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新世紀エヴァンゲリオン(TVシリーズ) 第弐拾参話 「涙」 全セリフ

新世紀エヴァンゲリオン(TVシリーズ) 第弐拾参話 「涙」

新世紀エヴァンゲリオン(TVシリーズ) 第弐拾参話 「涙」

 

新世紀エヴァンゲリオン(TVシリーズ) 第弐拾参話 「涙」

 

 

加持:葛城、俺だ。多分この話を聞いている時は、君に多大な迷惑をかけた後だと思う。すまない。リッちゃんにもすまないと謝っておいてくれ。

加持:後、迷惑ついでに俺の育てていた花がある。俺の代わりに水をやっといてくれると嬉しい。場所はシンジ君が知ってる。

加持:葛城、真実は君とともにある。迷わず進んでくれ。もし、もう一度会える事があったら、8年前に言えなかった言葉を言うよ。じゃ。

ミサト:鳴らない、電話、か…

シンジ:(ミサトさん、今日も篭りっぱなしだ。)

シンジ:(アスカ、今日も戻らないつもりかな…)

ヒカリ:(学校にも行かず、家にも帰らず、ずっとゲームばっかり…)

アスカ:ヒカリ…

ヒカリ:ん、何?

アスカ:寝よっか?

アスカ:…ごめんね、私、邪魔かな?

ヒカリ:そんな事ないわよ。

アスカ:私、勝てなかったんだ、EVAで。もう私の価値なんてなくなったの。どこにも。

アスカ:嫌い…大っ嫌い…みんな嫌いなの。でも一番嫌いなのは私。何かもう、どうでも良くなっちゃったわ。

ヒカリ:…私は、アスカがどうしたっていいと思うし、何も言わないわ。アスカはよくやったと思うもの…

リツコ:そう、いなくなったの、あの子。

リツコ:ええ、多分ね。ネコにだって寿命はあるわよ、もう泣かないで、おばあちゃん。

リツコ:うん、時間ができたら一度帰るわ。母さんの墓前にももう三年も立ってないし。

リツコ:今度私から電話するから。じゃ、切るわよ。

リツコ:…そう、あの子が死んだの…

ゼーレ:ロンギヌスの槍、回収はわれらの手では不可能だよ。

ゼーレ:なぜ使用した。

ゼーレ:EVAシリーズ。まだ予定には揃っていないのだぞ。

ゲンドウ:使徒殲滅を優先させました。やむを得ない事情です。

ゼーレ:やむを得ないか。言い訳にはもっと説得力を持たせたまえ。

ゼーレ:最近の君の行動には、目に余るものがあるな。

ゲンドウ:冬月、審議中だぞ!

ゲンドウ:…分かった。

ゲンドウ:使徒が現在接近中です。続きはまた後ほど。

ゼーレ:その時君の席が残っていたらな。

キール:碇、ゼーレを裏切る気か?

ミサト:後15分でそっちに着くわ。零号機を32番から地上に射出、弐号機はバックアップに廻して。

ミサト:そう、初号機は碇司令の指示に。私の権限じゃ凍結解除はできないわよ。じゃぁ。

ミサト:使徒を肉眼で確認…か…

オペレータ:零号機発進、迎撃位置へ!

マコト:弐号機は現在位置で待機を!

ゲンドウ:いや、発進だ。

マコト:司令!

ゲンドウ:構わん、囮くらいには役に立つ。

マコト:はい…

オペレータ:EVA弐号機、発進準備!

アスカ:(のこのことまたこれに乗ってる…未練たらしいったらありゃしない…)

マヤ:弐号機、第8ゲートへ。出現位置決定次第、発進せよ。

アスカ:(ふん、私が出たって足手まといなだけじゃないの?)

シゲル:目標接近、強羅絶対防衛線を通過。

アスカ:(どうでもいいわよ、もう…)

シゲル:目標は、大涌谷上空にて滞空。定点回転を続けています。

マコト:目標のA.T.フィールドは依然健在。

リツコ:何やってたの?

ミサト:言い訳はしないわ、状況は!?

シゲル:膠着状態が続いています。

マコト:パターン青からオレンジへ、周期的に変化しています!

ミサト:どういう事?

マヤ:MAGIは回答不能を提示しています!

シゲル:答えを導くには、データ不足ですね。

リツコ:ただあの形が固定形態でない事は確かだわ。

ミサト:先に手は出せないか…

ミサト:レイ、しばらく様子を見るわよ。

レイ:いえ、来るわ!

ミサト:レイ、応戦して!

マコト:だめです、間に合いません!

シゲル:目標、零号機と物理的接触!

ミサト:零号機のA.T.フィールドは?

マヤ:展開中、しかし、使徒に侵蝕されています!

リツコ:使徒が積極的に一次的接触を試みているの?零号機と!

マヤ:危険です!零号機の生体部品が侵されて行きます!

ミサト:EVA弐号機、発進、レイの救出と援護をさせて!

マヤ:目標、さらに侵蝕!

リツコ:危険ね、すでに5%以上が生体融合されているわ。

ミサト:アスカ、後300接近したらA.T.フィールド最大で、パレットガンを目標後部に撃ち込んで!いいわね?

ミサト:EVA弐号機、リフトオフ!

ミサト:出撃よ、アスカ、どうしたの?弐号機は?

マヤ:だめです、シンクロ率が二桁を切ってます!

ミサト:アスカ!

アスカ:動かない…動かないのよ…

ミサト:このままじゃ餌食にされるわ。戻して、早く!

レイ:誰?

レイ:私。EVAの中の私。

レイ:いいえ、私以外の誰かを感じる。

レイ:あなた誰?使徒?私たちが使徒と呼んでいる人?

使徒:私と一つにならない?

レイ:いいえ、私は私、あなたじゃないわ。

使徒:そう。でもだめ、もう遅いわ。

使徒:私の心をあなたにも分けてあげる。この気持ち、あなたにも分けてあげる。

使徒:痛いでしょう?ほら、心が痛いでしょう?

レイ:痛い…いえ、違うわ…サビシイ…そう、寂しいのね…

使徒:サビシイ?分からないわ。

レイ:一人が嫌なんでしょ?

レイ:私たちはたくさんいるのに、一人でいるのが嫌なんでしょ?

レイ:それを、寂しい、というの。

使徒:それはあなたの心よ。悲しみに満ち満ちている。あなた自身の心よ。

レイ:はっ…これが…涙…?泣いているのは、私?

ミサト:レイっ!

ゲンドウ:初号機の凍結を現時刻をもって解除、直ちに出撃させろ。

ミサト:え…

ゲンドウ:出撃だ。

ミサト:…はい。

アスカ:何よ、私の時は出さなかったくせに…

ミサト:A.T.フィールド展開、レイの救出急いで!

シンジ:はい!

レイ:碇君!

シンジ:はっ!

レイ:これは私の心…碇君と一緒になりたい…?

レイ:だめ!

マヤ:A.T.フィールド反転、一気に侵蝕されます!

リツコ:使徒を押え込むつもり!?

ミサト:レイ、機体は捨てて、逃げて!

レイ:だめ、私がいなくなったらA.T.フィールドが消えてしまう。だから、だめ…

ミサト:レイ、死ぬ気?

マヤ:コアが潰れます、臨界突破!

レイ:!

シンジ:…

シゲル:目標、消失…

ミサト:現時刻をもって作戦を終了します。第一種警戒態勢へ移行。

マコト:了解、状況イエローへ、速やかに移行。

ミサト:零号機は!?

マヤ:エントリープラグの射出は、確認されていません…

ミサト:生存者の救出、急いで…

リツコ:もしいたら、の話ね…

ミサト:!

リツコ:……

男:赤木博士…

男:レベルCの…は、南西方向に広がっています。

リツコ:この事は極秘とします。プラグは回収、関係部品は処分して。

男:了解。

男:作業、急げ!

ゼーレ:ついに第16の使徒までを倒した。

ゼーレ:これで、ゼーレの死海文書に記載されている使徒は、後一つ。

キール:約束の時は近い。その道のりは長く、犠牲も大きかったな。

ゼーレ:左様。ロンギヌスの槍に続き、EVA零号機の損失。

ゼーレ:碇の解任には十分すぎる理由だな。

ゼーレ:冬月を無事に返した意味の分からない男でもあるまい。

ゼーレ:新たな人柱が必要ですな、碇に対する。

キール:そして事実を知るものが必要だ。

リツコ:…

ミサト:シンジ君、開けるわよ。

シンジ:ミサトさん…出ないんだ、涙。悲しいと思ってるのに、出ないんだよ。涙が。

ミサト:シンジ君…今の私にできるのは、このくらいしかないわ…

シンジ:やめてよ!やめてよ、ミサトさん!

ミサト:ごめんなさい…

ミサト:(さみしいはずなのに、女が恐いのかしら…いえ、人との触れ合いが、恐いのね…)

ミサト:ペンペン、おいで…

ペンペン:…

ミサト:(そっか、誰でもいいんだ…さみしかったのは私の方ね…)

ミサト:はい…もしもし………なんですって!?

ミサト:シンジ君!

アナウンス:第一内科のウガイ先生、ウガイ先生、至急、第二会議室へご連絡ください。

シンジ:綾波!

レイ:…

シンジ:良かった、綾波が無事で…

レイ:…

シンジ:あの、父さんは来てないんだ…

レイ:…

シンジ:ありがとう、助けてくれて。

レイ:何が?

シンジ:何がって、零号機を捨ててまで助けてくれたんじゃないか、綾波が。

レイ:そう、あなたを助けたの…

シンジ:うん…覚えてないの?

レイ:いいえ、知らないの。

レイ:多分私は三人目だと思うから。

レイ:…

レイ:これが涙?初めて見たはずなのに、初めてじゃないような気がする。私、泣いてるの?…なぜ、泣いてるの?

ゲンドウ:そうだ、ファーストチルドレンは現状維持だ。新たな拘束の必要はない。セカンド、サードに関しても同様だ。監視だけでいい。

冬月:しかし、レイが生きていると分かれば、キール議長らがうるさいぞ。

ゲンドウ:ゼーレの老人たちには別の物を差し出してある。心配ない。

キール:われわれも穏便に事は進めたい。君にこれ以上の陵辱、辛い思いはさせたくないのだ。

リツコ:私は何の屈辱も感じていませんが。

ゼーレ:気の強い女性だ。碇がそばに置きたがるのも分かる。

ゼーレ:だが、君をわれわれに差し出したのは、他でもない、碇君だよ。

キール:零号機パイロットの尋問を拒否、代理人として君を寄越したのだよ。赤木博士。

リツコ:(レイの代わり…私が…)

加持:君がほしがっていた真実の一部だ。

加持:他に36の手段を講じて君に送っているが、おそらく届かないだろう。

加持:確実なのはこのカプセルだけだ。

加持:こいつは俺の全てだ。君の好きにしてくれ。

加持:パスコードは俺たちの最初の思い出だ。

加持:じゃ、元気でな。

ミサト:鳴らない電話を気にしてイラつくのは、もうやめるわ。

ミサト:あなたの心、受け取ったもの。

ゼーレ:良いのか?赤木博士の処置。

ゼーレ:冬月とは違う。彼女は返した方が得策だ。

ゼーレ:EVAシリーズの功労者、いま少し役に立ってもらうか。

ゼーレ:さよう、われわれ人類の未来のために。

ゼーレ:エヴァンゲリオン、すでに八体まで用意されつつある。

ゼーレ:残るは後四体か。

キール第3新東京市の消滅は、計画を進める良き材料になる。

キール:完成を急がせろ。

キール:約束の時は、その日となる。

シンジ:はい、もしもし?

リツコ:そのまま聞いて。あなたのガードを解いたわ。今なら外に出られるわよ。

シンジ:リツコさん…

リツコ:…?…!

ミサト:無駄よ。私のパスがないとね。

リツコ:そう、加持君の仕業ね。

ミサト:ここの秘密、この目で見せてもらうわよ。

リツコ:いいわ。ただしこの子も一緒にね。

シンジ:…

ミサト:…いいわ。

シンジ:…まるで綾波の部屋だ…

リツコ:綾波レイの部屋よ。彼女の生まれ育ったところ。

シンジ:ここが?

リツコ:そう、生まれたところよ。

リツコ:レイの深層心理を構成する光と水は、ここのイメージが強く残っているのね。

ミサト:赤木博士、私はこれを見に来たわけじゃないのよ。

リツコ:分かっているわ、ミサト…

シンジ:EVA?

リツコ:最初のね。失敗作よ。10年前に破棄されたわ。

シンジ:EVAの墓場…

リツコ:ただのゴミ捨て場よ。

リツコ:あなたのお母さんが消えたところでもあるわ。

リツコ:覚えてないかもしれないけど、あなたも見ていたはずなのよ。お母さんが消える瞬間を。

シンジ:…

ミサト:リツコ!

リツコ:…

ミサト:これが、ダミープラグの元だというの?

リツコ:…真実を見せてあげるわ。

シンジ:綾波…レイ…?

シンジ:!!!

ミサト:まさか、EVAのダミープラグは!

リツコ:そう、ダミーシステムのコアとなるもの。その生産工場よ。

ミサト:これが!?

リツコ:ここにあるのはダミー。そしてレイのためのただのパーツに過ぎないわ。

リツコ:人は神様を拾ったので喜んで手に入れようとした。だから罰が当たった。それが15年前。

リツコ:せっかく拾った神様も消えてしまったわ。

リツコ:でも今度は神様を自分たちで復活させようとしたの。それがアダム。

リツコ:そしてアダムから神様に似せて人間を作った。それがEVA。

シンジ:ヒト…人間なんですか!?

リツコ:そう、人間なのよ。本来魂のないEVAには、人の魂が宿らせてあるもの。

リツコ:みんな、サルベージされたものなの。

リツコ:魂の入った入れ物はレイ、一人だけなの。あの子にしか魂は生まれなかったのよ。ガフの部屋は空っぽになっていたのよ。

リツコ:ここに並ぶレイと同じ物には魂がない。ただの入れ物なの。

リツコ:だから壊すの。憎いから。

レイたち:ウフフフフ…

ミサト:あんた、何やってるか、分かってんの!?

リツコ:ええ、分かっているわ。破壊よ。人じゃないもの。人の形をしたものだもの。

リツコ:でもそんなものにすら私は負けた。勝てなかったのよ。

リツコ:あの人の事を考えるだけで、どんな、どんな陵辱にだって耐えられたわ!私の体なんてどうでもいいのよ!

リツコ:でも、でもあの人は、あの人は…分かっていたのに…

リツコ:バカなのよ、私は!親子揃って大バカ者だわ!

リツコ:…私を殺したいのならそうして…いえ、そうしてくれると嬉しい…

ミサト:それこそバカよ、あなたは…

シンジ:…

ミサト:EVAに取り憑かれた人の悲劇……私も…同じか…

 

 

 

町が消え、友人が去り、傷心のシンジに少年が微笑む
彼の爽やかな風のような笑顔に溶け込むシンジ
だが、彼らには苛酷な運命が仕組まれていた
次回、『最後のシ者』