しみを込めて」
「それらを「ノッペラ丘」と呼んだ」

【歌】郵便屋さん落とし物
「この年子育てから解放された―」
「雌ダヌキたちのなかには」
「雄同様化け学を習う者も現れた」
「雄が若い女性や子供に化けた場合」
「声や仕草に難点があったが」
「雌の参加によって問題は解決した」
ハッ!
「もちろんなかには男性に化けたがる」
「雌ダヌキもいた」
男性諸君だけ
ちょいと残ってくれんかの
「ある日雄ダヌキを対象に」
「鶴亀和尚の特別講義が行われた」
いま諸君の座っとる
緋毛氈は何を隠そう…
愚僧のナニじゃ
キンタマじゃ
ちょうど八畳ある
それが証拠に喝!
おお…おわーっ
「いよいよ化け学総仕上げの」
「街頭実習が始まった」
「これには自動車の教習同様―」
「すでに変化の術を身に付けた者が」
「必ず付き添い」
「不慮の事故や正体露見を」
「未然に防ぐ措置が取られた」
あ…
おーい!
(クラクションの音)
おお…
はあーっ
へへへ…
「変化術のうちとくに」
「「人間化け」に要するエネルギーは」
「想像を絶するものがある」
「この独特の「タヌキくま」は」
「体力の消耗によって疲労素が」
「眼のまわりにたまった結果である」
「例えベテランの変化ダヌキであっても」
「懐に忍ばせた精力剤を」
「すばやく服用して」
「体力の回復をはからぬかぎり」
「たちまちシッポを出したり」
「このように元のタヌキに」
「戻ってしまうのである」
「なお最近では―」
「精力剤として即効性の高い」
「市販のドリンク剤が活用され始めた」
「街頭実習の卒業テストの課題は」
「各自独力で最低1000円を」
「平和的に稼いで来る」
「というものであった」
助けてくれ
「なかには数匹で1人の男を」
「演じる者もいれば」
「托鉢の坊さんに化けて駅頭に立ったり」
「スナックで働きドリンク代の方が」
「高くついてしまった雌ダヌキや」
「ひろった1個のパチンコ玉で」
「当てたタヌキもいた」
「ある横着者はお賽銭を」
「ちゃっかり失敬したが」
「小銭ばかりで足りず」
「木の葉を化かしたお札は」
「たちまちおろく婆に見破られた」
現代化け学で木の葉のお札は
ご法度と教えたはずじゃ!
「本部で化け学修行に励んでいた権太は」
「突然の知らせを受け―」
「鷹ヶ森へ急ぎ戻って驚いた」
「自分の生まれ育った鷹ヶ森が」
「すでに半分以上」
「ノッペラ丘と化していたのである」
「権太は怒り狂った」
「直ちに本部へ取って返し」
「強引に鶴亀和尚に族長会議を招集させ」
「人間撃退作戦の発動を提案した」

俺は絶対反対だ
なぜだ
時期尚早
5ヵ年計画のまだ1年目だぞ
俺たちは卒業試験に合格した
もうかなりのことが可能だ
どうかな火の玉の
この連中にやらせて大丈夫かの
確かに一通りのことは
できるはずじゃが
じゃが?
経験が足りん
失敗して正体露見する危険はあろう
権太に聞きたい
お前は自分の森が―
こんな目にあって腹立ちまぎれに
この作戦を提案しているのだとみたが
どうじゃな?
誓って左様な考えではござらぬ
それがしは多摩のタヌキ全体の
幸せの為に
何が全体の幸せだ
忘れるな
もともと権太は鈴ヶ森を乗っ取ろうとした
張本人だぞ
うるせえ!
とにかくみんなが反対しても
鷹ヶ森の俺たちはやる!
どうしても権太さんがやるのなら
ぼくもやります!
正吉お前もか
ありがとう!
諸君!
もはや止めても
ムダでござるわ!
あいや待たれい!
止めてくれるなお婆ちゃん
今回に限り
オラがお前たちに秘術を授けようぞ
コーン!
もし失敗しても
これで5日間はタヌキには見えぬ
ヘェ?
じゃあ何に?
キツネの死体じゃ
「ぽんぽこ32年夏」
「鷹ヶ森の権太を首領とする」
「若手有志約10名は」
「身に付けたばかりの変化術を応用し」
「人間に対する決死の」
「奇襲作戦を開始した」
「ついに反撃の火蓋が切られたのである」
(雷の音)
へへ…
おっ来た
来たぞぉ!
うーん…うーん
オーライオーライ…
それっ
やったーやったー
うわっ!
やったーい!
(クラクションの音)
むーん…
とおーっ
うわぁ!
わっわぁーっ
うーん…ハッ!
今日午後2時半ごろ
多摩市のニュータウン開発現場で
土砂崩れや崖下への転落などによって
運転手3人が死亡
2人が重軽傷を負い
新築中の住宅1棟が全壊するという
大惨事が起こりました
折からの集中豪雨で視界が悪く
造成地の地盤はゆるんでいたとみられ
また事故が1ヵ所ではなく
同時多発的である点から見ても
開発工事の進め方に
何らかの問題が
あったのではないかとみられ
地元の住民の間では
早くもニュータウン開発のあり方に
疑問を投げかける声も
出始めています
わーい!
待たっしゃい皆の衆!
作戦の犠牲となった
気の毒な人間たちに
まずは惜しみない
哀悼の意を表すべきではあるまいかの
和尚の言うとおりだ
さあみんなこの誠に尊い犠牲に対し
1分間の黙祷を捧げようではないか
賛成!
黙祷だ黙祷だ!
黙祷!
ナムアミダブナムアミダブ…
クックックッ…
ウッウッ…
ダッハハハ…
わーい!勝った勝った!
大成功だーい!
うん?
おお権太君
英雄たちの凱旋だ
すげえことやったな正吉
(青左衛門)君たちのおかげで
希望が胸に
ふつふつと沸いてきたぞ
今日はほんの小手調べにすぎん
諸君闘いはこれからだ!
俺たちは1人でも多くの人間を
殺し叩きのめしひねりつぶし
この土地から―
追い出してしまわなければならない
何か言えよ正吉も
それから木を植えようよ
ぼくたちの大好きな
柿の木なんかをいっぱい
【歌】はやく芽を出せ柿のタネ
【歌】出さぬとハサミでちょん切るぞ!
人間を追い出せ!
人間をぶっ殺せ!
まあまあまあまあ
まずはとにかくこのめでたい日を
共に祝おうじゃないか
ねえちょっと心配があるんだけど
何だ
人間はみんな殺すか―
追い出しちゃうのかい?
当たり前だ
少しは残しておいてもらえねえかな
昔みたいに
ダメだ!
人間は俺たちの天敵だ
害獣だ
人間は永久追放だ!
ダメかな…
いやね俺だって人間はキライだよ
なかにはいいヤツもいるが
いや本当にキライだよ
だけど…
だけど?
うん…だけど
あいつらみんな追い出しちまったら
もう食えないよ天ぷら
さんまの干物
トウモロコシ
ハンバーグ!ドーナツ!フライドチキン!
ポテトチップス!にわとり!
俺も食いてえ!
うむでは人間も少しは―
残してやることにしたらどうかね
えーい仕方がない
ハハハ…
権太君を讃え胴上げだ!
【歌】まんまん万福寺
【歌】万福寺の庭は
【歌】つんつん月夜だ
【歌】みんな出て来い来い来い
【歌】おいらの友だちゃ…
【歌】お婆小便しりゃタヌキが覗く
【歌】覗くはずだよ古穴だ
【歌】覗くはずだよ古穴だ
【歌】ヨイコノサンサ…
しかし当局者は
基本的に住宅供給は
1千万都民にとって
緊急かつ絶対不可欠であり
このような事故があったからといって
ニュータウン開発を再検討することは
あり得ないと言明しています
えっ!
何だって?
「不慮の事故だった」
「気の毒にも本作戦の功労者」
「鷹ヶ森の権太は」
「複雑骨折と内臓破裂により」
「全治1ヵ年の大ケガを負ったのである」
「タヌキたちは次々と流される報道に」
「一喜一憂した」
「しかしタヌキたちを」
「決定的に勇気づけたのは」
「タタリを恐れる」
「地元の人たちの声だった」
あれがマズかったんじゃないかな
諏訪神社を取り払ったのが
と言いますと?
やっぱりタタリがね
神さまのバチが当たったんじゃないかと
確かお地蔵さんや道祖神なんかも
ずいぶん片づけたとか…
そりゃあ私らも気にしてお祓いや
御供養をちゃんとしてから
お移り願ったんだが…
そのへんどうですか水木先生
こういう神さんや仏さんはね
だいたいその土地の神さんなんだよ
訳も分からんうちに他所へ移されて
お忍びでちょっと戻ってみりゃ
何もなし
これじゃ怒らん方がおかしかろう
タタリやバチはまーだまだ
出るんじゃないかな?
ウッハハハッ
日影山は伐られないで
済むかもしれないぞ
「正吉たちは直ちに作戦を開始した」
「伐採の為仲介業者とともに」
「久しぶりに日影山を訪れた不在地主は」
「うちの山に」
「こんなにお地蔵さんがあったかな?」
「と首をかしげつつも」
「しばらく様子を見るべ」
「そう言って契約を延期した」
「馬の背山の稲荷神社を」
「塒としてきた熊太郎は」
「移転のお祓いの儀式のただ中」
「このあたりの昔話で活躍する」
正一位のお使いキツネに化けて」
「社の屋根に出現した」
おおーっ
「悲鳴にも似たシロキツネの声は」
「雇われ神主の祝詞を圧倒し」
「儀式は中止され」
「移転の一時見合せと」
「道路計画の変更を当局に要望する」
「氏子集会に切り替えられたのである」

「タヌキたちは一気に燃え上がった」
「各グループは競い合って」
「習ったばかりの化け学を駆使し」
「様々なゲリラ戦を展開し始めた」
寄ってけえー
放っとけえー
持ってけえー
食べ残しやゴミは
ちゃんと持って帰ろうね
あっ中身は…
置いてけえー
え?
どうかしましたかお嬢さん
ねえどうしたんです?
ウハハハッ
ノッペラボウ!
ギャーッ!
お化けぇ!
ガァーッ!
(銃声)
ああのそそこで今…
コロシか?
いいやち…違う
なんだ殺しじゃないのか
ででで出たんだ女が!
口裂け女か?
違う違うなんつうかそその…
もしひょっとして
こんなのではございませんでしたか
ギャーッ!
でで出たー!
あわあわわ…
わわわ…
あ…あ…
それは…
こんなんだったかえー
ギャーッ!
「覚えたての術に人間たちが」
「他愛もなく引っかかるのが」
「面白くてたまらず」
「タヌキたちはそのたびに」
「盛大に祝杯をあげた」
「だが第1次作戦の立て役者」
「鷹ヶ森の権太は胴上げの時の」
「大ケガの回復がおもわしくなく」
「愛妻お玉の看病を受けながら」
「闘いに参加できないことを」
「歯ぎしりして悔しがった」
「権太は仲間たちの」
「なまぬるいやり方が気に入らなかった」
昨日のニューストレイン面白かったぜ
「お化けの出る街ニュータウン」ってやつ
俺たちが化かしてやったお巡りが
出てやんの
他のゲストがみんな
ゲラゲラ笑うもんだから
まっ赤になって怒っちゃって
もうおかしくて…
バカ野郎!
それがなんだ!
それで開発がストップするのか!
俺がやったみたいにやれ!
事故を起こさせて人間どもを
ぶっ殺すんだ!
(骨が折れる音)
あ痛っうーん…
あれ権さん!
「確かに権太の言うとおり」
「開発は止まらなかった」
「それどころか」
「川はコンクリートで固められ」
「ノッペラ丘には道路が走り」
「大量の資材が運び込まれ」
「ついに住宅の建設が始まった」
「しかしニュータウンの開発現場や」
多摩丘陵の怪奇現象は」
「テレビや週刊誌に格好の話題を提供し」
「全国的に有名になり」
「タヌキたちの意気はますます」
「上がる一方だった」

ジャーンケーンポーン!
イエーイ
「ぽんぽこ32年秋」
「懸案の化け学指南招聘の使者が」
「白熱的なジャンケンによって選ばれた」
「四国方面へは―」
「鬼ヶ森の玉三郎
佐渡へは―」
「水呑み沢の文太」
「そして次の満月の晩」
「2人の若者は仲間たちと」
「水さかずきを交わしたのち」
「勇躍故郷をあとにして」
「任地に赴いた」
うん?どうした
うわあなんだあ?
「2人の仲間を送り出してからも」
「若手のタヌキたちは新たな―」
「「ニュータウンの怪」に取り組んだ」
ギャーッ!
「開発阻止に効果的であるか否かに」
「かかわりなく」
「変化はすっかりタヌキたちの」
「楽しみとなってしまったのである」
(子供の声)
ん?
ハッ?
鬼は外!
へえ…!
(笑い声)
こんなことをしていて
人間を追い出せるんだろうか
ヘマをやって
正体を見破られるんじゃないのか
もし権太さんの言うように
激しく闘えばどうか?
いや1人や2人人間を殺せても
それは同じことだ
このままでいいのかいけないのか
それが問題だ
ん?
おキヨさん…
何してるのそんな所で
首おかしいの?
ポーズしてたのよ
きれいだって言ってくれるか
と思って…
あごめん
あーあ本当に首が痛くなっちゃったわ
きれいだった
もう遅いわ
本当だよ
いいのあたしの練習不足
フフフ…
(宴会の歌声)
みんな好きねえ…
あたしもあの歌キライじゃないけど
「あんたがたどこさ」って知ってる?
うん…でもみんな歌わない
あの歌ね…
【歌】せんば山にはタヌキがおってさ
【歌】それを猟師が…
あたしのじっちゃん
鉄砲で撃たれて死んだの
ごめん知らなかった
ううんでもね
じっちゃんは煮て焼いて
食われたんじゃない
立派な毛皮になって高く売れたんだって
君の毛並みもステキだもの
あらうれしい
正吉さんにそう言ってもらえて
いやあへへ…
で何なの?あの歌
うん…
オヤジがさよく歌ってたんだ
毬つきもうまかったけど
変わってたのねお父さん
うんそれで
歌い終わるとね
必ず説教するんだ
なんて?
お前たちよく覚えておきなさい
無邪気なような手毬歌にさえ
俺たちタヌキを鉄砲で撃って
煮て焼いて食う
残酷な人間の本性が―
歌い込まれていることをな
アッハハハ…
ね毬つきやろうか
おキヨさん上手なの?
うん自信あるよ
よーし俺だって
フウーン…
パッ

【歌】あんたがたどこさひごさ
【歌】ひごどこさくまもとさ
【歌】くまもとどこさせんばさ
【歌】せんば山にはタヌキがおってさ
【歌】それを…
正吉さんの言ってた
「双子の星」作戦っていつやるの
あんまりやりたくないんだもう
あらステキな思いつきだったのに
うん…
今夜やってみないあたしと
おキヨさんと?
うんあたしとペアじゃ不安?
そんなことじゃないんだ
ただ…
じゃやらせて
きっとうまくいくわよ
よしやろう
おキヨさんとなら
成功するような気がしてきた
うれしい!
(ノックの音)
ヨイショ
おやぁこらめんこいわらし子だなあ
あたいたち星めぐりから帰ってきたら
おうちがないの
星めぐり?
赤い目玉のサソリから
広げたワシの翼を渡り
光のヘビのとぐろを巻いて
コグマのひたいの真上まで
お空の星をめぐりながら
露と霜とを落とします
おめえたちいってえ…
うわぁ
おうちがなくてあたいたち寒い
おじさんあたいたちのおうち知らない?
え?お…おうち?
おうちって言われても…
し…知らねえ知らねえ
帰んな帰んなこら!
それより警察だ
警察に知らせるべ
うえーん…
えーんえーん
あっ…あっ…
だめだもう…
うわーんうわーん
あーんあーん…
こらざしきわらしに違いね
ざしきわらし
許してくんろ
許してくんろざしきわらし
どわあ
うわあ
(子供の笑い声)
待ってくれ
悪いようにはせん賃金も上げる
な頼むから
もう我慢ならね
田舎さ帰るっす
こったら気味悪い所にはハア
いられねべっす
そんなこと言わんで
なな鈴木さん
東京は怖い所だと聞いではいたが
いぐらなんでもこれはあんまりだ
もう開発はやめた方がいいと思いますよ
タタリかモノノケか知らんが
よっぽどこの工事は恨まれてるんだよ
わーい!
「タヌキたちは思わず」
「勝どきの声を上げた」
「その夜の祝賀会は」
「ひときわ盛大に盛り上がった」
「英雄はもちろん耳切り山のおキヨと」
「影森の正吉だった」
「一方人のいなくなった飯場は」
「火の消えたようにシーンと」
「静まりかえっていた」
「しかし次の朝…」
「代わりの人間はいくらでも」
「いるらしかった」
「せっかく化かして追い払っても」
「必ず次の日には新顔が現れるのだった」
地元ではキツネかタヌキの―
仕業ではないかという噂も
出てるようですが
ハハハ…
それならば楽なもんですな
原因になっているキツネやタヌキさえ
退治してしまえば済むんだから
「本部のテレビモニター係は緊張した」
しかしああいう化かし方は
昔話に出てくるものに
そっくりですからねえ
そういう噂が立つのももっともだと
それこそ誰かが悪質な噂を流してる
証拠ではないんですか
悪質な噂とはなんだ
俺は実際にこの眼で
あー分かりました
ではそういう悪さをする動物は
害獣駆除の対象にいたしますから
正体を見破り次第
どんどんご報告願いたいものですな
ま証拠があればの話ですがね
ハッハッハッハ
「人間たちをただ化かすことに」
「懐疑的なのは」
「正吉だけではなかった」
(おろく)知ってのとおり―
江戸時代はタヌキの全盛時代じゃった
変化はきわめて盛んに行われ
絵描きや文筆家はこぞって
オラたちの「化け学」を題材にした
しかしタヌキは目立ちすぎた
人間の反感をかった
文明開化以来―
人間たちはタヌキを大量に捕獲し
毛皮や筆や歯ブラシなどにして
彼らの復讐心を満足させたのじゃ
皆の衆
オラたちがこの手痛い経験を活かし
変化を慎んできたこの数10年
タヌキにとって
もっとも平和な時代が続いたことを
忘れてはなりませんぞ
化け学は両刃のヤイバじゃ
軽々しく変化術を扱って
人間の復讐心を煽るようなことは
厳に慎んでもらいたい

「意気に燃えていた」
「若手の変化ダヌキたちは」
「目標を失ったかにみえた」
「しかし時は天高く」
「タヌキ肥える実りの秋」
「タヌキは来るべき冬に備え」
「もりもり食べて皮下脂肪を蓄え」
「フサフサとした」
「冬毛を生やさなければならない」
「若者たちはたちまち目標を切り替え」
「化け学まで応用して」
「食料確保に精を出したのだった」
「そんなある日のこと」
「疲れはてた1匹のタヌキが」
「造成現場にたどり着いた」
大丈夫俺たちもタヌキなんだ
は?
いただきます
随分お疲れのようじゃが
どっから来なさったのかの
藤野の山からです
それは四国ですか佐渡ですか
いやこの奥の―
神奈川県の藤野町
え神奈川県?
なんだ四国からじゃないんですか
すみません何か―
ご期待を裏切ったようですね
いえね
ちょっと待ち人があったもんだから
いやそれはともかく
いったい何のご用事で?
やっと突き止めたんです
私たちの山をメチャメチャにしている土が
どこから運ばれてくるのか
「林と名乗るこのタヌキによれば」
藤野町の山や谷には最近―」
「大量の開発残土が」
「不法に投棄されるようになり」
「川の水は汚れ土砂崩れが頻発し」
「山林がつぶれて」
「タヌキやほかの動物たちが」
「大変な目にあっているという」
「残土がどこから運ばれてくるのかを」
「突き止める為に林さんは人間に化け」
「不法投棄した空ダンプの」
「荷台に潜入した」
「しかし」
「林さんは変化術が得意とは言えず」
「ダンプに揺られ」
「心労が重なり昏睡しているうちに」
「元のタヌキに戻ってしまったのだった」
藤野町だけじゃないんです
隣町もそうです
それにゴミ処理場やゴルフ場も
あちこちに…
ニュータウンの山が削られて
オラたちが迷惑
その土が山や谷に捨てられて
藤野町が迷惑
どこまで業が深いんじゃろう
うんうん…
それがダンプでここに着いてみて
驚きました
残土はてっきり大都会のド真ん中から
運ばれてくるのだと思っていたのに
ここは山じゃないですか
山を削って別の山にそれを捨てる
いったい何の為か
私にはさっぱり分かりません
じゃあもしぼくたちが
開発を止めることができれば
林さんたち藤野町のタヌキの為にも
なるってわけですね
何という力強いお言葉でしょう
皆さんの素晴らしい化け学の力で
多摩丘陵だけでなく
藤野の山もぜひ救って頂きたい
いやまぁそれがね
なかなかそうはその…
長老をお迎えにいった
玉三郎と文太はいったい今頃
どこをほっつき歩いてんのかの
「ついに四国からも佐渡からも」
「期待の長老たちの訪れはないまま」
多摩丘陵に冬がやって来た」
「タヌキたちがしばらく休んでいる間に」
「「ニュータウンの怪」は」
「たちまち忘れ去られ」
「マスコミを賑わすこともなくなった」
「マスコミは―」
「アイドル歌手のスキャンダルや」
「政財界の汚職事件を追うのに」
「忙しかった」
【歌】まんまんまんぷくじ万福寺の庭に
【歌】降れ降れわたアメ
【歌】アイスクリームミゾレ
【歌】おいらの友だちゃぽんぽこぽんの
【歌】ぽんぽん
「ぽんぽこ33年正月」
「珍しく多摩丘陵はすがすがしい」
「銀世界で元旦を迎えた」
「その頃出稼ぎに来ていた人々は」
「おみやげをどっさり抱えて」
「それぞれの故郷へ戻り」
「久しぶりの家族団欒を楽しんでいた」
ヨイショヨイショ…
ああ!
おおーっ
【歌】たんたんタヌキのきんどけい
【歌】かーぜもないのにブーラブラ
【歌】そーれを見ていた子ダヌキも
【歌】一緒にマネしてブーラブラ
見たんやほんまにわしら
タヌキがぎょうさん
たかって押しよったんや
嘘やないで
3人は正月中も作業員宿舎に居残っており
夏以来のいわゆる
ニュータウンの怪」さわぎに便乗した
いたずらではないかと見て
取り調べを行う模様ですが
ご覧のとおりすでに積雪も消え
何ということをしてくれたんだ正吉
ぼくは心配ないと思いますが
くだらんやることが
いや正吉はまだ変化できない連中を
励まそうとしてやったことじゃ
どうだろうか和尚
うむ大丈夫とは思うがの

「そのとおり大丈夫だった」
「作業員3人は証拠不十分で釈放され」
「むろんタヌキにもお咎めなし」
「事件は迷宮入りとなったのである」
「そして春がやって来た」
「ふたたびめぐって来た恋の季節
「1年以上身を慎んできた」
「タヌキたちにとって」
「もはや我慢の限界だった」
「そこでもかしこでも」
「恋のさや当てと恋の囁きが満ち満ちて」
「空までがバラ色に輝いた」
待てよ花子ぉ
花子ぉ
【歌】あんよは上手…
花子ちょっと待ってくれよ
花子ぉ
ここまでおいでぇ
つらいよぉ花子ぉ
みんなああして浮かれているけれど
ぼくらもやっぱり草や木と同じなんだね
春が来てお日様に照らされれば
芽を出さずにはいられない
そしてやがて花を咲かせ実を結ぶんだ
でもぼくたちは
おろく婆さんの忠告をちゃんと守って
この闘いに勝つまでは
清らかなままでいようね
正吉さんあなたって…
あなたって本当にえらいわ
私…うれしい!
ぼくたちの愛は永遠のものだ!
正吉さん!
「これがいけなかった」
「2人の愛は燃え上がり」
「結局他のタヌキたち同様」
「この春正吉とキヨの間には」
「4匹のかわいい子ダヌキが」
「生まれたのだった」
「昨年の秋の暮れ」
「苦労の末阿波にたどり着いた玉三郎は」
「ここ小松島市金長大明神の主」
「六代目金長に事の次第を話し」
「助力を願うとそのまま」
「どっと病の床に伏したが」
「六代目の愛娘小春の」
「献身的な看護によって」
「奇跡的に回復し」
「この春2人はわりない仲となり」
「3人の子供までもうけたのであった」
「奥殿では―」
「四国を代表する長老タヌキたちの」
「深刻な会議が続いていた」
「東京の開発に歯止めをかけることは」
「開発阻止という全国的な重要課題を」
「大きく前進させるに違いない」
「との認識では出席者全員が」
「完全に一致した」
「しかし誰を送るべきか」
「あとの四国の治めはどうするのか」
「もしもの時の跡目相続は」
「ケンカ出入りもなく」
「円滑に行えるのかについては」
「議論百出」
「意見は容易にまとまらなかった」
父様たちは今日も会議
こんなにステキなお日和なのに
正月からだから
もうかれこれ半年か
いったい何時になれば
結論が出るのだろう
ああいつまでも
会議が終わらないでほしい!
玉さまあたし
玉さまが遠い遠い多摩とやらに
いつかはお帰りになってしまうのだと
思うだけで
胸が張り裂けそうになります
小春さん…
私だってこの幸せが永久に続くことを
つい夢見てしまうのです
それがなぜいけないことなの?
ねっねぇ玉さま
あたし父様にお願いします
玉さまにはここに残って
金長の跡目を継いで頂くようにって
玉三郎が多感な青春の悩みに」
「ふけっている頃」
佐渡へと旅立った水呑み沢の文太は」
「母を尋ねた厨子王丸さながら」
「二つ岩団三郎を探して」
佐渡の山野をさまよっていた」
「だがなぜか高名並ぶ者のない」
「団三郎狸の消息は」
「ヨウとして知れなかったのである」
「この夏から秋にかけて」
「タヌキたちは深刻な事態に直面した」
「開発の進展による」
「森の減少はもちろんのこと」
「春の結婚ベビーブームは」
「一挙にタヌキの人口を倍増させ」
「それに夏の天候不順による」
「極端な食料不足が重なった」
「予想どおり―」
「栗や柿など秋の実りは少なく」
「変化ダヌキたちによって」
「人間用食料の調達が」
「活発におこなわれたが」
「食べ盛りの子供たちを」
「養うにはとても足りなかった」
「こうして変化しないタヌキたちも」
「やむにやまれず人家のまわりに出没し」
「エサになるものなら何でも」
「手に入れようとした」
「そしてその結果―」
「不器用な並のタヌキたちのなかには」
「道で車に轢かれたりワナにかかって」
「命を落とす者が続出し始めた」
(悲しげな鳴き声)
俺はもう我慢できん!
いまこそ一人一殺の構えで
人間に立ち向かう時だ
そうだろう正吉
体はもういいのかの権太
当たりきよ!
ほれこのとおり!
ホッホリャテヤーッ
ホホーイ
こりゃめでたい
全快祝いはいつじゃな
そんな所じゃないでしょ
ぼくも全面対決の時期は
招聘した長老の到着を待って
決めるべきだと思います
お前もか正吉
若いくせにあきれた臆病者だ
人間をあなどることはできませんよ
このまま突っ込めば
必ずぼくらの負けです
もう待ちすぎたんだよ俺たちは!
まあ待て
正吉の意見を聞こう
長老の到着まで3つのことを提案します
ひとつ
変化ダヌキによる調達食料の公平な分配
つまり配給制度です
ふたつ
交通安全訓練の実施
みっつ
ワナにかかった仲間を助ける
救出隊の結成
以上です
正吉
お前まるで人間みたいなヤツだな
いいえぼくは根っからのタヌキです
では具体案はあとにまわすとして
とりあえず賛成を確認したい
手をあげろ!
賛成!
なんのマネじゃ権太
マネじゃねえクーデターだ
これからは俺に反対するヤツは
この親衛隊が容赦なく殺す
いいな
おーっ!
ぶっそうなことは言いっこなしだぜ権太
権太様と言え権太様と
諸君確かに人間は手ごわい
しかし捨て身でかかれば必ず勝てる
殺せる
諸君は知ってるはずだ
「窮鼠猫を噛む」という諺を
キューソ?なんだそりゃあ
舌を噛みそうね
キューソとは
追いつめられたネズミのことです
そうだ
ネズミでも追いつめられれば
猫を噛むことがあるという意味だ
オラたちはネズミじゃないぞ
猫を噛んでも仕方がないと
ネズミかそう言やぁこんところ
ネズミ食ってねえな
ネズミなら天ぷらが1番だ
いや唐揚げが最高
俺はコロモが付いている方が
うまいと思うがな
あのカリカリッとした唐揚げのシッポ
はあ…
何をやっとるんじゃ貴様らーっ!
俺はネズミの
天ぷら大好物ホホイホイホーイ
ほれ権太オラたちの水準はこの程度
まあ四国の長老を待つのが
無難というものじゃろう
面目ない
子供増やすな身を慎んで…
もともと無理だったな
オラの忠告もタヌキには
いや違う!
タヌキを減らすことより
人間を減らすことを
考えるべきじゃないのか
いまウジャウジャ住んでやがる所は
みんな昔俺たちが住んでいた所だ
のさばってきたのはヤツらだ
ヤツらを追い出せ!
ヤツらを殺せ!
ヤツらを追い出せ!
ヤツらを殺せ!
「ちょうどその頃…」

(軽快な音楽)
ヘイテャクシー!
みんなに知らせてきます
玉三郎
四国の長老方をお連れしたぞ
おお!
よくやったな玉三郎
おおっ
おーっ!
諸君
我らは道中つぶさに
山の変貌を目にしてきた
同情に耐えん
直ちに召集をかけて
今夜大集会を開いて頂きたい
「ぽんぽこ33年秋」
「四国3長老を迎えて」
「決起集会が開かれた」
今宵はよい月が出ておるのう
皆の衆
わしゃ屋島の禿じゃ
今年で999歳になる
諸君
なんで本州にくらべて
四国の開発が進んでへんのか
それは
我々タヌキがお山を
しっかりと守っているからである
四国ではタヌキを怒らしたら
どんな災難がふりかかるかを
人間たちはよおわきまえている
それが証拠に
かく申す私をはじめ
ここに居並ぶ3人は
すべて神社仏閣に祀られ
人間に崇められているのじゃ
申し遅れたが私は
かの八百八狸を統率する
松山の隠神刑部である
私はかの金長大明神の末裔
六代目金長である
我らは東京の人間を圧倒し去る為に
秘術「妖怪大作戦」を
発動する覚悟を決めた
この「妖怪大作戦」を指揮するには
恐るべき精神集中力を要する為
我ら3人はいずれも術に殉じて
命を落とすやもしれぬ
しかし諸君諸君がもしこの作戦を
あやまりなく完遂するならば
人間どもは必ずや我々タヌキに対する
尊敬と畏怖の念を
その心に取り戻すに違いないのじゃ
そうなれば
あとは驚き恐れるその心を翻弄し
開発を中止させるところまで
一気に追い込むことができる
打つ手はなんぼでもある
我らはけっして
カチカチ山の泥の舟ではなく
大舟を諸君に用意してきたつもりだ
諸君やすんじて
我らの船に乗ってもらいたい
オーレーオーレー
きれいな月じゃのう
わしらは月夜が好きじゃ
この月にわしらの企ての成功を
祈ろうではないか
のお皆の衆

「「妖怪大作戦」に向けて」
「タヌキたちは直ちに特訓を開始した」
わあっ
うーん…
やあーっ
999歳のお誕生日
おめでとうございまーす
ありがとう諸君
ありがとう
先生若き日にご覧になった
那須の与一を願います!
おうとも!
うわっ
時至れり
おおっ
コケコーロー
ウォー!
「ぽんぽこ33年暮れ」
「ついに「妖怪大作戦」発動の日が」
「やって来た」
「うす曇り微風気温13度」
「湿度65パーセント」
「絶好の妖怪日和であった」
やあ!
(龍の鳴き声)
「古来化け物や妖怪のたぐいは」
「タヌキのもっとも―
「得意とするところであるとはいえ」
「タヌキひとりひとりに潜在する」
「「気」のエネルギーはもちろんのこと」
「自然界に充満する火力電力浮力」
「飛行力などもろもろのエネルギーを」
「いかに引き出し増幅するか」
「そしてそれを作戦遂行の為に」
「いかにして蓄積し発動するか」
「四国3長老の指導のもと」
「この日に向けて行われた」
「特訓の激しさは」
「とても筆舌の及ぶところではなかった」
「雄雌や変化できるできないの区別なく」
「全てのタヌキが参加し」
「力を出し合ったのである」
「この夕べ」
「一致団結したタヌキたちの闘志は」
「まさに燃え上がり舞い飛ぶ炎となって」
「まだ人々の見ぬ出陣にさえ」
「全力投球してしまわずには」
「いられないのだった」
ああれ!
ああ?

なんだろう…
わーっ
枯れ木に花を咲かせましょう
枯れ木に花を咲かせましょう
(おごそかな鈴の音)
ああっ
(阿波踊りの音楽)
(雷様の太鼓の音)
わあーっ
すげえ…お化けの大行列だ
昔はよくああいう事を言ったもんだねえ
キツネの提灯行列だとか
実際見えるからね
見えるんだよ提灯がさあ
すうーっとこう点いて
すうーっと歩くんだよな提灯がさあ
ハハハ…ヘヘッ…
あん時はもうどうなってんのかなあ
キツネにできるのかなあ
えーっ?どうだか
見えるもんねえ
やっぱり人間の神経でねえのかなあ
キツネの嫁取りだキツネの提灯だって
頭にあっからそれがずうっとこう…
神経がそう見えるんだねえ
ずっと歩いてるように…
ありゃ神経のせいだよ
ハハハ…
そりゃそうだ
火が歩くように見えるわけはねえ
人間の神経てえもんは恐ろしいもんだ
思えば事実そう見えるんだから
事実ありゃあしねえんだけど
本当にお化けだ…
はあー
神経がそう見えるんだねえ
わはは…
お帰りなさい
アーッ!
さち子!
ギャーッ!
キャッ
キャーッ
わあーっ
ぎゃー
キャー
うん?
アビラウンケンソワカ
色即是空
カーッ
来た!
うっくっ…うーん
ん?
ああ?
刑部様
刑部様…
(狸たちの泣き声)

怖かったね
あーあもうおしまいなの
すっごく面白かったね
そうね
さあ早くお家に入って寝なさい
はーい
あ歯みがき忘れないでね
なんだか夢を見てたような気がするわ
本当いったい何だったんでしょうね
私UFOも信じたくなっちゃった
不思議なことってあるのね
刑部はかつて―
松山藩のお家騒動にまきこまれ
悪玉に味方して一族の没落を招いたことを
深く悔やまれた末
生涯の終わりを
ただ正義の為にのみ捧げたいと
固く心に誓っておられた
我らは刑部の
壮烈な死をムダにすることなく
その高邁な志を受け継いで
勝利の日まで闘い抜くことを
ここに誓うものである
ギャーテーギャーテー
ハーラーギャーテー
【歌】ぼーたーもーちーやーまーのー
【歌】タヌキさん
【歌】大酒のんで変化して
【歌】ヨーカイ大作戦はだいせいこー
「タヌキたちはすでに大勝利を確信し」
「モニター係以外―」
「テレビを見る者はなかった」
警察やテレビ局では
今夜の不思議なパレードを
映像で記録した人を探していますが
今のところ1人も名乗り出る人がなく
それがますます真相究明を
困難にしています
ずっとこのビデオで撮ってたんだけど
なんにも写ってなかったんです
どう考えても変ですよ
この隙間からヌーッと入ってきたのよ
お化けが
ほーんとに怖かったわ
あんなこと人間にできるわけないわよ
やっぱり何かありますね
このニュータウン
できれば越したいですけれど
そうもいかないし
なおこの不思議な事件に関しては
深夜0時20分から特別番組を組んで
お送りする予定です
真相究明が進めば進むほど
人々が目にし体験したものは
決して神経のせいなどではなく
紛れもない現実であったと
認めざるを得んようになる
そしていかなる高等科学も合理的解釈も
この謎を解くことはでけんと悟った時
突然人間たちは森羅万象の
神秘に驚き
いかに人間が卑小な存在であるかを
思い知るのじゃ
諸君果報は寝て待て
寝るのは惜しい
寝るより祝え
さあ盛大に飲めや歌えや
踊らにゃ損損!
【歌】アエーラヤッチャエーラヤッチャ
【歌】ヨイヨイヨイヨイ!
「しかしその翌日」
「事態はまったく予想外の方向へと」
「急転回した」
昨夜多摩ニュータウンとその周辺に
無許可で繰り広げられた大パレードは
ニュータウン内に
現在建設中のテーマパーク
「ワンダーランド」の
宣伝隊であったとみられ
警察では関係者を呼んで
事情聴取をおこなっています
まさかぁ
しかし団地の入居者や地元住民は
とてもそんな宣伝には見えなかったと
口を揃えて語っています
当たり前だ!
妖怪パレードが
「ワンダーランド」の宣伝隊だったことを
同社の社長が認めた模様です
何だって?
えー
このたび世間をお騒がせしましたことを
心からお詫び申し上げます
何だこいつ
当社が総力を結集して
建設中の「ワンダーランド」
エーこの
「ワンダーランド」の素晴らしさを
知って頂く為には
街頭に出てエー
無料奉仕で皆さんに
楽しんで頂くしかない
こう考えた末
社長の私の独断で
無届けの大パレードを
決行した次第でございます
さいわい―
ご覧になられた圧倒的多数の方々に
エー絶大なる御好評御支持を頂き
ただ今も感激に
うち震えているようなわけでございまして
これでお縄を頂戴するならば本望
とかように
覚悟いたしておる次第でございます
…いったいこれは
どういう…
何かの間違いじゃないのか!
本望とかように覚悟いたしておる
この野郎!
こらくそっ
とりゃ
「このニュースはタヌキたちを」
「パニックに陥れた」

「一方「ワンダーランド」の事務所では」
「必死になって」
「パレードの実行者を探していた」
(社長)もうあとには引けないぞ!
草の根を分けてでも
やった連中を捜し出せ!
そして全員雇え!
札束で頬っつらを引っぱたくんだ!
金はいくらでも出す!
タヌキがやったんですあれは
なに?タヌキ?
ダヌキでもタヌキ親父でも何でもいい
プロモーターごとこっちに取り込むんだ!
タ…タヌキ?
タヌキというと?
いやただの冗談
いったい貴様こんな所で…
どどっから入った?
ちゃんと秘書のお嬢さんに
私が先程お電話した
竜太郎です
この件は込み入っていますから
プロモーターのタヌキ親父と
話がつけられるのは
まず私しかいないでしょうな
分かったあんたに1億出そう
「この得体の知れない人物が」
「策動を続けているうちに」
「タヌキたちは功を横取りした」
「社長に激怒した」
「事態の理不尽さに悲憤慷慨し」
「くやし涙に暮れたあと頭を抱え」
「すっかり無力感に陥ってしまった」
「しかもテレビでは」
「映像が残らなかったせいもあって」
「報道は尻すぼみとなり」
「妖怪パレード騒ぎはたちまち―」
「沈静化してしまったのである」
そなたはキツネじゃな
見あらわしお見事
左様私は多摩堀之内の変化ギツネ
竜太郎です
かねて噂に名高い
阿波の金長大明神さんにお目にかかれて
まことに光栄
いやわしはただの六代目にすぎん
それはともかく何用で来られた
あなた方の素晴らしいパレードに感激して
分かってくれたんかそなたは!
もちろんですとも
皆さんの失望落胆
心からお察し申し上げます
ハアそうか…
やっぱりキツネのそなたには
通じたんじゃな
パレードのあとに起こったことも
すべて予測しておりました
なんじゃて?
「竜太郎キツネは言葉巧みに」
「六代目金長を誘い出し」
「銀座へ直行すると」
「とある有名クラブの特別室へと」
「招待した」
さどうぞ
え…
ハハハ…ご心配なく
この子らも変化ギツネですから
ハアー…!
この子らはこのままがいいですか
キツネになりますか
あーそれとも
タヌキに化けさせましょうか
単刀直入に申しましょう
多摩のタヌキに未来はありません
多摩のキツネが滅びたようにです
やっぱり滅びたんかキツネは
ええ残念ながら
そして少数の変化ギツネだけが
こうして人間に
身をやつして暮らしているんです
人間に?
この大東京では
それしか生きる道はない
私が金長さんをここへお招きしたのも
それをタヌキの皆さんに
お勧めする為です
ちょちょっと待ってくれ
面食らわれるのももっともですが
とりあえず結論を急ぎます
ただ人間として暮らすだけではない
毒食らわば皿まで
こうなった以上私は皆さんが集団で
「ワンダーランド」に就職するのが
最良の解決策だと思います
なんじゃと?
わしらをコケにした
あの「ワンダーランド」にやて?
冷静に考えてみましょう
もはやタヌキは人間として暮らすしかない
これが前提です
【歌】人間暮らしにゃお金がかかる
【歌】かかるお金はどうして稼ぐ
【歌】特技を活かせばわけはない
皆さんをもっとも高給で
雇ってくれる所はどこか
残念ながら皆さんの敵
「ワンダーランド」です
多額の支度金も出すと言っています
これが月給
これが1人頭の支度金
むろん皆さんがタヌキであることは
わたし以外誰も気付いていません
うーん…
ささどうぞ
まゆっくり食べながら考えましょうや
金長大明神さんは
御供物の御馳走に慣れてらっしゃるから
多摩での残飯あさりは
なかなかシンドかったでしょう
そんなことはどうでもええ
1つ質問があるんじゃが
変化できる者は人間として暮らすとして
残された並のタヌキはどうなる?
そこまでは面倒見きれませんな
だいいち種を保存するなら
できるだけ優秀な遺伝子を残すべきです
キツネの場合も涙をのんで
変化できない連中を見捨てました
そして…
滅んだ
そうです
やむをえない選択です
悲劇じゃ
気休めかもしれませんが
タヌキの皆さんは私たちキツネと違って
雑食性ですから
何とかやっていけるんじゃないですか
「その頃多摩のタヌキたちは」
「六代目金長不在のまま」
「この深刻な事態の」
「善後策を協議していた」
「常連以外は集まらなかった」
手はいくらでもあるなんて
大ボラ吹きやがって
あんな老いぼれどもに従ったのが
そもそもの間違いだったんだ
うーん
「捕らぬタヌキの皮算用」なんて
言葉を思い出しちまうなあ
いいやまさかこうなるとは
お釈迦様でも読めはすまい
長老方を責めてはならんぞ
あの社長みたいなのを
なぜかタヌキ親父と呼ぶんですよね
人間は…
変ですねえ
よくも他人事のようなことが言えるな正吉
いやぼくは人間の研究が
まだまだ足りないことを…
黙れ!
もはや人間には実力で
決戦を挑むしかないんだ!
はやるまいぞ権太
この上は「妖怪大作戦」を実行したのが
オラたちタヌキであることを
人間たちの前に明らかにするしかないと
オラは思うがの
血迷うたか和尚
それだけは決して
やってはならない掟ではないか
そうとも
もしタヌキがやったと分かったら
人間どもが俺たちを放っておくはずがない
しかしオラはくやしいじゃ
あれほどの芸術を横取りされて
黙っている?
いやいやオラにはできん
オラは言いたい叫びたい
あれはオラたちがやったんじゃと
鶴亀和尚…
どうすればタヌキたちがやったと
人間が信じるでしょうか
世に犯行宣言というものがあるじゃ
テレビ局に電話をかけ
手紙を送ればよい
たぶんいたずら電話やニセ手紙としか
みないでしょうね
ではテレビに出て
変化を実演しようじゃないか
バカバカしい
トリックと疑われて
くやしい思いをするのが落ちじゃ
見ろ議論なんかムダなんだ!
「確かに名案が出るはずもなく」
「堂々めぐりを繰り返すうちに」
「夜が明けてしまった」
見ろ議論なんかムダなんだ!
しかしもしテロに走って
人間を挑発すれば
こちらが皆殺しの目にあう
だから正体を明かさぬように
やるってんだろう!
ならば大したことはやれない
ぼくはやっぱり
いま焦ってバラバラに何かするより
もう一度力を結集して
さらに強烈な妖怪大作戦を
やるしかないと思います
それでまた同じ結果にならないという
保証もない
だからあらためて計画を練り上げ
態勢を建て直し
貴様は結局―
何もやりたかねえんだ!
まったく女の腐ったような野郎だぜ
言葉を慎め権太
女は腐らぬ
だからもし腐ったら
こいつみたいになるんだ
ぼくはとにかく妖怪大作戦第2弾を
準備し始めるつもりです
誰が貴様なんかについていくか!
権太さんにはみんなついて来るんですか
なんだと!
こらてめえこら
やめろ!
ん?
みんな聞いてくれ!
団結を保ったまま「妖怪大作戦」に見せた
我々の能力を
まるごと活かして暮らしていける方法が
1つだけある
我々の大作戦は人間どもを
感嘆させ圧倒した
じゃが理不尽にも
「それは人間離れした人間」の仕業と
されてしもうた
ならば我々はどうすればよいのか
これをどうやって垂直に立てる?
知ってのとおりコロンブスはこうやった
ホーお見事
そんな素晴らしい名案があるんですか?
我々は以後
「人間離れした人間」
として生きればよいのじゃ
ジョーダンじゃねえぜ
いやいやこれは
シャレや冗談ではないんやぞ
でも―
変化できない者はどうするんですか?
議長!…ああれ?
「鶴亀和尚の抜けがけをきっかけに」
「六代目の提案について」
論議をつくさぬまま」
「会議は散会となり」
「タヌキたちの結束は乱れ始めた」
「大作戦でおろそかになっていた」
「食料集めや家事に精を出す一方」
「強硬派の権太は山をめぐり歩いて」
「公然と同志を募り」
「モウロクしたかにみえた禿ダヌキは」
「変化できないタヌキたちを集めて」
「いつの間にか踊り念仏の」
「教祖におさまっていた」
【歌】この世は闇じゃドロ舟じゃ
【歌】念仏唱えてただ踊れ
【歌】ナムアミダブツオダブツじゃ
あの矍鑠たる禿ダヌキさんが
ああなるとはな
やっぱり東京は恐ろしい所じゃ
四国ならあれだけやったら
我々タヌキの仕業ということは
もうピンと感じてうちの大明神でも
日々の御供物や賽銭が倍増
いや10倍は増えたじゃろうに
六代目様
もはやこの上は
1日も早くお供をして小松島へ帰り
修行に励みとうございます
…そうか
玉三郎
はい
わしの跡目を継ぐ決心をしてくれたか
はい六代目様
それを聞いて安心した
じゃがな
まさかそなた
小春恋しさに目がくらみ
仲間を捨てて行くほど自分勝手な男では
なかろうな
もちろんでございます
しかし…
しかしなんじゃ?
六代目様までが御支持を失われた今
今さら何ができるのでございましょう
あるんじゃ
できることが

ほう
こりゃなかなか…
シャレたレストランだな
社長に喜んで頂こうと
趣向を凝らしてお迎えしたい
と申しておりましたが
テヒャヒャヒャヒャ
こりゃよくできておるわい
キャー!ディズニーランドに
勝てそう!
キエーッ
ギャーッ
あわわ…
「六代目金長はこうして」
「にっくき社長への復讐がてら」
「多摩ダヌキの闘争資金にと」
「多額の支度金を奪い取ったのだった」
「なお「ワンダーランド」の社長は」
「警察に駆け込み」
「タヌキに1億円騙し取られた」
「と訴えたが相手にされなかった」
ほりゃー
とりゃ
とおっ
「一方この日―」
「強硬派の権太たちはすでに」
「裏成り山伐採阻止の」
「実力行動を開始していた」
(電動ノコギリの音)
ギャーッ!
うわぁ
うわーっ
ギャーッ!
大丈夫か!
イターッ
自然保護団体の皆さん
ヘビ退治の邪魔はやめて
直ちにこの山から立ち退いて下さい
皆さんの行動は―
強盗罪凶器準備集合罪
および不法占拠に当たります
この勧告により立ち退かぬ場合は
法に基づき皆さんを
強制排除しなければなりません
(電動ノコギリの音)
ううっ
「権太たちは警官や猟師」
「作業員を林道に釘付けし」
「退去勧告に応ずることなく」
「一歩も裏成り山に踏み込ませなかった」
「そして両者は対峙したまま夜を迎えた」
(パトカーのサイレン)
なんだって?
止められなかったんなら権太さんたちを
助けに行くしかないでしょう!
(装甲車の音)
聞こえるだろう機動隊が出動した
もはや手遅れじゃ
様子だけでも見てきます
よせ!お前も捕まるぞ!
(佐助・玉三郎)俺たちも行く
覚悟はいいか
おう!
我ら特攻精神により
よし壮烈なる玉砕を遂ぐるとも
軟弱なる我らが同胞を奮起させ
勝利の日まで闘い抜く決意を
惹起すること必定なり
あとに続くを信ずる
【歌】たんたんタヌキのキンタマ
【歌】かーぜにゆられてブーラブラ
【歌】アーメーン
特別任務!
御免
待ってくれ権太さん!
早まるな!
出動!
おおーっ!
ああっ
権太さん…
おおっ
(銃声)
「これぞまさに玉と砕ける」
「文字通りの「玉砕」であった」

タヌキさんタヌキさん…
「ちょうどその頃多摩丘陵の別の林では」
「テレビ局が中継車を繰り出していた」
タヌキさんどうか姿を現して下さい
タヌキのままでも
化けて出て頂いても結構です
私たち「世間まる見えテレポーター」は
皆さんの味方でーす
なかなか出て来てくれませんねえ…
【歌】たーぬきさんたーぬきさん
【歌】話し合おうじゃなーいか
【歌】いーまごーはんがたーべられない
応えてくれました
やっぱり本当だったんです!あのアピール
ぜひその辺の事情をお聞きしたいんですが
姿を見せてくれませんか
おっ
いたいたいた
タヌキだタヌキだタヌキだ!
本当に皆さんが―
あのお化け大会をやったんですか?
そうだよー
ねえ化けて見せて下さいよ
そうじゃないと視聴者の皆さんに
信じてもらえないですよ
タヌキには化けられないのもいるんだよ
だから山がなくなると
暮らしていけないんだよ
ねえタヌキさーん…
これじゃまるで下手な
ヤラセ番組みたいになってしまいますよ
タヌキさんの方からあったお話でしょ
少しは誠意を見せて下さいよ
和尚!
お願いします
人間たちに思いのタケをぶつけて下さい
うわっ出ました出ました
信楽焼のタヌキが歩いてきます!
…うっ
タヌキさんど…どうぞひと言
オラたちは…
オラたちは…
ハイッ
さどうぞ
おろく婆さん!
イヤッキエーッ
うわー
あれはオラたちがやったんじゃ!
山はオラたちの棲処
勝手に無くさんでもらいたい!
これは生き物すべての願いじゃ
…は…は…
ウオーッ!
ああーっ
(動物たちの鳴き声)
【歌】昨日見し人今日はなし
【歌】今日見る人も明日はあらじ
【歌】明日とも知らぬ我なれど
【歌】今日は人こそ哀しけれ
「源平屋島の合戦を」
「この眼でしかと見たという」
「推定年齢999歳の―」
「ほまれも高き禿ダヌキ」
「世の行く末をはかなんで」
「もはやこれまでおさらばと」
「八畳敷きの大キンタマを」
「エイヤエイヤの掛け声かけて」
「のばしにのばし作り上げたは宝船」
「七珍満宝山と積み」
「朱塗りの欄干金の擬宝珠」
欣求浄土厭離穢土」
「声も高らに身もほがら」
「並のタヌキの一団は」
「極楽浄土をまぶたに描き」
「遠足気分でいそいそと」
「乗り込む姿ぞ哀れなる」
「月影さやかに宝船」
「どんぶらこっこと多摩川の」
「流れに浮かびゆらり揺れ」
「波のまにまに漂いて」
「ピンと立てたるシッポさながら」
「得手に帆を揚げ順風満帆」
「熱田津に船乗りせんと月待てば」
「潮もかなひぬエンヤドットと」
「いまは漕ぎだす宝船」
「月夜に浮かれて腹つづみ」
「打つやうつつの夢の夜を」
「鉦に三味線笛太鼓」
ダヌキ囃子も賑やかに」
「並のタヌキを満載し」
「金銀珊瑚に埋もれて」
「遠ざかりゆく宝船」
「よも泥舟ではあるまいに」
「見送るタヌキの眼に涙」
「朧に霞む薄原」
「ただ春の夜の夢のごと」
「月のうさぎを仰ぎつつ」
阿弥陀の招く極楽の」
補陀落目指し賑わしく」
「宝の船は死出の旅」
「ソレドンジャンドンジャン死出の旅」
「並のタヌキは死出の旅」
「行きて帰らぬ死出の旅」
「ソレドンジャンドンジャン死出の旅」
「哀れタヌキは死出の旅」
「ドンジャンドンジャン死出の旅」
トホホ…
人間にはかなわないよ…

(玉三郎)文太!文太じゃないか!
文太!文太!
玉三郎
文太さん!
おーい
文太さん…
よく帰ったなぁ…
佐助正吉…
団三郎先生は?
かの名高い佐渡
団三郎先生はどうなされた?
それが…45年も前
戦後の食料難の折
猟師に撃たれてあえなく落命されたことが
やっと分かったんです
そうか…
ひと目お会いしたかったが
ご苦労じゃったな
文太…
それよりこれはどういうことなんだ
たった3年で俺は浦島太郎だぞ
ぼくたちも色々やったんだ…
しかしこの変わりようは激しすぎる
化かされているのはこっちじゃないのか
そう思うのも無理はないが…
本当に人間の仕業なのか
そうよこれが人間の仕業なのよ
いや違う
こんなことができるのはタヌキしかいない
ほかにいるもんか!
人間どもはタヌキだったんだ
ヤツらタヌキの風上にも置けない―
クサイクサイ古タヌキなんだ!
山を返せ
里を返せ
野を返せえ!
ううっ…
やってみましょうか
最後の力を出し合って
この風景を元に戻してみませんか
なるほど…
人間と幻術を競ってみるか
うーん面白そうじゃ
オラは昔の姿を
ありありと思い出せるぞ
よーし最後のひと勝負じゃ
しかし…何の意味があるんだ
今さらそんなことをして
気晴らしじゃ気晴らしじゃ
ふーむ遊び心をなくせば
タヌキももはやタヌキではないか
じゃあ金長さんも手伝って下さいますか
もちろんじゃ
阿波徳島風になるかも知れんがの
ぽん吉!
おっと合点!
残ったみんなを集めるんだろ
またエネルギーを貸してくれるかい?
任しとけって!
ウォー
ヤァー
(タヌキたちの叫び声)
待ってよお兄ちゃん
あらあれお母さんみたい…
よっちゃん?よっちゃんよ!
よっちゃーん!
(トンビの鳴き声)
ああっ
あれ俺たちだ!子供の頃の俺たちだ!
あタヌキだ!
わーっかっわいいー
タヌキだよね
まだいたんだねえ
タヌキがこんな所にも
あー待ってよタヌキさーん!
あーあ行っちゃった
なんかエサあげたかったのに
本当に化けるのかなタヌキって

(正吉)こうしてぼくたちは闘いに破れ
ニュータウンの開発はなんの障害もなく
「いまも続けられています」
「月日が経つうちに次第に街も落ち着き」
「人間にとってはなかなか」
「住みよい所になったようです」
「本部にしていた万福寺の山も」
「いまではトレンディーな」
「住宅地に変わりました」
「また今回のことで」
「ぼくたちが人前に姿をさらしたことは」
「結果的に大変いい効果を生みました」
「「タヌキと共生できる暮らし」」
「などどいう美辞麗句で」
「新聞に取り上げられ」
「以後開発にあたり地形を活かし」
「元の山林を残すかたちで」
「公園が作られるようになったのです」
「でもぼくたちにとっては」
「もう手遅れでしたし」
「生きていくには狭すぎます」
「ぼくたちの一部は山越えをして」
「まだ山林や畑の多い」
「町田という地域に移り住んだのですが」
「そこにももちろんタヌキがいて」
「開発で追いつめられた上」
「交通事故で命を奪われる」
「苦しい日々を送っていました」
「そしてとうとうぼくたちは」
「あの決断をしてしまったのです」
(電車の発車チャイム)
「そうなのです」
「ぼくたち変化できる連中は」
「結局キツネ同様」
「いまでは人間になって」
「暮らしているんです」
「ぼくはサラリーマン」
「妻のキヨはスナックで働いています」
「不動産業で成功して」
「平然と森林開発をしている」
「ひどいタヌキもいますが」
「多くは激しいストレスに耐えられず」
「体を壊して山へ帰りたがっています」
「まったくこんな暮らしに」
「よく人間は我慢できるなと」
「感心してしまいます」
「結局ドロップアウトして」
「新宿の花園神社の境内をねぐらに」
「歓楽街の残飯を漁って」
「暮らしている仲間もいます」
「ぽん吉たち並のタヌキは」
「どうしてるかって?」
「「どっこい生きている」って言葉」
「タヌキの為に―」
「あるんじゃないでしょうか」
「開発にも交通事故にもめげず」
「のんびりと明るくほがらかに」
「どっこい生きて子供も作り」
「そしてあっけなく」
「死んだりしてるんです」
(タヌキたちの騒ぎ声)
ほらほら…
ほらぁー

(エンド曲が流れる)
ぽん吉ーっ!
ぽん吉ーっ!
正吉ーっ!
アハハハ…
よく来たなぁ
久しぶりだね
あの…テレビや何かで言うでしょう
「開発が進んで―」
「キツネやタヌキが姿を消した」って
あれやめてもらえません?
そりゃ確かにキツネやタヌキは
化けて姿を消せるのもいるけど…
でもウサギやイタチはどうなんですか?
自分で姿を消せます?


(【歌】いつでも誰かが)
【歌】いつでもおまえが
【歌】きっとそばにいる
【歌】思い出しておくれ
【歌】すてきなその名を
【歌】争いに傷ついて
【歌】光が見えないなら
【歌】耳をすましてくれ
【歌】歌が聞こえるよ
【歌】涙も痛みも
【歌】いつか消えてゆく
【歌】そうさきっとおまえの
【歌】微笑みがほしい
【歌】風の吹く夜
【歌】誰かに会いたい
【歌】夢に見たのさ
【歌】おまえに会いたい
【歌】いつでもおまえが
【歌】きっとそばにいる
【歌】思い出しておくれ
【歌】すてきなその名を
【歌】いつでもおまえが
【歌】きっとそばにいる
【歌】思い出しておくれ
【歌】すてきなその名を
【歌】いつでもおまえが
【歌】きっとそばにいる
【歌】思い出しておくれ
【歌】すてきなその名を
【歌】いつでもおまえが
【歌】きっとそばにいる
【歌】思い出しておくれ
【歌】すてきなその名を
【歌】いつでもおまえが
【歌】きっとそばにいる
【歌】思い出しておくれ
【歌】すてきなその名を

 

END