機動武闘伝Gガンダム 第44話「シュバルツ散る!ドモン涙の必殺拳」
機動武闘伝Gガンダム 第44話「シュバルツ散る!ドモン涙の必殺拳」
ストーカー:さてみなさん。ランタオ島の激戦も、いよいよクライマックスを迎えようとするなか、サイ・サイシーが、アルゴ・ガルスキーが、チボデー・クロケットが、そして、ジョルジュ・ド・サンドが。新シャッフル同盟の面々が、デビルガンダム四天王と戦い、次々と倒れていったのです。そう、ドモンにデビルガンダムとの、最後の決着を付けさせるために。そして今日は、物語の大きな謎のひとつ。シュバルツとキョウジの間に起きた悲劇を、明かす事にもなるのです。それでは!ガンダムファイト!レディーゴー!!
シュバルツ散る!ドモン涙の必殺拳
アレンビー:どぅああああっああっ!!
ドモン:やめろアレンビィィィー!ん!?あ、あれは!ライジングガンダム!でも、一体誰が!アレンビー!
マスター・アジア:隙ありぃぃっ!
ドモン:うっ!?どぅああああっ!
マスター・アジア:ここがリングの上だと言う事を、忘れおったかぁっ!それとも四天王にしたたか痛めつけられ、立ち上がる気力を失ったかあっ!
ドモン:ああっ…俺は、みんなの力を借りてここまで来られたんだ!その友のこころざしを無駄にはできんっ!俺は必ずデビルガンダムを倒す!
マスター・アジア:まだ寝言を言いおるのかぁっ!こぉの…
シュバルツ:いーやその意気だ!
マスター・アジア:ん?
シュバルツ:大丈夫か、ドモン!
ドモン:その声は!
マスター:おのれシュバルツ、またしても!
シュバルツ:そうだ!貴様などに我が弟をやらせはせんっ!
ドモン:弟…じゃあ、やっぱり俺の兄さんなんだ!
シュバルツ:ふっ…ふっふっふっ!心配かけたな、ドモン!
ドモン:兄さん…
ウォン:おのれぇーっ!次から次へと邪魔ばかり現れおって……アレンビー?アレンビーはどうした!何をぐずぐずしている!そんな奴はさっさとふりほどいて、デビルガンダムのいるランタオ島へ戻りたまえ!デビルアレンビーとなってなぁっ!
アレンビー:うおっ…うおおおおおおおおっ!!
レイン:な…なんなの!こ、これは…まさか!嘘でしょアレンビー…あなたまでDG細胞に…
アレンビー:うああああっ!
レイン:アレンビー!
マスター・アジア:ふっはっはっはっはっ!やはりな。貴様の正体、ワシの思っていた通りであった。
ドモン:どういう事なんだい、兄さん!
シュバルツ:話は後だ!今はデビルガンダムを倒す事が先決。マスターは私に任せろぉっ!
マスター・アジア:言ってくれるわぁっ!はぁっ!
ドモン:兄さん!
シュバルツ:何をしている!今のうちにデビルガンダムをぉっ!
ドモン:でも、兄さん怪我はっ!
シュバルツ:心配はいらん!早く行けっ!
ドモン:わかった…
マスター・アジア:行くがよい愚か者よ!言ってその眼で見るのだ。お前の真の兄の姿をなぁっ!
ドモン:こ、これは…兄さんが…兄さんが二人いるなんて…これは…どういう事なんだ!うわぁぁぁぁぁっ!
マスター・アジア:ふん…
シュバルツ:うわあああっうっ!
マスター・アジア:ドモン!見たか。しかばね同然の兄の姿をぉっ!お前がギアナ高地でデビルガンダムを倒した、その代償がこれだぁっ!
ドモン:代償だとぉっ…
マスター・アジア:さしものデビルガンダムも、パイロットがこれでは鉄クズも同じ!然るにドモンよ。貴様が新たなパイロットとなり、デビルガンダムを完全復活させろぉっ!
ドモン:なにぃっ…
シュバルツ:うう…マスター・アジアァッ!
マスター・アジア:それが兄に対する、たむけとなるのだぁっ!うわぁっはっはっはっはっはっはっはっはっは…
ウォン:その必要はありませんよ。東方先生。ご苦労様でした。
マスター・アジア:なんだと?ぬおっ!?
シュバルツ:デビルガンダムが…
マスター・アジア:馬鹿な…ウォン!何をする気だぁ!キョウジの命はもはや風前の灯火!新たなパイロットを乗せぬ限り、デビルガンダムの完全復活は無いのだぞ!
ウォン:いやいや…少しの間くらいならパイロットがいなくてもデビルガンダムは動かせる。そう、あなたを倒すくらいにはね…
マスター・アジア:ウォン!貴様ぁっ…!うおっ!
ウォン:ふっふっふっ…東方先生。こうなればあなたはただの老人なのですよ。
ドモン:こ、これはどういう事だ!東方不敗!
風雲再起:ヒーヒヒヒヒン!
マスター・アジア:ウォンめ、本性を現しおって…だが、貴様の安っぽい野望のために、デビルガンダムを利用させはせんっ!デビルガンダムは…デビルガンダムは…ゴホッゴホッ!くそぉぉぉ…こんな時にぃっ!
レイン:あああああああっ!やめなさい!アレンビー、聞いてちょうだい!アレンビー!ドモンは今、必死にデビルガンダムと戦っているのよ!
アレンビー:うるさぁぁぁいっ!
レイン:あっ!あっ!う…ドモンだって頑張ってるんだから…あなたもドモンと魂の拳を交えたファイターなら!DG細胞なんかに、負けちゃいけない!
アレンビー:ドモン!ドモン!ドモンはどこなのぉぉぉっ!
レイン:あああああっ!
アレンビー:私を一人ぼっちにしないで!だってあたし…
レイン:ええっ?
アレンビー:あたしだって、ドモンの事、好きなんだからぁぁぁぁぁぁっ!
レイン:アレンビー…あなた!
ウォン:東方先生。あなたのご忠告に従って、デビルガンダムには新たなパイロットを組み込みましょう。邪魔者が全て消え去った後で、アレンビー・ビアズリーをね!はっはっはっはっはっはっ!はっはっはっはっはっはっはっ!
キョウジ:う…ドモン…ぐ…
シュバルツ:う、おおっ!おおおおおおっ!
ドモン:兄さん!兄さん!やっぱり無理だよ!早く手当てを!
シュバルツ:いや、もう大丈夫だ。あっ!
ドモン:でも!
シュバルツ:それよりドモン。キョウジを討て!
ドモン:えぇっ!
シュバルツ:やはりキョウジを討たない限り、デビルガンダムは倒せんっ!
ドモン:そ、そんな…そんな事言ったって、俺にはわからないよぉっ!だって、どうして兄さんが二人もいるんだ!これは一体どういう事なの!兄さんっ!
シュバルツ:う…わかった…全てを話そう。いいか、私はキョウジであってキョウジでない。言わば…影。
ドモン:影?
シュバルツ:そうだ…二つに分かれてしまった体と心。いわば、鏡に映ったキョウジの影なのだ!
シュバルツ:そうだ。鏡に映る影。なぜならば、私はDG細胞の力を借りて作り出された、キョウジのコピーにしか過ぎないのだから。
ドモン:なんだって!?
シュバルツ:全てはデビルガンダムを抹殺するためだった。
ドモン:そんな!あれを使って、全宇宙の制服を企んだのは兄さんのはず…
シュバルツ:それは違う!そもそもデビルガンダムは地球再生を目的として作られた物だ!
ドモン:地球再生…?
シュバルツ:そうだ。父さんのアルティメットガンダム三大理論。自己再生、自己増殖、自己進化は、全て地球の自然復活のための物だった。だがっ!その驚異的な力に目をつけた物がいた。
ライゾウ:キョウジ!早く行け!こいつを軍に悪用させてはならん!
シュバルツ:私はアルティメットガンダムに乗り込み、地球へと逃れた…しかし落下の衝撃でプログラムは狂ってしまい…
キョウジ:はぁっ!うっ…ああああああっ!そして、あの恐ろしいデビルガンダムと化してしまったのだ…
ドモン:それじゃあ、兄さんがデビルガンダムを奪ったって言うのは…
キョウジ:ミカムラ博士とウルベのでっち上げだ!
ミカムラ:そうだ…全ては私の、嫉妬が引き起こしてしまった事。私はなんと愚かな事を…
ドモン:はぁっ…そんな…じゃあ俺は、そんな事も知らずに兄さんを追いかけていたなんて…
シュバルツ:根が素直なお前は騙されてガンダムファイターとなり、キョウジを追ってくるに違いない。そう考えた。だが相手は恐ろしいデビルガンダム。お前が無茶をするのは目に見えていた。そこで、デビルガンダムに取り込まれたキョウジは、その薄れゆく意識の中で、倒されていたネオドイツのファイターを母体にして、自分の全人格を移し込んだこの私を作り上げ、こう言った…
キョウジ:頼む…お前が私に代わって影となり、ドモンを守ってくれ…
ドモン:ならどうして!最初に出会った時に、ほんとの事言ってくれなかったんだ!
シュバルツ:ふっふっふっ…あれだけ頭に血の上ったお前に言った所で信じるはずがあるまい。それに父さんの命がかかっている以上、お前は何よりもガンダムファイトに優勝しなければならない。うかつな事ができるか…
ドモン:兄さん…
シュバルツ:ドモン。私も…私も辛かったぞ。
ドモン:兄さん…あんた兄さんだ!間違い無く俺の兄さんだぁぁぁぁっ!
ウォン:ふーん。君達にそんな裏があったとはね。だが、今となってはどうでもいいじゃないか。どうせデビルガンダム…うっ!うっ!!ど、どうしたぁっ!
部下:ウォン首相!こちらにガンダムが二体!
ウォン:なんだとぉ!
レイン:アレンビー!あなた操られてるの!?
アレンビー:ドモン!ドモンどこなのぉっ!
レイン:アレンビーッ!
ウォン:何をしているっ!そんな奴は早く始末しろっ!バーサーカーフルモードッ!
アレンビー:やめてぇぇぇっ!
レイン:あっ!これは、アレンビーの意志じゃない。DG細胞だって、きっと誰かに……あ、あった!バーサーカーシステムの受信機!でも、コックピットのすぐ横!一つ間違えればアレンビーを傷付けてしまう…できるの?私に…やるしかない!一矢でしとめるっ!
アレンビー:うわあああああっ!!
レイン:私は、ドモン達のような武闘家の心は持ち合わせていない。だけど、あなたのように、DG細胞に犯された人を救いたいという気持ちは誰にも負けない!必殺必中!ラァァイジング!アロォォォォッ!やった!はっ!
アレンビー:うああああああああっ!
ウォン:なっなにぃぃっ!うわあっ!ど、どうなったんだ、デビルアレンビー!こんなはずでは…こんなはずではなかったのにぃ…!ええい、こうなればぁっ!全てを灰にしてしまえぇっ!デビルガンダムゥゥッ!!
シュバルツ:奴め、無差別攻撃を…
マスター・アジア:どぅぁっはっはっはっはっはっはっ!
シュバルツ:ん?
マスター・アジア:どぅぁっはっはっはっはっはっはっ!哀れな兄弟よなぁ…だが!ならばこそっ!お前はデビルガンダムに必要不可欠なパイロット!いや、中枢部の生体ユニットとなり、奴と見事一体化するのだぁっ!
ドモン:東方不敗、あんたはぁ…!
マスター・アジア:ワシはなぁ、ギアナ高地でボロボロになった生体ユニットキョウジの!代わりを探しておったのだぁっ!このガンダムファイト決勝大会を利用してなぁっ!
ドモン:なにぃっ…
マスター・アジア:そう!皮肉にも最高のマシンであるデビルガンダムを、永遠に生かすためには最高の肉体が必要!そこでお前に目を付け、様々な屈強のファイターをぶち当て、鍛え上げたのだぁっ!そして、お前はワシの理想通りの、最高の生体ユニットと!なったのだあっ!
シュバルツ:ドモン!
ドモン:だああああああああああああああああっ!
マスター・アジア:さあっ、乗り込めっ!デビルガンダムに乗り込めぇっ!
ドモン:がああああああああああああ…
マスター・アジア:その素晴らしき体を、デビルガンダムにっ!
マスター・アジア:ほぉら、お前のせいで兄はボロボロ、息もタエダエ!全てはお前のせいだ!さあ、せめて息を引き取る前に、兄と代わってやればどうだぁ!
ドモン:に、兄さぁぁぁぁん…!
キョウジ:ド…
マスター・アジア:うわあっはっはっはっはっはっはっはっはっ!
シュバルツ:ドモン!うっ…いかん…意識が…あっ!私の命もまた、キョウジと友にある!もはやこれまでかぁっ…!いやっ!まだ終われんっ…!持ってくれよぉ…!この体ぁっ!
マスター・アジア:なにぃぃっ!?
ドモン:兄さんっ!
マスター・アジア:貴様何をする気だぁっ!
シュバルツ:知れた事ぉっ!デビルガンダムを食い止めるのよぉっ!!
ドモン:無茶だ兄さん!
シュバルツ:黙って見ていろぉっ!!
マスター・アジア:奴め正気かぁっ!
シュバルツ:ううっ…
ドモン:兄さぁぁんっ!
マスター・アジア:ドモォォン!ゴホッゴホッ!
ドモン:兄さぁぁぁぁぁぁんっ!
シュバルツ:くううっ…
ドモン:兄さん!
シュバルツ:いかん!私まで取り込む気だ!…ドモン!撃て!私と一緒に、デビルガンダムをぉぉっ!!
ドモン:ええっ!?
シュバルツ:早く!私の体ごとコックピットを吹き飛ばすんだぁっ!!
ドモン:そんなあぁっ!僕にはできないっ!
キョウジ:甘ったれた事を言うなぁっ!!その手に刻まれたシャッフルの紋章の重さを忘れたかぁっ!!
ドモン:紋章の重さ…
マスター・アジア:ゴホッ、ゴホッ…あ…
シュバルツ:お前がこいつを倒すためのいしずえとなった、仲間たちの事を思い出せぇっ!お前もキング・オブ・ハートの紋章を持つ男ならぁ!情に流され、目的を失ってはならぁぁんっ!!それとも、こんなキョウジのような悲劇が繰り返されてもいいのかっ!
ドモン:うっ…
シュバルツ:やるんだぁっ!デビルガンダムの呪いから私たちを解き放つためにぃっ!
マスター・アジア:やめろドモン!貴様実の兄を、その手で殺めるつもりかぁっ!
シュバルツ:頼むドモン!デビルガンダムに最後の一撃をぉっ…
ドモン:…わかった。
マスター・アジア:よせドモォォォン!デビルガンダム無くして、地球の未来はぁっ!
ドモン:うっ…兄さん…
マスター・アジア:やめろぉぉぉっ!
ドモン:ばぁぁぁぁぁくねぇつっ!!石破ぁぁぁっ!天きょぉぉぉぉっけぇぇぇぇぇんっ!!
ドモン:にぃいさぁん!
マスター・アジア:うわああっ!
シュバルツ:ありがとう…
キョウジ:ありがとう…
シュバルツ&キョウジ:ドモン。
ドモン:にいぃぃぃぃさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん……
次回予告
みなさんおまちかねーっ!ついにデビルガンダムを倒したドモン。ですが、怒りに燃えるマスター・アジアは、地球と人類の未来を懸け、最大最後のガンダムファイトを、ドモンに挑みます!機動武闘伝Gガンダム!「さらば師匠!マスター・アジア、暁に死す」にぃー!レディィィ…ゴー!